革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2013年09月

馬場正尊ほか『RePublic公共空間のイノベーション』を読んで、これは役人がよむべきだと思う。

RePUBLIC 公共空間のリノベーションRePUBLIC 公共空間のリノベーション
(2013/09/15)
馬場 正尊、Open A 他

商品詳細を見る
 建物のリノベーションの専門家の馬場さんが公共空間、公園、港湾、学校などを民間に開放するアイディアとその実践の記録を紹介。  これは公共空間に関する維持管理費に苦しむ役人がまず読むべき本だと思う。  都市公園から活用を狙ったのはよかったと思う。都市公園には、指定管理者制度の前から、設置許可といってそもそも民間の店舗を入れる発想があったので、それを店舗を公園内に設置して維持管理もお願いするとかいろんな発想がありうると思う。  24時間営業のコンビニとかあると治安にもいいかもしれないね。  総合設計の公開空地は管理法もなく、建築基準法の許可の条件だけだから、本当はもっと土地所有者が自由に使える空間だと思う。法的制限はあまりないと思う。東京都のしゃれまち条例はその発想を後押ししたものと考えればいいと思う。もともとたいした制限などない空間だから。  やっかいなのは、港湾、道路、河川かな。このうち、道路は都市再生特別措置法で特例ができたし、河川も占用準則を変えたりして、少なくとも霞ヶ関の段階では開放を促進する機運が生まれている。  港湾は、水上レストランをするためにp95にあるとおり、5つの許認可が必要。これは制度的な改善が必要だと思う。  あと、市役所や学校などの開放は、補助金適正化法で補助金を返さなくてよければ、あとは市町村のやりたい放題。どんどん可能性がでてくる。  児童公園と保育所の合体整備なども、関東大震災の復興公園と復興小学校のようで、いいな。温故知新という感じ。  まだまだ、可能性がいっぱいある分野だと思う。役人もこういう動きを是非応援したい。

久松達央『キレイゴト抜きの農業論』を読んで、産直と一体型の新しい農業モデルだと思う。

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)
(2013/09/14)
久松 達央

商品詳細を見る
 昨日、アップをさぼったので、今日2冊目。  有機農業に転職したサラリーマンの農業論。  お客様においしい野菜と直接届けるというビジネスモデルで、自立している。  補助金をあてにせずに、自立して、スタッフも増やしてやっているところが評価にあたいすると思う。すべての分野での、若者の新規事業に共通する。自分のノウハウと努力で儲けることが一番大事。 (1)政治の仕事は自由で公正な競争環境を整えることであって、戦い方まで口出しするのは余計なお世話というものです。(p196) (2)農業者が変われない理由は、やはりお金に困っていないからです。(p190) (3)就農予定者の年齢が45歳未満の新規就農希望者に年150万を最大7年間支給するというものです。僕はこの政策の効果に疑問を持っています。(p181)  こんな甘ったれた政策にひかれる人材が新規事業を興せるわけないと思うけどな、僕は。

バグワティ『グローバリゼーションを擁護する』を読んで、適切な管理をしながらグローバリゼーションは進めるべきでしょう。

グローバリゼーションを擁護するグローバリゼーションを擁護する
(2005/04/21)
ジャグディシュ・バグワティ

商品詳細を見る
 インド出身の経済学者でコロンビア大学の教授。WTOなどの顧問をしている。  全体のトーンとしては、グローバリゼーションはいいこと、発展途上国を豊かにすることによって、様々な社会問題も解決しやすくするという、しかし、適度な管理は必要という主張。  アメリカの立場からすると、EUの遺伝子組み換え食品とかホルモン牛肉などの輸入規制も科学的根拠のないものと考える。  また、最近の東南アジアや1980年代以降の中国やインドをみると、自由貿易は原則として途上国を豊かにするというのも納得がいく。  そして、著者が反論しているように、東南アジアやインドでのエビ養殖による環境汚染などはブロー針ぜーションというより、当該途上国の環境規制が不十分なことによるので、収益があがることで、適切な規制での対応がむしろ可能になるという。  若年労働や女性虐待もきちんと分析すればグローバリゼーションが原因ではないという。  主に発展途上国の発展のきっかけとしては、理解できるが、日本のように貿易自由化のなかで、製造業が空洞化し、残った製造業が中国や東南アジアにかてるように、季節労働者や派遣労働者によってコストを引き下げてしかやっていけない現実はどうかんがえるべきなのか。悩む。  研究開発とかイノベーションとか、生産性の高い部門にはそれほど多くの人材はいらないわけだから、たいした能力のない、若者は、我々が若いときよりも少ない、不安定な給料で生活するしかないのあ。  これも、よく考えると、関税障壁で日本の製造業を守るという方向はありえないわけだから、別の対応策、技量を身につけることを支援するとか、自ら起業することを支援するとか、能力に応じた支援策を考えた方がよさそうだ。  いずれにしても、グローバリゼーションに対する思い違いの批判に対して、的確な反論をしているし、文章も読みやすいので、一読の価値あり。

チャペック『いろいろな人たち』を読んで、チャペックって誰だっけと読んだが、意外と読み甲斐のあるエッセイでした。

いろいろな人たち―チャペック・エッセイ集 (平凡社ライブラリー (90))いろいろな人たち―チャペック・エッセイ集 (平凡社ライブラリー (90))
(1995/03)
カレル・チャペック

商品詳細を見る
 積ん読の山の中から何気なくとりあげて読み出した。  ナチスに蹂躙されるまえのチェコの国民的作家らしい、チャッペックのエッセイ。  そう思って、読み出したが、最初は歯が痛い話とか、なんじゃこれと思ったが、後半は政治的な話題になってきて当時のチェコの緊張感が伝わってきた。 (1)今日の世界は憎しみを必要としていない。必要なのは善意、自発性、一致と協力である。(p239) (2)コミュニズムについてもっとも不思議で非人間的なのは、その特別な陰気臭さである。(p234) (3)(関東大震災の報道を受けて)われわれ地上の人間の、好意的で限界のない共同作業の資本を募集する必要がある。(p186)  珠玉のエッセイ集というまで十分には理解できなかったが、後半はナチスと共産主義の両方の脅威にバランスをとろうとする著者の意図が感じられた。  それにしても、なぜ、この本、買って積ん読になっていたのかわからない。

出口治明『直球勝負の会社』を読んで、やっぱり生命保険っ透明性が大事だと思う。

直球勝負の会社―日本初!  ベンチャー生保の起業物語直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語
(2009/04/10)
出口 治明

商品詳細を見る
 楠木建さんの推薦。  日本生命をやめて独立系の生命保険会社をゼロから立ち上げた出口さんの自叙伝的な本。  出口さんは、ネットでコストを下げて保険料半分、比較可能とすること、商品をシンプルにすることをテーマに、ライフネット生命保険を立ち上げた。  出口さんの言うとおり、日本生命の社員がお客さんに売っている日本生命の商品を買っていないのがおかしいと思う。  また、運用内容や保険料に上乗せされている様々なコストがまったく公表されていないこと、また、各社比較ができないことも生命保険の不満。  以前、「生命保険のうら側」という本を読んだ時にも同じ感想をもった。http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-88.html  自分は掛け捨ての外資の安い生命保険だけに整理してしまったが、ライフネット生命を知っていたら、参考にしただろうな。  生命保険のかけすぎに注意しましょう。
ギャラリー
記事検索
  • ライブドアブログ