革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2013年10月

リンダ・グラットン『ワークシフト』を読んで、就活に苦しむ若者に夢を与える本。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
(2012/07/28)
リンダ・グラットン

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 これも木下さんの推薦。  全体を通じて、若者、就職に苦しむ若者に、既存の考えにとらわれずに、しかし、自分を鍛える道を教えている。これは、寿命が長くなっているので、自分のような中年にも十分当てはまる。  著者がいう戦略とは、第一に、自分に高度な専門技能を身につけ、自分ブランドを高めること、第二に、少人数の盟友と大勢の知り合いネットワークの構築、第三に家庭や社会貢献などで創造的な経験を積むこと、これを三つのワークシフトと呼んでいる。  まったく異論はない。自分の力をつけるのは、本を読んだり経験を積むしかない、これは努力。ネットワーづくりは、結局、人のためにいろいろをお世話をやいて役立つことからはじめないと本当のネットワークはできないと思う。 もちろん、フェイスブックとか役立つと思うが、自分をさらけ出して、どうぞ自分の能力をつかってください、といった姿勢が大事だと思う。  家庭と社会貢献もそのとおり。なかなかサラリーマンだと難しいが、ボランティア休暇制度とかできてきて、どんどん日本の社会もかわっていくと思う。  一番、読む必要があるのは、既存の知識にとらわれて真っ黒なスーツをきて、ビジネス街を歩いている就活の学生かな?大企業とか、30年後にはなくなっているかもよ。それよりまず自分の能力と人的ネットワークが大事なんだよ。  30年以上、役所に勤めていて、この指摘はよくわかります。

三枝匡『V字回復の経営』『経営パワーの危機』『戦略プロフェショナル』を読んで、自分の組織にサムライがいるか考えた。

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
(2006/04)
三枝 匡

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経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
(2003/03)
三枝 匡

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戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
(2002/09)
三枝 匡

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 木下さんの推薦で、キンドルをつかって三枝さんの本3冊を一気に読んだ。  自分は公務員で今のままではこの3冊の主人公のような経営を任せられるようなことはない。それでも参考になることがたくさんある。 (1)新技術の発見、製品化というのは、技術者はもとより経営者にとっても賭のようなものであり、あらかじめ頭でわかるものではない。そのようなものをいかにも政府が技術開発促進などといって、製品に近い技術開発にお金を出すのは無駄だなということ。もっというと、役人に血のにじむような技術者経営者の苦労がわかるわけがない。 (2)役人は、やはり戦略を分析するツールの習得不足。経常利益といった明確な指標がないため、なにを目指すかがトップの趣味になりがち。 (3)役には30歳代で地方に出向して部長とか経験するけど、やっぱり経営のトップをまかされるわけではない。その意味では、民間企業のように若手のエリートをサムライとして経営の責任をとらせるという経験ができない。大事な30代、40代をルーティーンで過ごしてしまう。これを何か改善していかないと、本当の意味で閉塞感を破るサムライが生まれてこない。    三枝さんの文筆力と具体例の迫力で一気に3冊読んでしまった。くたびれたけど、大変参考になった。落ち着いて、今の自分に何ができるか考えてみる。

サイモン・シンほか『代替医療解剖』を読んで、すくなくとも鍼とかハーブ療法などに頼る前にお医者さんに相談しよう。

代替医療解剖 (新潮文庫)代替医療解剖 (新潮文庫)
(2013/08/28)
サイモン シン、エツァート エルンスト 他

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 この本も文系のための理系本の推薦で購入。  代替医療というのは、この本では、鍼、お灸、ホメオパシー、カイロプラティックス、ハーブ療法などの通常の医者が効果がない、または危険と考える医療的手法であり、この本は、医者とサイエンスライターが組んで、アメリカらしく丁寧に分析している。  特に鍼の分析はおもしろい。プラセボ効果を防ぐために、鍼を少しだけさしてそのままたっているような器具までつくって分析をした結果、一部の吐き気など意外は統計的に有効性は認められなかった。これにはおまけがついていて、WHOでは、中国人が主査となって分析したため、バイアスがかかった結果になったという。  ホメオパシーはなんだがものすごく薄くした水にエネルギーを与えると聞くということで、イギリスでは医療保険の対象にもなっているが、当然、丁寧な比較検証をして、効果なし。  カイロプラクティックも、腰などに一部効果があるだけで、その他の内科的な効果はなし。  ハーブ療法は、漢方もこの本では含まれていて、玉石混交、重金属が含まれている事例もあるという。  実は、自分も膝に痛みがあって、近くの整形外科にいったところ、理学療法を進められ、高いお金をかけて、整体をさせられて、最後に首をポキとならすのにしばらく通ったが、ちっともよくならない。そこで別の整形外科にいったら、この程度なら湿布を一週間も貼っていれば治るといって実際に治ってしまってから、整体術とか全く信じなくなってしまった。  まあ、とにかく、あぶなっかしい医療行為的なものに行く前に、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。ほとんどまやかしみたいですよ。いわゆるプラセボ効果ですね。

佐藤健太郎『炭素文明論』を読んで、化学屋さんの炭素をめぐる楽しいお話。

炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)
(2013/07/26)
佐藤 健太郎

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 科学ジャーナリストの佐藤さんが、やさしく楽しく、化学を炭素の観点から説明。  うちの親父が化学屋だったので、亀の甲とか抵抗はない。確か高校では化学Ⅱというクラスをとったと思う。  炭素という、高校時代までは、重化学工業の中心として、石油からいろんなものができるんだな、というイメージj。  最近は、ボーイング787が使っているように、炭素繊維という炭素そのものの分子構造を工夫することによって、軽くて強靱な繊維を生み出している。  さらには炭素がサッカーボールのような構造をしているフラーレン、太陽電池に応用が期待されているとのこと。(p231)  炭素のナノチューブは、配列により伝導体にも半導体にもなるということでコンピューターへの革命の可能性もあるそうだ。(p232)  この本は、人間が発達することができたデンプンという物質からはじまって、最後は炭素の新素材まで、実にたくさんの炭素化合物をやさしく、おもしろく語っている。  化学に詳しくない文系の方におすすめ。理系の啓発本は本当に楽しいな。

内田樹『疲れすぎて眠れない夜のために』を読んで、要はおもいつめずに、ほんわか生きようということ。

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
(2007/09/25)
内田 樹

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 これもキンドルで購入。  キンドルの欠点一つ発見。ハイライト(下線)をしたところをあとからまとめてみるときに、一定の容量を超えるとまとめて表示しようとしても、容量を超えたといって表示されないこと。自分はリアルの本を読むときは、気に入ったフレーズがあると、ミニ付箋をつけているので、同じようにハイライトをどんどんつけていったら、オーバーしてしまった。納得したら、どんどんハイライトをしたいので、なんとかしてほしいな。  ということで、この本の感想。いつもの内田節。 (1)「不愉快な人間関係に耐える」というのは人間が受ける精神的なダメージの中でもっとも破壊的なものの一つです。できるだけすみやかにそのような関係からは逃れることが必須です。(位置227-229) (2)自国だけのローカルな習慣を「世界はすべてそうあるべきだ」と拡大解釈するのは、アメリカの「病気」みたいなものです。(位置563-564)  病気そのものだと思います。そうでなければ、一応全うに成立している国民国家であるイラクとかアフガンをいきなり攻撃することなど、考えつかないと思います。 (3)自分に反対する人間、自分と政治的立場が違う人間であっても、それが「同じ日本人である限り」、その人は同胞であるから、その権利を守りその人の利益を代表する、言い切れる人間だけが日本の「国益」の代表者であるとぼくは思います。(位置1983-1985)  これも大事なことだと思う。政治家とか役人は意見が違う人であっても同じ日本人として尊重するという発想が大事だと思う。こいつら抵抗勢力で押しつぶしてしまえなどと思うのは、国益を代表する人の考えることではないと思う。
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