革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2013年11月

平山洋介ほか『住まいを再生する』を読んで、大変な力作、だが語り口にやや疑問の論文もあった。

住まいを再生する――東北復興の政策・制度論住まいを再生する――東北復興の政策・制度論
(2013/11/16)
不明

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 献本いただいた。ありがとうございます。  大変な力作で、実態に即したわかりやすい提言も多い。  ここで、ちょっと違和感を感じた点。  まず、東日本大震災の復興がすでに3年を迎えようとしているときに、まず、ここで掲げられた問題や課題について、解決するためには、復興庁の人間、関係省庁の人間、地方公共団体の職員に意識を持ってもらうのが一番大事。  その場合、やはり大上段に憲法に照らしてどうというよりも具体的にこういう風になおしてほしいといった具体的な提言をするべきだと思う。白地に新しい、理想的な制度をつくるわけではないので、今ある制度のいいところは活かして、改善すべき点に焦点を絞るといいと思う。  二つ目に、被災者支援などをもっともっと充実すると提案するのであれば、それが、次くるといわれている、首都直下地震や南海トラフ巨大地震で制度が継続的に維持できることをあわせて立証することが求められる。少なくとも、私が担当していた時も、次の巨大災害でも制度が維持できるかどうかというのは非常に気になった。額は多い方が被災者にありがたいことはわかるが、次の災害では対応できない水準に設定するのは次世代にとって無責任だと思う。  原子力災害については、より、感情的になりやすい部分だが、何も触れていないが、そもそも今の東急電力の体制を維持したままでは、国費をだせない、または出しにくいことを考える必要がある。東京電力のままで、国が全額費用をみて遮断壁をつくったときにその遮断壁の所有者はだれになるのか、その遮断壁がもれたときに国は国家賠償を追うのか、など疑問が続出する。また、株式会社東京電力に際限なく国費をつぎ込むことも、国費の使い方としておかしいと思う。  わかりにくいかもしれないが、やはり銀行再生と同じで、ぐっと会社とばっと会社をわけて、福島原発の部分はばっと会社にして国有化して、国費をいれる、その代わり、国が経営権を持つといった仕組みにして、東電は、ぐっと会社で、債務を軽くして電力会社を経営させるのがいいのではないか。今のまま、東電を維持しつつ、国費をちょびちょびいれるのでは抜本的解決はできないと思う。  いずれにしても、福島原発の問題については、自分もよく考えてみる。  力作なので、復興関係者にはおすすめします。

比嘉邦彦ほか『クラウドソーシングの衝撃』を読んで、これは早く対応しないと日本の企業は乗り遅れるなと痛感した。

クラウドソーシングの衝撃 雇用流動化時代の働き方・雇い方革命 (NextPublishing)クラウドソーシングの衝撃 雇用流動化時代の働き方・雇い方革命 (NextPublishing)
(2013/06/21)
比嘉邦彦、井川甲作 他

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 ちきりんさんのブログで何回かにわけて紹介していた。  クラウドソーシングは、アメリカで発達した情報システムで、単純な作業を世界的なネットワークの中で安くやったり、新しいアイディアを募集するといったことを目的としたネットワークグループ。  当然のことながら、単純作業はアジアの発展途上国で安くできるし、アメリカ国内でも単純作業を暇つぶしにやるということで、時間給1ドル程度でもできる。後者の新しいアイディアについても、P&Gなどを活用していて、半分ぐらいはそのネットワークで解決できるという。  日本にも例えば翻訳を定価で安く提供するGENGOといったシステムがある。  これは、この本でも言っているが、日本の閉鎖的な労働市場を飛び越して、簡単に安い労働力を確保する手段となる。日本の中でやっていても、相当安くなるし、英語が使えれば、日本にいて簡単な作業をアジアに発注できるようになる。  このクラウドソーシングは、オバマが連邦政府でつかえといって急に進んだらしい。日本の政府だと、会計法とかが壁になりそうだが、なんとか導入できないものか。  一番危機なのは、大企業。内部にホワイトカラーの企業内失業者をたくさんかかえてただでさえ労働生産性が低いのに、外国企業はスリム化して一層、安値で攻めてくる。IBMはクラウドソーシングで大幅に人員削減する。  日本の大企業は対応できるか、非常に危機感を持つ。  一方で、中小企業はもともと内部にそんなに人材を抱えていないから、比較的簡単にクラウドソーシングの波に乗れるかもしれない。また、起業するのも楽になると思う。  硬直的な大企業が滅びて、中小企業で元気のいいところが新しい技術、システムを活用して伸びる、そして、新規起業が増えていく、それが今後の日本の成長する道なんだと痛感した次第。

ちきりん『Chikirinの日記の育て方』を読んで、簡単に電子図書ができると本の概念が変わると思う。

「Chikirinの日記」の育て方「Chikirinの日記」の育て方
(2013/11/26)
ちきりん

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 ちきりんさんは、社会派ブロガー。本も何冊か書いている。  この本は、有名なChikirinn日記というブログのうらがわの話をまとめたもの。  自分もブログをやっているので、いいなと思った点。 (1)ネット接続時間が長くなるとネットで話題になっていることが、世の中で話題になっていると思いがちですが、まだまだそんなことはありません。(位置834-836) (2)こうした時代でに重要になるのがオンラインでもオフラインでも同じように言動するという一貫性です。(位置1298-1299) (3)初期のいくつかの失敗から学び、本人が目の前にいたら言わないだろうことは書かない、つぶやかないと決め、その人がもし目の前にいたら、きっとこういう言い方をするだろうと思える方法で表現することにしてきました。(位置1342-1344)  しかし、一番びびっときたのは、あまりIT技術に詳しくないといわれている、ちきりんさんが独力でワードで書いた文章を変換して、キンドルで本として販売していること。ブログとかツイッターとか掲示板とか素人が簡単に意見表明する機会は増えてきたが、未だに、本は、出版社にお願いするか、自費出版して自分で知り合いに送付するしか方法がなかった。それが、ワードの文章を簡単に本として出版できるようになると、相当、詳しい分析とか調査を簡単に本にすることができる。  また、実は、電子図書に限れば、出版社もものすごくコストカットできるはず。実際には、出版社は印刷会社とか営業の人とかたくさん抱えているからなかなか転換できないかもしれないが、これは、出版の革命になりそうな気がしてきた。  まだ、ちきりんさんによると、キンドルの本にする転換のソフトがそれほど使いやすくないようだが、これも改善さされれば、おもしろい本が手軽に出版できるようになるかも。 (3)

半藤一利ほか『そして、メディアは日本を戦争に導いた』を読んで、部数を増やすために好戦的な記事を書いた歴史を知る。

そして、メディアは日本を戦争に導いたそして、メディアは日本を戦争に導いた
(2013/11/15)
半藤 一利、保阪 正康 他

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 半藤さんと保阪さんの、戦前のメディアをめぐる対談本。  軍部や内務省が厳しく新聞や雑誌を検閲していたのは知っていたが、それが始まる前に、そもそも好戦的な記事を書かないと、売れないという状況が生まれていたことを知った。  要は軍人や官僚が抑圧的である前に、国民が好戦的な記事を好んだということ、さらには在郷軍人会が厭戦的な記事を載せる新聞に対して不買運動をしかけたりしていた。  今はどうだろう。お二人はマスコミや雑誌に、非常な危機感をもっていて、それは理解できるが、戦前とは違って、、一つの意見と別の意見が新聞によって分かれていて、国民は両方の意見を聞くことができる。これが大事だし、両方を意見をきく、国民の姿勢も大事だと思う。  心配なのは、若者が就職難で期間労働者で低賃金となり、新聞や雑誌を読まずに、ネットで済ませるようになることだと思う。やはり、ネットの情報は偏るし、検索かけても検索エンジンが偏って本人が好む情報だけだすようになる。  日本の二チャンネルの過激な記事とか、ドイツの若者の極右運動とか、そういう極端な、一つの考えに凝り固まることが非常に危険だと思う。  そんなに、自分はまだ日本のマスコミに悲観していないが、様々な意見がとびかう自由は言論空間は国民が築き続けないといけないなと感じた次第。

田中陽『セブンイレブン終わりなき革新』を読んで、これくらの血のにじむ改革を続けなければ商店は維持できないと知る。

セブン-イレブン 終わりなき革新 (日経ビジネス人文庫)セブン-イレブン 終わりなき革新 (日経ビジネス人文庫)
(2012/07/03)
田中 陽

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 こういうビジネス書って、キンドルで安いので思わず購入。  意外とよかった。  セブンイレブンが、血のにじむような努力、例えば、共同配送、品切れを出さないためのPOSの開発、そのPOSでは、店員に、若者か、女性が男性かをレジで同時に打たせて売れ筋を分析する、新しい商品に対する厳しいダメ出しなど、セブンイレブンが、いかにして顧客のニーズにあうかを毎日のように改善している。  これだから、人も集まってくる。  中心市街地の商店主が、自分が昔からのビジネススタイルで、ちっとも魅力ある商品を提供しないでおいて、郊外ショッピングセンターのせいだ、駐車場のせいだ、といって行政に文句をいい、行政から補助金をもらって、あげくのはてにその維持費がだせなくて倒産する。  まったく、市場メカニズムを理解していない。  自分の家の近くでも、セブンイレブンなどのコンビニと特色ある喫茶店など飲食が数軒しか残っていない。それでも自分はちっとも困らない。  それほど、地元の商店は住民に必要なサービスを生産性高く提供していないことがわかる。  こんな改革の気持ちのないところに、税金をつぎこんでもだめだなと思う。
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