革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2015年04月

大久保潤ほか『沖縄の不都合な真実 The ill-shaped reality of OKINAWA』を読みました。


 This book is recommended by my clleague born and brought up in Okinawa. This book analyzes Okinawa economy is based on American bases and the Japanese government's subsidy. The writer pointed out that Okinawa economy can't become independent without Amercan bases. According to the writer, this is ill-shaped reality in Okinawa. 
 沖縄出身の後輩から読んでみたらと推薦されて読んでみた。

 もっと知りたいと思った点。

(1)無人偵察機などの技術革新によって、そもそも米軍基地の存在意義とか必要性について、米軍側でも大きくかわりつつあるのではないか。そもそも、日米安保条約を前提としつつも、日本全体での基地負担を軽減するための方向性はないのか。

 重要と思った指摘。
(1)2011年9月27日沖縄タイムズの記事によれば、名護市議会がキャンプハンセンの山林162haの返還をやめ継続使用を要求したこと。(p56)

 基地があることによって、膨大な借地料が所有者である市に入ること、また、区に対しても分収金と称して相当の金額は支払われるため。

(2)基地さえなくなれば沖縄は経済成長するという既存の分析について著者が疑問を呈していること。(p88)

(3)沖縄では、県当局、県議会とマスコミ、労組、学識者が一体化しているという指摘。(p104)

(4)沖縄の貧困の背景には、所得が公務員に偏在し、公民格差が大きいこと、県民所得が全国最低であるだけでなく、ジニ係数も全国最大であること、離婚率全国一、DV発生率全国一など、社会問題が隠されてること。(p119)

『東京の制度地層 The institutional layers of Tokyo city』を読みました。


 This book covers the institutional layers of Tokyo city. These layers are analyzed by the viewpoints of city planning, politics, and sociology. Dr.Aiba pointed out the efficiency of Japanese special district systems, Dr.Ichikawa emphasized the role of ' the third place' in community development, and cooperative system by Dr.Kinoshita's suggestion is also important.
 饗庭先生のタイムラインでの紹介で購入。

 都市計画、政治学、行政学、社会学などの観点から、東京に積み重なった、古層から表層までのいろんな制度の積み重ねという見立てをして、それを前提にして、どうやって社会改善を図っていくかという方策の各人が述べている。

(1)饗庭先生の論考は、容積緩和型と地区環境改善型の両方を含んだ、特区型手法というのが、計画の科学的合理性、決め方の公正さの合理性、主体の適格さの合理性をうまく説明できる手法として、有効だし、今後は、民間都市開発事業者だけでなく、NPOや地域の自治組織が参画して、競争しながら地域を改善していく可能性があるという。(p25)

(2)市川徹先生の論考では、世田谷区のまちづくりを前提にして、キュレーションによって、居場所づくり(サードプレイス)、シェア、人材の流動化をキーワードに市民自治のまちづくりがこれから始まるという。(p83)

(3)第4章の東京生協の分析についての、木下究氏の、生活困窮者や医療福祉などの分野での協同組合方式への期待の指摘(p121 )は重要と思う。

(4)第5章の子育て施設についての饗庭先生の、社会をつくりだしていくためには現物給付を優先して、丁寧な戦略的資産形成の指摘(p146)も重要。

 参考文献 手塚智子「ドイツのエネルギー協同組合」『まちと暮らし研究』のNo17(2012年12月)、和田清美『大都市東京の社会学』

『知識人とファシズム the intelligentsia and fascism』を読みました。

知識人とファシズム―近衛新体制と昭和研究会
マイルズ・フレッチャー
柏書房
2011-03-18

 This book analyzes the elites in academic area in the world war second. According to an today's accepted theory, they were pressured to change their opinions by tne Japanese government at that time, and kept silent in the period of the War. Though, the writer revealed that the elites in the academy aggressively supported the government policies such as 'the Greater East Asia Co-prosperity Sphere' on the basics of their knowledge of politics, economics, and public philosophy. To make the thing worse, the successers of their elites kept secret their teachers' opinions and actions after  the war. 
 著者はノースカロライナ大学の先生。

 戦前の1930年代に近衛文麿氏のブレーンとなった昭和研究会のメンバー、蠟山政道、三木清、笠流太郎の3氏の動きを分析している。

 蠟山氏は東京帝国大学の政治学の教授、丸山真男氏の師匠。三木氏は京都帝大を卒業した哲学者。笠氏は、東京商科大学(現一橋大学)をでたエコノミスト。いずれも当時の超エリート。

 著者は、この三人が、昭和研究会を開き、東亜共同体構想など、ファシズムに影響を受けつつ、陸軍の動きを支える思想活動をした背景には、国策に影響を与えたいのに、権力から離れていることへの焦慮があると指摘している。(p16)

 日本で最高の教育を受けた知識人がなぜ道を誤ったのか。自分なりに整理してみる。

(1)エリートは愚昧な庶民や政治家より優れているのだから、政治を引っ張るべきというエリート意識があったこと。

(2)政治思想は時代ととともに変わりうるという柔軟な思想を持っていたが、一方で、ヨーロッパ崇拝主義があって、イタリアやドイツのファシズムの動きを新しい世界の動きと誤解したこと。

(3)自分の新しい政治思想を国策として利用しようとして、官僚、軍部に近づいたこと。

(4)政策の対象として、ミクロの国民という視点ではなく、マクロな、当時の学者がよく使う、有機体としての、協同体としての国家を概念していたこと。

(5)当時としてはやむをない面もあるが、統制経済、計画経済の問題点を理解せずに、市場メカニズムを破壊しようとしたこと。

 そして、最も重要なことは、このような戦時中に近衛氏や軍部に協力した政治学者、哲学者、経済学者を、例えば、丸山真男をはじめとする戦後を代表する学者たちは、自分の恩師であることから、意図的に批判をさけ、その行動についての歴史的評価を避けたこと、そして、国民からその存在を忘れさせたこと。

 この蠟山氏などの行動や思想を追いかけてみると、その場面、場面では、極端な変革を避け、漸進的に社会改造をしようとしたことなど、理解できる部分があるが、結局、エリートの自己実現の「欲」が、体制へのすり寄りを誘導したのだと思う。また、流行の欧米思想をなんでも大事にする発想も注意が必要なことがわかる。

 もっと、真摯に学識経験者は戦時中の恩師や先輩の行動を批判し、同じ過ちを繰り返さないための、思想の枠組みをどうやって構築すべきかについて、何度も国民に語りかける必要がある。恩師だから批判しないというのでは、日本は進歩しないと思う。

『知識人とファシズム THE SEARCH FOR A NEW ORDER』を読みました。

知識人とファシズム―近衛新体制と昭和研究会
マイルズ・フレッチャー
柏書房
2011-03-18

 This book analyzes the elites in academic area in the world war second. According to an today's accepted theory, they were pressured to change their opinions by tne Japanese government at that time, and kept silent in the period of the War. Though, the writer revealed that the elites in the academy aggressively supported the government policies such as 'the Greater East Asia Co-prosperity Sphere' on the basics of their knowledge of politics, economics, and public philosophy. To make the thing worse, the successers of their elites kept secret their teachers' opinions and actions after  the war. 
 著者はノースカロライナ大学の先生。

 戦前の1930年代に近衛文麿氏のブレーンとなった昭和研究会のメンバー、蠟山政道、三木清、笠流太郎の3氏の動きを分析している。

 蠟山氏は東京帝国大学の政治学の教授、丸山真男氏の師匠。三木氏は京都帝大を卒業した哲学者。笠氏は、東京商科大学(現一橋大学)をでたエコノミスト。いずれも当時の超エリート。

 著者は、この三人が、昭和研究会を開き、東亜共同体構想など、ファシズムに影響を受けつつ、陸軍の動きを支える思想活動をした背景には、国策に影響を与えたいのに、権力から離れていることへの焦慮があると指摘している。(p16)

 日本で最高の教育を受けた知識人がなぜ道を誤ったのか。自分なりに整理してみる。

(1)エリートは愚昧な庶民や政治家より優れているのだから、政治を引っ張るべきというエリート意識があったこと。

(2)政治思想は時代ととともに変わりうるという柔軟な思想を持っていたが、一方で、ヨーロッパ崇拝主義があって、イタリアやドイツのファシズムの動きを新しい世界の動きと誤解したこと。

(3)自分の新しい政治思想を国策として利用しようとして、官僚、軍部に近づいたこと。

(4)政策の対象として、ミクロの国民という視点ではなく、マクロな、当時の学者がよく使う、有機体としての、協同体としての国家を概念していたこと。

(5)当時としてはやむをない面もあるが、統制経済、計画経済の問題点を理解せずに、市場メカニズムを破壊しようとしたこと。

 そして、最も重要なことは、このような戦時中に近衛氏や軍部に協力した政治学者、哲学者、経済学者を、例えば、丸山真男をはじめとする戦後を代表する学者たちは、自分の恩師であることから、意図的に批判をさけ、その行動についての歴史的評価を避けたこと、そして、国民からその存在を忘れさせたこと。

 この蠟山氏などの行動や思想を追いかけてみると、その場面、場面では、極端な変革を避け、漸進的に社会改造をしようとしたことなど、理解できる部分があるが、結局、エリートの自己実現の「欲」が、体制へのすり寄りを誘導したのだと思う。また、流行の欧米思想をなんでも大事にする発想も注意が必要なことがわかる。

 もっと、真摯に学識経験者は戦時中の恩師や先輩の行動を批判し、同じ過ちを繰り返さないための、思想の枠組みをどうやって構築すべきかについて、何度も国民に語りかける必要がある。恩師だから批判しないというのでは、日本は進歩しないと思う。

『人類50万年の闘い マラリア全史 'THE FEVER'』を読みました。


 This book's original title is 'THE FEVER' written by Sonia Shah. Surprisingly,100 million peoples are killed by malaria every year in the world. The reason why human being could not beat malaria are complicated; one reason is that malaria is a disease for poor peoples, so medicine companies are not apt to develop new medicine. the other reason is malaria worm can chance their genes very rapidly against new medicine.This malaria troubles is one of the market failure, so developed countries have to support the developing countries' struggle against malaria. 
 この本を読んで、驚いたのは、マラリアが滅亡の方向ではなく、蔓延の方向に世界中で進んでいること。

(1)その理由としては、第一に、キニーネに加え、クロロキン、アーテミシンといった薬に耐性のある原虫が発生してきていること。

(2)そもそもマラリアに感染するアフリカや中南米諸国は貧しいことから、薬剤会社でも積極的な開発をせず、また、開発した薬もたかく、少量の投与しか行えないため、かえって耐性原虫をはびこらせる結果となったこと。

(3)先進国でも、カトリーナハリケーンの跡地のように放棄した土地で水たまりが多いところは、蚊が発生しやすく、他人ごとではないこと。

(4)DDTの散布は一時的に効果があるものの、耐性のある昆虫を産みだしたこと。ただし、この安い農薬を禁止したことには、リスク管理上、むしろ有効で使わせるべきとの議論もあること。(p360)

(5)近年は、ビルゲイツの基金など民間の超富裕層がつくった基金がマラリア対策を講じているが、WHOの対策とは異なる方針をとっており、政府や研究者が潤沢に資金を供給するこれらの基金に学問的に疑問がある対策(小児のための間歇的予防療法)でも同意していること。(p362)

(6)アーテミシンという現時点で最も強力な薬と蚊屋の配布のアフリカの配布は、現地住民からは受け入れられておらず、17%以下しか蚊屋を蚊屋として子どもを寝かしつけていないこと。(p349)

 発展途上国への医療援助の根本的問題をはらんでいると思う。
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