革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

2017年01月

『最新 防災・復興法制』という本をだしました。災害予防、応急、復旧、復興の制度の横串化を試みてみました。


 また、アマゾンでは販売予定なのですが、昨日、私の手元に本が来たので、紹介します。
 
 私は、阪神淡路、東日本大震災の際に、復興法制と防災関係の法律の双方を制定なり改正しました。

 この経験からいうと、今、内閣防災、消防、福祉が担当している災害予防や応急と、建築、土木、都市計画が担当している復旧、復興はもっと政策として一体化する必要があると痛感しています。
 例えば、以下の論点などはあまり異論がないのではないでしょうか。

(1)防潮堤と市街地整備事業、土地利用計画だけでなく、避難計画などの防災計画と一体化することによって、もっと財政効率的で、かつ、被災者再建がスムーズにいく可能性があるのではないか?

(2)応急対策で課題となっている罹災証明のうちの住家被害認定は、もっと建築や都市計画のプロが参加することによって円滑化が進むのではないか?

(3)応急段階の避難所運営、応急仮設住宅、そして災害公営住宅を横串をさして、例えば、一体的に賃貸住宅や空き家を借り上げて行うことによって、被災者、特に、高齢者や障害者などの生活環境の改善につながるのではないか?

 などは、一度横串でみると改善の可能性が明確になると思います。

 その意味から、計画論、技術論ではないのですが、法制度、予算制度の観点から災害予防から復興までをざくっと理解して横串の議論ができる基礎情報を整理したつもりです。

 また、災害前、発生後にに国と地方の公務員が制度面で対応すべき点も明記したつもりです。

 なお、参考資料では、災対法や大規模災害復興法の施行通知、災害救助法の事務処理要領だけでなく、東日本大震災や熊本地震で発出された災害救助法の特別基準の通知も、小さい字になってしまいましたが、掲載しています。これも意外と探しにくく、いざというときに役に立つと思います。防災・復興関係者はこの資料の存在だけでも知ってほしいと思います。

 興味を持たれた方は是非手にとってみてください。 

『健康になれない健康食品』を読んで、プラセボ効果と確証バイアスで簡単にだまされちゃうから注意しようということ。


 薬局にいっても医薬品と一緒に大量のサプリメントを販売していて、変だなといつも思っている。
 
 要は、統計的な分析に弱く、プラセボ効果にダマされやすく、自分の信じたことを信じたいという確証バイアスにとらわれるという、庶民の知的弱点をうまくついているのが健康食品。

 高齢者に多額の無駄なお金を費やすだけでなく、正常な治療行為から遠ざける可能性もあるので、要注意だと思う。

 有酸素運動とか軽い筋肉トレーニングとか本当に効果のあることにお金を高齢者も使ったらいいし、そっちにできるだけ誘導すべき。最初は税金をサプリメントには使っていないが、高齢者が健康になれば結果としては、医療費とか介護費の軽減にもつながるのではないか?

 以下、抜き書き。

(1)(アグリフーズが半数致死量と急性参照用量をまちがえたことについて)、一方、急性参照用量は、「この量までなら、摂取しても健康に影響が出ない」というラインを表します。吐き気がする、腹が痛いといった症状が起こるラインということです。 当然ながら急性参照用量は、半数致死量よりもずっと小さな数値になります。たとえば今回混入されたマラチオンの場合、半数致死量は1000~10000㎎/㎏(動物によって差がある)、急性参照用量は2㎎/㎏ となっています。体重六〇キログラムの人なら、六〇~六〇〇グラムを摂取しないと死にはしませんが、体調を崩すだけなら一二〇ミリグラム(〇・一二グラム)もあれば十分、ということになります。(位置No548)

(2)これがどのように決められるかというと、まず実験動物にある化合物を食べさせ、「一生の間毎日食べ続けても、健康に影響が出ない量」、すなわち無毒性量を決定します。先の急性参照用量は、食べさせてすぐ影響が出る量ですが、こちらは一生の間毎日食べさせた時の影響ですので、はるかに低い数字になります。 ただしこれは動物での数値であり、人間では多少効き方が違うこともありえます。そこで安全のために、一般的にこの数値の一〇〇分の一までを、人間での「一日許容摂取量」としています。一生の間、毎日食べても問題ない量のさらに一〇〇分の一ですから、相当に安全側に振って設定されていることがわかります。(位置No563)

(3)食品添加物、福島産の作物、医薬やワクチンなどを、全て危険だから排除せよと叫ぶ人々は一定数存在します。しかし現実には、どんなものにもリスクはあり、メリットもあるのが当然です。白か黒かに押し込めてしまうのは簡単ですが、真実は常にグレーゾーンの中にあります。シンプルでわかりやすい健康理論ほど、眉に唾を付けて聞くべきであると思います。(位置No750)

(4)ビタミン信仰」を作った一人に、ライナス・ポーリング博士がいます。彼は史上ただ一人、ノーベル賞を二回単独受賞している大科学者ですが(化学賞と平和賞)、六五歳ごろから突然ビタミンCにのめり込み始めます。ポーリングは毎日大量のビタミンCを飲み続けることで、風邪からがんに至るまであらゆる病気を予防できると主張し、自らもこれを実践していました。しかしこの理論は多くの科学者による追試で否定され、彼自身も前立腺がんにかかって生涯を終えています。(位置No803)

(5)結局、二〇〇五年にそれまでのあらゆる試験結果を総合的に分析し直す「メタアナリシス」という手法が行われ、権威ある臨床医学雑誌『ランセット』に「ホメオパシーは偽薬以上の効果はない」とする結果が発表されました。学界ではこれがホメオパシーに引導を渡す、最終結論と評価されています。(位置No1288)

(6)ではどうすれば、こうした商品にだまされずに済むでしょうか? とりあえず誰にでもできる対策は、「まずはネットで検索してみること」に尽きます。コツは、商品名でなく、有効成分の名称で検索することです。たとえば今回の二酸化塩素については、消費者庁からの通達が出る以前から、ウィキペディアにはかなり詳細な情報が掲載されていました。(位置No1429)

(7)チップ・ハースとダン・ハースの著書『アイデアのちから』は、およそプレゼンテーションを行う人なら、読んでおいて損はない名著と思います。この本で著者らは、あるアイデアを他人の心に焼きつけるにはどうすべきか、豊富な事例と共に解説し、その要諦を以下の六項目にまとめています。
1 単純明快である(Simple)
2 意外性がある(Unexpected)
3 具体的である(Concrete)
4 信頼性がある(Credible)
5 感情に訴える(Emotional)
6 物語性(Story) 
世にはびこる健康情報は、実によくこの六項目を満たしていると思えます。(位置No1740)

(8)ウェブ情報の信頼性を確認する方法として、URLのドメイン名は一定の手助けになります。「go. jp」ドメインは政府機関の、「ac. jp」は大学の発信する情報ですから、相対的に信頼性の高い情報といえます。特に、国民生活センターのサイト(www. kokusen. go. jp/)はよくまとまっており、もっと活用されるべきでしょう。また国立健康・栄養研究所による「『健康食品』の安全性・有効性情報」(https:// hfnet. nih. go. jp/)のサイトは、各種論文情報が一通りまとめられており、信頼性の高い情報源となりえます。(位置No1834)

(9)このようなトンデモ話を、なぜ多くの人が信じてしまうのか? ひとつには「確証バイアス」の影響が考えられます。人間にとって、いま自分が持っている考えに合致する意見や事実を見るのは心地良いことであり、これによって自分の正しさを確信する方向に向かいます。そして自分の考えに合わない事実を見るのは不快なことであり、「これは例外である」「実証されたデータではない」などとして無視したがるのです。(位置No1970 )

『トルコ現代史』を読んで、トルコ政治のわかりにくさの構造が自分なりに理解できた。


 役所の本屋で購入。

 トルコ政治は、ロシアと対立したり、急に和解したり、EUと難民で協定を結んだり、それに対してEUが約束を果たさないと脅したり、素人の自分からみて、どういう方針で外交内政を行っているのかよくわからなかった。

 この本で、自分なりに理解できた点。

(1)トルコは、第一次世界大戦でオスマントルコの領土が消滅する危機を味わったことから、それ以降、どちら一方にも極端に肩入れせずに、政治的ないろんな立場にリスクヘッジをかける外交を行ってきたこと。例えば、第二次世界大戦でも勝敗がみえた1945年に入るまでは連合国側に与しなかった。

(2)ケマルパシャの世俗主義は、軍部の近代化のために多くのトルコ軍の軍人が米国に留学したため、軍部に強く残っている。これに対して、世俗主義政党の経済運営の失敗と、エルドアンのいるイスラム主義政党の公平発展党の経済運営の成功から、現在の国民は、イスラム主義を唱えるエルドアンを多数が支持している。
 このため、西洋的な価値を尊重する軍部がクーデターを起こそうとして、非寛容のエルドアンを多くの民衆が支持するという、日本からみて、ねじれの現象のようにみえることが、トルコの内政をわかりにくくしている。

(3)さらにトルコの内政上の難問は、クルド問題。そもそもクルド人やクルド語は存在しない前提でトルコ憲法は書かれているのだが、次第に、政治的に力をクルド政党が持ってきている。それとクルド武力集団との整理がうまくつかず、クルド人問題の解決が困難になっている。その内政上の問題にさらにISがからんで、テロが頻発している。

(4)外政上はキプロス問題。歴史的にギリシャとは対立関係にあるが、ギリシャの影響が強いキプロス政府に対抗してキプロス北部のトルコ人を保護するため1974年にトルコが出兵。しかしこの北キプロスのトルコ占領部分は世界から承認されていない。その一方で、キプロスは2004年にEUに加盟しており、既にEUに加盟しているギリシャとの関係もあり、トルコとEUとの関係改善の支障になっている。
 これがトルコがEUとの関係で、すかず離れず関係を維持している背景。

 この本自体は、わりと教科書みたいで、あまり読んでいて、わくわくする感じはないけど、自分がトルコの報道に理解しにくいと思っていた点は、そもそもいろんな歴史的経緯とねじれた、よくいえば狡猾なトルコの内政、外交姿勢にあることが、少し理解できた。 

『ジュリスト2017.2月号』を読んで、法律のプロでは理屈が通ってもなんか変な議論だなと思う。


 不動産登記制度特集なので、久しぶりに読んでみた。

 最初の山野目先生たちの対談が面白言うというか、非常に法律学者的な視野に限定されていて素人感覚とのずれがすざましい。

 前提として、まず、不動産登記は形式審査主義で実質はみない建前。だから、不動産登記で所有権移転登記をして所有者が代わっても本当に所有権が移転したのか、それが譲渡なのか、真の所有者はだれかについて、不動産登記は責任を持たない建前。本当に確定したかったら、裁判所にいってね。

 これを前提にして、それでもできるだけ真実に近づけましょうといって「登記原因証明情報」というのを登記の際に平成16年から求めることになった。
 これは契約書でもいいし、司法書士が書いた報告書でもいい。

 対談中に清水先生が「契約書なら価格が書かれているはず。これを、不動産取引情報として貴重な情報なので、国土交通省の不動産価格情報と連携できないか」と質問しても、「そもそも形式主義だから、価格は書いてないてもいい」と担当者は答えている。
 それに対して、清水先生は「価格がものすごく低かったら譲渡でなくて贈与になるから、価格は必要なのでは?」聞くが、「もともと登記原因が真実かどうかを判断しない建前だから、価格は書かなくてもいいですよ」で終わってします。

 そもそも、真実を表さないという建前なら、なんでどんどん司法書士とか入って手続きを複雑化するのか。かえって取引コストがあがるだけで、かつ、取引情報も明らかにならない。まじめに登記しようとすると手間もコストもかかるから、面倒くさくなって、じゃあ放置しようという話しになる。

 むしろ、不動産登記とか様々な台帳制度、表題部と権利部とも併せて、土地に関する情報について、正確は地図情報と正確な権利情報、そして正確で随時の取引情報が、社会システムや個々人のために必要はなず。もっと縦割り意識を廃して総合的に国民の視点から議論すべき。

 どうも、不動産登記制度という「自分の庭先だけきれいにする議論」としてしか読めなかった。
 

『日本列島100万年史』を読んで、日本のブロックごとの地学史が面白いです。


 地理学の先生お二人による、わかりやすい日本の歴史、私の高校で習った分野でいうと地学史って感じ。

 難しいことを簡単に書かれているのだが、情報量は極めて多く、素人はやや読了後満腹感あり。

 非常に基礎的なことながら、そうなのかと思った点。

(1)日本列島は大陸から切り離された(日本海開烈というらしいです)東日本部分が反時計回り、西日本が時計回りでぶつかり、それに伊豆バーが南からぶつかってできたということ。(p20)

 p20の地図をみて、やっとフォッサマグナの形成の意味がよく理解できた。

(2)約2万年前の最終氷期では海水準が約120メートル下がったので、サハリンや大陸と陸続き、津軽海峡は水深140メートルなので細い海峡が残っていた。瀬戸内海は全部四国、九州とつながっていた。(p61)
 対馬は海峡は一部細い海峡として残っていたが、暖流が日本海に入らなかったので、日本の降雨は減少し乾燥していたと考えられている。(p181)

(3)東京都心部の大地の谷の構造をうまく利用して一部は台地を開削して山手線や中央線が整備されていること。(p123)

 p123の地図がその状況を極めてわかりやすく示している。

(4)富士山は1707年の宝永噴火から300年間噴火しておらず、いつ噴火しても不思議ではないとのこと。(p165)

(5) 薩摩硫黄島は、7300万年前の縄文時代のカルデラ噴火でできた。この巨大噴火で南九州の縄文人は全滅したと考えられている。(p257)

 
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