革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

自然科学

『ピアニストの脳を科学する』を読んで、自分もピアノを練習しているので、共感する点多し。

    ピアニストでありながら、ピアニストの脳の分析をする医学博士が著者。

    自分も、最近ピアノ練習を始めたので、なるほどと思う点が多い。

    第1に、ピアノの初心者では常に苦労する、右手と左手がバラバラに動かない点。
    著者の分析によれば、右手の動きをつかさどる左脳の反応が、脳梁を通じて右脳に少し漏れ出しているのが原因とのこと。

「両手の動きを速くすると、脳はより多くの指令を筋肉に送らないといけないので、その分、橋を渡って反対の脳に漏れる信号の量も増えます。また、左の脳から右の脳に漏れる信号のほうが、その反対方向の信号の漏れよりも多いため、両手を速く動かすときには、特に左から右の脳に多くの信号が流出していきます。その結果、右の脳から左手の筋肉に送られる指令に、左の脳から漏れてきた指令がたくさん混入してしまいます。そのため左手には、右手に送られる指令と同じ指令が伝わり、右手と同じ動きをしてしまうのです(図12)。」(位置No360)

    第2、音楽に対して脳はリズムやメロディーといった要素に分けて別々の分野で処理しているということ。

「例えばハーモニー(和声)の認識には、言語の文法を処理する脳部位である「ブローカー野」が関与していることがわかっています。リズムの処理には、聴覚野に加えて、身体の動きをつかさどる脳部位(運動前野、大脳基底核、小脳)が関与しています。そして右の脳が拍子を左の脳がリズムの中にある規則性(グループ)を処理していると言われています。」(位置No914)

    第3に、ピアノの音色に変化の原因としては、強く鍵盤を叩くか弱く叩くかによってハンマーのしなりが違い、それによって倍音が変化すること、さらにタッチによるノイズなどによって音色が変わることが分かってきたこと。

「研究の結果わかったのは、比較的高い音の場合、音量が同じでも、硬く打鍵するタッチのほうが、やわらかく打鍵するタッチよりも、音の倍音の中でも特に高い周波数の倍音が大きい、ということでした。つまり、2種類のタッチによって、音の物理特性が実際に違うものになったのです。さらに、こうした音色の違いは、人間の耳で聴き分けられる範囲であることもわかりました。タッチによって、音色を変えられることが証明されたのです。」(位置No2496)
「つまり、タッチ・ノイズがピアノの音に混ざると音が硬く聞こえると言うことができます。また、ゴーブル博士とマギル大の藤永教授らの研究によって、タッチ・ノイズだけではなく、鍵盤が底に衝突したときに生じる雑音も、ピアノの音色に影響を及ぼすことがわかりました(位置No2505)

    ちなみに、このピアノの音色に関する分析は、20世紀後半になってようやく明らかにされたこと。聞いてると明らかに音色が違うのに、科学的には最近まで証明されていなかったと言うのは意外!

    その他のピアノや音楽に関するトリビア。

(1)チューリッヒ大学のヤンケ教授らは、複雑な指の運動をしているとき、運動野の神経細胞がどれだけ多く働いているかを調べました(5)。その結果、同じ速さで同じ指の動きをしているにもかかわらず、活動している神経細胞の数は、ピアニストのほうが、音楽家ではない人よりも少ないということがわかったのです。(位置No118)

(2)3つのグループの中で、指を動かす神経細胞の働きが最も向上したのは、当然、毎日2時間ピアノを弾いて練習したグループでした。しかし意外なことに、イメージ・トレーニングをしたグループも、指を動かす神経細胞の働きが向上していたのです。そのため、実際のパフォーマンスの向上も見られました(指がより速く正確に動くようになる、など)。(位置No309)

(3)ミスせず正しく演奏しているときには起こらないのですが、ミスするときに限って、間違った鍵盤を弾くおよそ0・07秒前に、頭の前方にある脳部位(帯状回皮質)から「ミスを予知する脳活動」が起こっていたのです。そして、その活動は、なんと「ミスタッチをする際に打鍵する力を弱める」ことに貢献していることがわかりました(図4)。(位置No514)

    ピアニストは無意識にミスタッチの音を小さくしてるなんてすごいな。

(4)「耳が良くなる」とは、音を聴いたときに神経細胞の反応が大きくなるというだけではなく、脳がより素早く音を処理できるということでもあります。(位置No786)事実、先ほどのクラウス教授の研究でも、アメリカ人の音楽家に、中国語(マンダリン)の言葉を聞かせる実験をおこない、「中国語の勉強をしたことがないのに、中国語の音のピッチを聴きとる能力が、音楽家のほうが高い」という結果が得られました。音楽訓練の効果が言葉を処理する能力に転移し、訓練していない言語を聴きとる能力までもが向上する。まさに「音楽は世界をつなぐ」とも言えるかもしれません。(位置No985)

(5)驚いたことに、音楽を聴いてゾクゾクするときに働く脳部位は、食事や、非合法ドラッグの摂取、性的な刺激によって快楽を感じるときに働く部位と同じだったのです。つまり、「島」、眼窩前頭野、腹側線条体といった「報酬系」と呼ばれる脳のネットワークを形成する部位です。(位置No2701)

『あまり病気をしない暮らし』を読んで、医学に関する基礎的な情報を勉強。


    大阪大学医学部の病理学の先生の書いた本。以前、『怖いもの知らずの病理学』『エビジェネティックス』という本を読んだ。

     今回の本は以前の2冊に比べてもより基礎的な医学情報の提供に徹した本。

     医学情報よりも著者の研究スタイルについての二つの情報について、メモする。

(1)実は効率を上げるために、ポモドーロ・テクニック、という仕事の能率を上げるための時間管理法を導入しました。単純なやり方で、25分間何しろ仕事に集中する。これを1ポモドーロと言います。そのあいだはメールを見たり電話に出た力が重要なことは一切しない。そして5分休憩、そのインターバルで仕事をこなしていくと言う方法です。(位置No2719)

    これって、2倍すると、ちょうど小学校の時間割。実は自分も論文を書く時には小学校の時間割通りにチャイムを鳴らして集中するようにしています。

(2)  人間、苦労を売り物にしたら最後だと思うのですが、人生においていちばんしんどかったのは本庶研時代でした。最初の2年間ほどは全くデータが出ず、プレッシャーから、もう研究をやめようと文字通り涙したこともありました。しかし、その後、幸運に恵まれていい研究ができ、サイエンス誌に論文を出して、教授になることができました。(位置No1957)

    「苦労を売り物ものにしたら終わり」というのにビビッときたな。

    その他医学情報に関するトリビア的情報を抜き書き。

(1)人類がそこそこ満足に食べられるようになり始めたのは、およそ1万年前、農耕が始まった頃からです。最近のゲノム解析は、その時代から、ヒトの遺伝子多様性が増加したことを明らかにしています。農耕によって食べ物が安定的に供給されるようになり、ヒトの遺伝子が大きく進化したんですから、農耕ってむちゃくちゃえらいです。(位置No318)

(2)ゲノムをしらべて「ある遺伝子多型があれば、この病気にこれだけ罹りやすくなる」というようなことがわかります。なかには、アルツハイマー病のように、ある遺伝子多型を持つと発症する率が数倍になる、というものがあります。しかし、これまでわかっている多型と疾患の関係でいうと、糖尿病や高血圧など多くの病気で、30 ~40%なりやすくなる、ということがわかる程度です。30 ~40%の割合でこれらの病気になる、というのではありません。その多型を持っていない人にくらべると3~4割なりやすくなる、という程度のことなのです。(位置No927)

(3)いまでは、この「胎児期における低栄養状態は、何十年もたってから、心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、高血圧など、さまざまな生活習慣病のリスクになる」、ということは、確かな事実としてひろく受け入れられています。バーカー博士に敬意を表して、この現象は「バーカー仮説」とよばれることもあります。(位置No1017)

(4)新しい技術がもたらされたとき、その安全性が確認されて、望む人が多くて、メリットが十分にあって、周囲に迷惑をかけることがなければ、倫理的なことなどふっとんでしまうこともあるのです。体外受精はこういったことの好例です。(位置No1156)

(5)欧米人に比べて、日本人に胃がんが多いことは昔から知られていました。その理由はよくわからなかったのですが、今では、おそらくピロリ菌の感染が主な原因だろうとされています。ピロリ菌は、細胞に突然変異を直接引き起こして胃がんを作るのではありません。そうではなくて、慢性炎症を介して胃の発がんを促進します。(位置No1564)

(6)ちょっと小難しいことをいうと、ペニシリンは、細菌の細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンという物質の合成を阻害します。動物の細胞には細胞壁がないので、細菌だけを選択的にやっつける魔法の弾丸たりえるのです。ついでに言っておくと、サルファ剤は、ビタミンの一種である葉酸の代謝を細菌においてのみ阻害し、細菌の増殖を抑えるお薬です。(位置No2165)

(7)生きている物ですが、何をもって生きていると言えるのでしょう。いささか哲学めいた命題ですが、一般的には、自己増殖、代謝、(細胞膜による)外界との境界、の三つがその性質としてあげられています。ウイルスは、細胞の力を借りると自己増殖できますが、代謝する能力はありません。外界との境界は一応ありますが、一般的には膜はありません。
 なので、ウイルスが生物かどうかということについては、意見が分かれるのです。(位置No2315)

(8)少し意外かもしれませんが、統計的には、歳をとればとるほど、風邪に罹りにくくなることがわかっています。これは、いろいろな種類のウイルスの風邪に罹って、それらのウイルスに免疫ができていくためと考えられています。歳とっても、悪いことばかりじゃなくて、ええこともあるんですな。(位置No2468)

    確かに最近は年に1回も風邪ひかないな。

『驚きの皮膚』を読んで、「皮膚が見ている聞いている」というのも、表現はやや過激だが一定の科学的根拠あり。


    元々は化学の先生だが、資生堂に入って皮膚の研究をしている方が著者。

    皮膚が音を聞いたり、光を見ているというのは表現がやや過激だが、皮膚を傷つけてその回復速度を見ると、一定の周波数の音(1万から3万ヘルツの音)や一定の波長の光(波長550から677ナノメートルの赤い光)の場合に回復速度が高まることを意味している。

    いわゆる脳が光や音を知覚として把握するという意味ではなくて、皮膚自体が特定の光や音について、差別的な反応をするということ。

    発生学的に見ても消費と脳脊髄は同じ外胚葉から作られるという観点(位置No362)からも、表皮が光や音について差別的な反応することも理解できる。

    ただし、この皮膚が行っている、差別的な反応が具体的に身体にどういう影響があるかについてはよくわかっていない。著者は以下の通り、バリ島のガムランという打楽器によるトランス状態は皮膚が音を聞いてるからという仮説を立てている。

さまざまな大きさの銅鑼や鍵盤打楽器を合奏するガムランというインドネシアの民族音楽があります。大橋博士らは、バリ島のガムランの演奏時、演者がトランス(恍惚)状態になることに着目し、その原因として、耳には聞こえない音波の影響を発見しました。というのもライブ演奏ではトランス状態になっても、CD録音された演奏ではトランス状態にはならないのです。」(位置No747)

    最近話題の精神と身体の関連性を重視する発想の一つと理解することもできる。

    以下、トリビア的な記述をメモ。


(1)つまり「生きているような」動作ができるロボットの「知能」に必要なのは、「情報を獲得する」「動く」「探索する」というような「行為」をしながら直接「判断と行動」がもたらされる仕組みである。言い換えれば、動作を始める前に環境を認識し、環境の状態を内部のCPUに記憶させてから、それに適した運動をする、という仕組みではないということです。(位置No165)

(2)大脳生理学者のアントニオ・ダマシオ博士が「脳だけで意識は生まれない。脳と身体、とりわけ身体と環境との境界をなす皮膚との相互作用で意識が生まれる」(『生存する脳 心と脳と身体の神秘』田中三彦訳 講談社)と主張していることも、企業にたとえると、よく理解できます。営業や販売の第一線からの情報が遮断された部屋の中の「取締役会」は、いかなる経営判断を下しようもありません。(位置No252)

(3)体毛を失った120万年前に現れた人間の祖先は、ホモ・エルガステル、あるいはホモ・エレクトゥスかと考えられます(*22、*23)。おそらく彼らの中から体毛を失った個体が生き残る、ということが始まったのでしょう。興味深いことに、これらの種から脳が大きくなり始めたのです。
 この事実から、私は、全身の表皮が環境にさらされる、いわば「皮膚感覚の復活」が人類の生存に有利に働いたのではないかと考えています。さらには、それが脳の容積の増加にもつながったのではないでしょうか。(位置No398)

(4)「角層機能は表皮細胞にあるカルシウムチャネル、カルシウムポンプによるカルシウムイオンの局在、あるいはそれに伴い生じる電位差によって生まれる」ということです。(位置No647)

(5)さらに大脳の身体における役割は、環境に応じて生体をより良い状態にするため、ホルモンに代表される物質を合成したり、あるいは合成を他の臓器(副腎など)に促したりすることが挙げられます。表皮ケラチノサイトも、そのようなホルモンのうち、コルチゾールとオキシトシンを合成し放出することを私たちは発見しましたが、それ以外の、たとえばストレス応答に関わる一連のホルモンを合成することが、他の研究者たちによって報告されています(*93)。(位置No1048「)

(6)意識」が作り上げるシステムの中で個人がその尊厳を保つためには、そのシステムが、環境からの情報を遮断しないこと、そして個人においてはシステムに依存しすぎず、自らをシステムの外部に向かって開放することが必要です。(位置No1584)

(7)お尻で「固い」触覚体験をしても、他人を「硬い」と考え、一方で、何らかの判断ついて最初の印象に「固まって」しまう傾向もあるようです。(位置No1115)

『健康の結論』を読んで、ホリエモンはまともなこと言ってるな。

健康の結論
堀江 貴文
KADOKAWA
2018-08-09


   ホリエモンが予防医療について語った本。

   予防医療情報については、サプリメントをはじめ、如何わしいものが多いが、ホリエモンが指摘している予防色の内容は、事前の検査やワクチン、さらに歯科検診の推奨など、まともなものばかり。

 また、ビジネスと予防医療情報の普及を同時に実現しようとするスタンスも、新しい可能性を感じる。
 
   ただし、落合陽一氏との対談で薦めている、ニコチンアミド・モノヌクレオチドは本当に効果があるかどうは怪しそう。

個人的に初めてした情報は以下の通り。

(1)国内で年間1万人以上の女性が罹患する子宮頸がんに比べれば頻度は低いものの、全てのガンの中、中咽頭癌は0.2パーセント、肛門ガンは0.、15パーセント、陰茎ガンは男性のガンの中で0.5%と男女を問わずHPVは予防すべき疾病の原因であることに変わりはない、アメリカやカナダなどでは女性のみならず男性へのHPVワクチン接種も推奨されている。(位置No1187)

(2)松村裕司先生:特に脳梗塞は「一過性脳虚血発作」という前触れを見逃さないこと。突然手に力が入らなくなったり、言葉がしゃべれなく喋れなくなったりする症状が、5~10分出て消える人がいるのですが、治ったと思って放っておくと一二割の人は数日以内に脳梗塞になります、痛みがないので判断が難しいですが、あれって思った段階で治療を開始できればほぼ助かりますから頭の片隅に置いて欲しいですね。(位置No1140)

  その他抜き書き。

(1)ときどき「ホリエモンは予防医療をビジネスチャンスと見ているのか、世の中に広めたいという思いから取り組んでいるのかどちらか?」という質問を受けるが、それは両方だ。マネタイズと普及活動は両輪で、ビジネスでお金を稼ぎながら稼いだお金を普及活動に突っ込むということをやらなければ、認知してもらえない。(位置No69)

(2)予測できて予防しやすい心停止の例は、次のようなものだ。「心停止になった時期と、何をしていたか」について調査したデータでは、冬季の「入浴中」のリスクが高く、特に冬季(1~2月)の入浴中の心停止は夏場(8~9月)の11倍にも上ることが分かっている。(位置No633)

(3)まだ実証実験をしている最中ですが、我々のシミュレーションでは、街の全てのコンビニや公共施設などにAEDを設置し、119番通報で心停止が疑われた際に登録されたボランティアのスマホに心停止の場所と付近のAEDの情報を表示する仕組みを活用すれば、地域で発生する突然の心停止のほとんどをカバーできるようになります。(位置No765)

(4)要するに、1種類の食物繊維〝だけ〟をサプリメントとして摂取すると、逆にポリープが増えてしまうのだ。食事で食物繊維の豊富な野菜や穀類を適度に摂っていれば、大腸がんが減るのは間違いないが、食物繊維はたくさん摂れば摂るほど大腸がん予防につながる〝魔法の食物〟ではない。
 もちろん、まったく食物繊維を摂らなかったら大腸がんは増える。でも、ある一定量以上食べたとしても、そのぶん予防効果が増すというわけではない。食物繊維を含む食事が2日に1皿も食卓に出ないぐらいの食生活になってはじめて、大腸がんのリスクが高まるという程度のものなのだ。(位置No952)

心はいかにして生まれるかを選んで、神経科学から恐怖や喜びの情動のメカニズムを分析した本


   休日は落ち着いてブルーバックスの本を読んでみた。

   タイトルは心という複雑な現象を扱っているようだが、内容は恐怖や喜びといった、科学的に分析がしやすい、いわば原始的な感情についての脳と身体の反応及び相互関係を分析している。

   例えば恐怖については、その状況を認知した場合に扁桃体が強く興奮し、中心核を通じて視床下部や脳幹に情報を送ると自律神経や内分泌系が変動すると共に、脳内でもモノアミン系ニューロン群が大きく活動を変える。特に青斑核ノルアドレナリンニューロンの活動が増え、扁桃体に作用することにより、恐怖行動は強化される。扁桃体が交換神経系を興奮させることで、心拍数は増加し、手掌の発汗や筋肉の緊張が起こる。それを前頭前野が知覚することで、内的状態としての恐怖が認知され、それによってさらに恐怖は強くなる。

    喜びについては、報酬系の活動が起こっている。報酬をゲットできるあるいはゲットできるかもしれないと、前頭前野が認知することにより、腹側被蓋核のドーパミン作動性ニューロンが活動することが、喜びの「こころ」を作る。ドーパミンは側座核に働き、喜びを生むに至った行動を強化するとともに、扁桃体にも情報を送り、筋肉の緊張を緩める方向に働く。黒質のドーパミン作動性ニューロンも働いて筋肉がよりスムーズ人を置くようになり、身体全体の動きを大きくなる。(位置No1774-1782)

   その他気になった点の抜き書き。

(1)さまざまな種類の情報を最終的に統合する作業はおもに
、前頭葉のうち、その前方にある前頭前野で行われている(前頭葉は前頭前野と運動機能に関わる運動野からなる)。五感からバラバラに入ってくる情報を前頭前野が整理して、いま起こっている現実を「構築」しているのだ(位置No207)

(2)いや、実は本書でこれから述べていくように、「こころ」の核心の部分は、脳のもっと古い部分にあると言ってもよい。先ほど述べた「共感」も、大脳皮質だけではなく、脳の深部にある構造との共同作業によって同情や反感(怒り)などの感情的側面をともなうものとなることではじめて、完成したものになるのだ。(位置No261)

(3)現代の考え方としては「情動は脳で生成されるが、全身の器官も脳に情報をフィードバックして情動を修飾し、変化させる」と言ってよいと思う。したがって、末梢の臓器に「こころ」のありかを求めることも、完全に間違いと切り捨てることはできない。(位置No360)

(4)現在の神経科学の立場からも、確かに、外界からの情報を脳が受けとめることによって情動体験(≒ 感情)と情動表出(身体の反応)は並列的に起こるが、身体の反応がさらに脳にフィードバック情報を送り、情動体験が修飾されると考えられている。 悲しむために泣く必要はないが、「泣くことによって悲しみはさらに強くなる」ということだ。(位置No432)

(5)また、サルがヘビを怖がるのは、従来は生まれつきもっている生得的な反応と考えられていたが、現在では母親の反応を学習したことによる後天的なものであるととらえられている。母親と隔離された人工的な環境で育ったサルはヘビを怖がらない。(位置No535)

(6)このように情動と記憶はきわめて深い関係にある。さきに、情動は「感覚系によって発動される」と述べたが、特定の感覚が情動を惹起し、それが記憶をよみがえらせることも多い。 とくに嗅覚には、記憶や感情を強く呼び起こす作用があり、これを「プルースト効果」あるいは、「プルースト現象」ということがある。(位置No638)

(6)感覚系からの情報は基本的に視床を経由して大脳皮質に到達する。視床は脳の深部にあり、多くのニューロンがこの部分に投射し、シナプスを経て別のニューロンに乗り換えている、いわばハブのようなものだ。しかし五感のうち嗅覚のみは、視床を介さずに大脳皮質に到達している。(位置No1069)

(7)大脳皮質は精密な物理情報を処理するが、大脳辺縁系は情動的側面を処理する。言い方を換えれば、感覚情報が動物にとって価値をもつのは、それが情動的に顕著なもの、つまり恐怖の対象や大きな報酬など、なんらかの行動を起こす必要がある情報である場合であり、それを判断することこそが大脳辺縁系の役割である。(位置No1079)

(8)海馬体は記憶が成立したフレッシュな時期に、大脳皮質と協働的に働いて、それを維持する機能を持っている。やがて時間の経過とともに、大脳皮質の機能は海馬の助けがなくても記憶が取り出せるように変化していく。
   つまり、海馬はまた新たな記憶をつくるために体の大脳皮質の働きを助ける装置であり、最終的な長期記憶は大脳皮質、特に側頭葉の皮質に保持されていると考えられている。(位置No1956)

(9)結論から言ってしまうと、現在では、報酬系で働く最も重要な神経伝達物質はドーパミンであるとされている。覚醒剤をはじめとする多くの依存性物質は、このドーパミンの機能を高めるものだ。だからやめられなくなるのである。
   ドーパミンは腹側被蓋野(VTA)と言う部分に存在するドーパミン作動性ニューロンによって作られる。これらをニューロンは、前頭前野、前帯状回や扁桃体、海馬、側座核といった部分に軸索と呼ばれる突起を伸ばしている。(位置No1374)
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