革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

古典

『後世への最大遺物』を読んで、真面目に人生を送ることへの励みになるね。


 内村鑑三が明治27年、1894年に箱根で二日間行った講演をまとめたもの。

 洒脱でざっくばらんな話し方で、内村の著作とは印象だだいぶ違う。

 「後世に何を置いて逝こう」という問題について

(1)後世へわれわれの遺すもののなかにまず第一に大切なもの、「金」。(位置No146)
  
 「神の正しい道によって、天地宇宙の正当なる法則に従って、富を国家のために使うのであるという実業の精神」ということ。(位置No230)

(2)「金よりもよい遺物は何であるかと考えてみますと、事業です。」(位置No272)

 「ドウいう事業が一番だれにもわかるかといえば土木的事業です。」(位置No280)

(3)「また社会は私の事業をすることを許さなければ、私はまだ一つ遺すものを持っています。なんであるかというと、私の思想です。」(位置No372)

 「私は青年を薫陶して私の思想を若い人に注いで、そうしてその人をして私の事業をなさしめることができる、すなわちこれを短くいいますれば、著述をするということと学生を教えるということであります。」(位置No372)

(4)「最大の遺物とはなんであるか。私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それはなんであるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。」(位置No617)

 (講演の最後の言葉)「われわれは後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。」(位置No833)

 遺物が金や土木事業から始めるのは、やや意外な感じがするが、「真面目」に生涯を送ること自体が最大遺物だという内村の講演の主張は、凡人である私にとって大きな励みになる。

 その他、感銘を受けた点。

(1)有名なる天文学者のハーシェルが二十歳ばかりのときに彼の友人に語って「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより、世の中を少しなりともよくして往こうではないか」というた。実に美しい青年の希望ではありませんか。(位置No129)

(2)キリスト信徒の実業家が起りまして、金を儲けることは己れのために儲けるのではない、神の正しい道によって、天地宇宙の正当なる法則にしたがって、富を国家のために使うのであるという実業の精神がわれわれのなかに起らんことを私は願う。(位置No230)

(3)たといわれわれがイクラやりそこなってもイクラ不運にあっても、そのときに力を回復して、われわれの事業を捨ててはならぬ、勇気を起してふたたびそれに取りかからなければならぬ、という心を起してくれたことについて、カーライルは非常な遺物を遺してくれた人ではないか。(位置No684)

(4)メリー・ライオン女子が自分の女生徒に遺言した言葉
  他の人の行くことを嫌うところへ行け。   
  他の人の嫌がることをなせ(位置No767)

(5)われわれに邪魔のあるのはもっとも愉快なことであります。邪魔があればあるほどわれわれの事業ができる。勇ましい生涯と事業を後世に遺すことができる。とにかく反対があればあるほど面白い。われわれに友達がない、われわれに金がない、われわれに学問がないというのが面白い。われわれが神の恩恵を享け、われわれの信仰によってこれらの不足に打ち勝つことができれば、われわれは非常な事業を遺すものである。(位置No808)


上田正昭『日本神話』を読んで、日本神話シリーズはこれでしばらくお休みです。

新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)
(2010/07/24)
上田 正昭

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 上田さんは、古代史の本をたくさんかいているし、京大名誉教授で、古代史の大家のよう。  この本も松江市の本屋の古事記、日本書紀のたなから購入。  あらためて、古代史のたながあるのが島根県はすごい。  中身は、昨日読んだ武光さんに近いが、より専門的、論理的。 (1)スサノオをめぐる神代史の記述はすこぶる不安定といってよい。(p159)  古事記などでは、出雲に降臨して八岐大蛇を退治したりするが、もともとスサノオはいずも地域の神様であったため、記述が混乱しているという。 (2)ツクヨミは夜の神に対して、アマテラスは昼の神である。前者が漁民生活にかかわりのある神であるとすれば、後者は農民生活にかかわりのある神であった。(p117)  漁業は潮の満ち干が大事なので月を大事にするという事実が背景にある。 全体を通じて、上田氏は、古事記も日本書紀もヤマト朝廷を基礎づける政治の書という。そのなかで、行間にかくれた古い伝承をさぐっていくのは、困難な作業だし、合意というものが成立しえない。  これを政治に利用した戦前教育はいかんけど、まったく、神代の時代の神話をしらないと、神社にいってもおもしろくないので、出雲大社にお参りしたことを契機に、ちょっと集中的に勉強してみた。

白川静『回思九十年』を読んで、白川先生って博覧強記で偉大な先生だと思う。

回思九十年回思九十年
(2000/05)
白川 静

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 白川先生の自伝と対談集。  漢字の起源を甲骨文字から解き明かし、これまでの常識をうちやぶるとともに、字統、字訓、字通の字書3部作をまとめた、博覧強記な偉人。 (1)福井の出身で尋常小学校だけの卒業で、夜学の商業高校をでて、中学校の教育免除をとり、さらに、立命館で教授、名誉教授をされたが、出世は、官学よりも常に10年はおそかったという。 (2)学生運動のときにも、学生たちが白川先生だけは尊敬して、部屋に押し入らなかった。 (3)世界的な成果をあげたのに、文化勲章は94歳の時。  文化行政ももっと権威にとらわれず、ちゃんとした業績をあげた人に文化勲章を早くあげてほしし。ノーベル賞をとってあわてて文化勲章を与えるなんて、文化勲章の叙勲基準が形骸化している証拠だ。  辞書、事典マニアの自分としては、字書3部作そろえて、家で眺めていたいな。置く場所ないけど。

『カーネギー自伝』を読んで、新大陸の立身出世伝はスケールが大きい。

カーネギー自伝 (中公文庫BIBLIO)カーネギー自伝 (中公文庫BIBLIO)
(2002/02)
アンドリュー カーネギー

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 鉄鋼王のカーネギー自伝。自己啓発シリーズの一つとして購入してあった。  スコットランドから子供時代にアメリカに移民してきて、紡績工場、電報の配送夫から、その実力だけで、鉄道会社の経営、そこから発展して製鉄会社の経営者にまで出世した、カーネギーの伝記。  自分の子供のころに読んだら、なんか胸がわくわくする話として読んだだろうが、今の世代の子供や、50になった自分はどういう観点から読んだらいいのかな。  自分が気に入った点。 (1)カーネギーは製造業の経営者として名をなしたが、投機的取引でもうけようとはしなかったこと。 (2)子供のころ、本を貸してもらって勉強したことから、財をなしてから、公共図書館の設置を慈善事業の中心にしたこと。 (3)労働争議について、自分が不在の時に、警察が入って工員が殺害されたことを悔やんでいること。  素直に、英雄伝を読みにくい時代になってきたからこそ、あえてその英雄伝でも、あまり格好良くない、普通の部分を見つけていくことも重要だと思う。  普通の部分は自分であっても参考になると思うから。

『ラ・ロシュフコー箴言録』を読んで、寝不足の頭でもうろうとしてよく意味わからない。

ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)
(1989/12/18)
ラ・ロシュフコー

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 そろそろ、教訓ものから足を洗わないといけない。  昨日はほぼ若者は完徹、自分は途中で逃げ出して少し睡眠をとり、朝の部門会議出席予定。  こんな日に読書も無理。  ということで、手元にあった箴言集をぱらぱら読み。 (1)われわれは皆、他人の不幸には十分耐えられるだけの強さを持っている。(p16) (2)沈黙は自分自身を警戒する人にとって最良の安全策である。(p32) (3)精神の欠点は、顔の欠点と同じく年をとるほどひどくなる。(p40)  みんな、そのとおりだと思うが、寝不足の頭にはほっといてよ、と言いたくなる。  フランスで王政時代に発行したときにも何度も、都合のわるい格言は削除していったらいい。本当のことはむかつく。
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