革新的国家公務員OBが語りたいこと・伝えたいことー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at an innovative official of the national government

36年の公務員生活で培った「防災・復興法制」「都市計画法制」の知識を広く共有するため、書評を通じて、関係する新しい論点を示します。なお、意見にわたるものは個人的なものであり所属する(した)組織の意見や立場ではありません。

経営学

『事業を創る人』を読んで、経営学者らしく定量分析で新規事業成功のための組織論などを分析。

「事業を創る人」の大研究
田中 聡
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2018-01-29

 経営学者が、基本は企業へのアンケート分析をもとに、企業内で新規事業を立ち上げるための人材の選び方と組織の支え方を整理している。

 特に、組織の新規事業に対する支え方(第4章)が重要。

 「既存事業からの批判」、「上司による場当たり的なマネジメント」「部下人材を確保できず、また後手にまわる自在育成」さらに「自分自身が新規事業を生み出せないジレンマ」など、新規事業には多くの障害がある。

 これに対して、「経営者」「新規事業の経験のある上司」「社会の新規事業担当者」の支援が重要。

 役所では、新しいプロジェクトに取り組むときに、ボトムアップだと好きにやらせてくれるけど、成功したら上司の手柄、失敗したら誰も骨を拾わないという上司が多いように思う。これだとだれも組織的に新しいプロジェクトをやろうと思わなくなる。新しいことをやる若手と一緒に上司もリスクをとることが大事。

 定量的なデータもちゃんと示してあるので、幹部の方は一読の要あり。

 以下、抜き書き。

(1)新規事業は「数」の勝負です。新規事業の成功確率を高めることに限界がある以上、成功を収めるには数の勝負しかありません。すなわち、新規事業に挑戦する機会の総数として“挑戦母数”を増やす必要があります。(位置No301)

(2)新規事業を任せるとは「権限を付与し、新規事業を創るプロセスを伴奏しながら支援し、結果に対する責任を共有する」ということです。(位置No377)

(3)アイデアや構想よりもむしろ「組織の中でうまく物事を進めるために他者を巻き込む力」が、新規事業の成功を左右する真のカギだと言えます。(位置No633)

(4)新規事業の成功・失敗の定義を事前に明確化することです。通常、新規事業がすぐに利益を上げることは少なく、赤字の時期が続くものです。だからこそ、事業を開始する前に撤退基準を設け、経営層と創る人の間で合意しておくことが重要になります。(位置No690)

(5)一橋大学の軽部大氏は、こうしたイノベーションの実現プロセスを「事前の『バカな(非常識)』が事後の『なるほど(常識)』に結実する過程である」と表現しています  。(位置No980)

(6)その対極にある考え方がエフェクチュエーションです。こちらは、まずは実行してから決定要因の秩序を理解するという段階を踏みます。行動ありきの、言ってしまえば「ゴールイメージがなくても、とりあえずありものを合わせてなんとかやってみる」という“あり合わせモデル”です。新規事業のように、人材も資金も限られている状況下でも「今ここにあるものでできることは何か」と考えてとりあえずやってみる、という挑戦的かつ柔軟な発想ができます。(位置No1026)

(7)事業を創るプロセスから学ぼうとする内発的な成長意欲こそが、新規事業を成功に導く原動力となっていることが伺えます。(位置No1143)

(8)これを私たちはRDP(現実的葛藤予告:Realistic Dilemma Preview)と名づけることにしました。「どういう職務になるか」「どんなジレンマを乗り越えなければならないのか」という2つの事前予告をしておくことで、「これからあなたに行ってもらうのは大変な部署である」ということを覚悟してもらい、「最初は不条理な環境で物事が進まない現実にもがき苦しむかもしれないが、最終的には経営者視点を獲得し、この経験でしか叶わない成長を遂げられる」と、自分がたどっていく道筋をしっかりイメージしてもらいます。いわば、沼地を予言して見取り図を渡し、入口から出口までの道のりを見せるのです。(位置No1271)

(9)図表43は、経営層が新規事業に対して多産多死型スタンスを持っているほど、新規事業の業績は低くなるという結果を示しています。(位置No1670)

(10)平たく言えば、持ち合わせの知識を深堀することと、新しい知識を探索すること、この2つの異なる組織的な活動を高い次元でバランスよく行うことが求められるのです。このことは経営学では、「両利きの経営(Ambidexterity)」という概念で紹介されています。(位置No1732)

(11)手計仁志(東レ経営研究所):当社には「超継続」という言葉があって、これが企業カルチャーとして浸透しているんですね。「勝つまでやめない。だから負けはない」という。やめたときが負けたときなんです。(位置No2372)

『臆病者のための億万長者入門』を読んで、未来のシナリオと国家破綻のシナリオ分析は冷静なもので意外と必要な情報かも。


 億万長者になる気もないし、なる可能性もないのだが、橘氏の本は、やや露悪趣味ながら本質を突いている場合が多いので読んでみた。

 後半に述べている未来のシナリオと国家破綻のシナリオが重要だと思う。

(1)未来のシナリオ
・楽観シナリオ アベノミクスが成功して経済成長がふたたび始まる
・悲観シナリオ 金融緩和は効果がなく、円高と低金利のデフレ不況がこれからも続く
・破滅シナリオ 国債の暴落(金利の暴騰)と高インフレで財政は破綻し、大規模な金融危機が起きて日本経済は大混乱が起きる。(位置No2209)

(2)もっとも不吉な破滅シナリオが現実のものになっても、ある朝目覚めたら1万円札が紙くずになっていた、などということはぜったいに起きない。経済には強い継続性(粘性)があるからだ。 
 日本経済の財政破綻は、次のような順番で進んでいく。
第一ステージ 国債価格が下落して金利が上昇する
第二ステージ 円安とインフレが進行し、国家債務の膨張がとまらなくなる
第三ステージ(国家破産) 政府が国債のデフォルトを宣告する。(位置No2217)

 とにかく将来の経済予測は極めて困難だが、考えられるシナリオを理解しておくことは個人の生活のためにも政策立案のためにも重要。
  
 ちなみに著者は経済の不確実性について、「現在のファイナンス理論は、市場は因果律で動いているのではなく、未来は確率的にしか把握できないと教える。理屈そのものは初等数学程度で理解できるが、難しいのは「株価の変動に理由はない」という事実を受け入れることだ。(改行)さらに近年は、市場を複雑系だとする見方が有力になっている。複雑系のネットワークで起きることは原理的に予測不可能だから、これが正しいとすると経済予測の類はすべて無意味ということになる。」(位置No2346)

 以下、抜き書き。

(1)スタンリーはこの本(『となりの億万長者』)のなかで、「期待資産額」という指標を紹介している。これは、自分が金持ちかどうかを知るための魔法の方程式だ。とてもシンプルで、だれでも一瞬で計算できる。期待資産額=年齢× 年収/10  あなたの純資産(金融資産や不動産資産の時価総額から住宅ローンなどの負債を引いたもの)が期待資産額を上回っているならば、あなたは金持ち(蓄財優等生)だ。逆に期待資産額を下回っていれば、どれほど収入が多くても貧乏人(蓄財劣等生)だ。(位置No131)

(2)「ワールド・ウェルス・レポート」(2012年)ではイギリスの資産運用会社が、居住用不動産を除いて100万ドル以上の投資可能資産を持つ富裕層の数を推計している。それによれば1位はやはりアメリカの約300万人(人口比1%)で、2位は日本の約180万人(同1・4%)、3位はドイツの95万人(同1・2%)だ。これを富裕層の定義とすれば、日本はアメリカを抜いて、人口比では世界でもっともゆたかな国になる(シンガポールやルクセンブルクなどのタックスヘイヴン国は除く)。(位置No165)

(3)それでも保険が成立する理由のひとつは、私たちがよいことの確率(宝くじに当たる)と同じように、悪いことの確率(病気や事故で死んでしまう)も、実際よりかなり高く見積もっているからだ。(位置No435)

(4)マンデルブロはもうひとつ、重要な発見をした。 多数の要素同士の関係が錯綜する複雑系の世界は計算の限界を超えていて、確率的にですら未来を予測することは不可能なのだ。 株式市場でしばしば起こる暴騰や暴落は、マンデルブロの正しさを証明している。だがそれでも、現代のファイナンス理論は役立たずのベルカーブを手放すことができない。「わからない」理由を説明する複雑系の理論は、学問的には正しくても現実の金融取引にはまったく使えないからだ。(位置No852)

(5)もっともシンプルな戦略は、世界の株式市場をまるごと買うことだ。これなら個々の国の経済がどうなろうと、グローバル経済が全体として成長していけば、確実にその恩恵を受けることができる。 世界株ETFのなかで日本の個人投資家がもっとも購入しやすいのは、東証の「上場インデックスファンド世界株式」(1554)だろう。世界株ETFから日本株を除いたもので、すでに日本株を保有している日本の投資家に最適化したものだ。(位置No955)

(6)① 株式市場は複雑系のスモールワールドで、誰も未来を知ることはできない。とりわけ、大暴落のような出来事は事前に予測できない② 米国市場の株価は1980年からの20 年で10 倍以上になったが、このような〝黄金時代〟は(おそらく)終わってしまった③ 個人投資家は株式市場の中でもっともリスク耐性が低い。すなわち、〝臆病者〟であるべきだ この3つを前提とするならば、個人投資家にとってもっとも合理的な投資法がひとつだけ存在することがわかる。それは、「暴落を待って、株価が回復するまでドルコスト平均法で分散投資すること」だ。(位置No1109)

『ファイナンスから始めなさい』を読んで、M&A自体の成功事例とその際の意思決定プロセスが面白いか?


 タイトルでなんとなく購入。

 M&Aによる事業再生や企業拡大のための企業評価業務が専門の方が著者。

 ただし、M&Aに必要な資金調達の仕組み自体の情報はほとんどなく、自分もそこにはあまり関心がない。

 大企業が新しい革新、「破壊的イノベーション」を実現するためには、クリステンセンいわく「破壊的技術の育成を小さな組織に任せる」「既存客に影響されない組織を意図的につくる」「失敗を早い段階で最小限に食い止めるようにして、トライアンドエラーを繰り返す」が必要。(位置No1789)

 しかし、現実には、こういう組織を大企業でつくるのが難しいので、第一には、ベンチャー企業に投資するCVCファンドに大企業が資金を拠出する方法がとられている。(位置No1821)

 それに加えて、日本電産、ソフトバンクなどが駆使しているのがM&A。
 
 M&Aの際の企業価値の評価は従来DCF(discount cash flow)方式でやろうとしてきたが、近年は不確実性が高いので、DCFがうまく機能せず、代わりにリアルオプションという手法をとるようになっている。

 以下、リアルオプションについての記述の部分。

「例えば、ある企業に対し、その事業の価値の2割に当たる金額を投資して買収対象企業に資本参加し、業務提携をベースに1割の資金で新規で海外事業をスタートします。
 そして、この新規事業が上向きそうだったら、このまま新規事業を進めます。もし新規事業の立ち上げが難しい場合は、理由によっては撤退を検討し、理由によっては資本参加した企業のM&Aをすることも視野にいれます。
 このような進め方をするのが、リアルオプションという考え方です。」(位置No2324)

 「リアルオプションは3つの点において優れています。
 第一に、望ましくない不確定な要素がでてきてしまった場合に、損失を抑えることができます。資本参加した企業の株を売却して新規事業を撤退してしまえば、先ほどのケースだとその事典では損失は1億円ですみます。
 第二のメリットは、小規模でも新規事業を始めれば、そこで新たに学習できるという点です。新規事業を始め、資本参加した企業と業務提携することで、提携企業との相性だってわかりますし、現地での消費動向や企業取引の慣習がわかれば、今後立案する事業計画の正確性も増します。何も始めなければそのようなデータも蓄積されません。
 そして第三に、これが最も大きなメリットですが、段階的な進め方で事業展開していると、望ましい市場が実現した時に、その成長機会を取りこぼさずにすむということなのです。」(位置No2337)

 不確実性の高い判断をするときには、少しずつ実験をしながら成功例を積み重ねていくという発想は、都市計画なども経済市場の動向に成否が左右されるので、参考になる発想だし、最近のリノベーションや公的不動産活用はこの発想をうまくつかんでいると思う。

 以下、抜き書き。

(1)企業は優位なポジションを手にするために、新規分野への進出や新業態の開発をすごいスピードで考えていかなければならなくなってきたわけですが、それには新たなコストやリスクが伴います。そのため、企業はM&Aを考えるようになっていくのです。 自分でポジションを作ることは難しいし、時間もかかりますが、M&Aでポジションも時間も買ってきてしまえばいいという考え方がそこにはあります。(位置No652)

(2)日本でこの20 年、最も成長した企業は、ソフトバンク、日本電産、ファーストリテイリング(ユニクロ)です。IT、モーター、衣類と業種は様々ですが、この3つの会社には共通点があります。 それは、M&Aを経営戦略に活用しているということです。ヤマダ電機は家電量販店を営んでいますが、住宅メーカーのエス・バイ・エルをM&Aして、スマートハウス(太陽光発電やオール電化の販売事業)事業に進出しました。ビールで有名なキリンは、協和発酵工業をM&Aして医薬品事業に進出しました。 21 世紀の前半で急速に成長している企業は全て、M&Aで成長しているのです。(位置No674)

(3)そもそも、上場企業と上場企業のM&Aは、買い手側に不利な取引です。買い手は売り手に対し、コントロールプレミアムというフィーを本来の会社の値段に3割ほど(時には5割以上も)プラスして支払います。これは、本来の会社の株の値段に対して、余分な値段を支払って経営権の取得をしているということです。
 これは実際、買い手側は買った瞬間に損をしていることになります。買う時点で、本来の株価の3割増しで買っているわけなので、変な言い方をすれば、M&Aはコントロールプレミアム分のマイナスから始まるゲームになるわけです。(位置No758)

(4)リスクの高いことをやろうと思うとエクイティで調達しなければいけなくなり、高い資本コストを払わなければならなくなる。デットだと調達コストは安いが、何かあったときに怖い。この間を取る作業がファイナンスでよく出てくるWACC(Weighted  Average  Cost  of  Capital)(加重平均資本コスト)というものです。(位置No922)

(5)もちろん、事業再生案件に手を出してうまくいかなかった事例も多くみられます。 特に、テーマパーク系などは継続的に設備投資を強いられるため、苦戦を強いられるケースが多く、シーガイアを162億円で買ったアメリカの投資ファンド、リップルウッドは、なんとセガサミーに4億円で売却せざるを得なくなり、158億円もの大きな損失を出しました。ハウステンボスも、今でこそエイチ・アイ・エスが回復させましたが、それまではどこがやっても再建できませんでした。(位置No1202)

(6)ゴールドマン・サックスのアコーディア買収にせよ、星野リゾートの旅館買収にせよ、日本電産のM&Aにせよ、すべてに共通しているのは、同じような事業再生案件をいくつもいくつも買収しているということです。(位置No1245)

(7)

『なぜあれは流行るのか』を読んで、社会的伝染が起きる要素を実験データに基づき説明しており、説得力あり。


 先日読んだ、『インビジブル・インフルエンス』http://blog.livedoor.jp/shoji1217/archives/1069291315.htmlが非常によい本だったので、同じ著者がその前にだしたこの本を読んでみた。

 先日のブログにも原典が示されていて説得力があると書いたが、この本を読んで、要は経営学で役立つような「口コミ」「社会的伝染」を単に事例(経営学の本では事例を紹介して説明するものが非常に多い)ではなく、簡単な実験をして、それをデータで説明しようとしている点が特徴。

 もちろん、一定の実験で正確に社会的な心理が正確に測れるかという論点はあるものの、単なる事例から導くよりも複雑な結論が導かれる可能性がある。

 この本では、社会的伝染が起きる要素を「ソーシャルカレンシー」(社会的な流通力という意味)、「トリガー」、「感情」、「人の目に触れる」、「実用的な価値」(役立つ情報は伝えたくなる)、「物語」(トロイの木馬で道徳的価値を伝えるような話)の6点を上げている。

 特に、「感情」の部分(第3章)では、新聞記事から他者にメールされた記事を選び出す作業をすると、明るい記事と暗い記事の双方で転送される人気のある記事がでたり、畏敬の感情をもたらすものなどが人気がでたりと、いろんな結果がでてきた。

 これを著者が根気よく調査をして、結果として、「高覚醒」をもたらす記事(正の感情では畏敬、興奮、ユーモア)、負の感情では怒り、不安)をもたらすものが人気がでて、多くの人に転送される、逆に、「低覚醒」をもたらす記事(正の感情では満足感、負の感情では悲しみ)は、伝染性が落ちるとのこと。(p152)

 丁寧に実態調査を定量的にすることで導かれた結論で、説得力がある。

 その他、面白い指摘。

(1)高覚醒をもたらす記事が伝染性が高いだけでなく、事前に運動をした場合とただ座っていた場合では前者の方が生理的に覚醒しているので、記事の転送メールの数が多くなる。この結果から、覚醒状態にある、例えば、トレーニングジムにいるときとか、飛行機で乱気流に巻き込まれたあととか、不用意に個人的な話しなどをしやすくなるので要注意。(p169)

(2)人は序列を気にするので、ハーバードの大学の学生にA:年収5万ドルとB:10万ドルの仕事の選択を求めたときに、Aは自分以外の人は2.5万ドル、Bは自分以外の人は20万ドルという条件をつけると、圧倒的にAを選ぶ。これを利用して選んだ人に序列上優れた地位にあることをみせると、社会的流通力が高まる。(p67)

(3)「人の目にふれる」という観点からは、同じ系列で同じ食事をだす屋台でも行列のある方にならぶとか、ハーバードのMBAプログラムの学生も、当初はバラエティにとんだ志望をもっているのに2年たつと、投資銀行とコンサルタント志望がほとんどになるなど、まわりの人がしていること、考えていることに大きく影響される。(p182)
 これを利用して、アリゾナ大学では大学生の酒のバカのみを抑制させるため、実は、パーティのとき69%の学生は4杯以下という情報を提供したときに、もっとも学生の飲酒量を減らすことに成功した。(p193)


『模倣の経営学』を読んで、一度、徹底的に模倣してそれを打ち破るという「守破離」までいかないと成功しないという指摘は重要。

模倣の経営学 (日経ビジネス人文庫)
井上 達彦
日本経済新聞出版社
2015-06-02

 早稲田大学の商学部の先生の本。

 イノベーションや新しいビジネスモデルの構築の最初のきっかけとして、スターバックス、クロネコなどの事例をあげて、模倣から始まり、そこから、そのモデルの神髄を理解した上で、換骨奪胎するくらいに変革することの重要性を指摘。

 これを著者は「守破離」と説明している。(下の抜き書き(4))

 模倣自体はだめではないが、表層的なビジネスモデルのまねは、決して成功しないこと。
  
 都市計画、地方活性化などで、新しい取組が一度成功すると、表面的にまねる事業や活動が一斉にでてくるが、結果として成功することが少ないことの教訓としても読める。
 
 以下、抜き書き。特に(4)と(6)が大事。

(1)慶應義塾大学の國領二郎教授は、ビジネスモデルを次のように定義している。
  「誰にどんな価値を提供するか、そのために経営資源をどのように組み合わせ、その資源をどのように調達し、パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行い、いかなる流通経路と価格体系のもので届けるか、というビジネスデザインについての設計思想(9)」
 ビジネスモデルという言葉は、確かに収益を上げる仕組みを意味するが、その本質はそれだけに留まらない。むしろ、そのような仕組みを設計・構築するときに、参照対象や設計思想として単純化されている点が重要なのだ(10)。(位置No704)

(2)スターバックスの店には、独特の魅力があり、それが顧客を引きつけているのだ。その価値は、自著の『スターバックス成功物語』において4つのキーワードで示されている。
 ・ロマンチックな味わい
 ・手の届く贅沢
 ・オアシス
 ・ふだん着の交流(位置No1158)

(3)創造性が生まれるロジックについて、ドトールの鳥羽氏は、次のように語っている。
  「徹底してその人に見倣い、研究し、模倣する。その過程で個人の能力は相当高まるだろう。そして、その高まった能力によって個人のオリジナリティというものが生み出されることになると思う(11)」(位置No1340)

(4)守破離モデリングというのは、まず徹底的に倣い、その上で「お手本」の教えを破り、しかる後に自らのモデルを確立するというものである。いわば、「お手本」の肯定から始まり、それを否定しながらも、最終的には最初の「お手本」と矛盾することなく調和された青写真を描くということである。(位置No1807)

(5)KUMONの強みというのは、標準化された教材それ自体ではない。「子どものために」を合い言葉に指導者たちを動機づけ、指導に必要な知識を共創し、優れた教材の見返りとしてロイヤルティを徴収する、という仕組み全体にある。そして、その仕組みを成り立たせているのが、教材を共通言語に、日々指導の改善に励んでいるコミュニティ・ネットワークなのである。このような仕組みがあって、日本においても世界においても独自のポジションに立つことができている。(位置No2088)

(6)イノベーションのための模倣については、前章までの説明で、何をどのように参照すべきかの大枠はわかっていただけたと思う。基本は、遠い世界の良いお手本か、近い世界の反面教師のいずれかをモデリングするのである。 しかし、たとえモデルを正しく選べたとしても、模倣の作法における肝となる部分がわかっていないと、かえって混乱を招く。最後に、肝に銘じておくべきポイントを3つだけ述べておく。
1 大きな潮流を見極めて対象を選ぶ(業界)
2 対象に棲み込むことで模倣すべき部分がわかる(対象)
3 経験を積み、常に意識していれば、一部を見て全体がわかる(自分)(位置No2409)

(7)正確に言えば、業界の常識をひっくり返すようなビジネスが生まれていない。1980年代までは、破壊的なイノベーションによって欧米の列強を困らせていた日本企業だが、90年代以降、このようなイノベーションを生み出せなくなっている。逆に、アジアの新興国による破壊的イノベーションにあたふたさせられるという状況が目立つ。(位置No2507)
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