鏡花短篇集 (岩波文庫) 講義で鑑賞した一作。だけど……、すごい読みにくいOTL明治初期の文体だから「〜けり」とか普通に出てきますからねぇ^^;
 あぁ、でもこの人の幻想的な雰囲気は独特で、怪物も出てこなければ、あひゃった人も出てこない。多くの怪談はドラキュラや幽霊など、怪物が出てくるもの(あるいは超常現象によるホラー)と江戸川乱歩のように狂った人間による恐ろしさとの二つに類別できると思うのだが、泉鏡花はそのどちらにも属さない。
 例えば「竜潭譚」は子供が山に迷い込んでそこで巫女(?)と一夜をともにして帰る話。ですが、山という場所は明治期でも信仰対象となった場所で、容易に入ることを禁じられていました。そういった場所に踏み込むということは聖地を汚すことになります。最初に班猫に咬まれたのも(ちなみにこれは鏡花の間違いだと思う。班猫は毒を持っていないので)、天罰が下ったのかなぁ、と。
 それが原因で肉親にも疎外されてしまいますしね。
 「薬草取」も薬草商が山に分け入ったために巻き起こる話。基本的に商人は汚れた存在なんですね、文学上では。例えば「高野聖」に出てくる商人も山に入ったために馬に変えられて売り飛ばされてしまいます。しかし聖職者だけは山に立ち入ることを許された存在で、神罰を受けずに助かります。「薬草取」も基本的には似たような構図なんですね。
 既によく知られたことですが、鏡花文学にはアンチ近代化という流れが含まれています。近代は基本的に「神が死んだ」時代です。だからこそ聖地である山の木を伐採し、売ることができるんですよね。tanuponさんという方のウェブサイトのBBSでたまたま、泉鏡花の話題になって、「今になってようやくアンチ近代化が注目されるのは残念だ」とおっしゃってましたがそのとおりだと思います。自然保護も結局は人間のエゴにすぎませんからねぇ。
 またホラーを語る上では絶対に外せない作家だと思いますから、ホラー好きの方一読することをお勧めします。でも読みにくいので星3つ(笑)文学性を考慮すれば、キレイに聖と俗の二項対立に分けられるので文句なしの星5つなのですが。

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