漫画村などが閉鎖されましたが「小説家になろう」などでは著作権侵害の被害にあうケースも少なくありません。個人的には「小説家になろう」の作品は猫も杓子も異世界転生ばかりなので余り評価はしていませんが、それとこれとは別問題。
 またイラストなどの剽窃に遭った場合も対応は変わりません。泣き寝入りせずに毅然として対応しましょう。

最初にお断り

 法律関係のことを書いていますが、僕は弁護士でもなければ法学部卒でもありません。ただ過去に小説が剽窃の被害に遭って、その際に著作権法について調べただけです。
 また図書館司書資格の講義や卒論指導で著作権の話を受けました。行きがかり上、サークル内で著作権の取りまとめを行なっています。
 まず重要なことですが、0才児が描いた落書きでも、描いた時点で著作権は発生しています。年齢や届け出の必要はありません。またアイディアは著作権で保護されません。あくまでも最終的に発表された形を保護しています。

著作権違反該当に当たらないケース

 著作権違反該当に該当しないケースは「私的利用」「正当な引用」、「編集著作物」、「教育目的」です。

私的利用

 著作権法において私的利用は認められています(著作権法30条1項)。具体的にはお気に入りの絵をダウンロードしただけのケース。「自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる」*1とあるように、限定的な利用なら問題ありません。つまりダウンロードしましたと連絡しても即、著作権違反にはならないのです。それを著作者の許諾なく、不特定多数に公開しない限り。
 不特定多数に向けて公開された時、初めて問題となるのです。典型的なのがインターネットにアップロードされた時。

正当な引用

 正当な方法であれば、引用は認められています。作品を発表する権利があるのと同様に、他の人にも批評を加える権利があるのです。誰かの批評を受ける。それが作品を発表するということなのだと僕は思っています
 しかし、全文を引用してもいいか言えば、そうではありません。引用の条件としては、
1.どこからかが引用か、明確に区別できる。
2.引用部分がメインにならない。
 例えば僕の小説を全文コピーして「面白かった」などとしては著作権法違反になります。つまり必要最低限の箇所を引用しなければいけません。
3.出典が明記されていること。
 が挙げられます*2。

編集著作物

 編集著作物は著作権法12条に記載されていて「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する」。簡単に言えばまとめサイトなどがそうですね。
 つまり、まとめサイトへの「転載」は禁止できますが、「引用」という形でなら文句は言えないのです。ただし必要以上の「引用」は過去に裁判が起きた例があります*3。

教育目的

 クラスメイトが小説を書いていて、それを担任が国語の教材として使ったとします。著作権的には問題ありません。ええ、著作権的には……。

その他

 客観的な事実に著作権はありません。例えば一九四五年夏に終戦を迎えたこと、水を電気分解すると水素と酸素に別れることなどです。

もしも著作権違反の被害に遭ったら

 もし著作権違反の被害に遭ったら取るべきことは二つ。絶対してはいけないことは削除です。また更新もしないほうがいいでしょう。過去の更新分を見れないわけではありませんが、捜査の手間です。
 そして大事なのは著作権侵害は、現在のところ親告罪です。被害届が出されなければ、第三者が警察に駆け込んでも事件にはなりません。
1.警察に相談
 意外と知られていませんが、著作権法違反は刑事告訴ができます。例えば二○一六年に自炊代行業者が逮捕されました*4。
2.弁護士に相談
 裁判には刑事と民事があります。警察に言っても、逮捕はしてくれますが、公開停止などは命じられません。公開停止は民事裁判で、これは弁護士の仕事だからです。最近では法テラスなどの無料相談窓口も充実しています。
 逮捕して欲しければ刑事、公開差止をして欲しければ弁護士に!
 警察や弁護士へ相談する前に、証拠を用意しましょう。具体的には、相手が後に公開したと証明するものを。
・自分の著作物の公開日が入ったデータ。絵に埋め込んでは証拠として貧弱です。なぜならユーザーがいくらでも改竄できるからです。例えば2018.1.18と入れたとします。でもイラストレーターやフォトショを使えばいくらでも改竄できますよね。
 従ってファイルのタイムスタンプが望ましいです*5。
・相手の著作物の公開日が入ったデータ。
 これと現物を持っていけばひとまずは大丈夫です。
3.グーグルに報告。
 デジタル上のコンテンツは、DMCAで管理されています。僕は幸いにして申し立てたことがないのですが、申請方法は「初めてのDMCA申請。パクられた著作物を検索結果から消す方法」にかかれています。これが通れば検索結果から抹殺できます。
 facebookやmixiの場合もお問い合わせフォームから著作権侵害を簡単に通報できます。
 ただ問題はTwitterで剽窃した相手に自分の個人情報を教えなければいけません。違和感を覚えつつも躊躇わずに僕は送りますが、女性は躊躇うのではないでしょうか。

海外サーバーに置かれている場合

 一昔前は海外にサーバーが置かれていたら取り締まれませんでした。しかし今は違います。
 著作権法違反ではないのですが、ポルノサイトを海外のサーバーに置いて運営したところ、わいせつ物が適用されました*6。

参考までに

 僕が自分の小説を剽窃された時は、まだ個人のページに転載されていました。最初は穏便に済ませようと、相手のBBSに書き込んだのですが、「プロバイダーに言っても動くわけがない」と笑われました。
 そこで僕は上記の二点に加え、このままの状態が続けば、
1.著作権法違反に基づき、刑事告訴も検討していること
2.弁護士にも相談しようと思っていること
 を書いて、相手のプロバイダーにメールを送りました。
 こちらが申し訳なくなるような丁寧な謝罪文が届き、三日後には消滅していました。もちろん技術的には pdfやjavascriptを使ってプロテクトを掛けることもできます。技術を学ぶことができますが、それは間違いです。
 萎縮はもちろん公開停止をしなくても構いません。むしろ相手が公開を停止しなければいけないのです。
 著作者として権利は主張して当然ですし、主張しなければなりません。

*1 著作物が自由に使える場合は?(公益社団法人著作権情報センター)
*2 他人の著作物を適法に「引用」する際のルール【弁護士が教えるEC運営者のためのIT著作権法対策ぁ
*3 漫画カットの引用における 「改変」の可否:同一性保持権侵害の判断
*4  書籍電子化の「自炊」代行業者が国内初逮捕…個人でも実は違法な2つのポイントとは?
*5 ファイルのタイムスタンプも変えようと思えば変えられるけど。
*6 「海外のサーバーを使えば逮捕されない」はもはや幻想|平成24年(う)第2197号