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日本企業のものづくり病を打破する方法 |日経ビジネスオンライン


という記事を読みました。

「行動観察」の専門家・松波晴人氏に聞くということで、日本の企業が本来得意としていたものづくりにおいて負け戦を続けていることについての解決策が述べられています。「行動観察」による真のニーズの吸い上げ、「分析」、そしてそれを受け止める側の「組織の問題」について、興味深い考察がなされています。

日本企業がイニシアティブをとれるようなヒット商品が少なくなった原因として、
「変化のスピードが早くなってきたこと」
 

ヒットが出にくくなっているのは、変化のスピードが速くなっている中で、過去に成功したやり方ではうまくいかなくなってきている、という側面があると思います。なので、従来の成功体験で得られた様々な概念を変更していく必要があります。しかし、こうした固定概念を変えていくのがかなり難しい。


もう一つは、「社会の成熟化」

松波:これまでの企業はメーカーにせよサービス業にせよ、消費者の声に応える形で成長してきました。「こんなことはできないか」「こんなことに困っている」などなど、消費者の直接的な声に応えることで付加価値が生まれ、そのまま企業の成長につながってきたのです。


 ところが、成熟社会に入り、「困りごと」が少なくなってきました。お客さまに尋ねても、小さな困りごとしか出てこない。下手をすると「別にこれといって困っていることはない」と言われることもある。お客さまの思っている課題と、それを解決する製品・サービスという、綺麗な関係が崩れてしまった。そうなると、これまで成功してきた方法と違うアプローチを取る必要があります。しかし、既に成熟した製品やサービスについて、過去に成功した方法論でやり続けてしまうと、小さな困りごとに対する小さな改善に終わってしまいます。得られるアウトプットの質が下がってしまうわけです。


が挙げられています。

そこで、これまでのやり方を変えるための手法として、「行動観察」ということが提唱されています。
行動観察とはどういうことでしょう。

松波:もともと220年ほど前に、子供の成長観察から始まったフィールドワークによるアプローチです。古いものですが、ビジネス分野での応用が本格化したのは十数年前頃。デザインファームであるIDEOや、英国王立芸術大学などが本格的に活用し始めてから、広く世間に知られるようになってきたものです。


 従来の市場調査との違いを端的にいうならば、「固定概念」を排除した点にあります。いろんな分野の学問領域を使いながら、“できるだけ素直にものごとを観察する”アプローチをとっていきます。


▼行動観察についてもっと知りたい人は、松波さんの著書を読んでみては。Kindle版もあります。






[考察]家電量販店の存在が諸悪の根源かも

行動観察、分析・・・今となってはこういう理論も必要になってしまったのかもしれません。

子供の頃、小さな電気屋さんが地元にたくさんありました。「東芝のお店」「ナショナルのお店」そして、地元のチェーン店として大きな量販店が少しずつ店を出し始めた時期でした。それでもまだ、電気製品を買うときは、いつも買っているおじさんのところに電話をして、家にカタログを持ってきてもらい、あれこれアドバイスを受けながら商品を選ぶという、昔ながらの商売のやりかたが、まだ、かろうじて残っていた時代でした。

このような、町の電気屋さんのところには、電気メーカーの営業や開発の人が直接話を聞きにくるわけで、メーカーの商品開発をやっている人たちからすると、ユーザーの声を吸い上げる絶好の機会であったはず。ユーザーからみたときの電気屋さんも、「困ったときにいつでも来てくれる電気屋さん」、という側面が大きかったと思います。

ところが、いつ頃からでしょうか。どんどん町の電気屋さんが閉店して、大きな敷地に大きな駐車場を持った家電量販店ができはじめた。それでも最初の頃は、その中に「いつもの店員さん」がいて相談にのってくれていたように思います。現状を見ると、量販店チェーンどうしの熾烈な競争の中で、いつのまにかいろいろなことが変わってしまいました。

  • 情報収集はインターネット
  • とりあえず実物を見に量販店へ
  • 店員さんと価格交渉
  • 何店か比較し、一番安いお店で購入

日本の電気メーカーがものづくりで強みを発揮し、どんどん海外でも売れ続けていたころ、

町の電気屋さんから、ユーザーの声に直接触れ、場合によってはユーザーの家にちょくちょく顔を出しながら、何代にもわたって電化製品の面倒を見る、そこで感じたことやユーザーの声を、メーカーの営業に直接伝える。これが日本メーカーの強みだったのではないでしょうか。


一方、現在主流の◯◯◯電気、◯◯◯カメラを見てみると、話している内容は「価格交渉」。製品の特徴について質問されても、カタログなどに書いてあるようなスペックを並べて答えられるだけ。しかも、いわゆる「ユーザーの声」を話してくれるお客さんがいたとしても、それをきちんとメーカーの開発部隊に伝えるためのフィードバックの仕組みはない。量販店がメーカーに言う意見は当然、ユーザーの声ではなく、「売る側の事情」「売りやすい商品とは」になるであろうことは容易に想像できる。



今ならまだ間に合う のか?

メーカー主導でも、量販店主導でもどちらでもいいので、いますぐこの辺りの仕組みを変革することに着手するべきだと思います。

小売店の店員に指導するべきことは、製品のスペックやデータではなく、「コミュニケーション能力」。お客さんとのコミュニケーションを充実させることで、価格以上の付加価値をユーザーに感じさせるための方策。そして、そこで得られたさまざま知見やユーザーの声を、メーカーにきちんと伝えて、商品開発につなげるようなフィードバックの仕組みづくり。

現状を見ると、単一のメーカー、単一の量販店ではどうしようもないのかもしれません。業界全体としてやり方を見直すべき時期に来ている、いや、すでにコトは末期状態になりつつあるので、早急になんとかするべきだと思います。