決してすわり心地のいい

椅子とはいえないが

窓際の壁を背もたれ代わりに

大好きな時間を過ごす


 本棚と大きなガラス窓の間にある

狭い通路に

三脚の「背もたれのない椅子」がある

その中に今日の指定席に

なる椅子がある


 椅子に腰を下ろし本を開くと

背中越しから差し込む柔らかな光が

ページを照らしてくれる

まるで、木洩れ日のような光は 

年齢と共に弱っていく目には

最高の贈り物だった



 いつも整理整頓された書籍と

静かな館内

さらに建物の古さが

落ち着いた雰囲気を作りだす

 その日選んだ一冊の本を

時間がゆるすだけゆっくり読む

 太陽が傾きはじめるころ

ガラス窓を透して

小鳥のさえずりのような子供達の

声も心地いい

 四季の移り変わりも

静かに教えてくれる空間でもある

 ここはとっておきの居場所


ときには 

ゆりかごのようにうたた寝に誘う

夢の絵本が


    奏でてくれる


この素敵な場所がなくなるという


窓際の「背もたれのない椅子」

であと少し


優しい時間を過ごすことにしよう




                            

 

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