春風亭昇々ブログ

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「うわ、それさらにモテないやつだ。モテないの確変。モテないスパイラル」
雄介にそうからかわれても健太は主張を止めない。
「俺はクラスの女子たちが気に食わないんだよ。別に好きなやつとかいないし。だからモテなくてもどうでもいいの。それに中学に入ったらモテるし」
「なんだよその自信」
「俺にいちゃんが高校生で身長180センチあるから。俺だって背高くなるし。そしたらモテる」
「お前見た目がどうとかじゃなくて、そのひねくれた性格なんとかしないとモテないぞ」
「うるさい。お前もモテないくせに」
「俺は恋愛とか興味ないし。てかお前興味あるのかよ」
「は?!あるわけないじゃん。とにかく行こうよ」
「まったくめんどくせえなぁ」
と言いながらも、一度言ったら聞かない健太であるから、雄介は渋々着いていくのであった。
つづく

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「確かめに行かない?」
と、健太は言った。しかし雄介は相変わらず漫画から目を離さない。
「なあ行こうよ」
と急かしてみる。しかし雄介は取り合わず、
「今漫画読んでるんだからあとでな」と言った。

「なんの漫画読んでるの?」
「ワンピース」
「面白い?」
「面白いから読んでるんだよ」
「入り込める?」
「入り込めるよ」と雄介がめんどくさそうに言うと、
「それだ!」と健太は言った。

唐突な言葉に思わず雄介も「なにが?」と聞いてしまう。
「漫画に入り込んでんだよ。恋愛という漫画に」
「ワンピースだよ」
「そうじゃねえよ。女子たちがだよ。女子たちみんな恋愛という妄想漫画を読んでるんだよ。自分でストーリーを作ってな」
「は?」
「それを面白い面白いって語り合ってるんだよ。だからやっぱり彼氏なんていうのはいない。全部イマジナリーボーイフレンドだ。これが俺の仮説」
「別にいいじゃねえかよ。ほっとけよ」
「いいやほっとけない。やっぱり確かめに行く」
「なんでだよ」
「からかわれたから」
「からかわれた?」
「健太はダサくて子供っぽくてモテないって言われたから」
つづく
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「あのさ」
小学校のピロティの階段に座りながら、健太が唐突に口を開いた。
「よく女子たちが恋愛の話してんじゃん」
「ああ」
雄介が漫画を読みながらめんどくさそうに相槌を打つ。

「誰だれと誰だれが付き合ってるとか手繋いだとか」
「うん」
「でもその相手って誰だと思う?」
「誰って、その女子が手繋いだ相手だろ」
「だからそれって誰なんだよ。俺たちの周りにいないだろ。女子と付き合ってるやつなんか」
「俺たちの周りにいないだけで、他のクラスとかグループのやつってことだろ」
「そうだけど、それって誰だよ」
「知らねえよ」
「俺が言いたいのはさ、女子って恋愛の話ばっかりしてるけど、その相手って実は存在してないんじゃないかってことなんだよ」
「そんなわけないだろ」
「いや、世間の小5男子はみんな漫画の話してるぞ。それかどうやったら口笛がうまくふけるか。恋愛なんかに興味ない」
「そうじゃない奴らもいるんじゃないの」
「いや、ほぼ全ての小5男子はそんな話しかしていない。そんな話しない奴らは中学受験しようとしているガリ勉だけだ」
「なにが言いたいんだよ」
「だから恋愛の話している女子はみんな妄想で喋ってるんじゃないかってことだよ。世間にはさ、いもしない友達と喋り続ける奴がいるって知ってる?」
「こわ。それお化けだろ」
「違うんだよ。友達がいなくて自分の頭の中で友達を創り出しちゃうやつっているんだって。イマジナリーフレンドって言うんだって」
「つまり?」
「恋愛の話ばっかりしてる女子はイマジナリーボーイフレンドと話してんじゃねえかってこと」
つづく
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「ゴキブリが怖いんだよ」
いや、みんな怖いでしょ。
「違うんだよ。ゴキブリだけが怖いんだ。バッタとかコオロギとか蝶々とか蛾とかは全然平気なんだよ。カメムシだって素手で掴める」
気持ちわるっ。
「まあまあそれは置いといてさ。ゴキブリだけダメなんだよ」
ダメっていうと?
「触るのなんて当たり前にダメで見るのすら嫌。他の虫は平気なのに。なんでだと思う?」
ゴキブリに子供の時いじめられたんじゃないの?
「そんなわけあるかい。あ、でも一理あるかも」
というと?
「ゴキブリが出ると家族でギャーギャー騒いでた。御膳の上に乗ってお母さんが退治してくれるのを待ってた」
そのころのトラウマってこと?
「そうかもしれない」
答え出たじゃん。
「いや、でもゴキブリが気持ち悪いっていうのは世界共通じゃん。だとしたら今の説明じゃ不十分じゃん。我々はDNAレベルでゴキブリを嫌ってるってことだから」
よく言われるのは先祖が巨大ゴキブリから逃げていたからとかね。
「いや、だとしたら他の驚異的だった動物全部を同じレベルで怖くないとおかしくない?例えば恐竜とか。でも我々って恐竜にそんなに嫌悪感ないよね」
確かに。じゃあ病気いっぱい持ってるからじゃないの?それから身を守るために嫌悪感を抱くようになってるとか。
「バイ菌いっぱい持ってる虫なんか他にもたくさんいるじゃん。でもゴキブリだけぶっちぎりで嫌いじゃん」
うーん。確かにそう考えると腑に落ちる説明ってないなあ。
「だろ?」

そんな会話をしていたら、なんと目の前の壁にゴキブリが止まっていた。

「うげ!出た!気持ちわる!!」
どうする?
「殺す!スリッパで叩き殺す!」
あ、でもこれを機によく観察してみたら?
「何言ってんだよ!無理無理無理!」
もしかしたら嫌いな理由が判明するかもよ。近くで見てみろよ。
「無理無理!無理の助!助助!ヘルプミー!」

嫌がるやつの頭を掴み、ゴキブリに近づける

「やめろ!泣く!まじでお前許さん!」
まあいいから観察してみろって。
「きも!触覚動いとる!光沢が怖い!飛んで来たらどうしよう!」
意外と可愛いかもよ。
「やめろ!わかった!わかった!」
何がわかったんだよ。
「一旦離せ!俺を解放してくれ!」

改めてテーブルを挟んで向き合う我ら。
ゴキブリは相変わらず壁でじっとしている。

「はあはあ。俺わかった。なぜゴキブリが怖いのか」
なんだよ。
「圧倒的存在感。人間には絶対に超えられない壁。まるでお釈迦様の手のひらにいるような。その恐怖。」
どゆこと?
「驚異的身体能力。予測不可能な動き。スピード。繁殖能力。バイ菌を保持していても生き抜く力。その全てが怖い。つまり」
つまり?
「畏怖だ。」
いふ?
「そう畏怖。ゴキブリは神なんだ」
は?

やつはそういうと、壁に止まっているゴキブリを拝み始めた。
跪き、ありがたやありがたやと何度も手を擦った。
お前何やってんの?と聞くと、
「ゴキブリ神様の真似だよ。少しでも近づきたくて」
と言った。
お前それはハエだろう。と喉までいったが黙っていた。

すると次の瞬間、ゴキブリはやつの頭上目掛けて飛んだ。
やつの頭の上に止まった。が、やつは気づかずに下を向き手を擦り続けている。

恐る恐る、お前の頭の上に神様止まったぞと言うと、
やつも動きを止めた。

「ぎゃあああああああああ!やっぱり無理!!!!」
というとやつは頭上に手を払った。
あたりどころが悪かったのか、ゴキブリは地面に落ち、動かなくなった。
神は死んだ。

神様死んじゃったな。
「はあ。はあ。はあ。神は贖罪を行なった」
は?
「我々人類の罪を背負いなさっているのだ。その証拠にこうやって死んだ。が、復活される」
お前それイエスキリストじゃねえかよ。
「そうだ。なんどもなんども罪を被って死ぬ、そして復活されるのだ」
お前が殺したんだろうよ。
「違う。自らの意思で処刑されたのだ。ぎゃああ!」
どうした?
「また壁にゴキブリが!復活なされた!神が!」
お前それ無理あるだろ。
「イエス!キリスト!!バシ!また死んだ!」
なにやってんの。
「やっぱり嫌い!人間って不完全!無理!ノー!ゴキブリ!死ね!」


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「ていうのは冗談でよ。今考えれば電車の座席とパソコンだよ」
「座席とパソコン?」
「座席を倒すとパソコン画面の倒す、つまり俺を倒したいっていうお前の願望が表れてたんだろう」
「おのれ。お前の深層心理に訴えかけ、自ら自滅を誘う作戦だったが破られたら仕方あるまい」
「やめといた方がいいぜ。腕力じゃ俺に勝てねえだろ」
「確かにそうだな。でもこれならどうかな」
そういうと、トラウマンは何もない荒野をかけていった。
「逃げるが勝ち!お前の母ちゃんでべそーーーー!!」
どんどん小さくなっていくトラウマン。しかしそんなトラウマンを俺は追いかけない。なぜなら

シュッ!!

次の瞬間、俺はトラウマンの前に立ちはだかっていた。
「な、な、なんだと!」狼狽えるトラウマン。
「俺は瞬間移動できるんだよ。じゃあ今度はこっちから行くぜ。」
「あ、あ、あ、あ、」
「よくも変な夢見せてくれたな。危うくやられるところだったぜ。だが現実世界に戻ってきた今、お前は俺の敵じゃねえ」
と言いながら力を溜める!俺の拳が青白く燃え光る!
「あ、あ、あ、あ、」
トラウマンが涙目になる。
「お前さっきの俺みてえな顔になってるじゃねえか。ちょうどいいや。やられたらやり返す!因果応報!くらえ!」
「ご、ぎめ!」
「お前のトラウマになったらすまねえな!!カルマ!!!パーンチ!!!!!!!!!」
どごおおおおおおおおおん!!!!!



土煙が収まると、トラウマンは跡形もなく消滅していた。
俺は一仕事終え、ふっとため息をつき今日もこの世から少しだけ悪が消えたなと思った。しかしまた同時に思う。悪とはなんだ?何が正義で何が悪なのだろうか?だが俺にできるのは己の正義を貫くことのみだ。
さあ帰ろう。ふわっと空中に浮き上がると俺は空の彼方に去っていた。


一方その頃、ものすごい衝撃波が5マイル先の酒場まで届き、そこで飲んでいたカウボーイのハットを飛ばした。カウボーイは凄腕のガンマンで、早撃対決では負けたことのない伝説のヒーローであった。
彼の視力は10.0で今までの一部始終を見ていた。俺もいつかあんな強いやつとお手合わせ願いたいもんだと思った。
そしてふと考えた。
そういえばあいつは誰なんだろうと。


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