当社「日報」では9月28日(木)、以下の点を指摘した。
ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、原油の買いは止める。9月29日(金)納会に向けて期近の取組整理が進み、価格形成の構造とパターンが変化しており、必要としない売買は止めておく方がよい。一般的に言って「取れる」ところではない。
(ⅰ)1番限は9月29日(金)が最終取引日(納会)。
(ⅱ)このかんの揉み合いを売った向きが、踏み上げている。
(ⅲ)10月相場で、現在の2番限、3番限が期近に回る。
(ⅳ)逆ザヤ出世高のパターンが続くかどうか、10月相場では不透明です。
(ⅴ)サウジアラビアは10月5日(木)に11月調整項を通知する予定。
(ⅵ)石油会社は今週から来週、スポット取引を控えるのではないかと思います。
【1】10月相場、月初は中国と韓国が大型連休
(ⅰ)中国は8連連休
9月29日(金)~10月6日(金) 中秋節・国慶節で8連休
(ⅱ)韓国は10月3日(火)まで6連休
【2】「逆ザヤ出世高」は不透明
-------サヤ縮小に反転する可能性がある
「逆ザヤ出世高」のパターンは、国際原油取引の指標であるブレント原油先物で、期近1番限がリードするとき可能です。期近にエネルギーが補充されなければならない。
しかし、9月15日(金)以降の相場では、
(ⅰ)ブレント原油2023年11月限にプレミアムが上積みされただけでなく、11月限、12月限、2024年1月限で限月間価格差が大きく拡大した。いわば「ゴムが伸びきった」ような、期近の大逆ザヤを形成した。
(ⅱ)さらに9月28日(木)、ブレント原油11月限納会前に期近の売りが踏み上げた。こういう《伸びきった大逆ザヤ》が10月相場に持ち越されるとは考えにくい。
(ⅲ)当社では、逆ザヤ出世高が10月も続くかどうか、不透明と考えています。
(1)サヤの運動自体が一つのテクニカルな相場
わが国では、限月間の価格差、市場間の価格差、そういう価格差を「サヤ」と言う。
どんなに期近が強くとも、すでにプレミアムが上乗せされ、逆ザヤが拡大した局面で、合理的な範囲を超えて逆ザヤを持続させるのはむずかしい。今度はサヤの収縮に反転する可能性が高い。それは伸びきったゴムが縮むのと同じです。
サヤも一つの運動です。期近の逆ザヤ拡大に賭けたポジション形成もあれば、サヤ縮小を思惑したポジション形成もある。サヤの伸縮が、テクニカルな一つの相場になる。
(2)東京(TOCOM)プラッツドバイ原油の価格形成
当社は昨日10月2日(月)午前9時7分、10月最初の東京原油(プラッツドバイ原油)の価格を「1ドル=149円52銭」で米ドル換算してみた。
10月2日(月)午前9時7分、東京プラッツドバイ原油
限月 価格 1ドル=149円52銭で米ドル換算
2023年10月限 87,160円 92.69ドル
2023年11月限 85,080円 90.47ドル 10月/11月限の格差 ▲2.22ドル
2023年12月限 82,990円 88.25ドル 11月/12月限の格差 ▲2.22ドル
2024年01月限 81,390円 86.55ドル 12月/01月限の格差 ▲1.70ドル
2024年02月限 80,050円 85.13ドル 01月/02月限の格差 ▲1.42ドル
2024年03月限 78,880円 83.88ドル 02月/03月限の格差 ▲1.25ドル
これは、TOCOMプラッツドバイ原油で期近10月限、11月限、12月限の限月間価格が伸びきっています。すでに期近のプレミアムを上乗せし、「2.22ドル」の限月間価格差を形成している。今後さらに期近を「3ドル格差」「4ドル格差」に買い上げることはあり得ない。
(3)10月相場でサヤ縮小に反転する可能性
原油相場は9月28日(木)、期近の売り玉踏み上げで高値をつけたあと、サヤ縮小に反転している可能性がある。価格形成の構造とパターンが変化している。
国際原油取引の指標=ブレント原油先物の相場表を記します。ブレント原油2023年11月限は9月29日(金)に納会落ち、下記の表からは削除しています。
ブレント原油先物(ICE) 2023年10月2日(月)
限月 始値 高値 安値 帳入値 前日比
12月限 2023 92.18 93.33 90.35 90.71 -1.49
01月限 2024 90.48 91.48 88.75 89.06 -1.30
02月限 2024 88.97 89.94 87.48 87.74 -1.08
03月限 2024 87.86 88.80 86.57 86.79 -0.88
04月限 2024 87.03 87.88 85.82 86.05 -0.70
05月限 2024 86.25 87.11 85.19 85.43 -0.55
ブレント原油先物(ICE) 2023年9月29日(金)
限月 始値 高値 安値 帳入値 前日比
12月限 2023 93.07 94.13 91.96 92.20 -0.90
01月限 2024 91.23 92.30 90.15 90.36 -0.82
02月限 2024 89.71 90.77 88.64 88.82 -0.82
03月限 2024 88.54 89.61 87.53 87.67 -0.78
04月限 2024 87.59 88.66 86.63 86.75 -0.73
05月限 2024 86.74 87.85 85.87 85.98 -0.69
ブレント原油先物(ICE) 2023年9月28日(木)
限月 始値 高値 安値 帳入値 前日比
12月限 2023 94.38 95.35 92.75 93.10 -1.26
01月限 2024 92.44 93.20 90.90 91.18 -1.23
02月限 2024 90.84 91.51 89.39 89.64 -1.20
03月限 2024 89.56 90.17 88.23 88.45 -1.14
04月限 2024 88.52 89.05 87.27 87.48 -1.06
05月限 2024 87.64 88.12 86.48 86.67 -1.01
東京(TOCOM)のプラッツドバイ原油でもサヤが縮小している。但し、東京プラッツドバイ原油期近10月限、11月限、12月限は流動性に欠ける。
今週の原油市場では、中国が10月6日(金)まで連休です。
韓国は本日10月3日(火)まで連休。
サウジアラビアは10月5日(木)に「11月調整項」を通知してくる予定。
こうした場面で、石油会社のスポット取引は抑制されると思います。
逆ザヤ出世高が10月相場も続くかどうか、不透明です。
原油先物はすでに9月下旬に大逆ザヤになっているので、10月相場で縮小に転じる可能性がある。原油の価格形成の構造とパターンの変化に注意を向けます。