市況研究社のメモ帳

市況研究社および「市況研究社日報」から一部を公開します。

カテゴリ: 原油相場

当社「日報」では928日(木)、以下の点を指摘した。
ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、原油の買いは止める。929日(金)納会に向けて期近の取組整理が進み、価格形成の構造とパターンが変化しており、必要としない売買は止めておく方がよい。一般的に言って「取れる」ところではない。
(ⅰ)1番限は929日(金)が最終取引日(納会)。
(ⅱ)このかんの揉み合いを売った向きが、踏み上げている。
(ⅲ)10月相場で、現在の2番限、3番限が期近に回る。
(ⅳ)逆ザヤ出世高のパターンが続くかどうか、10月相場では不透明です。
(ⅴ)サウジアラビアは105日(木)に11月調整項を通知する予定。
(ⅵ)石油会社は今週から来週、スポット取引を控えるのではないかと思います。

【1】10月相場、月初は中国と韓国が大型連休
(ⅰ)中国は8連連休
9
29日(金)~106日(金) 中秋節・国慶節で8連休

(ⅱ)韓国は103日(火)まで6連休

【2】「逆ザヤ出世高」は不透明
-------
サヤ縮小に反転する可能性がある

「逆ザヤ出世高」のパターンは、国際原油取引の指標であるブレント原油先物で、期近1番限がリードするとき可能です。期近にエネルギーが補充されなければならない。

しかし、915日(金)以降の相場では、
(ⅰ)ブレント原油202311月限にプレミアムが上積みされただけでなく、11月限、12月限、20241月限で限月間価格差が大きく拡大した。いわば「ゴムが伸びきった」ような、期近の大逆ザヤを形成した。
(ⅱ)さらに928日(木)、ブレント原油11月限納会前に期近の売りが踏み上げた。こういう《伸びきった大逆ザヤ》が10月相場に持ち越されるとは考えにくい。
(ⅲ)当社では、逆ザヤ出世高が10月も続くかどうか、不透明と考えています。

(1)サヤの運動自体が一つのテクニカルな相場
わが国では、限月間の価格差、市場間の価格差、そういう価格差を「サヤ」と言う。

どんなに期近が強くとも、すでにプレミアムが上乗せされ、逆ザヤが拡大した局面で、合理的な範囲を超えて逆ザヤを持続させるのはむずかしい。今度はサヤの収縮に反転する可能性が高い。それは伸びきったゴムが縮むのと同じです。

サヤも一つの運動です。期近の逆ザヤ拡大に賭けたポジション形成もあれば、サヤ縮小を思惑したポジション形成もある。サヤの伸縮が、テクニカルな一つの相場になる。

(2)東京(TOCOM)プラッツドバイ原油の価格形成
当社は昨日102日(月)午前97分、10月最初の東京原油(プラッツドバイ原油)の価格を「1ドル=14952銭」で米ドル換算してみた。

102日(月)午前97分、東京プラッツドバイ原油
限月       価格    1ドル=14952銭で米ドル換算
2023
10月限  87,160円  92.69ドル
2023
11月限  85,080円  90.47ドル 10/11月限の格差 2.22ドル
2023
12月限  82,990円  88.25ドル 11/12月限の格差 2.22ドル
2024
01月限  81,390円  86.55ドル 12/01月限の格差 1.70ドル
2024
02月限  80,050円  85.13ドル 01/02月限の格差 1.42ドル
2024
03月限  78,880円  83.88ドル 02/03月限の格差 1.25ドル

これは、TOCOMプラッツドバイ原油で期近10月限、11月限、12月限の限月間価格が伸びきっています。すでに期近のプレミアムを上乗せし、「2.22ドル」の限月間価格差を形成している。今後さらに期近を「3ドル格差」「4ドル格差」に買い上げることはあり得ない。

(3)10月相場でサヤ縮小に反転する可能性
原油相場は928日(木)、期近の売り玉踏み上げで高値をつけたあと、サヤ縮小に反転している可能性がある。価格形成の構造とパターンが変化している。

国際原油取引の指標=ブレント原油先物の相場表を記します。ブレント原油202311月限は929日(金)に納会落ち、下記の表からは削除しています。

ブレント原油先物(ICE) 2023102日(月) 
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
12
月限 2023  92.18  93.33  90.35  90.71  -1.49
01
月限 2024  90.48  91.48  88.75  89.06  -1.30
02
月限 2024  88.97  89.94  87.48  87.74  -1.08
03
月限 2024  87.86  88.80  86.57  86.79  -0.88
04
月限 2024  87.03  87.88  85.82  86.05  -0.70
05
月限 2024  86.25  87.11  85.19  85.43  -0.55

ブレント原油先物(ICE) 2023929日(金)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
12
月限 2023  93.07  94.13  91.96  92.20  -0.90
01
月限 2024  91.23  92.30  90.15  90.36  -0.82
02
月限 2024  89.71  90.77  88.64  88.82  -0.82
03
月限 2024  88.54  89.61  87.53  87.67  -0.78
04
月限 2024  87.59  88.66  86.63  86.75  -0.73
05
月限 2024  86.74  87.85  85.87  85.98  -0.69

ブレント原油先物(ICE) 2023928日(木)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
12
月限 2023  94.38  95.35  92.75  93.10  -1.26
01
月限 2024  92.44  93.20  90.90  91.18  -1.23
02
月限 2024  90.84  91.51  89.39  89.64  -1.20
03
月限 2024  89.56  90.17  88.23  88.45  -1.14
04
月限 2024  88.52  89.05  87.27  87.48  -1.06
05
月限 2024  87.64  88.12  86.48  86.67  -1.01

東京(TOCOM)のプラッツドバイ原油でもサヤが縮小している。但し、東京プラッツドバイ原油期近10月限、11月限、12月限は流動性に欠ける。

今週の原油市場では、中国が106日(金)まで連休です。
韓国は本日103日(火)まで連休。
サウジアラビアは105日(木)に「11月調整項」を通知してくる予定。
こうした場面で、石油会社のスポット取引は抑制されると思います。

逆ザヤ出世高が10月相場も続くかどうか、不透明です。
原油先物はすでに9月下旬に大逆ザヤになっているので、10月相場で縮小に転じる可能性がある。原油の価格形成の構造とパターンの変化に注意を向けます。

9月査定価格とサウジ原油の輸出価格が確定した。

【1】20239月査定価格とサウジ原油アジア向け輸出価格

20239月査定価格                        前月比
20239月のプラッツ・ドバイ原油の平均値       93.310ドル +6.845
20239月のDMEオマーン原油マーカープライス平均値   92.767ドル +6.199
20239月のドバイおよびオマーン原油の平均値     93.039ドル +6.523

サウジ原油 20239月積み アジア向け輸出価格(FOB
油種            平均値    調整項   輸出価格   前月比
アラブ・スーパーライト   93.039ドル 4.95 97.989ドル +7.123ドル高
アラブ・エキストラライト  93.039ドル2.55 95.589ドル +6.523ドル高
アラブ・ライト       93.039ドル 3.50 96.539ドル +6.823ドル高
アラブ・ミディアム     93.039ドル 3.35 96.389ドル +7.223ドル高
アラブ・ヘビー       93.039ドル 1.60 94.639ドル +7.123ドル高

【2】10月相場、月初は中国と韓国が大型連休

先週の「日報」で「石油会社は今週から来週、スポット取引を控える」と記しました。
10
2日(月)から10月相場ですが、中国や韓国が連休中です。

(ⅰ)中国は8連休
9
29日(金)~106日(金) 中秋節・国慶節で8連休

(ⅱ)韓国は6連休
9
28日(木)-29日(金) 秋夕(お盆)
10
2日(月) 臨時休日
10
3日(火) 建国記念日(開天節)
10
2日(月)が臨時休日となり、928日(木)~103日(火)まで6連休。

(ⅲ)台湾の休日
9
29日(金) 中秋節

(ⅳ)シンガポールは通常取引
プラッツ社のドバイ原油査定、ドバイ・マーカンタイル取引所(DME)のオマーン原油査定に10月の休みはない。

【3】102日(月)の東京為替
1ドル=150.10149.60149.10円」を想定。

9FOMCからの特徴は、米2年債と10年債の利回り格差縮小です。
10年債利回り上昇による「米2年債と10年債の利回り格差縮小」(逆イールド縮小)は、米利上げサイクルの最終局面と考えています。逆イールドの縮小は、将来の金利安定化、金利正常化のプロセスと考えているので、いずれ一方向の米ドル高(円安)に歯止めをかけると思います。
但し、今は米ドル高の方向で試算します。

(ⅰ)米2年債と10年債の利回り格差縮小(逆イールド縮小)
10年債利回り上昇による「米2年債と10年債の利回り格差縮小」(逆イールド縮小)は、米利上げサイクルの最終局面と考えています。

日付      米2年債利回り  米10年債利回り   利回り格差

09/2923)    5.03%      4.59%      -0.44
09/28
23)    5.04%      4.59%      -0.45
09/27
23)    5.10%      4.61%      -0.49
09/26
23)    5.04%      4.56%      -0.48
09/25
23)    5.09%      4.55%      -0.54

09/2223)    5.10%      4.44%      -0.66
09/21
23)    5.12%      4.49%      -0.63
09/20
23)    5.12%      4.35%      -0.77
09/19
23)    5.08%      4.37%      -0.71
09/18
23)    5.05%      4.32%      -0.73

09/1523)    5.02%      4.33%      -0.69
09/14
23)    5.00%      4.29%      -0.71
09/13
23)    4.96%      4.25%      -0.71
09/12
23)    4.98%      4.27%      -0.71
09/11
23)    4.97%      4.29      -0.68

(ⅱ)米国債利回りと東京為替
いずれ、このあと逆イールドの縮小=金利安定化、金利正常化は、一方向の米ドル高(円安)に歯止めをかけると考えています。
但し、今は米ドル高の方向で試算します。

米国     米30年債  10年債 2年債   日本
日付     利回り  利回り  利回り    日付  東京中心値  東京仲値

09/2923)  4.73   4.59   5.03   10/02  150.10149.60149.10

09/2823)  4.71   4.59   5.04   09/29   149.44   149.58
09/27
23)  4.73   4.61   5.10   09/28   149.49   149.65
09/26
23)  4.70   4.56   5.04   09/27   149.03   149.08
09/25
23)  4.67   4.55   5.09   09/26   148.88   148.95
09/22
23)  4.53   4.44   5.10   09/25   148.40   148.50

09/2123)  4.56   4.49   5.12   09/22   147.64   147.67
09/20
23)  4.40   4.35   5.12   09/21   148.34   148.43
09/19
23)  4.43   4.37   5.08   09/20   147.80   147.84
09/18
23)  4.40   4.32   5.05   09/19   147.67   147.73
09/15
23)  4.42   4.33   5.02   09/18   敬老の日

09/1423)  4.39   4.29   5.00   09/15   147.50   147.62
09/13
23)  4.34   4.25   4.96   09/14   147.12   147.17
09/12
23)  4.35   4.27   4.98   09/13   147.24   147.32
09/11
23)  4.37   4.29   4.97   09/12   146.63   146.72
09/08
23)  4.33   4.26   4.98   09/11   146.92   146.97

当社は、ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきた。
915日(金)の「日報」で、ブレント原油期近11月限が「94.40ドル」に伸びて来た時点で「佳境に入った」とお伝えし、94.40ドルから上はこれまでの「延長」ではすまなくなる可能性を指摘しました。

そして、今週は月末最終週。
明日929日(金)は原油期近の最終取引日(納会)です。
ブレント原油期近11月限は明日929日(金)が最終取引日(納会)。
ドバイ・マーカンタイル取引所のオマーン原油期近11月限も29日(金)が納会。
ドバイ原油1番限も明日29日(金)に1カ月間の平均値が確定します。
915日以降のこのかんの揉み合いを売った向きが、最終取引日前に踏み上げている。

当社の立場と意見

1.ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、915日(金)で原油の買いは止める。

2.その一方で、原油の大逆ザヤを売ることも奨められない。

3.915日(金)以降は「価格形成の構造とパターン」の変化を分析しています。

(ⅰ)ブレント原油期近11月限のプレミアムが買い直され、
(ⅱ)限月間の価格差が拡大し、
(ⅲ)逆ザヤが急勾配に傾斜した。
(ⅳ)アジアの石油ハブ、シンガポール石油製品はクラック・スプレッドが縮小した。原油高が「ナフサ/ガソリン」「ジェット燃料(ケロシン)/ガスオイル」の精製マージンを圧迫するようになった。

4.今週は月末最終週。明日29日(金)は期近1番限の納会です。

(ⅰ)明日929日(金)が、原油期近1番限の最終取引日(納会落ち)。
(ⅱ)このため、このかんの揉み合いを売った向きが踏み上げている。
(ⅲ)来週は2番限、3番限が期近に回る。
(ⅳ)逆ザヤ相場のサヤ出世が続くかどうか、10月相場に関しては不透明です。
(ⅴ)サウジアラビアは来週105日(木)に「11月調整項」を通知する予定。
(ⅵ)石油会社は今週から来週、スポット取引を控えると思います。

5.マクロ経済に偏重した議論の危険性

当社「日報」では、原油相場の分析をマクロ経済に直結させて理由づけする危険性を指摘しました。先入観に合致する情報だけを受け入れ、それに反するものは受け付けなくなります。「中国不動産市場の悪化」や「中国バブル崩壊」など「わかりやすい結論」に誘導されやすくなる。マクロ経済学的な分析は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立ちません。

6.結論

月末最終取引日に向けて、期近の取組内部要因の整理が進んでいる。価格形成の構造とパターンが変化しているので、必要としない売買は止めておく方がよいと思います。一般的に言って「取れる」ところではないと思います。

【1】国際原油取引の指標=ブレント原油
月末最終週の最終取引日前は、内部要因主導。
ブレント原油期近11月限で売りの踏み上げ。期近と先限で、プライス・アクションが異なる。限月間の価格差が急拡大し、逆ザヤが急勾配に傾斜した。

ブレント原油先物(ICE) 2023927日(水)       東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  94.12  97.06  94.10  96.55  +2.59   94.74
12
月限 2023  92.43  94.80  92.43  94.36  +1.93   93.15
01
月限 2024  91.00  92.84  90.99  92.41  +1.51   91.54
02
月限 2024  89.64  91.25  89.62  90.84  +1.28   90.12
03
月限 2024  88.47  89.97  88.46  89.59  +1.18   88.88
04
月限 2024  87.57  88.92  87.56  88.54  +1.05   87.91

【2】中東原油(中質サワー)のアジア向け指標
月末最終週の最終取引日前は、内部要因主導になる。ブレント原油とドバイ原油、オマーン原油は、必ずしも同じではない。

プラッツドバイ原油
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のプラッツ社査定価格

日付     ブレント原油11月限  ドバイ原油9月限   価格差
9
28日(木)
9
27日(水)   94.74ドル    95.45ドル    +0.71ドル
9
26日(火)   92.21ドル    92.84ドル    +0.63ドル
9
25日(月)   93.90ドル    94.10ドル    +0.20ドル
9
22日(金)   93.49ドル    94.30ドル    +0.81ドル
9
21日(木)   92.43ドル    93.24ドル    +0.81ドル
9
20日(水)   93.31ドル    93.86ドル    +0.55ドル
9
19日(火)   95.15ドル    95.20ドル    +0.05ドル
9
18日(月)   94.07ドル    95.21ドル    +1.14ドル
9
15日(金)   94.09ドル    95.55ドル    +1.46ドル
914日(木)   92.67ドル    93.85ドル    +1.18ドル
913日(水)   92.69ドル    93.90ドル    +1.21ドル
912日(火)   91.12ドル    92.35ドル    +1.23ドル
911日(月)   90.37ドル    91.60ドル    +1.23ドル

オマーン原油(DME
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のDMEマーカープライス
オマーン原油期近11月限は上昇していない。DMEのオマーン原油期近は、納会前のDME独自の内部要因が主導している。オマーン原油期近が月末納会前に、このような内部要因主導の動きになることは珍しいことではない。

日付     ブレント原油11月限 オマーン原油11月限  価格差
9
28日(木)
9
27日(水)   94.74ドル    94.31ドル    -0.43ドル
9
26日(火)   92.21ドル    92.57ドル    +0.36ドル
9
25日(月)   93.90ドル    94.19ドル    +0.29ドル
9
22日(金)   93.49ドル    94.28ドル    +0.79ドル
9
21日(木)   92.43ドル    93.11ドル    +0.68ドル
9
20日(水)   93.31ドル    93.79ドル    +0.48ドル
919日(火)   95.15ドル    95.09ドル    -0.06ドル
918日(月)   94.07ドル    95.20ドル    +1.13ドル
9
15日(金)   94.09ドル    95.51ドル    +1.42ドル
914日(木)   92.67ドル    93.86ドル    +1.19ドル
913日(水)   92.69ドル    93.82ドル    +1.13ドル
912日(火)   91.12ドル    92.31ドル    +1.19ドル
911日(月)   90.37ドル    91.58ドル    +1.21ドル

【3】本日928日(木)の東京為替
東京為替は「1ドル=149.75149.40149.05円」を想定します。

【4】本日928日(木)のプラッツドバイ原油
期近のプレミアムが急拡大し、かつてない大逆ザヤを形成している。ブレント原油期近11月限の売りが踏み上げているので、朝の試算価格は役に立たないかもしれません。

中東原油(中質サワー油種)の指標
9
28日(木)朝、プラッツ・ドバイ原油の試算
2
番限10月限を基準にすると 前日比 +2070円高 あたり。

【1】価格形成の構造とパターン

当社は915日(金)の「日報」で、ブレント原油期近11月限が「94.40ドル」に伸びて来た時点で「佳境に入った」とお伝えしました。

ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、94.40ドルから上はこれまでの「延長」ではすまなくなる可能性があり、具体的な変化の分析に注力する必要があることを指摘しました。

そして、その後、価格形成の構造とパターンが変化しています。

ブレント原油期近11月限のプレミアムが買い直され、限月間の価格差が拡大し、逆ザヤが急勾配に傾斜している。今週929日(金)には、期近1番限の最終取引日を迎える。

当社では、915日(金)から、原油の買いはお奨めしていません。原油の大逆ザヤを売ることもお奨めできない。現在は月末最終週にある。必要としない売買は止めておく方がよいと思います。

【2】マクロ経済に偏重した議論の危険性について

価格形成の構造とパターンをマクロ経済に直結させて理由づけするのは危険です。

大手メディアは7月、「中国経済の回復力の鈍さ」を伝え、それを「原油の高値警戒感」の理由づけにしていた。
(ⅰ)習近平の中国の特色ある社会主義思想(中国共産党の一元的指導)
(ⅱ)中国の不動産市場の低迷
(ⅲ)地方政府の債務と財政難
(ⅳ)若年層の失業
(ⅴ)人口減少と少子高齢化

「中国不動産市場の下落、中国バブルの崩壊、世界経済の停滞」というストーリを描いてしまうと、それに合致する情報だけを受け入れ、それに反するものは受け付けなくなります。「中国バブル崩壊」のような「わかりやすい結論」に誘導されやすくなる。「わかったふうな議論」に安住し、それによって「原油の売り」に固執し、「売り」の堂々巡りから抜け出せなくなります。

重要なことは、マクロ経済学的な分析は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立たないということです。

それは原油だけでなく、外為市場でも同じです。

米国の政策金利は昨年(2022)初めの「ゼロ金利」から、本年(2023)は5.50%に上昇した。マクロ経済の見地から言えば、このような大幅な金融引き締めは、このあと失業率の上昇と景気後退に陥る可能性が高い。20222023年の金融引き締めは、ここから持続的な景気回復が始まるのではなく、このあと失業率の上昇と景気後退に陥る可能性が高い。

歴史は常に繰り返されるわけではないが、それでも歴史的な経験的観点から言えば、米FRBの利上げサイクルが最終到達点(ターミナルレート)を経過するとき、米国の経済指標は下振れしてくるので、おそらく、FRBは来年2024年、予想よりも早く利下げを実施する可能性があると考えています。

こうした見通しは、マクロ経済に重きを置いた見通しです。これを足元の外為市場に直結させると、融通のきかない議論になる。足元の米ドル高が見えなくなります。

足元のドル円の分析では、具体的な変化を把握しなければならない。マクロ経済的な分析は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立たない。

月末の最終取引日に向けて、価格形成の構造とパターンが変化しているとき、相場としてむずかしいところなので、必要としない売買は止めておく方がよいと思います。

【3】国際原油取引の指標=ブレント原油
期近と先限で、プライス・アクションが異なる。
限月間の価格差が拡大し、逆ザヤが急勾配に傾斜した。

ブレント原油先物(ICE) 2023925日(月)       東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  93.75  94.25  92.54  93.29  +0.02   93.90
12
月限 2023  92.39  92.73  91.20  91.88  -0.08   92.40
01
月限 2024  91.03  91.25  89.82  90.47  -0.11   90.89
02
月限 2024  89.77  89.92  88.58  89.20  -0.14   89.55
03
月限 2024  88.68  88.78  87.50  88.10  -0.16   88.41
04
月限 2024  87.83  87.85  86.64  87.20  -0.16   87.45

ブレント原油先物(ICE) 2023922日(金)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  93.37  94.64  92.80  93.27  -0.03   93.49
12
月限 2023  92.29  93.37  91.59  91.96  -0.30   92.44
01
月限 2024  91.10  92.01  90.31  90.58  -0.51   91.23
02
月限 2024  89.98  90.79  89.15  89.34  -0.66   90.11
03
月限 2024  89.01  89.71  88.14  88.26  -0.76   89.16
04
月限 2024  88.16  88.82  87.30  87.36  -0.84   88.28

【4】中東原油(中質サワー)のアジア向け指標
現在は、変化の真っ只中にある。
月末最終週の不規則な変化もある。
ブレント原油期近とドバイ原油期近の動きは、必ずしも同じではない。

プラッツドバイ原油
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のプラッツ社査定価格

日付     ブレント原油11月限  ドバイ原油9月限   価格差

926日(火)
9
25日(月)   93.90ドル    94.10ドル    +0.20ドル

922日(金)   93.49ドル    94.30ドル    +0.81ドル
9
21日(木)   92.43ドル    93.24ドル    +0.81ドル
9
20日(水)   93.31ドル    93.86ドル    +0.55ドル
9
19日(火)   95.15ドル    95.20ドル    +0.05ドル
9
18日(月)   94.07ドル    95.21ドル    +1.14ドル

915日(金)   94.09ドル    95.55ドル    +1.46ドル
914日(木)   92.67ドル    93.85ドル    +1.18ドル
913日(水)   92.69ドル    93.90ドル    +1.21ドル
912日(火)   91.12ドル    92.35ドル    +1.23ドル
911日(月)   90.37ドル    91.60ドル    +1.23ドル

オマーン原油(DME
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のDMEマーカープライス

日付     ブレント原油11月限 オマーン原油11月限  価格差

926日(火)
9
25日(月)   93.90ドル    94.19ドル    +0.29ドル

922日(金)   93.49ドル    94.28ドル    +0.79ドル
9
21日(木)   92.43ドル    93.11ドル    +0.68ドル
9
20日(水)   93.31ドル    93.79ドル    +0.48ドル
919日(火)   95.15ドル    95.09ドル    -0.06ドル
918日(月)   94.07ドル    95.20ドル    +1.13ドル

915日(金)   94.09ドル    95.51ドル    +1.42ドル
914日(木)   92.67ドル    93.86ドル    +1.19ドル
913日(水)   92.69ドル    93.82ドル    +1.13ドル
912日(火)   91.12ドル    92.31ドル    +1.19ドル
911日(月)   90.37ドル    91.58ドル    +1.21ドル

【5】本日926日(火)の東京為替
1ドル=149.05148.80148.55円」を想定します。

【6】本日926日(火)のプラッツドバイ原油
アジアの中東原油市場は実質的に東京時間午後230分~530分。
わが国石油会社の購入原油価格の基準は東京時間午後530分の査定価格です。

アジア向け中東原油(中質サワー油種)の指標
9
26日(火)朝のプラッツ・ドバイ原油試算

限月              148.90円で換算   前日比

ドバイ原油09月限  93.30ドル  87,370/KL  月間の平均値
ドバイ原油10月限  92.00ドル  86,160/KL   -210円安●
ドバイ原油11月限  90.50ドル  84,750/KL   +130円高
ドバイ原油12月限  89.00ドル  83,350/KL   +490円高
ドバイ原油01月限  87.60ドル  82,040/KL   +790円高
ドバイ原油02月限  86.30ドル  80,820/KL   +940円高

2番限10月限を基準にすると 前日比 -210円安 あたり。

期近のプレミアム。かつてない逆ザヤを形成しています。
今週は月末の最終週。
来週10月には、ドバイ原油10月限、11月限が期近に回ってきます。

当社は915日(金)の「日報」で、ブレント原油期近11月限が「94.40ドル」に伸びて来た時点で「佳境に入った」とお伝えしました。

ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、94.40ドルから上はこれまでの「延長」ではすまなくなる可能性があり、具体的な変化の分析に注力する必要があることを指摘しました。

そして、915日(金)、18日(月)、19日(火)の相場で、価格形成の構造とパターンに変化が表れています。

【1】構造とパターンの変化

(ⅰ)国際原油取引の指標であるブレント原油先物(ICE)において、期近11月限、12月限と、20241月限以降の限月との間では、プライス・アクションが異なります。

(ⅱ)ブレント原油期近11月限は「ブレント原油期近のプレミアムを買う」動き。

(ⅲ)ブレント原油期近の逆ザヤが急勾配になり、限月間価格差が拡大した。

(ⅳ)ブレント原油と中東原油のアジア向け指標であるドバイ原油との関係も変化した。これまで7月、8月、9月と、プラッツドバイ原油期近1番限は、ブレント原油先物(ICE)期近より「+1ドル」の上ザヤを形成してきたが、今週はブレント原油期近のプレミアムが買われ、プラッツドバイ原油が下ザヤになる動きになった。

(ⅴ)シンガポール石油製品はジェット燃料(ケロシン)のクラックが縮小した。

(ⅵ)構造とパターンはこのあとも変化するので、その分析に注力します。

【2】必要としない売買は勧めません

当社では、915日(金)から、原油の買いはお奨めしていません。

しかし、原油の大逆ザヤを売ることもお奨めできません。

現在は価格形成の構造とパターンが変化しているときです。変化の真っ只中は、さらに変化する可能性があるので、手を出さない方がよいと思います。

【3】国際原油取引の指標=ブレント原油(ICE

ブレント原油期近「96ドル」の目標を指呼の間にしてから、価格形成の構造とパターンが変化した。(ⅰ)ブレント原油期近11月限、12月限と、20241月限以降の限月との間でプライス・アクションが異なり、(ⅱ)ブレント原油期近11月限では「期近のプレミアムを買う」動きになった。(ⅲ)それによって、ブレント原油期近の逆ザヤが急勾配となり、限月間価格差が拡大した。

ブレント原油先物(ICE) 2023919日(火)        東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  94.66  95.96  94.16  94.34  -0.09   95.15
12
月限 2023  93.44  94.57  92.97  93.14  -0.15   93.78
01
月限 2024  92.25  93.15  91.74  91.88  -0.22   92.39
02
月限 2024  91.09  91.89  90.61  90.73  -0.27   91.13
03
月限 2024  90.05  90.79  89.62  89.72  -0.25   90.01
04
月限 2024  89.11  89.85  88.77  88.86  -0.21   89.05

ブレント原油先物(ICE) 2023918日(月)       東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  94.28  94.95  93.79  94.43  +0.50   94.07
12
月限 2023  93.39  93.91  92.69  93.29  +0.25   93.17
01
月限 2024  92.37  92.78  91.56  92.10  +0.05   92.13
02
月限 2024  91.23  91.70  90.49  91.00  -0.06   91.08
03
月限 2024  90.31  90.68  89.49  89.97  -0.12   90.08
04
月限 2024  89.35  89.78  88.62  89.07  -0.14   89.19

ブレント原油先物(ICE) 2023915日(金)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  94.02  94.63  92.67  93.93  +0.23   94.09
12
月限 2023  93.16  93.83  91.92  93.04  +0.10   93.32
01
月限 2024  92.26  92.89  91.06  92.05  -0.02   92.39
02
月限 2024  91.33  91.92  90.17  91.06  -0.11   91.45
03
月限 2024  90.43  90.95  89.29  90.09  -0.19   90.49
04
月限 2024  89.57  90.07  88.49  89.21  -0.23   89.63

【2】中東原油(中質サワー)のアジア向け指標

ブレント原油との価格差が919日(火)大きく変化した。

プラッツドバイ原油
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のプラッツ社査定価格

日付     ブレント原油11月限  ドバイ原油9月限   価格差

920日(水)
9
19日(火)   95.15ドル    95.20ドル    +0.05ドル
9
18日(月)   94.07ドル    95.21ドル    +1.14ドル
9
15日(金)   94.09ドル    95.55ドル    +1.46ドル
914日(木)   92.67ドル    93.85ドル    +1.18ドル
913日(水)   92.69ドル    93.90ドル    +1.21ドル
912日(火)   91.12ドル    92.35ドル    +1.23ドル
911日(月)   90.37ドル    91.60ドル    +1.23ドル
9
08日(金)   90.02ドル    91.09ドル    +1.07ドル
907日(木)   90.37ドル    91.48ドル    +1.11ドル
9
06日(水)   89.36ドル    90.60ドル    +1.24ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.20ドル    +0.99ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.58ドル    +1.22ドル
9
01日(金)   87.00ドル    Polling Day

オマーン原油(DME
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のDMEマーカープライス

日付     ブレント原油11月限 オマーン原油11月限  価格差

920日(水)
9
19日(火)   95.15ドル    95.09ドル    -0.06ドル●
9
18日(月)   94.07ドル    95.20ドル    +1.13ドル
9
15日(金)   94.09ドル    95.51ドル    +1.42ドル
914日(木)   92.67ドル    93.86ドル    +1.19ドル
913日(水)   92.69ドル    93.82ドル    +1.13ドル
912日(火)   91.12ドル    92.31ドル    +1.19ドル
911日(月)   90.37ドル    91.58ドル    +1.21ドル
9
08日(金)   90.02ドル    91.04ドル    +1.02ドル
907日(木)   90.37ドル    91.39ドル    +1.02ドル
906日(水)   89.36ドル    90.41ドル    +1.05ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.21ドル    +1.00ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.41ドル    +1.05ドル
901日(金)   87.00ドル    88.23ドル    +1.23ドル

【3】本日920日(水)の東京為替
1ドル=147.95147.65147.35円」

【4】本日920日(水)のプラッツドバイ原油
アジアの中東原油市場は実質的に東京時間午後230分~530分。
わが国石油会社の購入原油価格の基準は東京時間午後530分の査定価格です。

中東原油(中質サワー油種)の指標
9
20日(水)朝、プラッツ・ドバイ原油の試算

限月              147.80円で換算   前日比

ドバイ原油09月限  94.10ドル  87,470/KL  月間の平均値
ドバイ原油10月限  92.90ドル  86,360/KL   -690円安●
ドバイ原油11月限  91.60ドル  85,150/KL   -240円安
ドバイ原油12月限  90.30ドル  83,940/KL    -20円安
ドバイ原油01月限  89.10ドル  82,820/KL    +470円高
ドバイ原油02月限  88.00ドル  81,800/KL    +730円高

2番限10月限を基準にすると 前日比 -690円安あたり。
当社では、915日(金)から、原油の買いはお奨めしていません。しかし、原油の大逆ザヤを売ることもお奨めできません。現在は価格形成の構造とパターンが変化しているときです。変化の真っ只中は、さらに変化する可能性があります。手を出さない方がよいと思います。

原油相場は佳境に入ってきたので、要点を整理します。
当社は、心づもりとして、ブレント原油期近「96ドル」を目標にしたので、本日915日(金)の「日報」は「佳境に入ってきた」という認識でお伝えします。

当社「日報」は7月、8月、9月、以下のことを記してきました。

(1)中東産「中質サワー原油」のアジア向け指標の高さ
中質サワー原油のアジア需要が強い。

(2)シンガポール石油製品のクラック・スプレッドが拡大
とくにケロシン、ガスオイルの中間留分の精製マージンが好調

(3)マクロ経済に経済に偏重した議論の危険性
具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ思考停止

今週の原油相場でも、これまでの価格形成の構造とパターンが継続しています。
まず、アジアのオイル・ハブ、シンガポールの石油製品を見れば、中間留分のクラック・スプレッドは今週も本年1月以来の「1バレルあたり30ドル水準」で推移している。

【1】シンガポールの石油製品クラック
アジア市況の中間留分のクラック・スプレッドは1バレルあたり30ドル水準です。
単位:1バレルあたり 米ドル

.      ブレント  ガソリン     ジェット燃料/   ガスオイル
日付    原油期近 GL92-SIN クラック ケロシン クラック 0.5 S クラック
9/1523
9/14
23) 92.67 X   108.05 +15.38  126.38 +33.71  120.19 +27.52
9/13
23) 92.69 X   106.95 +14.26  125.10 +32.41  118.47 +25.78
9/12
23) 91.12 X   105.45 +14.33  124.37 +33.25  117.93 +26.81
9/11
23) 90.37 X   104.50 +14.13  123.71 +33.34  116.59 +26.22
9/08
23) 90.02 X   103.90 +13.88  122.24 +32.22  115.43 +25.41
9/07
23) 90.37 X   103.30 +12.93  120.48 +30.11  113.42 +23.05

9/0623) 89.36 X   102.10 +12.74  121.00 +31.64  114.03 +24.67
9/05
23) 88.21 X   102.50 +14.29  118.78 +30.57  111.46 +23.25
9/04
23) 88.36 X   102.35 +13.99  118.10 +29.74  110.77 +22.41
9/01
23) 87.00 X   Polling Day(大統領選挙 )
8/31
23) 86.08 V   102.10 +16.02  116.57 +30.49  109.22 +23.14

8/3023) 85.70 V   102.00 +16.30  118.02 +32.32  110.92 +25.22
8/29
23) 84.64 V   104.00 +19.36  120.02 +35.38  112.20 +27.56
8/28
23) 84.89 V   104.20 +19.31  122.62 +37.73  114.88 +29.99

【2】中東原油(中質サワー)のアジア向け指標の高さ
当社は7月から「中東原油の中質サワーのアジア需要が強い」と記してきました。
中東原油(中質サワー)のアジア向け指標は高い。
中国の原油需要は旺盛で、イラン原油に対する購入意欲も強い。
本年6月下旬以降、7月、8月、9月と、原油価格形成の構造とパターンが継続している。

本日915日(金)ブレント原油期近は94.40ドル」、
中東原油のアジア向け指標、プラッツ・ドバイ原油は95.60ドル」です。

当社は、ブレント原油期近「96ドル」を目標にしてきたので、本日915日(金)のブレント原油期近11月限「94.40ドル」は「96ドル」を指呼の間にしている。本日の「日報」(石油)は「佳境に入ってきた」という認識でお伝えしています。

本日915日(金)の原油相場で、国際原油取引の指標であるブレント原油期近11月限が「94.40ドル」に伸びて「96ドル」を指呼の間にすると、これまでの価格形成の構造とパターンの「延長」ではすまなくなる可能性があります。

プラッツドバイ原油
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のプラッツ社査定価格

日付     ブレント原油11月限  ドバイ原油9月限   価格差

915日(金)  94.40ドル)  (95.60ドル)   カッコは予想
9
14日(木)   92.67ドル    93.85ドル    +1.18ドル
913日(水)   92.69ドル    93.90ドル    +1.21ドル
9
12日(火)   91.12ドル    92.35ドル    +1.23ドル
911日(月)   90.37ドル    91.60ドル    +1.23ドル

908日(金)   90.02ドル    91.09ドル    +1.07ドル
9
07日(木)   90.37ドル    91.48ドル    +1.11ドル
9
06日(水)   89.36ドル    90.60ドル    +1.24ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.20ドル    +0.99ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.58ドル    +1.22ドル

901日(金)   87.00ドル    Polling Day

オマーン原油(DME
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のDMEマーカープライス

日付     ブレント原油11月限 オマーン原油11月限  価格差

915日(金)
9
14日(木)   92.67ドル    93.86ドル    +1.19ドル
913日(水)   92.69ドル    93.82ドル    +1.13ドル
912日(火)   91.12ドル    92.31ドル    +1.19ドル
911日(月)   90.37ドル    91.58ドル    +1.21ドル

908日(金)   90.02ドル    91.04ドル    +1.02ドル
9
07日(木)   90.37ドル    91.39ドル    +1.02ドル
9
06日(水)   89.36ドル    90.41ドル    +1.05ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.21ドル    +1.00ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.41ドル    +1.05ドル

901日(金)   87.00ドル    88.23ドル    +1.23ドル

【3】マクロ経済に偏重した議論の危険性について
ブレント原油期近11月限「94.50ドル」近傍は、「96ドル」を指呼の間にする近さにあるため、佳境に入ってきた可能性があり、考えるところに来ています。当社「日報」では、物事を考える際、マクロ経済に偏重した議論の危険性に注意してきました。

マクロ経済に偏重した議論の危険性
日本経済新聞など大手メディアは7月、「中国経済の回復力の鈍さ」を伝え、それを原油相場に直結させて「高値警戒感」の理由付けにしていた。

(ⅰ)習近平の中国の特色ある社会主義思想(中国共産党の一元的指導)
(ⅱ)中国の不動産市場の低迷
(ⅲ)中国地方政府の債務と財政難
(ⅳ)中国の若年層の失業
(ⅴ)中国の人口減少と少子高齢化

原油相場をマクロ経済に直結させると、原油相場を見ずに、先入観で勝手気儘な議論ができるようになる。「中国不動産市場の下落、中国バブル崩壊、世界経済の停滞」という「グローバル・マクロ」風のストーリを描いてしまうと、それに合致する情報だけを受け入れ、それに反するものは受け付けなくなる。「わかったふうな議論」に安住し、「中国バブル崩壊」のような「わかりやすい結論」に誘導されやすくなる。
「売り」に固執し、「売りの堂々巡り」から抜け出せなくなる。

重要なことは、マクロ経済学的な分析は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立たないということです。
中国の原油輸入量は鈍化しているのか?
中国石油企業の原油購入意欲は後退しているのか?
中国における原油処理量は減少しているのか?

ブレント原油期近11月限「94.50ドル」近傍は、「96ドル」を指呼の間にする近さにあり、佳境に入ってきた可能性があり、考えるところに来ていますが、分析は具体的に考える必要があります。マクロ経済に偏重した議論は、おおざっぱな思惑だけで結果を得ようとする「なまけ者の議論」です。

「日本経済新聞」について
日本経済新聞などは7月相場から「中国不動産市況の悪化」「中国経済の回復力の鈍さ」を伝えた。それを原油相場に直結させた。

それが通用しなくなると、「日本経済新聞」97日(水)朝刊3面に、信じられない記事が並んだ。97日(木)の日本経済新聞は「サウジアラビアが悪い」と言い出した。

202397日(木)「日本経済新聞」朝刊3
「サウジ、世界経済揺さぶる/原油減産継続、10ヵ月ぶり高値」
「米インフレ再燃なら『景気軟着陸』危うく」

資源高が世界経済のリスクを高めている。・・・もっとも資源高が続くとも言い切れない。不動産の過剰債務問題が深刻な中国の景気減速もあり、エネルギーは実需面で弱さが残る。世界経済の見通しは不透明感が強い。

202397日(木)「日本経済新聞」朝刊3面 岐部秀光
「ロシアと足並み、米を挑発」
サウジアラビアは95日、ロシアの輸出制限とともに自主減産の延長を表明し、市場の価格に大きな影響をあたえる自国の力を誇示した。長期的な関係修復をのぞみながらも、足元ではインフレ克服に苦しむ米国を露骨に挑発している。政治的な影響力を狙って主張を強めるサウジの動きは、世界経済の波乱要因になっている。

「日本経済新聞」97日(水)朝刊3面は、あまりに酷かった。
このため1週間後の913日(水)11面に、商品市況欄を担当する古賀雄大が事実上の「訂正記事」を書いた。

2023913日(水)「日本経済新聞」朝刊11
NY原油急伸 迫る90ドル」
「今年の世界需要、最大へ」
「中国の消費拡大続く/サウジ・ロシア減産も影響」
中国では不動産業界の苦境などで景気懸念が強いが、世界需要の伸びの大半を中国がけん引する見通し。

それでも、日本経済新聞は、中東原油の中質サワーの強さに目を向けておらず、ニューヨークWTIに偏重した感想文にとどまっている。「中国不動産市場の低迷」「中国経済の回復力の鈍さ」「中国バブル崩壊」というマクロ経済に偏重した議論は、その具体的な変化の分析に欠いていると、壊れたレコード盤のように「原油の売り」に固執するだろうと思います。あるいは、具体的な変化の分析を欠いたまま、手のひら返しの宗旨替えに移行する。

我々が注意すること
市場に「中国不動産市場の低迷」「中国経済の回復力の鈍さ」「中国バブル崩壊」というマクロ経済に偏重した議論が底流しているので、相場に過熱感がない。相場は「押しながら上げていく」ことができる。

原油価格形成の構造とパターンはこのあとも継続する可能性が高い。

ただ、そうは言っても、ブレント原油期近「96ドル」は当面の目標です。
それを指呼の間にするところに来れば、これまでの構造とパターンの「延長」ではすまなくなる可能性があります。

本日915日(金)、国際原油取引の指標であるブレント原油期近94.40ドル」
中東原油のアジア向け指標であるプラッツ・ドバイ原油は95.60ドル」です。
原油価格形成の構造とパターンはこのあとも継続する可能性が高いものの、ブレント原油期近11月限「94.40ドル」は、「96ドル」を指呼の間する近さです。具体的な変化の分析に注力する必要があります。

中東原油(中質サワー)のアジア向け指標が高い。
原油価格形成の構造とパターンは継続している。
国際原油取引の指標であるブレント原油期近が92.00ドル」のとき
中東原油のアジア向け指標であるプラッツ・ドバイ原油は93.25ドル」です。

本日913日(水)プラッツ・ドバイ原油 朝の試算
限月             147.10円で換算   前日比
ドバイ原油09月限  93.25ドル  86,270/KL   +1870円高
ドバイ原油10月限  92.05ドル  85,160/KL   +1420円高
ドバイ原油11月限  90.85ドル  84,050/KL   +1640円高
ドバイ原油12月限  89.65ドル  82,940/KL   +1830円高
ドバイ原油01月限  88.60ドル  81,970/KL   +2100円高
ドバイ原油02月限  87.60ドル  81,040/KL   +2190円高

【1】国際原油取引の指標=ブレント原油(ICE
ブレント原油先物(ICE) 2023912日(火)        東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  90.62  92.40  90.52  92.06  +1.42   91.12
12
月限 2023  90.03  91.66  89.93  91.33  +1.29   90.49
01
月限 2024  89.31  90.82  89.25  90.51  +1.19   89.76
02
月限 2024  88.58  89.98  88.50  89.68  +1.10   89.00
03
月限 2024  87.86  89.16  87.86  88.88  +1.03   88.24
04
月限 2024  87.22  88.40  87.16  88.12  +0.95   87.54

ブレント原油先物(ICE) 2023911日(月)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  90.83  91.45  90.11  90.64  -0.01   90.37
12
月限 2023  90.03  90.84  89.52  90.04  +0.01   89.82
01
月限 2024  89.18  90.08  88.80  89.32  +0.03   89.12
02
月限 2024  88.30  89.31  88.06  88.58  +0.05   88.39
03
月限 2024  87.57  88.55  87.35  87.85  +0.05   87.67
04
月限 2024  86.89  87.83  86.72  87.17  +0.06   87.00

ブレント原油先物(ICE) 202398日(金) 
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  89.79  91.02  89.30  90.65  +0.73   90.02
12
月限 2023  89.10  90.34  88.63  90.03  +0.78   89.32
01
月限 2024  88.33  89.54  87.92  89.29  +0.80   88.56
02
月限 2024  87.61  88.74  87.19  88.53  +0.79   87.80
03
月限 2024  86.91  87.98  86.52  87.80  +0.76   87.10
04
月限 2024  86.20  87.29  85.90  87.11  +0.71   86.45

【2】中東原油(中質サワー)のアジア向け指標
中東原油(中質サワー)のアジア向け指標が高い。
原油価格形成の構造とパターンは継続している。

プラッツドバイ原油
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のプラッツ社査定価格

日付    ブレント原油11月限  ドバイ原油9月限    価格差

913日(水)  (92.00ドル   (93.25ドル)
9
12日(火)   91.12ドル    92.35ドル    +1.23ドル
911日(月)   90.37ドル    91.60ドル    +1.23ドル

908日(金)   90.02ドル    91.09ドル    +1.07ドル
9
07日(木)   90.37ドル    91.48ドル    +1.11ドル
9
06日(水)   89.36ドル    90.60ドル    +1.24ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.20ドル    +0.99ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.58ドル    +1.22ドル

901日(金)   87.00ドル    Polling Day

オマーン原油(DME
シンガポール時間午後430分(東京時間午後530分)のDMEマーカープライス

日付    ブレント原油11月限 オマーン原油11月限  価格差

913日(水)
9
12日(火)   91.12ドル    92.31ドル    +1.19ドル
911日(月)   90.37ドル    91.58ドル    +1.21ドル

908日(金)   90.02ドル    91.04ドル    +1.02ドル
9
07日(木)   90.37ドル    91.39ドル    +1.02ドル
9
06日(水)   89.36ドル    90.41ドル    +1.05ドル
9
05日(火)   88.21ドル    89.21ドル    +1.00ドル
9
04日(月)   88.36ドル    89.41ドル    +1.05ドル

901日(金)   87.00ドル    88.23ドル    +1.23ドル

【3】本日913日(水)の東京為替
1ドル=147.35147.00146.65円」
本日913日(水)午後930分、米消費者物価指数(CPI)発表です。

【4】本日913日(水)のプラッツドバイ原油
アジアの中東原油市場は実質的に東京時間午後230分~530分。
わが国石油会社の購入原油価格の基準は東京時間午後530分の査定価格です。

中東原油(中質サワー油種)のアジア向け指標
9
13日(水)朝の試算、プラッツ・ドバイ原油

限月             147.10円で換算   前日比

ドバイ原油09月限  93.25ドル  86,270/KL   +1870円高
ドバイ原油10月限  92.05ドル  85,160/KL   +1420円高
ドバイ原油11月限  90.85ドル  84,050/KL   +1640円高
ドバイ原油12月限  89.65ドル  82,940/KL   +1830円高
ドバイ原油01月限  88.60ドル  81,970/KL   +2100円高
ドバイ原油02月限  87.60ドル  81,040/KL   +2190円高

2番限10月限を基準にすると 前日比 +1420円高あたり。

【1】米国債の利回りと為替(ドル円)
本日97日(木)の東京為替
1ドル=147.95147.65147.35円」を想定します。

米国     米30年債  10年債 2年債   日本
日付     利回り  利回り  利回り    日付  東京中心値  東京仲値

09/0623)  4.37   4.30   5.01   09/07  147.95147.65147.35
09/05
23)  4.38   4.27   4.94   09/06   147.80   147.86
09/04
22)  Labor Day           09/05   147.00   146.56
09/01
23)  4.29   4.18   4.87   09/04   146.21   146.27

08/3123)  4.20   4.09   4.85   09/01   145.64   145.73
08/30
23)  4.23   4.12   4.90   08/31   146.07   146.20
08/29
23)  4.23   4.12   4.87   08/30   146.01   146.05

08/2823)  4.29   4.20   4.98   08/29   146.48   146.53
08/25
23)  4.30   4.25   5.03   08/28   146.49   146.55

【2】サウジアラムコ アジア向け調整項引き上げ
サウジアラビアは95日(火)、日量100万バレルの自主減産を12月まで延長すると発表した。自主減産継続によって、サウジアラビアの原油生産量は712月、日量900万バレルで推移する。ロシアも日量30万バレルの削減を12月まで続ける。そして。サウジアラムコは96日(水)、10月アジア向け調整項を引き上げた。

)事前予想と比較して「アラブ・ライト」の引き上げ幅は+10セントと小幅。
)「アラブ・エキストラライト」(AXL)の引き上げ幅は+30セント。
)それでも、サウジ原油各油種のアジア向け調整項は「アラブ・ライト」「アラブ・ミディアム」の中質サワーが高い。
)中東産中質サワーのアジア向け指標の高さは、サウジ原油にリンクしているイラン、クウェート、イラク原油にも波及する。

サウジ原油のアジア向け本船渡し価格(FOB)は「ドバイ原油およびオマーン原油の1カ月間の平均値」に対する「各油種の調整項」で表示される。
油種        8月積み   9月積み  10月積み   前月比
スーパーライト  +4.35ドル +4.95ドル 5.45ドル +0.50ドル高
エキストラライト +2.55ドル +2.55ドル 2.85ドル +0.30ドル高
ライト      +3.20ドル +3.50ドル 3.60ドル +0.10ドル高
ミディアム    +2.65ドル +3.35ドル 3.45ドル +0.10ドル高
ヘビー      +1.00ドル +1.60ドル 1.70ドル +0.10ドル高

【3】国際原油取引の指標=ブレント原油
国際原油取引の指標であるブレント原油期近が90.50ドル」のとき
中東原油のアジア向け指標であるプラッツ・ドバイ原油は91.70ドル」です。

中東原油のアジア向け指標はすでに90ドル台、さらに91ドル、92ドルに上昇している。しかし、とても不思議なことに、わが国の新聞やテレビはアジア市場のマーカー原油の高さを伝えない。東京原油(TOCOM)についても、プラッツドバイ原油期近9月限の「85,000円」を伝えずに、20241月限の「78,170円」をまるで「指標」のように言及している。

「サウジアラビアが悪い」「ロシアが悪い」
「中国は地方政府や不動産の過剰債務で景気回復力が弱い」
「中国需要が弱い」「原油相場は高値警戒感」 - そういう話を毎日伝える。

しかし、わが国の「円貨/キロリットル」建て価格を押し上げいるのは、原油相場そのものよりも、円安と言わなければならない。「1ドル=147円台」の円安が、輸入貨物の国内物価への波及を耐え難いものにしている。「サウジアラビアが悪い」「ロシアが悪い」と言ってすませられる問題ではない。原油相場は、8月に「86ドル手前の揉み合い」「86ドルの揉み合い」を経てきており、86ドルの要衝を上に抜いたあと「90ドル」に乗せるのは当たり前だと思います。

ブレント原油先物(ICE) 202396日(水)        東京1730
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  90.12  91.10  89.25  90.60  +0.56   89.36
12月限 2023  89.44  90.35  88.63  89.86  +0.51   88.73
01
月限 2024  88.66  89.52  87.89  89.05  +0.46   87.27
02
月限 2024  87.88  88.70  87.17  88.25  +0.41   86.59
03
月限 2024  87.20  87.95  86.51  87.51  +0.37   85.99
04
月限 2024  86.56  87.26  85.90  86.83  +0.32   85.43

ブレント原油先物(ICE) 202395日(火)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  88.91  91.15  88.06  90.04  +1.04   88.21
12
月限 2023  88.15  90.37  87.39  89.35  +1.10   87.54
01
月限 2024  87.46  89.54  86.75  88.59  +1.04   86.88
02
月限 2024  86.78  88.74  86.13  87.84  +0.95   86.24
03
月限 2024  86.17  88.03  85.58  87.14  +0.84   85.68
04
月限 2024  85.64  87.39  85.08  86.51  +0.75   85.17

ブレント原油先物(ICE) 202394日(月)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 アジア終値
11
月限 2023  88.95  89.22  88.26  89.00  +0.45   88.36
12
月限 2023  88.09  88.44  87.55  88.25  +0.45   87.62
01
月限 2024  87.39  87.74  86.87  87.55  +0.45   86.91
02
月限 2024  86.71  87.07  86.22  86.89  +0.46   86.28
03
月限 2024  85.94  86.46  85.64  86.30  +0.48   85.68
04
月限 2024  85.38  85.93  85.12  85.76  +0.48   85.18

【4】マクロ経済に偏重した議論は危険です
マクロ経済に偏重した分析は、市場の中で「わかったふうな議論」になる。
「中国バブル崩壊」のような「わかりやすい話」に誘導されやすい。

事実そのものに深さ、複雑さ、多面性がある。
NHK
の「クローズアップ現代」のキャスターをしていた国谷裕子が次のように記していたことを思い出す。どうやって、事実の深さ、複雑さ、多面性をそぎ落すことなく伝えられるか、できるだけその事実の持つ深さと全体像を俯瞰して伝えられるか、「わかりやすく」して伝えるだけでなく、「わかりやすい」ことの裏側にある難しさ、課題の大きさを明らかにできるか。

マクロ経済に偏重した議論は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立たない。本年(202356月安値を「将来の推定の基準」として正当化するようになる。東京TOCOMのプラッツ・ドバイ原油では、大逆ザヤを拡大させる。「中国バブル=売り」の堂々巡りを繰り返すことになります。

【5】本日97日(木)のプラッツ・ドバイ原油
本日7日(木)の「1ドル=147.95147.65147.35円」を想定。
中東原油(中質サワー油種)のアジア向け指標が強い。
アジアの中東原油市場は実質的に東京時間午後230分~530分。
わが国石油会社の購入原油価格の基準は東京時間午後530分の査定価格です。

中東原油(中質サワー油種)の指標
9
7日(木)朝、プラッツ・ドバイ原油の試算
限月            147.68円で換算   前日比

ドバイ原油09月限  91.65ドル  85,120/KL    +820円高
ドバイ原油10月限  90.60ドル  84,150/KL    +900円高●
ドバイ原油11月限  89.55ドル  83,170/KL   +1570円高
ドバイ原油12月限  88.50ドル  82,200/KL   +1920円高
ドバイ原油01月限  87.55ドル  81,320/KL   +2240円高
ドバイ原油02月限  86.65ドル  80,480/KL   +2510円高

2
番限10月限を基準にすると 前日比 +900円高 あたり。

サウジアラビアは95日(火)、日量100万バレルの自主減産を12月まで延長すると発表した。自主減産継続によって、サウジアラビアの原油生産量は712月、日量900万バレルで推移する。ロシアも日量30万バレルの削減を12月まで続ける。そして。サウジアラムコは96日(水)、10月アジア向け調整項を引き上げた。

(ⅰ)事前予想と比較して「アラブ・ライト」の引き上げ幅は+10セントと小幅。
(ⅱ)「アラブ・エキストラライト」(AXL)の引き上げ幅は+30セント。
(ⅲ)それでも、サウジ原油各油種のアジア向け調整項は「アラブ・ライト」「アラブ・ミディアム」の中質サワー原油が高い。
(ⅳ)中東産中質サワーのアジア向け指標の高さは、サウジ原油にリンクしているイラン、クウェート、イラク原油にも波及する。

アジア向け調整項 引き上げ
サウジ原油のアジア向け本船渡し価格(FOB)は「ドバイ原油およびオマーン原油の1カ月間の平均値」に対する「各油種の調整項」で表示される。
油種        8月積み   9月積み  10月積み   前月比
スーパーライト  +4.35ドル +4.95ドル 5.45ドル +0.50ドル高
エキストラライト +2.55ドル +2.55ドル 2.85ドル +0.30ドル高
ライト      +3.20ドル +3.50ドル 3.60ドル +0.10ドル高
ミディアム    +2.65ドル +3.35ドル 3.45ドル +0.10ドル高
ヘビー      +1.00ドル +1.60ドル 1.70ドル +0.10ドル高

サウジ原油 北西ヨーロッパ向け調整項
サウジ原油の北西ヨーロッパ向けは「ブレント原油(ICE)」に対する調整項で表示される。
油種         8月積み   9月積み  10月積み   前月比
エキストラライト +4.40ドル +7.40ドル 7.30ドル 0.10ドル安
ライト      +3.80ドル +5.80ドル 5.70ドル 0.10ドル安
ミディアム    +3.30ドル +4.60ドル 4.50ドル 0.10ドル安
ヘビー      +0.90ドル +1.90ドル 1.80ドル 0.10ドル安

サウジ原油 米国向け調整項
米国向けは「ASCI」(米メキシコ湾岸地域で取引されるマーズ、ポセイドンおよびサザン・グリーンキャニオン原油の平均値)に対する調整項で表示される。
油種         8月積み   9月積み  10月積み   前月比
エキストラライト +9.40ドル +9.40ドル 9.60ドル +0.20ドル高
ライト      +7.25ドル +7.25ドル 7.45ドル +0.20ドル高
ミディアム    +7.95ドル +7.95ドル 8.15ドル +0.20ドル高
ヘビー      +7.50ドル +7.50ドル 7.70ドル +0.20ドル高

【1】原油相場について

本年(20235月から6月のブレント原油期近は、戻したときに「78ドル」以上のひと伸びがなく、押したときに「74ドル」のサポートが働かなかった。ブレント原油期近は幾度も「71ドル50セント」まで下げた。

なぜ、本年46月の原油相場で、ブレント原油期近「7678ドル」で失速し、下のサポートが働かないのか? 当社「日報」では、インドや中国などの原油需要が割安のロシア原油にシフトし、ロシア原油の購入を増やしているためだと推測しました。それによって国際的な価格形成の構造が歪んでいた可能性が高い。

620日から、中東原油のアジア向け指標である「プラッツ・ドバイ原油」や「オマーン原油」(DME)が、ブレント原油(ICE)期近を上回るようになった。

原油の性状格差から言えば、軽質スィートにプレミアムがつく。軽質スィート原油は中質サワーよりも高い。ところが、本年620日以降は、中東原油のアジア向け指標である「プラッツドバイ原油」や「オマーン原油」のスポット価格が、ブレント原油期近を上回るようになった。それは7月原油相場に継続し、8月原油価格形成の構造とパターンになった。

中東原油のアジア向け指標=中東産中質サワー原油が強い。それを理路整然と説明するのはむずかしいが、実態として、国際原油価格形成の構造とパターンは「アジア向け中東産中質サワー原油」の強さが顕著になった。

サウジアラビアのアジア向け調整項(Official Selling Price)を見ても、中質サワーの「アラブ・ライト」の販売価格が、軽質サワーの「アラブ・エキストラライト」(AXL)より高い。サウジ原油8月積みのアジア向け輸出価格は以下のように確定した。

サウジ原油 20238月積み アジア向け輸出価格(本船渡し条件)
油種            平均値     調整項  輸出価格
アラブ・スーパーライト   86.516ドル + 4.35 90.866ドル
アラブ・エキストラライト  86.516ドル + 2.55 89.066ドル
アラブ・ライト       86.516ドル + 3.20 89.716ドル
アラブ・ミディアム     86.516ドル + 2.65 89.166ドル
アラブ・ヘビー       86.516ドル + 1.00 87.516ドル

【2】9月原油相場

(1)来月の10月積みアジア向け調整項(OSP)も値上げの可能性が高い

中東原油のアジア向け指標=中東産中質サワー原油の強さが続いている。

原油価格形成の構造とパターンが継続しているので、サウジアラビアの国営石油会社=サウジアラムコは、来月10月積み調整項でも、中質サワーの「アラブ・ライト」「アラブ・ミディアム」の公式販売価格を引き上げる可能性が高い。サウジアラムコは95日(火)、来月10月積み調整項を通知する予定です。

(2)本日94日(月)の各市場の目安

現在の9月相場で、ニューヨークWTI期近は85.85ドル」
国際原油取引の指標であるブレント原油期近は88.85ドル」
中東原油のアジア向け指標のプラッツ・ドバイ原油は90.05ドル」が目安。

9月1日(金)のシンガポールは大統領選挙で休日であった。プラッツ・ドバイ原油は、本日4日(月)が月初の取引開始日。「1バレル90ドル台」に乗せて始まると思います。

【3】マクロ経済に偏重した議論は危険です

日本経済新聞など大手メディアは78月、「中国経済の回復力の鈍さ」を伝えた。
マクロ経済に偏重した分析は、市場の中で「わかったふうな議論」になる。
「中国バブル崩壊」のような「わかりやすい結論」に誘導されやすい。

(ⅰ)習近平の中国の特色ある社会主義思想
(ⅱ)不動産市場の低迷
(ⅲ)地方政府の債務と財政難
(ⅳ)若年層の失業
(ⅴ)人口減少と少子高齢化

原油相場をこうしたマクロ経済に直結させると、原油相場そのものを見ずに勝手気儘な評論ができるようになる。「中国経済の回復力の鈍さ」というマクロ経済に偏重した議論、「米国は予想以上に好調で、中国は失速している」というグローバル・マクロの議論は、具体的な変化を把握しようとする努力が伴なっていなければ、物の役に立たない。事実上の思考停止になります。

本年56月安値を「将来の推定の基準」として正当化し、「売り」の堂々巡りを繰り返すことになります。東京TOCOMのプラッツ・ドバイ原油では、大逆ザヤを拡大させる人気になる。

本日94日(月)の「日本経済新聞」(13面)には「産油国の減産を背景に原油需給の逼迫感が意識されている。中国景気の低調さが確認されると、相場の上値を抑える可能性がある。」という記述があり、あい変わらず「日本経済新聞」は売りの堂々巡りを続けている。「日本経済新聞」(=市場人気)がマクロ経済に偏重した弱気を唱えているあいだは、原油相場は大丈夫だと思います。

【4】本日の東京為替(ドル円)

本日94日(月)の東京為替は
1ドル=146.35146.00145.65円」を想定。

【5】本日94日(月)のプラッツ・ドバイ原油

中東原油(中質サワー油種)のアジア向け指標が強い。
アジアの中東原油市場は実質的に東京時間午後230分~530分。
わが国石油会社の購入原油価格の基準は東京時間午後530分の査定価格です。

94日(月)朝、プラッツ・ドバイ原油の試算
限月              146.05円で換算   前日比

ドバイ原油09月限  90.00ドル  82,670/KL   +2170円高
ドバイ原油10月限  88.95ドル  81,710/KL   +2240円高
ドバイ原油11月限  87.90ドル  80,740/KL   +2470円高
ドバイ原油12月限  86.90ドル  79,820/KL   +2600円高
ドバイ原油01月限  85.95ドル  78,950/KL   +2820円高
ドバイ原油02月限  85.10ドル  78,170/KL   +2980円高

2番限10月限を基準にすると 前日比 +2240円高 あたり。

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