毎朝歩く通勤路はずっと木々が並んでいる。
ニーム、アショカ、菩提樹、グルモハル、マンゴー、などなどに護られて、少々の雨なら楽しみながら歩くことができる。
高層マンションやモールに場所を取られて、木々は減り、空が狭くなっていくグルガオンに比べて、デリーはまだまだそれぞれの住宅地で緑が護られている。
今のヒンディー文学が映し出すインド社会、日本とインドの文学や翻訳などについて書き残しています
9月14日はHindi Diwas ヒンディー語記念日です。
National Council of Educational Research and Training(略称: NCERT国立教育研究訓練評議会)の「ヒンディー語記念日」ライブ配信に参加しました。
NCERTは教科書を作るなど、インドの中心的教育機関です。
登壇者は日本、南アフリカ、ウズベキスタンから参加しました。
ヒンディー語話者は今世界中にいます。これからもその数は増えていくでしょう。
インドは大きな国です。主に北インドの地方や村では英語よりもヒンディー語が多く話されます。その地域の莫大な数の子供たちの教育環境を整えるためにヒンディー語は絶好の言語です。
世界の未来は、今の子供たちにかかっています。
今回私を招待してくれたニールカントはネルー大学時代の同級生で、NCERTで長年教科書を作るなどの事業にかかわっています。
私の訳した「ひろしまのピカ」と「さがしています」のヒンディー語版をみて、インドの小学生の教科書に取り入れる検討をしてくれています。
ライブ配信は以下のリンクから見れます。
https://www.youtube.com/live/CXFHE-L-SFY?si=xuNunFZCooKX5pF6
ガーンディー・ジャヤンティ(生誕日)
マハートマー(偉大な魂)の尊称をもつ、国民の父、ガーンディーの誕生日(1869年)です。
世界平和を祈る日です。
インドに来てからずっと、もう20年以上もお世話になっている方が入院しました。
集中治療室でもうすぐ一か月になります。
先週はしっかり目を見開いて、
人工呼吸器でふさがれた口の代わりに、
まばたきで応答してくれました。
今週は、目が少し疲れているようでした。
起き上がろう、話そうと無理に体を動かししてしまうので、
あまり長居せずに治療室を出ました。
まだまだ教えてほしいことがたくさんあるので、
早く元気になってほしいです。
元気になられたら、聞けるように、リストをつくろうと思います。
時間を無駄にせずに、今できることを、感謝しながら果たしていこうと思います。
娘の通う学校には、スクールバス任務が2か月に一度あります。
保護者は、当番の日は朝6時過ぎに学校に行き、
スクールバスに同乗して生徒たちを見守るのが役目。
オンライン授業が続いたコロナ禍以来、2年ぶりの任務に行ってきました。
娘が保育園に入学してから15年。
スクールバス係もベテランです。
当初は学校設立5年で、小型バスが数台、児童数も少ないものでした。
今や大型バスが20台以上ずらっと学校正門に並んでいます。
校庭では大勢の生徒たちがサッカーやクリケット、朝の部活に励んでいます。
学校の方針や子供ひとりひとりの個性重視の素晴らしい哲学は15年間一貫して変わらず、
むしろ充実してきたように思います。
学校外のイベントや部活試合では入賞が多く、
高校生の統一試験結果も高レベルの成績を出しています。
かなりのゆとり教育ですが、
じっくり子供のやる気を育む教育システムが
15年かけて開花してきているようです。
インドの学校には、子供たちの身の回りの世話をするお手伝いさんのような女性職員がいます。
幼稚園や低学年の児童たちのトイレの世話や見守りなどが役目です。
この女性職員がスクールバスには必ず同乗します。
今日一緒になった職員さんは、職歴3年目でした。
2年生の娘が学校に編入できたそうです。
以前は娘を家に残して仕事に来ていたから心配だったけれど、
今は娘も職場の学校に一緒なので安心です、と笑顔。
彼女の収入では到底入学できない学校なので、
RTE枠(注参照)で入ったのでしょう。
外部から5名、彼女のような内部職員から5名、毎年RTE枠があります。
「娘さんは楽しく学校に通っている?」と聞くと、
「なんとかがんばってるようです」とのこと。
RTE枠の生徒はクラスに1名ほどなので、
家庭事情や経済事情の全く違うクラスメートと学校生活をおくるのは容易ではないでしょう。
当事者の子供の気持ちを考えると複雑ですが、
なんとか頑張って、良い教育環境に恵まれたたことを将来に生かしてほしいです。
早朝のバス任務はとても気持ち良く、
約一時間ゆっくり朝の景色を楽しむことができます。
といっても後半は乗車してくる生徒たちでにぎやかになります。
いつもは通らないルートでたくさんの発見もあります。
路上に空気清浄機を発見したので調べてみたのですが、設置は2019年。
その後2年間、コロナで大気汚染は改善されていたので、
この路上空気清浄機の貢献度は微妙なところです。
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昨日、家政科の教科書を読んでいた娘が突然ゲラゲラ笑いだしました。
聞いてみると、
前の項では、「現代では、家事は女性だけの仕事ではなく男性も身に着けるべき仕事だ」
みたいなこと書いてあったのに、
次の項では冒頭から「HOUSEWIFE(主婦)は洗濯、掃除、食事作りなど家事一般をします」って。
いきなり女性限定の仕事になってるし、「HOUSEWIFE」以外の単語ないかな。
とのこと。
分厚い教科書なので、項ごとに別々の専門家が書いているのでしょう。
編集者も大変ですが、論調に統一感を出さないと
生徒がやる気をなくしてしまいそうです。
(注)二〇〇九年に「無償義務教育に関する子どもの権利法」(RTE)*⒖が成立し、社会的弱者層や社会的不利益層に属する子どもたちが差別による教育の機会を奪われないよう、無償の基礎教育を与えることが政府に義務づけられた。私立や政府の補助を受けている学校は少なくとも二十五%、社会的弱者層および社会的不利益層に属する子どもを受け入れなければならないと規定されている。
shraddha
1992年よりインド在住。アグラ、ジャイプル、デリーの留学を経て、ジャワハルラルネルー大学でヒンディー文学博士号を修得。
2012年 第9回世界ヒンディー語大会賞受賞(インド政府主催)
ヒンディー語の自著「महादेवी वर्मा की विश्वदृष्टि 」(MAHADEVI VARMA KI VISHVADRISHTI・マハーデーヴィー・ワルマーの世界観)をPARMESHVARI PRAKASHAN社より出版。絵本「ひろしまのピカ」、漫画「夕凪の街桜の国」、「わが指のオーケストラ」、写真絵本「さがしています」ヒンディー語訳。平和アニメ「つるにのって」ヒンディー語吹き替え版。
現地で平和や文学関連のプログラムを企画、インドと日本のヒンディー文学関係誌等に執筆。
https://about.me/indiatkikuchi/getstarted
indtmc@yahoo.co.jp