オールドデリーのヒンディー出版社がひしめくダリヤガンジにある、アニタ・ジャインさん宅で開催された文学セミナーに参加してきました。


このセミナーには、主にジャイナ教徒の文学愛好家が集っています。

主催者が毎月一冊づつ小説を選び、その小説40冊を買い上げ、事前に資料としてメンバーに配ります。

セミナーでは、メンバーが小説について発表し、作者を招いての質疑応答もあります。

 

ヒンディー語の小説はなかなか売れないという現状の中、このような団体は、作者にとっても文学愛好家にとっても貴重です。

草の根で文学を応援する団体ですね。

 

今月の小説は、Gyanprakash Vivek氏の「Aakhet」(狩り)でした。

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真ん中に座っているのが、作者Vikek氏です。ご自身はインド生まれで、両親はパキスタン出身。

Aakhet」(狩り)は半自伝的小説です。

Aakhet」というのは、あまり耳慣れない単語なのですが、作者いわく、同意語の「Shikar」は使い古されている感があったので、新鮮な「Aakhet」という単語を使用したそうです。

 

当地に暮らす決して裕福とは言えない人々に対して繰り広げられる、グローバル企業の狩りが大筋です。

また、小説は、ご本人がすでに早期退職した保険会社勤務時代の体験に基づいていて、下の者には威張りちらし、上の者には媚びへつらう、権力を持つ者だけがちやほやされる、等々社内の人間関係の軋轢も描かれています。

 

このセミナーの素晴らしい点は、小説を書いた本人に直接質問や感想を述べられることです。

セミナー中に語った「作家は創作する時、同時に自分をも創作し、学んでいる」との言葉は、Vikek氏の人柄を表していると思いました。

また、披露されたいくつかのガザルも味わい深いものでした。

 

 

同写真左の、Vinay Vishvas氏は、詩人で、デリー大学所属のカレッジで教鞭を取られています。

詩集ももうすぐ出版予定だそうで、セミナー中には、メッセージ性が強く、民衆的な素晴らしい詩を詠まれました。参加者からアンコールが出るほどでした。

 

会場はこんな雰囲気でした。

 


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こんなふうに、作者と直接触れ合えるセミナーがもっとあったら嬉しいのですが、大家の作品となると、この規模での開催は難しいのでしょう。

 







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会場提供者のAnita Jainさんは、プロの古典歌手だそうで、ハーモニアムを演奏しながら歌を披露しました。

お話したところ、マハーデーヴィーの詩もよく歌うそうです。

当日は、聞くことができず残念でした。
またの機会があると良いのですが。