家族に作る食事は夕食一食ですので、朝や昼は自前で用意して
もらいます。
卵焼いたり、ご飯炊いたりは子供も出来る様になっていますが、
やはり面倒なのか、インスタント食品を買い込んで食べる事が
多い様です。
中でもカップ麺の備蓄はしっかりしている様です(別会計なので
私は手を出しません)。

さてカップ麺と言えば、もうこれは
「凄い!」としか言いようの無い製品を見つけました。
先日自宅療養中にテレビを見ていますと、
「カップ麺の格付け」みたいな事をやっておりました。
各社対抗と言うことではないらしく一社ずつ、開発や営業の方が
自社製品で特におすすめの5品を選び、それを食の専門家からなる
審査員達が点数化して格付けする、という実に判り易い企画
でした。この回は明星食品。

袋麺全盛時代に、出前一丁(日清)、サッポロ一番と火花を
散らした、あの明星チャルメラの発売元です。
当時中3クラスでは、夜食として、この3種が、正に三国志の
魏呉蜀の様に勢力拮抗しておりました。
私は、「ごまラー油」の出前一丁派でした。
今でも出前一丁を食べると、
夕食食べて、テレビ見て、10時頃夜食を作って、2-3時間ラジオ
聞きながら勉強して寝ていた(太るわ!(笑))高校受験の
冬を思い出します。

という訳で、チャルメラにはあまり思い入れが少ない私。
「まあカップ麺買う時の参考にはなるかな?」位で見ていた
その番組で、現在の明星食品はカップ麺の麺の食感向上に英知の
限りを尽くす、「究麺(きわめん)」シリーズに全力を入れて
いる事を知りました。
カップ麺にはカップ麺の独特の麺が定着し、中にはこちらを
好むのでノンフライは食べないという方も居られます。
例えばカップ焼きそばの、あの何とも言えないお湯で戻した
ふにゃふにゃの麺の食感を
「こんなの焼きそばじゃない!」と言われれば、
「はい、その通りですが、何か?」と答えるカップ焼きそば好き
は沢山います。
しかし、今回明星は出来るだけラーメン店の麺に近づけた製品で
勝負したのです。

さて、この番組中で、なかでも5点とか6点とか平気で付ける
辛口審査員達が、全て10点満点をつけた商品があり、大変気に
なりました。

「明星 究麺 濃厚豚骨」

豚骨と言えば、博多。最早日本の各地に「博多ラーメン」の看板
があり、知らない人がいない程の人気です。
他のラーメンとは一線を画す濃厚な豚骨スープ。その白濁した中に
泳ぐ大変細い真っ直ぐな麺。
あれを再現することに成功した自信作との事。

私は博多出身でも、在住でもありませんが、博多ラーメンは
大好きです。
博多ラーメンの神髄は、麺にあると思います。いい店の豚骨スープ
も流石に旨いですが、あの独特な、固くて細くて真っ直ぐな麺は、
博多系でしか味わえません。

博多ラーメンは、久留米でラーメン屋をやっていた方が博多に進出
し、屋台を始めた事が発祥と言われ、最初はあの麺ではなかった
と言われます。
故安藤百福大先生が、世界を飢餓から救った(NY Times)あの
チキンラーメン登場に刺激され、あの頃インスタントラーメンの
メーカーが急増しましたが、油揚げ麺ではなく、乾麺を使って
鍋で作る袋麺も登場しました。
「マルタイラーメン」は特に西日本で愛され、粉末の豚骨系スープ
は、博多でも好まれました。
博多の飲み屋では、「〆」と称して、マルタイラーメンを供する
事が、普通であったと言われます。
結局そのため、屋台の博多ラーメンもこれに似た細麺を採用する
事になって行ったと思われます。

他県の博多ラーメン店は、例外無く「本場博多から直送の麺」で
あると強調しています。ある店では、その理由として
「博多ラーメンの製麺機械をもつ製麺所が博多以外にない。」
事を上げています。
専用製麺機を置いてまで販売する程の量が毎日出ないため、
他県の製麺所では採算が取れないのでしょう。

博多ラーメン店もピンキリですが、一様にゆで加減の固さが選べ、
替え玉ありというシステムです。固さは柔らかい順に

柔らかめ→普通→固め→バリかた→ハリガネ→生

というのが多いです。生は店によって「粉落とし」という様で、
生麺状態の麺の打ち粉を落とすため、さっと湯通しする。という
意味でしょう。
小麦粉のデンプンは熱を加えてアルファ化しないと消化に悪いはず
なのですが、生麺状態を好む博多っ子も居られるのでしょう。
江戸っ子がどれだけ熱い湯に入れるか競争する、みたいなもん?
大抵な方は、バリかたあたりを注文する様です。

早速買って来ました。
「麺職人(日清)」よりは高く、「ラ王(日清)」と同じランク
という位置付け。流行の「名店シリーズ」よりはぐっとお求め
易い250円帯。
今回の製品はバリかた状態の麺の再現に全力をあげているため、
熱湯2分と短めです。
この価格帯にしては、かやくも多く、チャーシューもちゃんと
入っています。
粉末とペースト状のスープは、指定の湯量だと少し塩辛いかな?
という感じですが、かなり良質・濃厚な博多ラーメンのスープ。
肝心の麺は?

「ひ で ぶ(良い意味で)」

喰らいました。驚いた。審査員も博多ラーメンは散々食べたと
思いますが、この麺には驚いたのでしょう。それが10点満点に。
すこし腰が弱く、本場の生麺そのものではありません。

しかしよくここまで(感涙)。

山田康雄の死後、アフレコを継いだ物まねの栗田貫一吹き替えの
「ルパンIII世」第一作を見ているような(判りますよね)。
スープとのバランスも申し分無し。

私の採点は、
「博多を中心に全国に数多い博多ラーメン店のおそらく8割が、
これより不味い。」というもの。
中には地方人の舌をなめてる博多人の経営する?随分ひどい所も
ございます。
そういう店に限って、店内中豚骨煮込んだ匂いが充満。
彼らはあの匂いはOKなのでしょうが
「他県ば人には、こん匂いはきつかとじゃろねえ。」
(嘘博多弁(笑))位の気配りが出来ない店が、美味しいラーメン
作れるはずも無く。

これが250円って(歓喜)。
お願いだからこの製品、末永く定番化してくださいっ、
明星食品様。
「ふん、おじさんのひざの継ぎ当ても無くなって今度はスニーカー
かよ。ハングリー精神どこ行った?」とか
偉そうに批判してて、すんまっせんでしたぁ(土下座)。

「博多を離れて、はや20年。この小さな地方都市じゃ本格な
博多ラーメン店なんて、とても望めない。」とお嘆きの元福岡県民
な方は、是非お試し下さい。
「部活帰りに毎日いっとっとやろ?あのラーメン屋の親父が
ちょっと体調悪か時の味(笑)。」位は充分出してます。