2016年08月26日

息子の受験 最終章

その後彼は東大を断念し前期は東京医科歯科大、後期は千葉大に願書を提出した。
私と妻の意を汲んでくれたのだろう。
私は一瞬ほっとしたが徐々にこれで良かったのかと複雑な思いに駆られる。結果だめだったとしても、ずっとめざしてきた東大を頑張れと肩を叩いて受けさせてあげるべきだったのでは。
2月滑り止めで受けた順天堂、慈恵に合格。そして2月25日26日東京医科歯科大の二次試験、そして面接が終わった。いつもながらできたともできなかったとも言わない。そして3月10日発表の日を迎えた。1日1日がとても長く感じた。朝からハラハラドキドキ、その日は木曜日でクリニックは休診日。見に行けるのだ。発表は午後1時。12時半車で妻と娘3人で御茶ノ水に向かった。大学の掲示板で確認するのが恐ろしく大学の近くで車を止め13時のインターネット発表を待つ。
そして13時になる。まだ出ない。13時5分後部座席にいた娘が「あったー!」と声をあげた。携帯で確認。「やったー!」人生最大のガッツポーズ。
自宅にいる息子に電話で合格を伝え、掲示板に向かった。掲示板の周りには60人ほどの在校生が合格者のお祝いとクラブ勧誘に集まっていた。ほどなく息子が到着、在校生からお祝いの嵐、そして胴上げ。順天堂、慈恵にはこんな感動的な風景はなく掲示板だけが寂しくたたずんでいた。
胴上げされ嬉しそうな息子を見て本当に良かったと思った。
かくして息子の受験は終わった。
私には息子に特別な思いがある。
私の父と母は17歳のとき裸一貫で韓国から日本に渡り製靴の見習いから日本での生活が始まった。
二人とも小学校でしか教育を受けておらず、仕事に明け暮れる毎日で長女と長男は朝鮮学校に通った。
三番目の私から兄達の提言で幼稚園から日本の教育を受け、私と弟は私立の医学部を卒業し医師になった。医学部を受験した息子を持ってわかったが父の苦労と頑張りには頭が下がる。

私は無宗教だが平成8年の1月だったと思うがある日神様からの御告げがあった。
今年男の子が産まれると。
その後妻は妊娠し2年間闘病生活中の父が私の勤務する救命センターに入院し10月私の患者として息をひきとった。そして父の生まれ代わりの如く12月24日クリスマスイプに息子は産ぶ声をあげた。
童話にある物語のような年だった。
「物事を成すのに親子三代かけて」という言葉をどこかで読んだのだろう、心に深く刻まれている。
今回の受験も私にとって父、私、息子へとバトンをつなぐ三代かけての作業と考えている。大きな一つの使命をやり遂げた喜び。息子よ、本当にありがとう。父もきっと喜んでくれているだろう。
息子がこれから多くを学び人生経験を積みながら医学にどう向き合い貢献するのか楽しみである。
そして次の世代に進化をもってバトンをつなげてほしいと切に願う。

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2016年08月23日

息子の受験 3

ついにセンター試験日、夜仕事から帰ると既に帰っていた。
リビングに降りてきた彼の機嫌は良いとは言えない、むしろ悪い。
できなかったのか、嫌な感じ。どうだった?と聞くと返事がなかったので喝!浪人の分際で心配する親の問いかけに答えんとは何ごとか!
彼はそそくさと自分の部屋に行き自己採点にかかる。翌日妻から自己採点で95%獲得を知らされる。
ほっと胸を撫で下ろしたものの今年の東京医科歯科大後期の合格者13~15人に入るには95%では安全圏とはいえないとのこと。やっぱ最難関校。
ついに願書提出期限日が近づく。前期に東大を受け、後期に東京医科歯科大を受けるチャレンジをするか、合格圏内の前期に東京医科歯科大、後期に千葉大へと変えるか。後者とて決して安全圏とはいえない。
願書提出直前に息子に聞く。どこにするの? 彼は黙ったまま一点を見つめている。
東大を諦めきれないのだろう、彼はずっと東大の勉強をしてきた。
東大は国の医療制度、国民に有益となる医学研究に将来携わるための国立大学。
そこを目指したいのならなんとしても避けたかった二浪覚悟で君の意思を尊重します。



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2016年08月16日

息子の大学受験 2

浪人生活が始まった。駿台市ヶ谷校のクラス選抜試験もトップクラスに入り、東大受験の成績もまんざらでもなく勘違い受験でもなかったようだ。結果報告したところ塾長、学校担任も来年はなんとかなるだろうとの激励を受け期待も膨らんだ。
直前2~3ヶ月の追い込みはかなりだったようだ。彼は彼なりの戦略があるようだ。彼は天才ではないので東大に合格するために持つ力を最大限にもっていける戦略とその実践が伴えばひょっとしていけるかもしれないなんて思ったりもする。しかし並大抵の努力では日本最難関の100人には入れない。
夏が過ぎ秋になる頃夫婦の会話は東大を狙う危険性についてがしばしばとなる。
彼の毎日の頑張りに全力感を感じられないからだろう。
彼の選択肢に地方国立大はない。
東大を再受験するとなれば後期で次候補の東京医科歯科大を選択することになり、センター試験で95%以上をとらなければならない。

選択を誤れば滑り止めの私立に大金をかけて通うことになる。
その結果は彼はもちろん我々も喜べない。
うーん、悩む。

そこで東大を狙う意味、何の目的でどんな目標のために東大が最適なのか考えを整理していくことにした。


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