やさいのいぶき〜有機農園 けのひの日常〜

脱サラ夫婦が神奈川県愛川町で新しく農業をはじめた日常を綴る。畑と食卓、畑と街、畑と社会を繋いでいきます。

2009年05月

16有機農業は草との闘いとよく言われますが、この時期は本当に取っても取っても取っても取っても新しい草がそこいら中に生えてきます。 作付前の畑であればトラクターでうなったり、作物の畝の間の通路に管理機を入れて掘り起こしたり、マルチの穴の中からでてきた草を手で取ったりと色々方法はあるのですが、とにかくあらゆるところに生えてきた草を取らなければなりません。放っておくとすぐ作物より草の方が大きくなって作物の成育に支障をきたしてしまうからです。また草の花が咲き、種がこぼれてしまうとこの先何年もその草が繁栄してしまうので出始めてからあまり大きくなる前に取り除く必要があります。種が風に乗って他人の畑に迷惑をかけてしまう恐れもあります。草を自然のままに生やしておく農法もあるようですが、ここ成田では草がぼうぼうに生えた畑は管理が行き届いていない証拠、ダラシナイ人間と見られるふしもあるのできっちり除草しておかないと地域の目も気になります…。 そんな状況のため作付から収穫まで何度となく除草作業に時間を割く必要があり、仕事の半分は草取りといっても過言ではないほどになります。師匠曰く、草取りが必要なければ今の半分は寝ていられるとのこと。 それでも我々は除草剤に頼るわけにはいきません。やっぱり草との闘いは宿命と言えます。「草取りが出来ない人は有機農業なんて辞めた方がいい」。地味で単純ですが、有機農業を支える根本的かつ重要な作業。草との闘いの日々に終わりはないようです。

晴耕雨読今日は朝から雨なので午前中に出荷作業とハウスでパプリカの定植をして終了。たまにはこういうのもいいですね。とはいえ2時間通勤のため帰宅する頃には夕方になってしまうので保育園に直行となりますが。 今日から3日間は雨の予報。昨日蒔いた落花生の種が腐ってしまわないか心配な空模様です。

今日は月一の月例ミーティングのため、畑作業のあとにスタッフ全員で夜飯を食べました。夜飯は場長が作ってくれるのですが、本日のメインはカレーライスで朝からテンションが上がりました。

新人参、新ジャガ(メークイン)、新玉ねぎを使ったカレーにサニーレタス、レタスのサラダ、春キャベツの千切り、カブの浅漬け、真竹と菜っ葉の味噌汁と超豪華、旬の食材てんこ盛りの夜飯となりました。お米は一昨年の古米でしたがこれまた旨かった。

どんな野菜も採ってからすぐに劣化が始まり、流通の過程で数日経ってしまうため中々一番うまい状態で食べることはできません。とりたての一番いい状態で食べられるのが百姓のいいところですね。食の現場で働き始めて約2ヵ月、毎日うまいものばかり食ってます。それでも会う人会う人に、痩せたね、って言われるのは相変わらずですが…。そんな変わってないですから!

※新人参、新ジャガ、新玉ねぎの「新」は文字通り、出来たばかりの、という意味です。通常これらの野菜は大量に作った後、冷蔵庫に保存して半年くらいかけて小出しにして出荷するため出来たばかりの旬のものはこの時期だけしか食べられません。今の人参は春蒔き、次は秋蒔きと言って8月に蒔いて春人参がなくなった頃に出荷が始まります。同じ品種でも蒔く時期によって味が違うらしいです。

先日蒔いた赤皮甘栗南瓜が発芽したのですがなぜかしょぼくれていて元気がありません。念のためとハウスのポットに蒔いたものは元気でピンとしているのですが畑に直に蒔いたものは虫(てんとう虫の長細いようなオレンジ色の虫)によってたかられたり、葉に穴があきまくっていたり、双葉からすでにちぢれていたりします。カボチャなんて投げといたってできる、なんて言われていたのにこの調子じゃあ実をつけてくれるかさえ微妙な状況。適当にやっておけばそこそこできると思ったのに。農業って難しい。

サツマイモのかまぼこ今日はサツマイモの定植準備として畑にカマボコ型の畝を作る作業をしました。 小型のトラクターの後ろに専用の機械をつけて真っ直ぐ進む、ただそれだけのことなのですがこれが中々うまくいきません。真っ直ぐ進んでるつもりなのに途中がわん曲していたり、最後が変に曲がってたり。仕上がった畑を見ると、真っ直ぐとは程遠い、いびつな線が並んでおり、通路幅もまるで揃っていないひどい畑になってしまいました。今まで見た畑の中で一番ダサいなと我ながら情けない思いです。まあでも初めて使った機械だからよしとしましょう。明日はもう少しましにやれるはず。

作業後の夕暮れ時、トラクターの上からこんじきに輝く西の空が見えました。東を見れば薄い青を背景に、紫色の雲が漂っています。トラクターを停めて、思わず見とれてしまいました。西も東も表情がまるで違う。そしてその空がぼくの視界の中でつながっています。あぁ、これは贅沢な空だ。 壮大に広がる夕暮れの景色の下にポツンと一人、これが今おかれた日常なのかと、自然とため息が出てきました。この空を、この空間を妻とちびちょろに見せてあげられたら。おれは今こんなすごいところにいるぞと伝えたい気持ちでいっぱいになりました。

最近、急に暑い日が増えてきました。今日も夏のような湿気を含んだ暑さで早くもバテそうです。とはいえ時折吹く微風が心地よく、まだ5月であることをほんのひとときにしろ感じさせてくれます。この風が5月と8月の違いなのかもしれませんね。

さて、このところの暑さで急に大きくなりすぎてしまった野菜たちも少なくありません。例えば、昨日収穫した大根。とある出荷先は1本の重さが800g〜1.5?というのが基準なのですが大きくなりすぎてしまった大根たちは2?オーバーのものが続出。そういった大根たちは見た目がきれいでも出荷できません。やむなく畑に棄てました。

そして今日の小松菜。これは袋から葉が飛び出さないサイズという基準なのですが、畑の大部分のものが葉が若干飛び出してしまうサイズになってしまいました。これも出荷出来ないので一旦収穫したものの、大量に廃棄しました。

流通の事情とはわかっているものの、やはり収穫しては畑に棄てていくという作業は未だに慣れることが出来ません。農業をやってて唯一、嫌な作業だなと思わずにはいられない瞬間です。自家用として食べるのも限度があるしなんとかならないものでしょうか。

とはいえ、かくいうぼくも大根をたくさん持って帰るときは葉っぱをごっそり切り落としてから持ち帰っています。それは電車通勤ゆえの「流通の事情」。情けない限りです…。

田植えイベント快晴の空の下、今日は某大手機械メーカーの里山保全事業の一環として行っている田植え体験のお手伝いをしました。 田植えは一度だけ、在籍していた葛飾田んぼ倶楽部で経験していたので、一応堂々と?皆さんにアドバイスやお手伝いが出来ました。 ぼくら研修生4人と卒業生5人も加えて総勢40人くらいいたので田植え作業自体は1時間くらいで終わってしまいました。やはり普段デスクワークをされている方などは腰が痛かったり炎天下で結構疲れた様子でしたがぼくはわりとなんともなく、この一ヶ月で若干体力もついてきたのかなと実感しました。この一ヶ月は今までの生活と切り離された全く別世界での日々を送ってきましたが、今日の田植えは週末ファーマー時代を思い出させてくれるきっかけになり、今までの生活との繋がりが発見できてなんだか安心感を覚えました。まだ完全に農業人になりきれてないようです。 さて、田植えは無事に終了しましたが、無農薬の田んぼのためこれから草がたくさん生えてきます。実りの秋までは草との戦い。除草イベントも行うようで楽しみです。

きゅうりのハウス今日はキュウリのハウス作りをしました。ぼくらのハウスは地面がむき出しのものなのでまずハウス内にトラクターを入れて耕転することから始めます。 ハウスの地面を全部耕したら通路幅と畝幅を決め、足跡をつけて線を引きます。そこに管理機を通して通路、畝を作り、できた台地状の畝に灌水チューブを置き、マルチを引いて出来上がりです。あとはマルチに穴をあけて定植すればとりあえずOK。キュウリが成長する頃に支柱や誘引ネットを設置する必要があるのですが今回はここまで。試行錯誤をしながらなんだかんだで半日以上かかってしまいました…。 しかしあれですね、作業に没頭していると時間が早い!取り引き先からメールや電話が来るわけでもないので、それこそ集中して作業ができます。考えてみれば時間を忘れるほど何かに没頭するって久しぶりのことでした。充実感もあるしすごい面白かったです。

革命的な一筋日ごろ行っている研修栽培とは別に、研修生が個別にすきなように栽培してよいという実験圃場なるものがあります。そろそろ研修も一ヶ月ということで、早速個人用の畑作りをしてみることにしました。

とはいっても、先輩の後をくっついて農作業や組織の仕組みを覚える日々だったので、いざ自分で好きなようにやってよいと言われても何をどうやってやればいいのか見当もつきません。5月のこの時期に植えるのに適当なものはなんなのか、畑に直播するのか、育苗ハウスでポットに蒔いた方がいいのか、などなど…。

先輩に相談したところ、「かぼちゃの種があまってるからあげるよ」ということでもらった種から始めることにしました。そしてもらったのが「打木 赤皮甘栗南瓜(うつぎ あかがわあまくりかぼちゃ)」という加賀野菜の種24粒。かぼちゃと言われたので緑色で、ボコボコゴツゴツしていて、縦に筋が入っているものを想像していたのですが、コイツはどうやらだいぶ違うらしく、赤くて円錐型で、しかも加賀の伝統野菜ということで、なんだかえらいものをもらってしまいました。

ネットで調べてみてもイマイチ栽培方法がわからないため、10粒は育苗ハウスの温床で、8粒は畑に直播して上に藁を、6粒は畑に直播で放置してみました。株間は1m。思考錯誤してみたものの、何がよいのかわからず、もう本当に実験です。収穫できるかどうか以前に、発芽するかどうかも危うい状況…。

また、通りがかりの近所の社長(どこかの会社の社長らしい)がハグラウリの苗を4つくれたのでそれも赤皮甘栗南瓜の隣に植えてみました。これはすでに成長していたので定植という形です。

約2.6ヘクタールの圃場の中にほんのちょこっと作付けしただけですが、初めての畑作りだけに自分にとっては革命的な一筋となりました。

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