ちなみにぼく自身は、まだ会社勤めをしていた2008年6月にここを訪れ、今の団体を見つけました。それから7月に見学に訪れ、翌年1月に参加表明、4月からスタートといった具合です。今のところ先輩や同期の仲間たちが5月いっぱいで卒業してしまい、日々を共に過ごしていく仲間が足りません。百姓になりたいような気がする、というそこのあなた、入る入らないは別にしてとりあえず見に来てください。何がしかの刺激があるやもしれませんよ。
ともあれ、10時半から16時まで、ブースでお待ちしてます!
脱サラ夫婦が神奈川県愛川町で新しく農業をはじめた日常を綴る。畑と食卓、畑と街、畑と社会を繋いでいきます。
今日は久しぶりに暖かい日になりました。天気予報を見て、今までやれないで貯まっていた畑仕事を一気にやってしまおうかと思ったのですが、朝のミーティングで薫炭を作りたいという意見があがったので突然ですがやってみることにしました。この時期はこんな感じでやりたいことはやっておこうというスタンスで日々を過ごせます。
ところで、そもそも薫炭ってなんだってところから始まるのですが、簡単に言うと米を脱穀したときに出た籾殻を燃やして炭にし、肥料というか天然の土壌改良剤にして畑に戻すというもののようです。
まず、火種になるような杉の葉などを集めてきて、着火。火がついたら煙突を置き、その周りに籾殻をガサっと山のように盛ります。そうして中心部が焦げてきたら焦げてないところを中心に持っていくということを繰り返します。最初のうちは放置しておいても大丈夫なのですが、時間が経つにつれ焦げるペースが上がっていくので、しっかりと見張っていないと炭を通りこして灰になってしまいます。灰になってしまったら失敗です。
9時半に始めて、14時にはほぼ全体が黒くなりました。白い部分はやりすぎて灰になった部分です。とりあえずできました。
薫炭を作る途中、隣でついでに焚き火をし、焼き芋を作っちゃいました。やっぱりサツマイモは焼き芋にするのが一番うまいですね!独立したらみんなを招待して焼き芋パーティーを開くのが一つの目標です。畑のうまいものはみんなで共有したいです。
今日はこの冬一番の冷え込みなのか、畑一面に霜が降りて今まで見た中で一番真っ白になっていました。ぼくは確認しなかったのですが、研修仲間は霜が4層にもなっていたと教えてくれました。東北や北海道などとは比べるべくもないですが、成田も結構寒いです。
先日、踏み床温床(ふみどこおんしょう)というものを作りました。これは落ち葉や落花生のカスなどを発酵させることにより発生する熱を利用して、苗の生育を促すための装置です。これをビニールハウスの中に設置することによって夏野菜などの種が発芽するのに十分な温度を確保することができます。
この温床を作るのにはまず落ち葉が必要となるため、近くの山に軽トラで落ち葉拾いに行きました。落ち葉なんてどこにでもあるような気がしていたし、実際そうなのですが、一度に大量に集めようとするとなかなかいい場所がないものなんです。発酵しやすい広葉樹が集中してあり、なおかつ地面がコンクリになっていて集めやすい場所に行き、軽トラ二台分、たっぷり拾ってきました。ただ、その収集場所の少し奥に行ったところに医療廃棄物が投棄してあるのを見つけ、気味が悪いのと同時にこんなところにゴミを棄てていく者への怒りを覚えました。この場所に限らず、少し山に入るとどこにいってもゴミがあります。農薬の袋とかジュースの空き缶とかが大量に棄ててあるのを見ると本当にやるせなくなりますね。
落ち葉を拾ってきたら、ハウス内に杭を打って枠を作り、そこにスダレとワラで壁を作っていきます。そうしてできた直方体の枠の中に落ち葉、落花生のカス、米ぬか、菜種油の絞りカスを水をかけながら層にして入れていきます。そのときモノを入れるたびに踏みつけてギュッギュッと圧縮していきます。それを何度も何度も繰り返し、最後に落ち葉でカバーをして温度計を挿しこみようやく完成。枠を作り始めてから実に7時間(休憩含む)が経っていました。米ぬかや油カスが水を含むことによって落ち葉や落花生のカスなどを発酵させる仕組みなので、電気や燃料を使わずに熱を作り出すことができるという環境に優しい装置です。もともと環境問題に憂うところからぼくの農業の志は始まっていたのに、燃料や資源を使いまくりの日々を過ごしてしまい、自分自身に矛盾を感じていたので作っていて気持ちよかったです。この日々の矛盾については思うことも多々あるのでまた改めて書かせていただきます。
とりあえず温度計は完成時には11℃くらいを指していました。日々発酵を続け、最高50℃くらいにまでなるみたいです。種も買って来たしあとは時期をみて順次播種
をしていきます。ちなみに前回の更新で書いた種の代金は10万円を越えました。モノにもよりますが、種って結構高いんです。これに加えて肥料代が50万円くらいになりそうです。農業って最初にお金かかって売り上げは半年後とかだから結構大変です。
昨年末、ごぼうの収穫を行いました。4月に研修に参加してすぐに播種を行い、それから9ヶ月経ってようやく収穫にこぎつけました。ごぼうは地中深く真っ直ぐに根を張っており、その根を傷つけずに掘り上げなければならないため、スコップをもってほっていくというのはかなり重労働です。出来具合をみるために試し掘りなんかはしたのですが、いざ収穫となれば大量のごぼうを掘るのに体力的にも時間的にもスコップでちまちまやっているわけにはいかず、大きな機械を使わざるをえません。
そこで100馬力もある大型トラクターを近隣農家さんに借りてきての作業となりました。畑に大きな鍬をいれて、ガーっと走ってもらって、浮いてきたごぼうを手で抜くという作業をひたすら続けます。上の写真はトラクターの通ったあとに大人の膝丈くらいの穴ができている様子です。ごぼうの真横に穴を掘っているため、ごぼうは軽く抜けます。
とりあえずの出荷用に500キロは冷蔵庫に保管し、残った分は来春の出荷のために畑の中で保存しました。左の写真のように並べ、上に土をどかどかかけていきます。これで春先までokとのこと。
ごぼうは豚汁や炊き込みご飯、煮物、丼の具など様々な料理でなにかと必要になってくるので独立後もぜひ作りたい作物なのですが、この作業を終えてみて、個人での栽培は難しいのではないかというのが正直な感想です。というのもやはり掘りあげるための機械の問題が大きく、このようなコストをかけてまでごぼうを栽培することはできるのだろうかと思うのです。短めで生食もできるサラダごぼうならとも思うのですが、あれとこれとでは同じごぼうでも似て非なるものなので考えものです。ごぼう収穫祭、みんなでごぼうを掘りましょう!なんていうイベントをやっても人は集まりそうにないですしね。重宝する割りに地味、地味だけど重宝する。そんな野菜なのです。
さて、年が明け、2010年が始まりました。今年も研修生活は続くのですが、一番の変化は作付け計画をすべて一任させてもらえるということ。およそ2町6反の畑を少しの制約を踏まえた上で好きなように作り上げることができるのです。それにはまず、それぞれの畑の面積および栽培履歴の把握、品物と栽培量の決定、品種の選定、それぞれの畑のデザイン、品種ごとの作業カレンダー作成、種及び資材の注文などやることが山のようにあります。人参、サツマイモ、落花生、里芋、ジャガイモを基幹作物とすることが決まっているのですがその他は全くの自由。いまワクワクしながら来年の畑の様子を頭に描いているところです。