私、日ごろ成田に住んでいるとはいえ、実のところは八王子市民なので、独立後に八王子で畑を借りれないかと農業委員会へ相談に行ってきました。
前回、愛川町役場に行ったときにあなたは誰?という質問が先だってあったため、今回は独自に自己紹介を兼ねた履歴・職歴書を持参。役所独特の雰囲気にいくぶん緊張しつつ農業委員会の窓口を訪れた。八王子市民であること、今成田で農業研修を受けていること、独立後は八王子で畑を借りれないだろうかということを伝える。すると窓口で対応してくれた男性は奥の席に座る上司と思われる別の男性の元に行き、なにやらひそひそ話しを始めた。その様子から歓迎されていないということが伝わってくる。こっちにきて話してくれればいいのにと少々苛立ちながら待った。するとその上司風情の男性ではなく、別の女性の方がやってきて丁寧に対応をしてくれた。
まず、現在八王子に農地を所有していますか、と聞かれる。もちろん、No。だから借りたいのですと伝える。すると農地法の3条についての説明をはじめた。要するに現在農地を所有している人にしか農地を貸せないと法律で決まっているのだという。地域によってその農地の広さは様々だが、ここ八王子では最低でも3反歩を耕作中でなければ農地を借りる権利すら発生しないというのだ。じゃあ八王子では新規就農は不可能ということですね、と聞くとそういうわけではありませんが…と言う。空いた農地は現在耕作している方が規模を拡大するためにだけ貸し付ける決まりになっているので…と説明をしてくれるのだがどうも納得がいかない。この女性の方は決まりごとを丁寧に説明して下さっているだけなのだからイラついても仕方がないのだが、どうにも怒りが収まらない。規模を拡大する?そんな人いるわけないじゃない。むしろみんな辞めていくから日本中で農地が余っているっていうのに何をバカげたことを言っているのだろう。では八王子には新規就農者は存在しないのですねという問いに、最近問い合わせは増えています、という答え。だったら何とかしろよと怒鳴りたくなったが無駄なのでやめた。わかりました、私たちは八王子を出ていくほかないのですね。
市にとって、農地なんていらないんです。と遠まわしに言われたようでとても気分が悪かった。ここには夢も希望もないのかよ、と毒づいてみるも、まぁ東京で就農なんてむしのいい話だったかなとも思えてくる。あまり期待はしていなかったから候補地が絞れただけでも一応は収穫と言えるかもしれませんが。これが農業を取り巻く現状のようです。
就農先、早く決めなくては。
2010年06月
スローライフじゃないよ
とはいえ、仕事の中にヨロコビもたくさんあるから自分自身は今のところ熱中してやれている。仕事のことを楽しそうに話す同年代の人がほとんどいないから、会社辞めて農業なんて言うと遊んでいるように思われるのかな。ストレスを感じない理由は多分、何かの役割を演じていないから。決して楽しい現場ではない。だけど結構面白い。そういう微妙なニュアンスがある。
ところで6月に入り、6人いた研修生がわずかに2人となり、一気に忙しさが増した。収穫・作付け・除草とただでさえ忙しい時期なのに手が足りない現状がある。先日、池袋で行われた新・農業人フェアにて再び研修生の募集をかけたが、結果は思わしくない。フェアの現場で話しているときは前回と違って女性の割合が多く、ついで多かったのは就活中の学生だった。学生は今すぐ参加できないのは仕方ないとしても、その他の方々もやはりすぐに農業という感じではないらしく、おおよそ不発に終わってしまった。全体的にみてこのフェア自体の来場者がグッと減ってしまっていて、若者の農業志向という流行は去ってしまったように思えた。この先、こんな調子ではぼくの研修先も無くなってしまうだろうし、やっぱり農業はなり手が増えないのかなと悲観的に思えてしまう。
まぁまだぼく自身は研修生であって、家計の心配などはしていないのだが、独立した後に本当の農業の怖さというものを思い知らされていくのだろう。その様子もできるだけリアルに伝えていければいいなぁと思うが、できるだけそうならないように日々出来ることを考えて、実行していく他ない。
総括すると、夢や希望はあるけれど、生活が落ち着く気配は全く見えず、日々右往左往しているのが私の現状だ、ということです。
ポテカルゴ出動
去年もそうだったのですが、ジャガイモは保存ができるものの、この時期の新ジャガの引き合いは特に強いため、一気に複数の取引先に出荷します。なので一本一本引っこ抜いていては到底間に合いません。そこで登場するのがこのポテカルゴ。ちょっと見にくいかもしれませんが、これ、エスカルゴの形をしています。先端がベルトコンベアになっており、それを畝に突き刺し、芋を掘り上げて上に運んでいきます。そのコンベア部分に両サイド一人ずつが乗り込んで選別。そこでやりきれなかった分は上部に二人乗り込んでいて選別。土やクズなどはそのまま畑へ流れていく仕組みです。そのためにまず、
1.つる刈り機で地上部を粉々に砕く
2.かまぼこ型マルチをはがす
3.ポテカルゴを入れる
という手順をとります。
しかし、有機農業なのにベルトコンベアで流れ作業。なんだか無機質な感じです。この収穫作業の様子を見た人からはそんな感想がよく聞かれます。確かに、自分が操縦しているとはいえ、ドンドコ流れてくるジャガイモを必死に選別して、はぁはぁいいながらなんとかこなしていく様は、チャップリンの映画ではないですが、さながら人が機械に支配されているかのようです。畑の芋にあわせて機械を微妙に調整していき、その速さにあわせて人が動く。この空間では「人間<機械<野菜」という構図が成り立つのでしょうか。
とはいえ、ここで最上位に君臨していると思われる野菜も、自然という気候や時間などに左右され腐敗しようとしているのだから、全てはやはり自然の手のひらの上で転がされているだけなのかもしれませんね。
ともかく、明日も明後日も、ジャガイモ掘りは続きます。参加したい人いたら歓迎しますよ!
房州の業物
願いが通じたのか、曇り予報が見事雨に。畑も潤うし、自分も休めるし、ほっとしました。今日は空豆の収穫とハウス内の除草をしてさっさと帰宅。時間に余裕があったので帰り道に農具屋で収穫包丁を買いました。ついこの間まで安いお古の台所包丁を畑用として使っていたのですが、なぜか紛失。刃物がなくて困っているところでした。この包丁、小ぶりで動きもよく、切れ味も抜群。この辺ではちょっと名の知れた農具屋さんのものでずっと欲しかったので嬉しい買い物でした。
そろそろジャガイモの収穫ということで試しに掘ってみたところ、裂け目のようなものができているものが多かったです。これは寒いところに急に暑くなったりして、実の成長と表皮の成長のバランスが崩れて裂けてしまったのではないかといわれています。この春の天候不順の影響はまだ続いているようです。
雨よ降れ
6月。春先から播いてきた野菜たちが大いに育ち、収穫の時を迎えている。一方でトマト、ナス、キュウリ、スイカなどの果菜類たちが勢いを増してきて一番手のかかる時期でもある。さらに草の勢いも激しさを増し、毎日どこかで除草を強いられる。そんな日々が5月中旬くらいから続き、慢性的な睡眠不足に陥っています…。
例えば今日の一日。朝一で小玉スイカの交配をし、午前中はジャガイモの収穫、らっきょうの収穫、らっきょう畑の片付け、空豆の収穫、サツマイモの苗採り。午後はサツマイモの植え付け、ナス、キュウリ、トマトの芽かき、キュウリのネット設置、しょうが、里芋畑の除草。とりあえずここまでやりきって日没ゲームセット。12時と15時に休憩を入れているのですが基本的にずーっと畑です。雨が降れば早く家に帰る口実にもなるのにこのところずっと晴れ続き。そろそろ雨よ降ってくれ!と切に願っています。