やさいのいぶき〜有機農園 けのひの日常〜

脱サラ夫婦が神奈川県愛川町で新しく農業をはじめた日常を綴る。畑と食卓、畑と街、畑と社会を繋いでいきます。

2010年07月

暑い。ハウス内で作業をしていて亡くなった人がいるという報道があった。それほど暑い。近頃はトマト、キュウリ、ナス、オクラ、伏見甘長唐辛子、ピーマンと毎朝とれる野菜があるため1年の中でも朝仕事が多くなる季節なのだ。特にハウスなどはかなりの高温になるため必ず9時までには仕事を終えなくてはならない。

うだるような暑さ。去年も経験しているからツライということはないけれど、結構疲れる。そしてなかなか沈まない太陽。19時になってもまだ明るい。やることはいくらでもあるから明るいうちに帰るということがどうしてもできない。帰ってもいい、けれど悲しいかな、周りの目が気になってしまう弱さ。あーーー疲れた。と思って時計を見るとまだ17時半とかだったりする。この瞬間、畑の真ん中で、夏をうらむ。

1日が24時間では足りないと常々思っているのだけれど、この時期だけは、これ以上はマジ勘弁!と本気で思って床につく。そういえば昔、8月にアイルランドに行ったとき、21時くらいまで明るかったっけ。日本でよかった!そう思うしかない。

定植も済み、暖かくなってくるとスイカのつるも順調に伸びだした。ある程度大きくなってきたところで芯止めをする。ウリ科の作物はだいたいそうなのだけれど、最初に伸びる親づるよりも、その脇から出る子づる、孫づるを伸ばして木を作っていくという方法をとるのが一般的。カボチャは本葉が4〜5枚になったところで親づるの成長点を摘まむ。すると成長できなくなった親づるではなく、脇から新しく子づるがでてきてよりいっそう勢いを増して成長をはじめる。とりあえず芯止めすれば後は割りと放置でOKのカボチャとは違い、スイカはここからが勝負となるのだった。

1、整枝について
上記のように親づるを止めると、今度は子づるが出始める。これを4本仕立てにして、後は除去する。株元につるがたくさん出始めるが決めた4本以外はもったいなくても容赦なくとる。この4本は全て同じ方向に伸ばし、花芽の管理をしやすくする。4本の子づるを一定の間隔で、同じ方向に這わし、先端を揃える。風が吹けばつるも動いてしまうのでワラを曲げてマルチに三角形に突き刺し、つるを固定する。
この全て同じ方向、一定の間隔、先端を揃えるというのが後々の管理のために重要な要素となる

2、芽かきについて
子づるを4本にすると一斉に伸び始めるが、同時に子づるの脇から孫づるも伸び始める。これを放置するとつるばかりが伸びてしまい実が着果しなくなるので、雌花より手前の孫づるは全て除去する。この時点ではあくまで子づる優先で木をつくる

3、人工交配について
スイカは着果する場所、個数、着果してからの日数などが非常に大事になってくるので、自然交配ではなく、人工交配をする。
まず、大前提として子づる4本のうちに実は2個又は3個までしか作らないということ。3本なら1個か2個。できれば少ない方が味も形もよくなるようだ。ぼくらの場合、4本仕立てで3個取りを狙った。

子づるの7節目、14節目、21節目に咲く雌花に雄花を擦り付けて交配。雌花が咲くのは1日だけ、しかもうまく着果できるのは朝だけなので、なるべく早い時間帯に交配する。このとき、さらに重要なのは他の子づるも同時に着果させるということ、そうしないとエネルギーが着果した実にばかり行ってしまい、遅れて着果した別の雌花は奇形になったりうまく着果しなくなってしまう。この他の子づるとの交配日の誤差は3日以内で行う。また、木が十分にできていないため、7節目に咲く雌花は除去し、まだ交配させない。雌花は14節、21節を狙う。雌花は5日おきに咲くので、14節目で失敗したら次の21節目での交配を狙う

このような作業を日々行い、スイカの生育を助けたり、交配を手伝ったりしてやる必要があるなんて始めた当初は知らなかった…。野菜栽培の本を見るともうちょっとアバウトな書き方だったので適当でいいかと始めたのに、師匠に一喝くらい丁寧に育ててやることとなったのだった。他の野菜たちと違い、とにかく手がかかるスイカ。今まで先輩たちが避けてきた理由をこの時点でようやく理解したのであった。

P7140920ニュースでは、連日降り続ける西日本の豪雨の影響を知らせているけれど、今日の成田は梅雨明けか、という程の青空。今日は本当に青かった。夏雲が「さあ、海へ行こう!」と誘っていた。日差しはあっても風は爽やか。北海道の夏を思わせた。

今日は先月から続いていた人参・ジャガイモの収穫がようやく終わり、初夏の仕事をなんとか消化することができた。ここまで本当に長かった。人参は掘り始めはよかったのだけれど、長く畑におきすぎたせいでかなり腐りや奇形がでてしまった。当初一畝あたり300kgくらいとれていたのに、最後には130kgくらいまで収量が減ってしまった。ジャガイモはワセシロ、メークイン、キタアカリ、インカのめざめ、トヨシロ、シンシアの計6種類を育てたのだけれど、やはり生育はまちまちでインカはめざめず、種芋の方が多いくらいでかなりイマイチな結果となってしまった。その他にもトヨシロ、シンシアはよい生育だったけれど、やはり畑に置きすぎてかなり腐ってしまった。

初夏は人参・ジャガイモの収穫がメインになってくるけれど、その他にもサツマイモの植え付け、落花生のマルチはがしと土寄せなど、秋の収穫に向けての準備も山ほどあった。これもなんとか終了でほっとしています。

さて明日からは大豆・小豆の播種、ネギの定植、次の人参用の畑の太陽熱処理などまた違った仕事が盛りだくさん。段取りを練り練り、長い一日を有効に使っていこう。

P7060914宅配のお客さんに喜んでもらおうと、一風変わった野菜も作っている。この夏のサプライズ野菜は白ナス。現物を見るのはこれが初めてだけれど、本当に、白い。写真はその白ナスが出来つつある様子。

P7060915比較対照としてこっちの写真は通常の紫色のナス。なんとなく衝動的に種を播いたけれど、白い実を発見したときは驚いた。これは果たしてどうやって食べればいいのだろうか。白いマーボーナスとか見た目とか大丈夫だろうか。

P20308132009年の暮れ。春作の予定を一任されたとき、何か変わった作物に挑戦してみたいと思って選んだのが小玉スイカだった。なんとなく大変そうというイメージはあったものの、今まで先輩たちはやったことがないという話を聞いて、やってみる価値があるかもしれないと火がついた。あまり乗ってこない周囲の反応をよそに、種を購入。有機でも作りやすいということでマダーボールという品種を選んだ。

翌年2月1日。25℃に設定した電熱温床の上に置いたポットに52粒播いた。数日後に順調に発芽。しかし今年は過去、例のないくらいの寒さにより、2月18日にこれらの苗はほぼ全滅した。種も安くないし、もう辞めようかと思ったが苗作りすらできていない状態だったので促されるままに再度50粒播きなおした。

この後、神経質なまでに保温してやり、なんとか苗がそれらしくなり、4月9日、ようやく定植にこぎつけた。

ハウスの中に135cm黒マルチを敷き、株間1mで定植。この時期になってもなおも霜が降りるため、ハウスの中でさらにビニールトンネルをかけ、二重トンネルとした。

本を見たり、近隣の農家さんのところを訪ねたり、なんとか試行錯誤で形にしてみたけれど、この時点ですでにいくつかの誤りがあった。

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