東京都八王子市です。これまでいくつかの場所を見てきましたが、愛川町、八王子市、成田市の3つに絞り、さらに八王子と成田の2つに絞り、ここからはもう一長一短で相当悩みました。思えば会社を辞めて農業を始めることに決めたときはほとんど悩むということもなかったので、今回は農業人生で初めて岐路に立たされた気分でした。どちらの街でもそれぞれ描いていた将来像から大切な要素が1つずつ抜け落ち、これから先の人生そのもののビジョンがガラリと変わってくることが予想できたため、毎日どっちがいいのかという考えがコロコロ変わってしまい、決められずにいました。
生活と仕事。農業においてこの両面は境界線をあいまいにして繋がっているように思います。そのため、仕事だけでなく生活という観点が非常に重要な点として選択材料の中心にいました。しかしこの生活という観点においても、妻の通勤の利便性だったり、農的暮らし(畑と家のつながり)の実現度だったり、矛盾した二つの要素が存在し、初年度はこっちがいいけど、10年後は多分こっちがいいなど、決め手に欠けいっそう迷走していってしまいました。どちらかを選ぶということは、もう一方にある可能性を全て切り捨てるということで、それを考えるとなかなか怖いものでした。
農業を始めようと決めたとき、「ムラと街の繋ぎ役になる」という考えがあったのですが、八王子だとムラではなく、まさに街中になるためこのコンセプトは見当違いのものになります。まだしっかりとした考えがまとまってませんが、都市農業の意義、東京で有機をやることの意義などを追求して、農産物だけではなく、地域の方々に食以外の何かを提供できるように活動していきたいと思います。
結局のところ、神奈川から東京を経由して千葉に来て、最後に辿り着いた先は東京でした。
農地探しにあたって色々な方々に情報提供やご協力をいただきました。他人の人生なのに親身になってご相談に乗っていただき本当にありがとうございました。これから(2011年4月から)ようやくスタートとなり、日々右往左往することになりますが、おもしろおかしく眺めてやってください。これからもどうぞ宜しくお願いいたします。