やさいのいぶき〜有機農園 けのひの日常〜

脱サラ夫婦が神奈川県愛川町で新しく農業をはじめた日常を綴る。畑と食卓、畑と街、畑と社会を繋いでいきます。

2020年01月

年が明けて早々に行う仕事の一つに、踏み床温床づくりがある。枠の中に落ち葉と米ぬかを混ぜながら入れていき、水を含ませて発酵を促す。そしてその発酵の過程で発生した熱を利用して苗を育てる、というもの。毎年行い何度かこのブログにも書いてきたので詳しい作り方は今回は割愛。それを今年も例年通りに作ってみた。

例年通り、とはいっても実は去年作ったものはほとんど失敗と言っても過言ではないものだった。落ち葉に対して米ぬかの量が十分でなかったのか、温度があまり上がらず、ダンゴムシが大量発生し、病気まで出てしまった。キチンと温床を作ると60℃くらいまでは上がり大抵の菌は弱ってくるし、ダンゴムシの発生もなくなる。この反省を踏まえ、昨年より米ぬかの量を増やし、気持ち丁寧に踏み込んだ。

踏みこみから一週間が経った今日、温度計は35℃を指していた。若干の発酵臭もするし、感じとしてはいい具合に進んでいくように見えるけど果たしてどうなるか。

ところで、この原始的ともいえる踏み床温床になぜこだわるのか。電熱マットを引いて育苗すればたやすいのにあえてなぜか。声を大にしていうような大層な理由は実はない。ただ、その辺の山に落ちている落ち葉を集めて、米屋で廃棄する米ぬかを譲ってもらって、それで熱を発生させることができるというのがなんだか気持ちいいというか、おもしろいと思うのだ。そして数年経って落ち葉が分解されつくしたときに今度はその落ち葉が育苗用の土になり、最終的に畑の土となるというのが無駄がないというか、人為的で不自然な行為ではあるけれど、自然にとって無理がないのがなんとも心地よく感じる。

農業って人の命を支える仕事だ。地味でシンプルだけど、大昔からいつの時代であってもなくてはならないものだ。そう思っている。であるならば、それが持続可能でなくてどこに未来はあるのだろうか。最近はSDGsという単語を流行り言葉のようによく聞くけれど、事業がSustainableであることは資源の枯渇が視界に入り、気候変動を肌身で感じられるようになった昨今では必須のことだと思う。自分自身も見直さなければならないことがたくさんある。

しかし思えば、踏み床温床も含めて昔の人が行っていた技術って自然に負荷をかけず、持続可能なものばかりだからすごい。時計を前に戻すという意味ではないけれど、先人の知恵に学ぶところは大きい。

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、大変久しぶりの投稿になります。ここ数年は主にFacebookの方にいろいろな情報や畑の様子などを投稿していますが、今年はこちらの方にも少しずつ書き残していこうかなと思っています。Instagramはやっていませんが、FacebookやTwitterのようなSNSはどちらかというと情報の鮮度が速いというか、あっという間に消費されていってしまうように思います。自分自身、その時々の様子を投稿しても、何を投稿したのかすら忘れてしまうし、振り返って確認するための媒体としてはあまり向いていないなと思っています。そう考えると、SNSがファストメディアなら、こういったblogはスローメディアにあたるのかなとも思い、今年はそちらも重視していこうと思った次第です。

ところで、年も明けて例年ならグッと冷え込むところですが、今年はいつもと違って寒さはあるものの冷え込みが弱いです。ここ愛川町でも1月中旬ともなれば−5℃くらいまでは冷えるはずが、零下まで冷え込むことすらほとんどありません。おかげで野菜の生育は速いのですが、一方で普段なら越冬しないような虫まで畑にちらほら見られ、ブロッコリーなどには真冬にも関わらずアオムシが歩いています。冬は虫の心配がなかったのにこうなってくると冬でも虫の対策が必要になってきます。ちなみに我が家は築50〜60年くらいの古民家的な家のため、冬は非常に寒いのですが、今年は凍えるほど寒い、ということは今のところありません。これは暮らしやすく、ありがたいことなのですが…。

北海道では雪が記録的に少なく、オーストラリアでは記録的な乾燥に起因する大規模な森林火災が起きています。そしてうちの畑には真冬なのにアオムシが。比べるべくもありませんが、あちらこちらで気候変動の影響が出てきているようです。

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