ぼくらの育てた野菜は基本的には首都圏のCOOPやごひいきにしてくださっている方々への直接宅配などで出荷しているのですが、1軒だけカフェにも出荷させていただいています。成田山新勝寺の参道にあるEASY LIFE CAFEというお店がそれなのですが、このカフェはオーストラリア帰りの若いご夫婦(日本人)で経営されていて、地元成田の無農薬・減農薬野菜やお米を使用した料理とこだわりのコーヒーがいただけます。料理に使用されているだけでなく、野菜の販売もしているので近くに立ち寄った際はのぞいていただけるとうれしいです!

ところでそのEASY LIFE CAFEさんとのご縁もあって、千葉県北総地域の情報誌『ロコル』から取材を受けることになりました。大学時代はガイドブック製作などに携わっていたこともあり、色々な人に取材したりしていたのですが、逆にこうやってインタビューされるというのはなかなかワクワクします。ところがインタビューの前に、先行してもらったいくつかの質問を聞いて、少したじろいでしまいました。それは、

「どんな思いを持って野菜をつくっていますか」

という質問でした。

「安心・安全で消費者の方に喜ばれたいと思って、」
「旬のおいしい野菜を、」
「安くてお求め安い価格でたくさん野菜を食べてもらいたい、」

少しも考えずに単純にぱっと浮かんでくるこれらの紋切り型のセリフは、今の自分にはどれもしっくりとこないことに気が付き、心がざわつきます。安全な野菜を安心して食べてもらいたい、そういう思いはなくはありません。だけど…。きれいごとを並べるのはすごく簡単で、もしかするとインタビュアーの方もそういう言葉を期待しているのではないかと思えてなりません。だけど正直言って、今の自分の気持ちの真ん中はそこに落ち着いてはいないのです。

なんのための農業なのか、
誰のための野菜なのか、
どこに向かっているのか、

そういう自分にとっての筋がいまだしっかり通っているとはいえず、絶えずグラグラ、ザワザワしているのが本音です。これは農業を始めてから12ヶ月経ってみて、余計にまとまりません。これまでにたまたま取材を受けたことが何度かありましたが、そのときはペラペラと何の疑問もなく希望を語っていたような気がします。
今になってみて、改めて上記の問いの前に立ち止まっています。