2017-01-16-23-06-28アルデーアを後にして向かったのはローマ市の北部にあるチェルベーテリという町で農業を営むORTI DEI TERZIさん。元々朝から曇りがちの日だったが、チェルベーテリに着く頃には小雨が降り始め、強い風が吹き付けるようになったきた。到着するなり、ご主人が「一年で一番最悪の日に来たね!」と笑顔と握手で迎えてくれた。

ここはご主人のマッシモさんが14年前に新しく開墾した農場。本人を含めた4人で8haの土地で野菜を育て、様々な出荷先の他にローマ市内に自社の店舗を所有して販売している。たまたま先のレンツォさんと同じく新規就農しての7〜8haというのは共通している点。またここもいくつにも連なる丘がどこまでも続いているような地形で畑はどこも斜面がメインだった。というより平らな土地などなく、あれば家が建っているようだった。

2017-01-16-23-12-42強く冷たい風が吹き付ける中、畑を案内してもらう。今日は特に冷たい風だけど、ここはいつも風が吹く場所だから風から野菜を守ることが重要なんだ、だけど風が吹くということは空気が新鮮な証拠でそれこそが美味しい野菜作りには欠かせないとマッシモさん。リスクヘッジを兼ねて多品目を栽培し、365日収穫出来るものがある状態にしているとのこと。ただ、今が一番モノがないんだとやはり言っていた。




2017-01-16-23-29-28畑にはサボイキャベツ、カーボロカップッチョ、カーボロネロ、ビエラ、ロマネスコ、セロリアック、イチゴなどがあったが一方でフェンネルやプンタレッラといった寒さに比較的弱い野菜は先週イタリア全土を襲った20年ぶりの大寒波で全滅してしまったと言っていた。この寒波の話は先のクラウディオさんの畑でもレンツォさんの畑でも被害が出たと話してくれていた。気候がおかしいと感じるのはイタリアの農民たちも同じのよう。

マッシモさんは歩きながら技術やポリシーについて事細かに話してくれた。それは彼がこの14年間試行錯誤を繰り返してきた歴史を物語るものでもあった。家に招き入れてもらい、お茶を飲みながら話は続く。彼は言う、「ぼくは製品を作ることに興味はないんだ。食べ物を作っている。化成肥料を使うことはとてもシンプルだけど、生命の息吹を感じる健康な土壌、つまり化学的なものが一切入っていない土で育った野菜を食べてもらい、内から湧いてくる香りや美味しさを楽しみ、なおかつ食べて健康になってもらうこと、そんなことを目指しているんだ」と。そのためにこだわっている方法論も余すことなく話してくれる。そしてイタリアでも若者の農業離れが進んでいて、経済的にも労働的にも大変なためにやりたがる人はほとんどいないという。それは日本の状況とかなり似通っているように思う。だがしかし、「ぼくたちがやらなくてはいけないよね!」、「遠く離れているけれど、考えてることは一緒なんだね」と熱く語り、今取り組んでいること、こらから取り組みたいと思っていることまでも話してくれた。

2017-01-16-23-42-47出荷作業もあり、かなり忙しい中時間を延長してまで話してくれたマッシモさん。これからも友人でいようと固い握手とキス&ハグでお別れ。

子どもが3人いての新規就農、そしてほとんど同年代の彼はそれこそ作業場のサイズから庭の様子から何から似通っていた。遠く離れたところで頑張っている農家なのに、自分と同じことを考え、同じ方向を向き、同じような価値観を持って生きている人たちとの出会いにとても勇気づけられる訪問になった。