【けのひ10周年】

2011年、震災の翌月から八王子で営農を始めてからこの4月で丸10年を迎えました。当時は荒地からの独り農業で、早朝から深夜までそれこそ駆けずり回って日々を過ごしていました。それから愛川町に移転し、妻も会社を辞めて一緒に働くようになり、共に駆けずり回る日々が始まりました。それから少しずつ地域の方々にも私たちのことを知ってもらえるようになり、畑もたくさん任せてもらえるようになりました。

新規就農してから10年、吹けば飛ぶような零細農家がここまで生き残ってこられたのも沢山の方々の支えがあったからこそです。手を差し伸べてくれた八王子・愛川の両地域の先輩方や仲間たち、東京都や愛川町の行政の方々、地域の方々、取引をしてくださったたくさんのお店や飲食店の方々、食べ支えてくださった方々、本当に多くの方たちに支えられた10年でした。

会社員を辞めるにあたって、尊敬する先輩からは40歳になったときのことを考えて決断しなさいと言われました。正直、そんな先のことはわからないし、有機農業で生きる人生は経済的には会社員時代には敵わないかもしれないけど、楽しく、豊かに暮らせそうだと直感的に思い、ほとんど迷うことなくこの道を選んだのでした。大変なことも沢山あったし、死んじゃうかもって思うような経験も何度かありましたが、充実した10年だったなと心から思えています。沢山の縁にも恵まれ、本当に運がよかったと思います。

10年やってみて、農業って単に食糧を生産するだけではなく、もっと社会全体に関わることなんだと実感しています。次の10年はもっと循環させていくことや、里を守っていく意識、地域の子どもたちに給食を通して様々なことを伝えていくことなど、もっと大きな視野で取り組んでいきたいと思っています。

とはいえ、やるべきことの根幹は変わらず、また引き続き皆様の支えも必要です。この10年に感謝しつつ、これからも私たち有機農園けのひをどうぞよろしくお願い致します。