やさいのいぶき〜有機農園 けのひの日常〜

脱サラ夫婦が神奈川県愛川町で新しく農業をはじめた日常を綴る。畑と食卓、畑と街、畑と社会を繋いでいきます。

カテゴリ: 仲間たち

脱サラして農業を始める前、東京都三鷹市の農家さんを訪ね、営農するってどういうことかと色々とお話を伺いました。そのとき印象に残った言葉が「農家の仕事は野菜を作ること、ではなく、野菜を売ることなんだ」というものでした。勤めを辞めて農家になろうかという私たちに、ただ野菜を育てることがしたいのであれば農家になんてならずに家庭菜園を愉しんだ方がいい、農家になるというのならば、育てたものをしっかりと販売し、生計をなりたたせるということを念頭に置くべきだ、というアドバイスをくれたのでした。

これは一見当たり前のようでありながらも、「農業がやりたい!」と希望を語る人にありがちな落とし穴で、ただ田舎暮らしがしたい、野菜の栽培が好き、というだけの人はおそらく長続きしない職業なんだと思います。その辺を一度シリアスに諭してくれたのは農業を始めるときのモチベーションに大きく影響したように感じています。

就農した後、八王子にいたときは同じ東京の都市農業ということで勉強会などで顔を合わせたり、たまたま同じ業者さんに野菜を卸していたりと近からずも遠からずという具合でつながっていたのでした。

そして今回、迷える有機農園けのひは再び三鷹市の冨澤ファームを訪れました。

6年ぶりに訪れた冨澤ファームさんは見るものすべてが新鮮でトンネルのかけ方や育苗の仕方、珍しい野菜の栽培などあれこれ質問させてもらいました。6年前に訪れた時はドシロウトもいいところだったので畑の質問なんかは皆無だったかと思います。むしろ仕事としての農業とか概念的なことに終始していたような。

今回久しぶりに会って話しをさせてもらって改めて新鮮な思いで冨澤ファームを見学できたのと、技術的にいくつか持って帰れたのが大きな成果となりました。

相談できる農家さんがそう遠くないところにいてくれることが、大きな励みになる、そんな訪問となりました。

晴れた日のゴールデンタイムにどうもありがとうございました!

2015-01-25-16-00-54一口に農家といえど、農家のみなさんはそのやり方だけでなく、考え方・ポリシー、ひいては生き方まで全く異なります。十人十色とはまさしくこのことで、農家さんと話しているとみなそれぞれ世界観が違うのです。あまり農家の方となじみのない人だと、「農業=農家=田畑=田舎」といった感じでさほど違いが見えてこないかと思います。この冬、色々な農家の方々のお話を聞く機会を多くもてているのですが、今回伺った千葉県佐倉市の「たに農園」は私たちにとっては憧れというか、尊敬する農家さんなのです。

新規就農してからのキャリアは10年くらいのようですが、田畑だけでなく、自家製で味噌や醤油、みりんや酢など調味料はだいたい手前で作っています。そして自作のキッチンカーで週末は都心周辺へ出店。魅力的な経営スタイルをしているわけですが、彼らの凄さはそれだけにとどまりません。

たにさん曰く、「百姓は田畑だけでなく、大工仕事や機械修理まで必須科目だよね」とのこと。
壊れた機械を仕入れてきては自分で直しちゃう。ボロボロの民家を購入しては壁から何から自分で直してしまう。おまけに動物を飼い、美味しい米や豆や麦や野菜まで作っています。

私たち自身もすでに農業を営んでいるわけですが、畑の計画から作付け、管理、資材の調達や出荷、配達、加工、経理、事務管理などなど仕事内容を細かく列挙すれば100種類は余裕で越えてきます。「100の仕事をこなしているから百姓」、とよく耳にするのですが、修行時代に見てきた人たちを思い返せば彼らはみな畑仕事だけでなく、庭の管理や大工仕事、機械修理、食べ物づくりなどなど今ではみんな外注で済ませてしまうこともテキパキと自分でこなしてしまいます。枝を降ろしたり、穴を掘ったり、場面に応じて様々な方法で縄を結んだり、学校では習わないようなことが色々できてしまいます。生きる力、生き抜く力がすさまじいと感じます。

最近の新規就農者はそれぞれに手に職を持ってから就農する人もいたりして、土木が得意だったりパソコンが得意だったり、営業が得意だったりで農業+一芸の人が結構いますが、たにさんはかつてたくさん存在していた絶滅危惧種の正統派の百姓なのではないか、そう思えます。

自分であれこれやっちゃうならお金で時間を買いたい、そう思うこともたくさんあるし、よく聞かれることですが、彼自身は「仕事と生活の境がない感じがいい」とそれすらも含めて楽しんでいます。「正月は仕事したくないから家でのんびり麹を起こしてた」なんていう話を聞くと本当にすごい人だなと思います。それ仕事じゃないんだ!?って突っ込みたくなります。

私たち有機農園けのひの今後はどうしていこうかとあれこれ思案する日々の中で、とてもいい刺激をうけた今回の訪問でした。

畑の作物も少なくなってくる冬は少し身体を休めつつも、勉強したり、情報収集したり、次の季節に思いをはせたりするのに良い季節。

八王子にいた時に知り合った東京の仲間たちと久しぶりの再会を果たし、大いに刺激を受けました。

【(畑)いがきのうえん】@瑞穂町 
夫婦で就農して6年。東京では最初の新規就農者。自然農法で、機械にもほとんど頼らずに頑張ってます。自家採取とか、真似したいけどなかなかできないでいます。福島屋さんで販売しているそう。

【だらだらいこい】@あきるの市
珍しい野菜とブドウを育てている若き先駆者。去年くらいまでブルーベリー栽培をしていたのに、ガラッとブドウに変えてきました。目の付け所がすごいし、端から見ててとても独創的な農業をしています。八王子時代は一緒にひまわりオイルを作っていた生産者さんです。

【福笑い農場】@武蔵村山市
多摩開墾という横田基地の隣に広がる広大な畑作地帯でやってる私より少し年上の農家。トウモロコシとかズッキーニとかカブとか、一人だけど妥協なくいいもの作ってます。そしていつも細かい相談に乗ってくれてます。前に会った時より自信に溢れてる感じでした。いい一年を過ごしたんだなぁという印象です。いなげやさんやマルエツさんで販売している模様。彼もまた、ひまわりオイルを一緒に作った仲間です。

【てくてく農園】@瑞穂町
一人でスタートした私より若い20代の農家。国立や瑞穂のレストランや保育園、直売所などに野菜を卸しているそう。「どう、順調?」という問いに「はい、順調です!」と即答してくれました。表情も明るいし、ガタイも一回り大きくなったし、今一番成長株の農家だと思います。

【milme】@瑞穂町
新しくスタートした女性農家さん。正式にスタートできて充実感のようなものが溢れてました。土づくりにもこだわっているようで、これからが楽しみな農家だと思います。

【アビオファーム】@相模原市
こちらも女性一人でやっている農家さん。私のいる愛川よりももっと山奥(失礼!)に畑があるらしく、とても寒いんじゃないかと想像しています。炭素循環農法という方法で育てているそうで、野菜たちはみんなイキイキしているみたいです。本人も明るく元気。一度畑にお邪魔して勉強したいと企んでいます。

【FIO】@八王子市
ちょうど同時期に八王子で始めたお友達。彼は会社として畑だけでなく、八王子を農からもりあげるべく頑張っています。ヤギ牧場を作ったり、イベントを主催したり、マルシェを開いたり、何がメインなのかもはや私にはわかりません笑 今注目の若手農業者集団ってやつです。またFARMARTでご一緒するかと思います。

【大塚さん】@瑞穂町
土づくりにこだわる農家さん。畑だけでなく、国立市のやぼろじを活動拠点に色々とイベントやら勉強会を主催しています。八王子時代は一緒にひまわりオイルを栽培したり、今でも色々と相談に乗ってくれる頼もしい仲間です。



私たち有機農園けのひももうすぐ4年目が終わります。どんな5年目、はたまた今後を歩むのか、試行錯誤の冬です。



第41回東京都農業祭にて東京NEO-FARMERS!という新規就農仲間たちと出店しました。

10人くらいで色々もちより、ブースはてんこ盛りの野菜であふれかえりました。

東京の新規就農仲間たちの野菜をちょこっと紹介。
ヤナガワファーム
まずはヤナガワファーム@青梅のカブ

無農薬・無化学肥料栽培











いがきのうえん(畑)いがきのうえん@瑞穂

こちらは自然農法

フレッシュなバジルや鷹の爪、大根の葉などを販売。

「大根は葉を落としてくれ」というお客さんがいるのに対して、葉だけを買っていく人もいて、なんとも不思議な光景でした。








OOTUKASANN大塚さん@瑞穂の生落花生


無農薬・無化学肥料栽培。

本日の一番人気でした。

袋には東京NEO-FARMERS!のロゴが使われています。







YUGIMURA FARM
YUGI MURA farm@八王子のカブ

こちらも無農薬・無化学肥料栽培











ブルーベリージャム木立ちファームみずほベリー@瑞穂のブルーベリーコンフィチュール。

数種類のブルーベリーを栽培していて、そのコンフィチュールを販売。

これも人気で飛ぶように売れていたので、自分もお土産用に一個ゲット。

食べるのが楽しみ。






他にも瑞穂、あきる野、町田、武蔵村山、日の出の仲間たちの野菜があったのですが、写真を撮り忘れました。しかも自分のすら撮ってなかった…。

明日(11月3日)も9〜12時で即売会@明治神宮やってます!
私は行きませんが野菜は仲間たちに託してきましたので立ち寄ったらぜひに。

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