従来、MM2Hの預金を1年以上預けた後に、預金の一部を下ろして、マレーシアの不動産購入費用に充てることが使うことができましたが、できなくなったようです。どうも2018/4/20から。
 ほかにも、MM2Hビザ保有者が亡くなったら3ヶ月以内に届けることが義務化され、特に、主参加者死亡の場合、3ヶ月以内に届けないと、マレーシアに家族がまだ長期滞在したい場合は再申請になってしまったようです。
 追記2018/8/28 読者からの情報で、かつてMM2Hの預金の代わりに年金で代用できたという公式サイトの記述を追加しました。その他若干の改訂をしました。
 追記2018/8/29 MM2H公式式サイトでは、内容の変更を行って最終改訂日を変更しないことがあるということなので、上記の2018/8/28追記を一部訂正しました。

0.概要

  • MM2Hの定期預金を1年預けた後、一部を解約して使うことができるが、そのうちの住宅購入を理由とした解約ができなくなった(2018/4/20付告知のよう)
  • 年金があれば、MM2H定期を預けなくてもMM2Hパス(ビザ)が認められていたようだが、それもできなくなった
  • MM2Hパスの保有者が亡くなった場合、3ヶ月以内に届けなければならなくなった
  • とくに、主参加者(その人の名前で資産証明したり、預金を積んだりしている人)が亡くなった場合、従参加者(家族)のMM2Hパスが失効する。3ヶ月以内に届けないと主参加者の交代ができなくなった(となると、従申請者がマレーシアに引き続き長期滞在したい場合、厳密には、日本に一旦帰国して再申請ということだろう)。

1.不動産購入のためにMM2H定期を充てられなくなった

1.1 公式ページのお知らせ

 MM2Hの公式ページにアクセスすると、左側から黄色のポップ(?)が飛び出しますが、それを見ると、2018/8/13付の告知が出ています。

Announcement20180813
図1 MM2H公式サイトの2018/8/13付の告知

 5つありますが、2ばんめが

です。内容は

不動産購入に基づく定期預金額の減額および政府年金によるMM2H承認の中止

 MM2Hセンターは、マレーシアで百万リンギ以上の不動産を購入したことに基づく定期預金額の減額を中止する。
 また、50歳以上のMM2H応募者の、政府の年金によるMM2H承認を中止する。これの意味するところは、新たなMM2Hプログラム参加者はすべて定期預金を預けなければならないということである。


 調べると、4/20付ですでに告知が出ていたようです。

1.2 解約できる4つの場合(従来)

 MM2Hのビザを取得するのに、マレーシアの銀行に定期預金を預ける必要がありますが、2年目以降、一部解約できる条件があります。

WithdrawalRequirements20160128
図2 定期預金引出可能な条件 出典MM2H Official Portal
によると(上の図2で赤下線で示した部分 追加2018/8/28)
  1. 住宅の購入
  2. 車の購入
  3. マレーシアにおける子供の教育
  4. 医療目的
となっています。(ここは最終改定日が2016/1/28になっており、まだ改定されていないようです。マレーシアらしく

 で、上の8/13付(4/20が初出のよう)の告知によると、上の4つのうちの1が定期預金の解約理由として認められなくなったということのようです。

 告知によると、2-4については何も言っていないので、これらについては従来通り、一部解約して使えるということでしょう。

1.3 解約可能額

 解約できる額は同ページでは

  • 50歳以上 RM50,000
  • 50歳未満 RM150,000

となっています。

 下の表に、当初必要額、解約可能最大額、解約後に保持の必要な最少額をまとめておきました。

表1 MM2H定期の必要額、解約可能額、保持必要額
MM2H定期 当初必要額
解約可能
最大額
保持必要
最小額
50歳以上 150,000 50,000 100,000
50歳未満 300,000 150,000 150,000

1.4 従来は年金証明で、定期預金免除してもらえた?

 後半の「政府年金によるMM2H承認の中止」ですが、まず、定期預金を預けることについて記載されている”Progrtamme Terms & Conditions"の”Upron Approval"をチェックしても「年金があれば定期預金がなくてもいい」という記載はないです。

MM2HT&C UponApproval
図3 「MM2Hプログラム参加条件」の「承認に際して」
出典 MM2H Official Portal

 また、公式ウェブサイトを検索しても、「年金があれば、定期預金を預けなくてもよい」という記述は見つかりませんでした。

 話には聞いたことがあるような気もするのですが、わざわざ告知するということは「公式には認めていないが、(マレーシアではよくある)裏メニューで認められていた」ということなのだろうと思います。

 (さきほどの記事「MM2H】申請要件が変わった!変更はまだ続く?」によると、シンガポールの年金積立金は認められていたとのことです。)

2.他の告知

 8/13の他の告知を駆け足で記載しておきます。

  1. MM2Hの参加者(主申請者/従参加者)の死を死後3ヶ月に、MM2H移民係(MM2H Immigration Unit)に届けることを義務づけ(※2018/8/22同日 移民局を移民係に訂正。以下同じ)
    1. MM2H参加者は家族(主申請者/従参加者)の死をMM2H移民係に3ヶ月以内に届け出なければならない
    2. 主参加者(※資産証明をとり、預金を積んでいる人)の死により、従参加者のパスは失効する
    3. 3ヶ月以内に届出がない場合には、MM2H移民係は「主参加者変更」(Change-of-Principal)の申請をこれからは受理しない(従来は受理していたのだろう)
  2. 不動産購入に基づく定期預金額の減額および政府年金によるMM2H承認の中止(1節で紹介)
  3. 中国からの無犯罪証明書(詳細略)
  4. MM2Hプログラムの下での自動車税優遇に関する告知
  5. MM2Hオンライン申請システム

2.1 主参加者の死亡後3ヶ月以内に、主参加者変更手続きを

 1cについてですが、主参加者が亡くなっても従参加者の家族がマレーシアにまだ滞在したい場合、主参加者の死亡を3ヶ月以内に届けて「主参加者変更」をしておかないといけないということはよく覚えておかないといけないでしょう。
 亡くなって葬儀や親族との連絡、他の手続きに忙殺されていると3ヶ月くらいすぐ経ってしまうからです。
 忘れていると、MM2Hビザが失効しているので、引き続き滞在したい場合、一旦日本に帰って再申請することになってしまうと思われます。(このあたり、マレーシアの場合「柔軟」なことがあるので、当局と相談の余地はありと思いますが)

2.2 MM2Hパス(ビザ)のオンライン申請

 5については関係新聞記事が出ています。

3.おわりに

 今回はこれにて取り急ぎ。
 たまにMM2Hの公式サイトはチェックしないといけないですね。そのうち、「ある、ある」と言われてまだない、あっと驚きの預金金額上昇があるかもしれません。


 かなり駆け足で読んで書いたので間違いがある可能性が高いです。誤りがあればご指摘ください。とくに、「年金があれば定期預金を置かなくていい」ということが公式サイトのここに書いてあるという情報をお持ちの方はお知らせください。

 追記2018/8/28
 読者のまっちゃんから、MM2H公式ページのアーカイブに年金要件の記述があるとの情報をいただきました。ありがとうございます。

 上のリンクでUPON APPROVALタブをクリックすると、下図のようなページが表示されます。赤枠で囲ったところをご覧ください。

WithdrawalRequirements20160128
UponApprovalPensionOK20131230
図A1 MM2H Official SiteのTerms & Conditition, Upon Approvalの(公告日付2013/12/30)のウェブアーカイブ 出典 web.archinve.org

 内容は

(MM2H承認に際して、50歳以上の場合の条件)
次のいずれかを選択できる
RM150,000.00の定期預金口座を開設する
または
月にRM10,000の政府からの年金受取りの証明

 ということで、RM150,000の定期預金口座を開設しなくても、月々RM10,000の政府年金の受取りがあれば認められていたことが過去にあったということです。

 告知日の2013/3/30とアーカイブ日の2015/6/27の間は少なくともこの告知が有効だったと考えられ、アーカイブ日の2015/6/27時点では少なくともこの告知が有効だったと考えられます。(※MM2H公式サイトは、内容を変更して、最終改定日を変更しないことがあるという情報をまっちゃんから得ましたので、訂正します 訂正2018/8/29)

 また、条件をだんだん厳しくしている経緯を考えると、告知日以前もこの条件が有効だった可能性が高いのではないかと思われます。

 月にRM10,000というと、現在の円高なレート(MYR/JPY=27.0 2018/8/28現在)でも27万程度であり、当時のレートでは、30万、その後35万程度に2014年中に上昇したので、ハードルは低くはなかったですが。

MYRJPYChart2014
図A2 2013年末(2013/12/22)から2015年3月(3/22)までののMYR/JPYの値動き 
出典Investing.com
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