Shunp's日記

大阪府吹田市在住、50代男性。 2005年スタートのこのブログ。途中休止を挟みながらも、19年目に入った。 マラソンの自己記録更新をめざしているが、故障によりその決意もやや揺らぎつつある。「ランに変わる何か」を探す中で見つけたのが「ピアノ」。ランとピアノの二本立てで、前に進む。

カテゴリ： 本 ・ 読書

吹田に引っ越してきた時点で、図書館の本をネット予約できるシステムになっていたが、借りる本をあらかじめ決めるのではなく、書棚を見て面白そうな本を「見つける」ことを重視していたので、これまでネット予約システムを利用したことはなかった。

それが、今年になって医療をテーマにした小説を集中的に読んでみようと思い立ったことや、昨年オープンした北千里図書館が夜8時まで開館していて、仕事帰りに本を受け取れるようになったことから、遅まきながらネット予約を始めてみた。

ネットで調べた読みたい本候補リストのうち、吹田図書館が所蔵しているものをチェックし、順にマイページの「予約かご」に入れる。その中で読みたいものから「予約」へと進む。順番待ちになっているものも、とりあえず「予約」に入れておく。当たり前だが、ごく簡単である。
待っているうちに、メールで「取り置き」の案内が届くので、閉館に間に合うようであれば、図書館へ。図書カードのバーコードを読み取って本の所蔵棚番号を確認し、予約本コーナーに行ってピックアップ。あとは自動貸し出し機で手続きをするという一連の流れは、ごく短時間で終わる。

「予約かご」には、医療小説以外も含めてすでに15冊ほどが待機中。借りた本を読み終えるタイミングを見ながら、適宜「予約」へと移行していく。

ここ3年ほどの停滞感が漂う状態から、今年は少しでも変化していきたいと思っていて、ちょっとしたことでもよいので、何か「新しいこと」をやってみることにしている。
この「ネット予約」と「医療小説を読む」は、ともにこの「新しいこと」。これによる効果はさておき、生活に小さいながらも変化が起きたことは確かである。

ネットで注文し、近所の書店で本を引き取る（代引き）ことにした。

書店数の減少が以前から話題になっていて、
その傾向が今も続いているのかどうかは知らないが、
コロナ禍でネット通販の存在感が高まっている中、
おそらく、書店の厳しい環境はさらに増していると思われる。

書店でぶらぶら、漠然と書棚を眺め、そこで目についた本を手に取る。
以前に読んだことのある作者の新作を見つけることもある。
テーマを定め、そのコーナーに行って、良さそうな本を探すこともある。
ざっと中味を見て、面白そうだと思ったときの、ちょっとした喜びは、
ネットでは味わうことのできないもの。

書店には何としても生き残ってもらいたい。
蔵書の豊富な大阪市内の大きな書店に行くことが多いが、
近所の書店にも、ぜひ頑張ってもらいたい。

そこで思いついたのが、ネット注文・書店引き取りのシステム。
今頃ようやくではあるが、まだ間に合うはず。
「オンライン書店e-hon」で検索すると、幸い近所の書店も登録されていた。

第一弾として、先日亡くなり、メディアで大きく取り上げられていた
ジョン・ル・カレのスパイ小説を購入。
これまで名前だけは知っていたが、いくつかの記事で絶賛・激賞されていたので、
読んでみることにした。初期作品や著名な三部作などをまとめて注文。
未読作家の小説をいきなり複数冊購入することは、これまでにない経験だが、
これだけの高評価なら、まず間違いはなかろうとの判断。

注文してから、意外に時間がかかったが、書店に届いたとのメールが着信。
宅配で届くような箱に入ったものを、そのまま引き取って持ち帰った。
当然、ネット通販で注文し家に届けてもらうのが早いし楽ではあるが、
今回は「書店で買った」という点でのささやかな満足感が得られたことが、
持って帰るという手間を大きく上回るメリットとなった。

今後も、本が決まったら、なるべくこの方法で買うことにしよう。


昨秋から、小川洋子の小説を順に読んでいる。

以前に映画『博士の愛した数式』を見て、
その作者が小川洋子であることは知っていたが、
彼女の作品を読む機会はなかった。

たまたま読む本がない時に、
本棚にあった『博士の愛した数式』を手にとってみたところ、
これが思っていた以上の面白さ。
ストーリー展開もさることながら、
比喩を含めた個々の文章表現の魅力度が高い。

それを機に、『ことり』『猫を抱いて象と泳ぐ』を読み、
自分へのマッチ度合いが相当高いことが分かった。

小川洋子には、多くの作品がある。
手元に置いてじっくり読むべく、文庫版を買うことにした。
多くの作品が出ているので、読みながら、徐々に揃えていく予定。

小川洋子作品の文庫は、大手出版社から万遍なく出ており、
本屋に行けば、出版社別に並んでいる文庫棚を順に回ることになる。
本探しも、また面白い。

吉村昭の時は次々に作品を買い、立て続けに、一気呵成に読んだが、
今回は、ポツポツと、他の本もはさみながら時間をかけて読むことになりそう。
それが、小川作品に合っているようにも思える。








コロナ自粛期間中は、家にいる時間は長かったものの、
落ち着かないこともあってか、本を読む時間は多くはなかったし、
新たな分野の本に手を出すという感じでもなかった。

そうした中での読書のメインは、高村薫作品の再読だった。
2月下旬に、新刊『我らが少女Ａ』が出ているのを知り、
早速購入して読んだのだが、これを機に、3月に入ってから、
途中でストップしていた『新リア王』（上）をリスタート。

この作品は、長大で、時に微に入り細に入りする(しかも専門性が高い)記述が続くために、
読むのに忍耐を要する「福澤三部作」の第2作。
第1作の「晴子情歌」(上・下)の再読では、何度も長期中断がはさまり、
1年近く前に読み始めた『新リア王』も、じきに挫折したのだが、
どういう状況の変化か、今回は着実に前進し、4月に入って下巻まで読了。

そして3作目の『太陽を曳く馬』は、初読のときは最後まで読み切れなかった作品。
後半になって宗教の話が全面に出てきて、難解だったという印象が強く、
改めて手に取ることすらハードルが高かった。
今回は、この作品が合田雄一郎シリーズでもあることをモチベーションに、
約10年ぶりにスタート。
途中、中弛みがありつつも、こちらの忍耐度が上がったか、理解力が高まったか、
5月半ばには上・下巻を終了した。
こうなると、合田シリーズも再読を、ということで、『照柿』『冷血』も続けて読んだ。

どの作品も、初読の時とは読後感にかなりの違いがあるのが、一番の印象であり、収穫。
特に『太陽を曳く馬』と『冷血』は、当時はさほど気に止まらなかった部分が、
今回は面白いと感じられたのが、読後感の違いを生んだのだろう。

高村作品の面白さ・奥深さも再認識したので、
３年ほど前に読んだばかりではあるが、『土の記』の再読もスタート。

この作品は、奈良西部の宇陀エリアが主たる舞台。
ここは、私がオリエンテーリングをやっていた頃、
レースや地図調査・大会準備などで20回以上は行った馴染みの土地なので、
そのことが作品への親近感を高めてくれる。
ゆっくり味わって読もうと思っている。

年明けから、仕事も含めてイマイチの状態だったので、
少しでも気分転換を、という狙いで、
『レディ・ジョーカー』を読みはじめた。

10年ほど前に初めて読んで、
その面白さが強く印象に残っていた本。
（当時のブログ記事（2009年10月））

10年ひと昔とは言うものの、
今に比べればかなり若かった（とは言え、当時も腰痛での長期休養中だった）し、
そこからの10年で、いろいろな経験も積んだ。

そういう期間を経ての再読だが、
（当時、この本を読んでどう感じたのかは定かではないが）
本作の「企業もの」としての側面により意識が向くし、
中心的な役割を果たす企業人達の行動や心理に、興味を覚える。
自分と彼らの年齢の近さも、その一因になっているだろう。

本を再読すると、こちらの変化によって見え方・読み方が変わるのは
大いにありうる、いや、当然のことなのかもしれない。
ついつい新しい本に目が行きがちだが、
作品によっては、再読であっても十分に新鮮さを味わえる、
ということだろう。
どんな作品がそれにあたるのかを考えながら、
再読する本を探してみるのもよさそうだ。

『レディ・ジョーカー』は、
今回は一気読みせずに、少しずつ、寝る前に読んでいる。
下巻の半分を過ぎたところで、もうしばらくは毎晩の楽しみ、がある。

11月頃から、「松本清張短編全集」（光文社文庫・全１１巻）を読んでいる。

この本は、もともとは、昭和38年から40年にかけて刊行され、
作品選定には清張の意向が強く反映されている、とのこと。
収録されている作品は、昭和26年から37年に雑誌に発表されたもので、
まさに清張の初期作品群である。

清張にこうした短編作品があることを知らなかったが、
図書館で、たまたま書架にあるのを見つけて読んでみたところ、
これがかなり面白い。
（出世作の『西郷札』『或る「小倉日記」伝』は、作品名だけは知っていたが、
その内容はおろか、短編小説であることすら知らなかった。）

推理小説はこれらのうちの一部で、戦国時代や江戸時代を題材としたものから、
現代小説に至るまで幅が広い。
当時を舞台にした作品には、確かに今とは違う
当時の社会情勢が描かれているところもあるのだが、
そのことよりも、今の時代が舞台であったとしてもさほど違和感がない、
という点に、面白さを覚えた。
およそ60年ほども前ではあるが、
当時と今の社会では、実はそれほどの大きな違いがないのか、
人間の行動や心理は、少々の時間が経ったとしても、さほど変わらないのか・・。


それとは別に興味深いのは、これらの本が今も次々に貸し出されていること。
図書館の書架には、常に、11冊のうち数冊しかなく、
こちらが読んで返す時に見ると、前回なかった本が戻っている。
その次に行くと、自分が読んでいた本がなくなっていたりする。
松本清張の根強い人気が実感されるのである。

残りはあと3冊。
これまでは、書架にあるものをランダムに借りていたが、
これからはどうだろうか？
と思って、蔵書検索をしてみると、いずれも「貸出中」になっている。

もちろん、予約しておけばすぐに読めるが、
図書館の書棚で目当ての本を見つけること自体が一つの楽しみなので、
予約はせず、その都度、チェックすることにしよう。






12月に入ってようやく仕事が峠を越え、気分的にかなり楽になった。

3ヶ月ほど封印していた小説読みも再開。
昨夜は、辻原登『籠の鸚鵡』が面白く、
途中でストップできずにそのまま最後まで。
2時近くまで起きていた。
（自転車・ラン休止中のため、こんな事もできる）

腰の痛みはあるものの、ローラー台でちょっと練習するくらいは大丈夫なので、
ペダリング練習をやってみることにした。

現在は、不慣れで上手く回せていない状態だろうから、
これを改善できれば、筋トレよりも即効性は大きい。

まずは高ケイデンスを維持する練習と片足ペダリング。
特に片足ペダリングはぎこちなく、
かつ、すぐに足が重くなって持ち上げられなくなる。

どのあたりで踏んで（踏み止めて）足を引き上げるのか、
そのあたりのコツをつかんでいくとともに、
腸腰筋を少しずつでも鍛えていくことで、引き上げる力が高まる。

これなら短時間で行えるし、腰への負担も大きくない。
ちょっとでよいので、ローラー台に乗る日を増やすことを目標としている。


仕事がハードになってくると、
仕事がらみや固い内容の本を読む気力は削がれ、
興奮を冷ましたり、エネルギーを回復するために、
往復の電車や夜寝る前に、何か面白い本を読みたい、
ということになる。

今回、主にお世話になっているのが、Ｊ・グリシャムの本。
映画化も多くされているので、
以前から名前は知っていたのだが、
今回、図書館でたまたま借りてみたのが『最後の陪審員』。
面白くて一気に読み、続いて『謀略法廷』へ。（これも面白かった）
ともにミシシッピ州を舞台にした作品で、
両作品とも、社会派ドラマ的な色彩が濃いのだが、
時代背景や舞台設定は異なっており、
作品全体の雰囲気としても、かなり違っているという印象だった。

その後に読んだ『大統領特赦』は、さらに違った趣の作品で、
多様な作品を面白く読ませる、という作家としての力量がうかがえた。

いずれも内容的には硬派なものだが、
その中にあって、ユーモアや皮肉・風刺があちこちに織り込まれており、
その点も、これらの作品の魅力の一部となっていた。

仕事のハードさは峠を越えつつあるので、
Ｊ・グリシャム作品は、ひとまず現在読んでいる『処刑室』で終了し、
また、次のハード局面で、登場してもらおうと思っている。


新聞書評を見て
『鳴き声から調べる野鳥図鑑』を買った。

本書は、鳴き声を聞いて、何という鳥かを調べることができる、
というのが売り。

各ページ1種類の鳥が紹介されていて、
文字で鳴き声の特徴などが記されている。
それと合わせて
付属ＣＤをパソコンで再生しながら鳴き声を聞く、という仕組み。

各鳥について、数種類の音声データが収録されており、
同じ鳥であっても、鳴き声にはいろいろある、ということが分かる。

春から秋にかけては、樹木の葉が茂るので、
姿は見えないが、鳴き声だけは聞こえる、
というケースが多くあり、
鳥の姿を見ること自体が難しくなる。

せめて、鳴き声だけでも知っておけば、
実際に姿を見たときに、判別が容易になるはず。


先日、箕面の山を走ったときに聞いた鳴き声は、
「ヤマガラ」の声であることが、さっそく、判明した。


ネットでも、鳴き声図鑑的なサイトがあるので、
それも使えば、
身近にいる野鳥の判別力をたかめられそうだ。

しばらくぶりに近所の図書館に行って、小説を借りてきた。

どの作家の本にするか、あ〜わ まで一通り書棚を眺めてみた。気分転換に読むのが目的なので、これまで読んだことのない作家というのは敷居が高い。結果的に、馴染みの「乃南アサ」「宮尾登美子」に落ち着いた。

初対面の人に会うのと同じで、初読の作家の作品を読むのには、多少の緊張感と文体やストーリー展開についていくためのエネルギーが必要になる。もちろん、そうしたハードルなく、すっと入って行って楽しく読めるケースもあるが、それは読んでみないと分からない。

そういう意味で、未読作家にトライするのは、こちらにもそれなりの心構えというか意気込みみたいなものがいるのである。今日はそのタイミングではなかった、ということ。


早速、乃南アサを読み始めたが、行き慣れた店のようなもので、読んでいて心地がよい。行きつけならぬ読みつけの作家の数が増えてくると、読書生活もますます楽しいものになるのだろう。

仕事とランニングに意識が向いている時間が長く、
その影響もあって、ここしばらく小説・文学が、遠のいていた。

春になり、だんだんと余裕が出てくるにつれ、
ようやく溜めこんでいた本を読む気になってきた。

まずは、昨年５月刊行時にすぐ購入した
カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』。

なかなか進まなかったのだが、
中盤以降はどんどん面白くなって一気にゲインし、読了。
これまでのイシグロ作品にはなかったファンタジー風の展開に
いまいち馴染めぬまま終わった感があるものの、
再読すれば、初回では味わえなかった良さが見えてきそう、
という感触がある。いずれかの段階で、もう一度読むつもり。

次に着手したのが、
買ってからもう７年も経ってしまった村上春樹『１Q８４』。
未読の春樹作品がなくなってしまうのが嫌で、
ずっと温存してきたが、「読み時」が来たのだろう。

まだ読み始めたばかりだが、やはり面白い。
読み急がず、じっくりと楽しみたい。

著者の津田誠一氏は、マラソンランナー・川内を、2005年春（学習院大学入学）から2010年夏（川内が東京マラソンで2時間8分27秒を出したのが2011年2月）まで指導した。

本書は、その指導法や学生時代からの川内の成長ぶりを記したもの。

本書が示すトレーニング（練習）でのポイントは以下のとおり。

〇練習では「頑張りすぎない」ことが何より重要
〇ポイント練習は週2回（休日＋水曜日）。残りは疲労抜きのジョグ。
〇ポイント練習で大事なことは
　・フォームが崩れるほど追い込まない。追い込むと故障しやすくなる。
　・長距離走やインターバルの設定ペースは、余裕の残るレベルで。
　・練習が終わってから「明日も走りたい」と思うレベルで十分。
　　（練習で満腹にならないこと）　
　・設定ペースを守ることよりも、距離や本数をこなすことが大事。
　・インターバルのつなぎは65-70秒。
　　（これを最後まで維持できるようなペース設定をする）
〇あくまで「走ることを楽しむ」のが大事。

本書には、「サブ３．５」や「サブスリー」の練習メニューも載っているが、
そこでの設定タイムは意外に「遅い」と感じる。
もちろん、これを「余裕をもって」クリアできることが必要ではあるが・・・。

川内がマラソンランナーとして大きくブレイクする前の指導者ということだが、
川内は今もこの練習方法を基本としているようだ。

この手法がどこまで普遍性を持つのかは分からないが、それはそれとして、
私としては、「市民ランナーはあくまで走ることを楽しむべき」という
著者のベースとなる考え方・スタンスには共感するところ大である。


このところ、なかなか読書をする時間が取れない。
この３月までは、通勤で電車に乗っている時間が長く、車中読書を楽しんでいたのだが、現職場に異動してからは、それが出来なくなった。また、趣味の優先順位１位がランニングになり、休日に仕事関係で時間を使うことも多いので、結果として読書量は激減。少々ストレスが溜まる状況ではある。

その代替というわけでもないが、このところ新聞の書評欄を熱心に読んでいる。各分野の専門家が、それぞれ推薦する新刊本をコンパクトに解説しているので、これを読むだけでちょっとした勉強になる。

加えて、普段は関心・興味外で、手に取ることのないような本でも、書評くらいなら気楽に読めるし、実際読んでみると面白いと思えることが少なくない。自分の関心事以外の分野にも視野を広げていくうえで、この書評欄はなかなか有効なのである。

そういうわけで、最近は購読紙以外の４大紙の書評も読むようにしている。ボリューム的に重たく感じることもあるが、なるべく続けていきたいと思っている。

先日、カズオ・イシグロ10年ぶりの長編作品がイギリスで発売された。
去年春に「2015年3月に発売予定」というニュースが出て以来、音沙汰がなかったので、どうなったかと思っていたが、これで日本語版の刊行も確実だ。

寡作の作家なので時間がかかるとは思っていたものの、それにしても10年とは長い。

たまたま、先月には、思い立ってイシグロの代表作『日の名残り』をゆっくり味わいながら再読したばかり。

最新作は中世のイギリスが舞台とのことで、どんな世界が展開されるのか、4月下旬の日本語版発売が楽しみだ。

マスコミでも再三報道されている「消滅する自治体」問題についての、
既出の論文や対談を1冊にまとめたもの。

この議論の中心的な主張は以下のとおり。

東京に人口が集中し地方が衰退する。
しかも東京はその環境の悪さゆえに人口再生産力が著しく低いため、
このままでは日本全体の人口減少に歯止めがかからない。
せめて、地方中核都市の力を高め、東京への人口流出を食い止めることにより、
最悪の事態を防ぐべき。


国は全体的な政策を遂行するとして、当事者である地方はどうすべきなのか？

地理的な条件など地域自身では変えようのない要素に影響される部分が多いことは確かだが、
その一方で各地域の取組み次第で、地域の将来が変わってくることもまた事実。

それぞれが自らの地域特性を十分に見極めたうえで、それを生かした施策を打つことが不可欠になってくる。

ＡＬＳ患者への支援を目的とした「アイス・バケット・チャレンジ」が話題になっている。
数年前に読んだ『逝かない身体』を思い出したので、ここで紹介しておこう。

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ALS（筋委縮性側索硬化症）患者となった母親を12年近くにわたって自宅で介護した娘が、介護について、ALSについて、そして生きることの意味について語った本。本書は本年の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

ALS患者は病状の進行にともなって身体を動かせなくなり、呼吸器をつけ、やがては眼球の動きと文字盤でのみコミュニケーションをとることとなる。著者の母親は、さらに眼球すら動かせなくなるのだが、それでも「汗や表情で患者は心情を語ってくる」と著者は言う。
正直なところ“身体を全く動かせないのに意識ははっきりしている”という状態を想像することすら苦しくて、この本を図書館で借りてから読み始めるまでにしばらく時間がかかった。しかしいざ読んでみると、母親の日々の様子や在宅での介護の一場面一場面を詳細に描く著者の表現力の確かさに引き込まれ、最後まで一気に読み進んだ。

著者、そしてその母親が発するメッセージはとても重たくて、簡単には消化できそうもないが、それでも読後にはある種のさわやかさが残った。それは著者自身の介護をやり切ったという気持ちが読者に伝わってくるせいなのだろうと思う。

少し長くなるが、本書最終盤の一説を引用しておきたい。
「母は六年以上もその瞼さえ自力で開けられないほどの状態だったが、住み慣れた家の自分の部屋で、毎日同じ人たちに囲まれて、同じ時間に同じケアを受けることができて、安心していたのだ。このような病人にとって、これがもっとも理想的な生活なのである。それが普通の人にはわからない。退屈で虚しいだろうと思われてしまう生活こそが、重症患者のささやかな幸せの一部だということが。」
−−−

高村薫の新刊発売、という新聞広告を見て直ちに購入。

「高村薫　ユーモア小説に挑戦」とのＰＲではあったが、
読んでみると、彼女の「社会批評もの」の1冊であることが分かった。

ただし、他の批評もの作品とは違い、
本書では違った角度から、ブラックユーモアや空想的な話も交えており、
ストレートな論評ではないのだが、その分だけ奥が深いとも言える内容になっている。

ただし、書きぶりはあくまで小説のもの。
長文で、硬く、古めの単語も登場する、という「高村節」を楽しんだ。


引き続き、往復の車中では小説を読んでいるが、このところ、ややペースダウン。
小説以外の本に目を向ける意欲が湧いてきているのが、その一因。

気持ちに沿って、読みたい本を読むというのが、自然体でよい。





近藤史恵の自転車もの４作品『サクリファイス』『エデン』『サヴァイヴ』『キアズマ』を連続して読んだ。

小説としても面白かったが、加えて、自転車のロードレース競技の事が読むにつれて分かってきて、そのことも、４作を続けて読んだ要因である。

以前から、ロードレースにはチームとしての作戦が重要、という知識はあったが、詳しいことは知らなかった。この４冊で、それがある程度分かり、ロードレースへの興味が湧いた。

折しも、今、まさにツール・ド・フランスが行われている。テレビでは、毎日ダイジェストもやっているので、これから見ていこうと思っている。

仕事帰り、図書館に立ち寄って、宮尾登美子『寒椿』を借りた。

このところ、女性作家の作品をいろいろと読んでいるが、その中では、宮尾登美子『蔵』が断然面白かった。

宮尾登美子は、吉村昭が高く評価しただけあって、ストーリー・文章ともに、レベルの高さが感じられる。『蔵』は、久しぶりに読むのを止めるのに苦労したほど。(翌日の起床、仕事の事を考えて、何とかストップ)

去年の後半から小説を読み始めたが、宮尾登美子は、そこで出会った作家の中で、横山秀夫に続く新しい「お気に入り作家」になりそうだ。

こうやって、お気に入り作家を増やす事ができれば、読書生活もさらに充実するだろう。

吉村昭について書かれた本が出た、というので、早速購入。

タイトルにある通り、小説家・吉村昭に関する評論である。
作品の紹介を中心に、文学賞選考の際の批評や文庫での解説も織りまぜながら、吉村昭の執筆活動の全貌を描こうとしている。

作品内容はもちろん、本書に記されたエピソードや関連の話題などは、ほとんどが既知のもの。新しい本を読むときのワクワク感はないかわりに、自分の家でくつろいでいるような、居心地の良さを感じながらの読書となった。

忙しい事もあって、吉村昭から少し遠ざかっていただけに、この本を読むタイミングとしては、ちょうど良かったのだろう。

久しぶりに「吉村昭作品 読書ガイド」に記事をアップしてみようか、という気になった。

しばらく前から、いろいろな作家の小説を読んでいるが、
多くの作家がいる中で、どの人を選ぶかというのが、結構難しい。

本屋や図書館、新聞などで見て、面白そうな作家リストは増えるばかり。

幅広く、というのを第一基準にしているが、それで絞り込みができるわけではなく、
1冊終わるたびに、次はどうしようか、ということになる。


そんな経過を経て、初めてその作品を読んだ作家はというと、

湊かなえ、奥田英朗、角田光代、高杉良、東野圭吾、道尾秀介、宮部みゆき
浅田次郎、吉田修一、南木佳司、辻原登、葉室麟、沖方丁

この中では、　奥田英朗、角田光代、南木佳司、宮部みゆき　あたりが、
自分の好みにかなりマッチするという印象を持った。

こうやって、読みたい本を増やしていく作業は、かなり楽しいものがある。


引き続き、未読作家の作品を読んでいくが、
ここまでのところでは、明らかに女性作家が少ない。
幅広く、という観点から、しばらくは女性作家をターゲットにする予定。

宮尾登美子、恩田陸、三浦しをん、柴崎友香　　が当面の候補。

難波や心斎橋で飲み会があった時は、梅田で阪急に乗り換えて帰宅する。

21時台に梅田を通る場合、ほろ酔いの気持ち良さのまま、
紀伊国屋書店に吸い込まれることが、ままある。
飲み会が終わってゆったりした気分のときに、
広い店内を目的の本もなくぶらぶら見て回るのが、けっこう楽しいのである。


昨夜の飲み会は天王寺だったが、
同じ方向に帰る人との話がはずんで、梅田回りで帰宅。

紀伊国屋書店がまだ開いているのを見て、足は自然に店に向いた。
閉店間近なので客はそれほどおらず、足元が少しふらついていても支障なく歩ける。
こういう時には、たいてい「以前から少し気になっている本」を買ってしまうことが多いのだが、
選んで買うという行為だけでかなり満足し、
買った本をしばらく（orずっと）読まずに放置してしまいがちだ。

昨夜は、そのことを自覚しながら、それでも「まあいいか」と思って3冊購入。
この3冊はどうなるか・・。

家の本棚で眠っている本を、和泉市立図書館に寄贈することにした。

これまでは茨木市の図書館に運んでいたが、これからは和泉市へ。
そこそこ新しくて、書き込みをしていない本が対象である。

図書館に所蔵されない場合でも、リサイクルで誰かの手に渡る可能性があるので、
家でただ置かれているのに比べれば、本にとってもよいだろう。

（3月29日の「リサイクル市」に出品され、希望者に引き取られる。）


さて、これまでは２度と読まないだろうという本を寄贈していたが、
今回は、少し視点を変えることにした。

つまり、これから読むかもしれない（＝そこそこ良いと思っている本）というレベルでも、
他の人が興味を持ちそうな本ならば、積極的にリストアップしてみた。
「そこそこレベルの本」は、経験上、再読する可能性はかなり低いし、
一方で、図書館に所蔵されたり、リサイクルで引き取られる可能性が高いのなら、
その方が良いということ。

今回の中では、ベストセラーになった『ミレニアム』（スティーグ・ラーソン・全６冊）が
所蔵図書になるのではと期待。


今後、「そこそこレベル」と判断した本は、いたずらにキープせず、
早々に寄贈するか否か判断することにしようと思っている。




通勤の電車内で小説を読むようになって数カ月。
いろいろな小説家の作品に手を伸ばしている。
当面は各作家2冊ずつ程度にとどめて、
なるべく多くの小説家の作品を読んでみようと思っている。

これまでごく一部の小説家の作品しか読んでこなかったが、
読むにつれ小説というものの魅力にはまりつつある。
しかし、現状では小説に充てられる時間は限られている。

書店には新作が平積みされていたり、人気作家の文庫本が書棚にずらりと並んでいるが、
これらの本に進む前に、当面は図書館にある文庫本を読むことに専念しよう。

年末から年始にかけて、『三陸の海』（津村節子の新刊）を読んだ。

震災で大きな津波被害を受けた岩手県田野畑村について、
吉村昭のことも含めたこれまでの思い出や震災後の村の様子などが記されている。


この本の読書録をブログ『吉村昭作品　読書ガイド』にアップ。
こちらのブログの更新は久しぶりである。

今年は『吉村昭作品　読書ガイド』にも、もう少しエネルギーを投じていきたいところ。


『三陸の海』の書評（日経新聞）

帰宅途中、久しぶりに梅田・茶屋町の「ＭＡＲＵＺＥＮ＆ジュンク堂」に行った。

この書店は、品揃えが豊富で、
特定の分野の本をあれこれ探したいときに大いに重宝する。

逆に、目的もなくぶらぶらという場合は、
広すぎて、また本が多すぎて、かえって疲れてしまう。


今回はビジネス分野の幾つかのジャンルの本をチェックする目的で来た。
期待どおりいろいろな本を手に取ってみることができ、
買うべき本もいくつか見つかった。

ビジネス分野の本は、比較的新しい本であっても、
ネットであれば、中古品をかなり安い値段で入手できることが多い。
今回も、書店で実際に中身を見て、家に帰ってからアマゾンで注文した。

こんな利用の仕方では書店が成り立たないし、書店がなくなってはこちらが困るので
当初目的とは無関係な新刊を２冊購入した。
この２冊で書店の経営がどうなるものでもないが、まあ、気持ちの問題。

勤務先の最寄り駅近くに、和泉市立図書館がある。

駅のすぐ近くにあって、平日夜９時まで開館しているので、仕事帰りに時々立ち寄る。


電車の時間まであと7,8分あるというようなとき、
図書館に寄って文庫の棚に直行し、２，３分のうちに借りる本を決める、
といった使い方をすることが多い。

もちろん、なかなか決められずに、もう1本あとの電車に変更することもあるし、
まれには、ゆっくりと20〜30分過ごすこともある。

いずれにせよ、手軽に、気楽に本を借りることができるので、非常に重宝している。


和泉市立図書館は指定管理者制度を導入しており、
それゆえに、利用者サービスについての意識が高いと感じる。

高橋尚子らを育てた小出義雄監督が書いたマラソン本を読んだ。
「後半から終盤にペースアップするようなレースをすべし」というアドバイスだ。

この本に書かれているトレーニングメニューは、かなりハードであり、
今の自分には、質・量ともに無理なレベルだが、いつか、コンディションが整えば、
このメニューにトライしてみたいと思った。


以下は、本書の内容紹介。


世の中には、「このくらいの練習でタイムが伸びるの？」と思うような
マラソン本・記事もが少なくないが、この本は、そうではない。
むしろ、「これぐらい練習すれば、このタイムが出て当然」と思えるくらいの
練習メニューが提示されている。しっかり練習すれば、それに見合ったタイムがでる。
逆に、そうしない限りいいタイムは出せない、ということである。

トップ選手を育ててきた小出監督にすれば、当然の結論であり、そこにマジックはない。


小出監督が本書で示した基本的考え方は、
○レースでは序盤体力を温存し、後半（終盤）にペースアップする。
○目標タイムをクリアできる平均ペースを基準に、キロあたりプラス10秒が体力温存ペース。
　そしてマイナス10秒が、終盤のペースアップ時のペースとなる。
○トレーニングでは、距離走に加えて、
　ビルドアップや(サブ4であっても)心肺強化のために追い込んだ
　(ゼーゼーハーハーとなるペース)トレーニングを行う。

上記の方針のもと、サブ4とサブ3を目指すための12週間メニューが示され、
トレーニング方法やレースでの注意点など細かなアドバイスが盛り込まれている。

文中には、高橋尚子を中心に、有森裕子、千葉真子、鈴木博美の現役時代の話が
所々出てくるので、マラソンファンには、読み物としても楽しめるだろう。



最近、通勤電車の中で、小説を読むようになった。

理由はいくつもある。

◎勤務地が変わり、車中で過ごす時間が大幅に長くなった。
◎小説世界に浸ることで、オンオフの切り替えがしっかりできる。
◎人気小説家の作品を読んでみたくなった。

が、主なところ。


朝は、その日の仕事の段取りを考える事も多いため、帰路で読む事が多くなる。
「オンオフの切り替え」効果は大きく、帰宅したころには、気分がすっきりしていることも少なくない。

ただし、自宅で読み始めるときりがないので、「車中限定」にしているが、
小説を読めるので休日出勤が楽しくなる、という副産物があった。


今のところは、いろいろな作家の作品を薄く広く読んでいる。

今後、吉村昭、高村薫、村上春樹、カズオ・イシグロに続く、
お気に入り作家が見つかるかもしれない。楽しみである。


　

吉村昭の著作の多くを読み終え、残りがだんだんと少なくなってきた。

氏の著作は様々な分野に及ぶ。作品に関するキーワードを思いつくままに挙げてみても、「戦争」「幕末・維新」「漂流」「北海道」「逃亡」「海」「刑務所」「ボクシング」「医学」など、いろいろと思い浮かぶ。また、主要な小説については、執筆のきっかけやプロセス、著作には描けなかった話などが、氏のエッセイに書かれており、小説とあわせて読むと、面白さが増す。

どういうきっかけかは忘れたが、しばらく前から、友人のリクエストに応じて、吉村昭作品を推薦している。推薦してしばらくすると、「他にないか？」と新たなリクエストが来る。推薦した本はいずれも面白い、というのである。


ネットで検索すると、吉村昭作品についてのＨＰやブログがいろいろと見つかる。作品リストやテーマ別分類もある。私も、このブログに散発的に読書録を載せているものの、吉村作品はもっと広く知られて然るべきだろうという思いが強まってきた。

ということで、氏のエッセイ集を全て読み終わった段階で、「吉村作品についての読書ガイド」を作ってみようという気になっているのである。どのようなスタイルにするか、現在構想中。新たな「趣味」になりそうだ。


後日追加記載　⇒　その後、この構想を具体化して新ブログを立ち上げた（本ブログの「リンク先」参照）

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