正朝通信

2007年01月

ff44fbf2.jpg 　神奈川県の三浦半島の先端にある三崎に行ってきました。会場の「三浦市民ホール」は港のすぐそばにあります。楽屋の窓から見ると、真下がもう海です。「シーサイド寄席」とは絶妙のネーミング、うまい名前を考えたものです。

　今日の出演は、二つ目の歌彦さんとマジックの伊藤夢葉さんと私の三人です。冒頭に「寄席囃子」の実演をやりました。この「寄席囃子」の実演は、「学校寄席」や「子供寄席」などではよくやりますが、一般的な入場料をいただく寄席では珍しいです。
　三味線は、まい師匠です。まいさんは今「落語協会で一番の美形」と噂の高い新人さんです。楽屋内でも前座さんから大御所（幹部・理事）に至るまで、人気ナンバー１です。寄席の楽屋に、ちょっと若くてきれいな女性が入ると、みんなが浮き足立ちます（笑）困ったモンです。
　私も、まいさんと一緒の仕事で「ラッキー！」って感じでした
　おいおい、しょうがねえな＞自分、アハハ

　　　　　　
　二つ目時分には、いろんな落語会や寄席で笛を吹く仕事をしました。笛のおかげで、結構稼がせてもらいましたが、真打になってほとんど吹かなくなりました。
　時々こうした「寄席囃子」の実演で吹くぐらいのものです。久しぶりに三味線に合わせて笛を吹いて、楽しかったです。かなり間違えましたけどね・・・（苦笑）

　　　　　　　　　　
　開演したら、この状態です。今日の舞台では上手側のソデに下座を設定しました。大太鼓を挟んで、歌彦さんとまい師匠です。
　さてさて、肝心の落語ですが、ネタ帖はこちらです。

・寄席囃子実演　正朝、歌彦、まい
・宮戸川　　　　　　　三遊亭歌彦
・マジック　　　　　　　　　伊藤夢葉
・祇園祭　　　　　　　春風亭正朝

「祇園祭」は、本来夏の噺です。はっきり言って、季節はずれです。この時期にやる噺ではありません。
　では、なぜそんな噺をやったのかと言いますと、その理由は「トリの責任」と「持ち時間」の関係ということになります。
　トリですから、一応は「トリらしい噺」をしなければなりません。前座噺や「軽いネタ」で終わるわけにはいかないのです。と言って、終演の時間は決まっていますから、「大ネタ」をたっぷりやる時間はありません。
　短い時間（具体的には２０分程度）で、トリらしい噺・・・・、となるとネタは限定されます。そうした中で、本日私が選択したのが「祇園祭」というわけです。この噺なら、お客さんに満足していただいて、少し感心させて、トリの責任を果たせて、短い時間で終えることができる、そんな落語です。
　そこそこうけて、まずまず喜んでいただけたものと信じます。

　終演後、事務局の小川さんを含めた私以外の四人は、京急電車に乗って帰りました。私は一人、自分で車を運転して上野鈴本の夜の部に向かったのでした。日曜日の夕方ということもあり、湘南の道はかなり渋滞しました。三浦縦貫道、横浜横須賀道路、首都高と乗り継いで、鈴本までたっぷり２時間かかりました。本日の走行距離は、一日で２００�劼鯆兇┐泙靴�
はああああ、疲れた。

5c134367.jpg 　つくづく落語は難しいと思います。今日は久しぶりに凹みました。
　すべての責任は私自身にあります。いい気になってたというワケではないと思うのですが、心のどこかに「やりゃあできるさ」という驕りのようなものがあったかもしれません。
　落語はそんなに甘くない！です。

　一年ぶりの「薮入り」でした。一昨年暮れの「扇遊正朝二人会」でやり、明けて昨年１月の「早朝ＩＭＡ寄席」でもやりました。
　どちらも、そこそこの手応えを感じていました。お客様にも喜んでもらえたと、思っていました。それ以来、高座にかけることはなく、今回約一年ぶりにやりました。

　当然といえば当然ですが「扇遊正朝二人会」も「早朝ＩＭＡ寄席」も、いわば私のシンパのお客様ばかりです。好意的に聴いて（観て）くださる人達ばかりです。
　そこへいくと「定席（じょうせき）」や一般の「ホール落語会」のお客様は、すべてが私のお客さんというワケではありません。当たり前です。
　それどころか私のことを「こいつ誰だ？」と思う人だっているのです。中には「正朝は嫌いだ」という人もいるでしょう。いえいえ、当然います、ハイ
　そういう一般のお客様にウケてこそ、本当の意味で「持ちネタ」になるのです。


　正直言って、あまり良いデキではありませんでした。原因は明白です。すべては「稽古不足」です。
　いい落語をやるために、どうしても必要な条件が一つあります。それは、覚えた落語を「反復練習」するということです。誰もいない所で、何度も何度も、同じ落語を繰り返ししゃべることが必要なのです。
　それは、音楽でも、芝居でも、あるいはスポーツ全般でも同じだと思います。一番単純で、太古の昔から未来永劫変わることのない、唯一明快な真理です。

　一つの落語を完成させるためには、新しい演出とか、新しいセリフとか、オリジナルのくすぐりとか、いろんな要素が必要です。
　そういうものがある程度かたまってきて、台本が（実際には存在しませんが、頭の中に）完成したら、今度はそれを覚えるという作業にかかります。
　一生懸命、覚えます。年々この覚えるという作業が辛くなっています（苦笑）。そして、ようやく覚えた段階で、それで完成ではありません。

　実は、そこから本当の苦しみが始まるのです。スムースに、言いよどむことなくしゃべるというのは、プロの噺家として最低限のレベルです。いかに思い描いた演出プランのとおりにしゃべれるかが、問題なのです。
　私達噺家は、頭の中に「演出家」がいて、もう一人の「演者」に演技指導をします。ところが、この「演者」はなかなか「演出家」のねらいどおりの芝居をしてくれません。「演者」も一所懸命「演出家」の指示するとおりにやろうとするのですが、できません。
　冒頭に落語は甘くないと書いたのは、そこです。そんなに簡単にできるものではないのです。「分かってて、できない」のです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　できるかできないかは、単純な繰り返しの「反復練習」をどれだけこなすか、にかかっています。
　今回その部分での「努力」が不足していました。ちょっと悔しいです。

　二日経っての反省の弁でした

d0e05b65.jpg　鈴本演芸場は、安政４（1857）年に開業したそうです。鈴本さんの資料によると、初代のお席亭である鈴木龍助という人が上野の地に軍談席「本牧亭」として始めたのが、そのルーツだそうです。その時は、現在の場所とはやや違う所だったそうです。
　2007年の今年、開業１５０周年を迎えます。

                                           
　その鈴本演芸場の前の通り、中央通りと言いますが、現在（昨年の暮れの内から！）両側の歩道の街灯に、写真のようなポスターがズラーッと貼ってあります。お気づきでしたか。上野にいらっしゃる機会がありましたら、ちょっと気をつけて上を見てください。
　写真でおわかりのように、鈴本さんが勝手に作ったわけではありません。「上野中央通り商店会」が作ったものです。つまり、あの界隈の商店会がこぞって鈴本さんの150周年をお祝いしているのです。

　今月の３１日（水）には、東京會舘で記念のパーティーも行なわれます。あっ、もう来週の今日だ！この模様は、またブログにアップするつもりです。

94fcd757.jpg　昨日の広島の結婚式を終えて、今朝の新幹線で東京に帰ってきました。その足で鈴本に行って、昼席を勤めました。その後一旦帰宅して、夜は佐渡ヶ嶽部屋の千秋楽のパーティーに出かけました。いつもの東陽町のホテルイースト２１です。

　大関・琴欧州は今日の結びの一番で、すでに優勝を決めている横綱朝青龍と対戦しましたが、残念ながら負けてしまいました。期待の琴光喜も、今場所大旋風を巻き起こした豊の島に負けてしまいました。一人元気だったのが、琴翔菊です。来場所は小結を跳び越して関脇に上がる可能性もあるそうです。大いに期待したいものです。


　さて、私はとんだ目に遭いました
　７００人からの出席者がいる盛大なパーティーで、主賓の挨拶・ご祝儀贈呈などの後の、乾杯の音頭を頼まれたのです。いやあ、ビックリしました。メチャクチャ緊張もしましたが、なんとか無事大役をこなしました。

　　　　　　　　　　
　あとで写真が届いたら、アップするつもりです。ご期待ください。それにしても佐渡ヶ嶽親方（元・琴乃若）は、カッコいいです。来月一緒に飲む約束をしました。今から楽しみです

d639deef.jpg　広島に行きました。お世話になっている山口県の歯医者さんのお嬢様の結婚式です。扇遊兄さんと私のダブル司会でした。
　この歯医者のＭ先生は、そもそもは扇遊兄さんがお世話になっていた方です。でもそのもっと前は、扇遊兄さんの師匠である扇橋師匠の「おだん（※１）」と言っていいでしょう。それが弟子の扇遊兄さんも、ひいきするようになったのです。

　私は一昨年、初めて扇遊兄さんに紹介していただいて、知遇を得ました。私としては、まだまだお付き合いの歴史は浅いのですが、今回お嬢様の結婚式にあたり、扇遊兄さんと私の二人が「ダブル司会」をすることになったのです。有り難いことです。
　
　このＭ先生は家族一同、いえいえ親戚一同そろって皆さん落語が大好きな方達ばかりです。新婦もそうです。そんな落語つながりの結婚式でした。
　さらに今回は「人前結婚式」の司会までおおせつかりました。結婚式と披露宴の両方の司会をやったワケです。

　幸せいっぱいの若い二人を見るにつけ、こちらまで幸せな気分になります。
　どうぞ末永くお幸せに。これからは関東在住になるのですから、ご夫婦そろって寄席にもいらしてください。待ってますよ

　※１：「おだん」は、旦那におの字をつけて省略したものです。漢字で書けば「お旦」となるのでしょうか。要するに「スポンサー」です。お相撲の世界では「タニマチ」とも言います。
　※２：写真は疲れた表情の扇遊兄さんです。その隣に一応マイクが用意されています。このマイクは私用です

09012b0e.jpg　日本橋倶楽部という会場で江戸のエネルギー寄席に出演しました。昨年に続いて第二回目の開催です。昨年のタイトルは「リサイクル寄席」でした。詳細は昨年２月のブログを見ていただくと出ていますので、ご参照いただければ幸いです。

　会の趣旨は、原子力発電の啓蒙です。無理矢理こじつけて「へっつい幽霊」を演りました。原子力発電のことに触れるマクラを振って本題に入りました。全体で一時間の高座でした。いやあ、疲れました

　疲れましたが、いいお客様に助けられて、なんとか終えることができました。
　終演後は、近くのお蕎麦屋さんで打ち上げをやりました。美味しいお酒とつまみと、最後の蕎麦で、大変楽しい打ち上げになりました。皆さん、ありがとうございました。

　昨年が「初回」、今年が「裏」です。来年「馴染み」になれれば嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

84747977.jpg　永井選手の浦和南高校が高校選手権で優勝したと書いた下の日記に、重要な事実誤認が見つかりました。訂正いたします。
　浦和南高校が全国優勝したのは、永井が３年の時ではなくて（ ということは、寝っころがってテレビを見ていた私も同じく ）２年生の時でした。
　１９６９年・昭和４５年のことです。

　つまり永井選手があのセンターサークル付近から独走ドリブルをして、最後にはＧＫまでかわして決勝ゴールを決めた時、彼はまだ２年坊だったのです。
　私は、私と同じ２年生が全国大会の決勝戦であんなすごいプレーをしたことに、余計に衝撃を受けたんでしょうね、きっと。　

　この間違いに気づいたのは、誰かから指摘されたというわけではありません。あの日記を書いたあとで、なんだかモヤモヤしたものが頭のすみっこから、フツフツと沸きあがってきていたのです。
　遠い記憶の糸を手繰っていたら、ふと「あれっ、２年の時だったかもしれないな・・・・」なんて思いがしたのです。

　今は便利な世の中になりました。
　この件に関して確認するのに、昔だったら図書館に行って資料を調べるとか、日本サッカー協会に問い合わせるとか、サッカーマガジン編集部に電話をして調べてもらうとか、いずれにせよ時間と労力を費やさなければなりませんでした。
　今は、インターネットの検索機能で瞬時に記録を引っ張り出すことができます。調べてみたら、案の定でした。
　
　第48回大会 1969  浦和南 1 - 0 初芝  3位 広島市商、韮崎
　第49回大会 1970　藤枝東 3 - 1 浜名　3位 浦和南、初芝　　とありました。

　私が高校を卒業したのは、1971年の3月です。1970年はあの大阪万博の年です。高校３年の夏休み、受験勉強もせずに大阪まで万博を観に行ったので、はっきり覚えています。
　２年生で全国制覇した永井選手は、連覇を狙った３年生の時には準決勝で敗れ、３位でした。

　蛇足ですが、49回大会の決勝は静岡県勢同士の対戦になっています。これは浜名高校が「インタハイ優勝校」という枠で出場したためです。静岡県代表の藤枝東（正確には一県一代表ではありませんから、東海地区代表だと推測します）と、静岡勢同士の決勝戦になったわけです。非常に珍しいです。
　どちらの大会も、参加校数は１６校でした（笑）。うちの高校は地方予選に出場する機会さえ、与えられていませんでした。

　この翌年の50回大会を最後に、近畿圏で開催されていた地味な高校選手権は終了します。
　そしていよいよ第51回大会から、日本テレビと読売新聞が仕掛けて一大ムーブメントを巻き起こす「全国高校サッカー」に生まれ変わるのです。
　後には「高校サッカー燃え尽き症候群」なる言葉も生まれるほどの、人気イベントに成長しました。
　まだまだ書きたいことは一杯あるのですが、これ以上書いても、団菊親父の昔話と同じになってしまうので、このへんにしておきます。

◆ゴメンナサイ。さらに追加訂正します◆
首都圏開催は、昭和５１年度の第５５回大会からです。
ロベルト・アベリーノさんから、コメントでご指摘をいただきました。興味ある方は、コメントをお読みください。
私の単純な「表の見まちがい」です。お詫びして訂正いたします。07年1月22日

672f4a22.jpg　さて、肝心の落語会のお話です。永井良和さんも、ご夫婦で客席に座っています。

　前座の正太郎が「たらちね」の後、私の一席目は「蜘蛛駕籠」を演りました。「蜘蛛駕籠」は、普段からよく演るネタなのですが、昨年12月の東京落語会（イイノホール）で、久しぶりに「あらくまさん」のくだりをやりました。
　実はこのシーン（ 酔っ払いが駕籠屋にからむ場面 ）は個人的に好きではなかったので、ずーっと割愛していました。ここだけカットして、やらなかったのです。
　何年ぶりか（おそらく２０年以上）でやってみたら、案外楽しかったです。なんとなく「食わず嫌い」になっていた感じです。これからは、完成度を高めるためにちょくちょくやろうと思いました。
　今日も「あ〜ら、熊さん」をたっぷり演りました。「あらくまさん」炸裂と言った感じです。お客様もよく笑ってくださいました。どうやら持ちネタになりそうです。

　仲入りの後、トリは「蒟蒻問答」にしました。暮れの「扇遊正朝二人会」でやった噺です。結論から言って、この噺は難しいです。あの時、蔵出しで久しぶりに演ったので、これから集中的にやろうと考えているのですが、問題点がようやくはっきり見えてきた気がします。
　噺の後半からサゲまでは、なんとかお客様をダレさせずにもっていくことはできます。派手な仕方、仕種（しぐさ）もありますし、スペクタクルで面白いです。誰がやってもウケルように出来ています。
　問題は、前半です。「上州安中の在」という具体的な地名が出ていますが、この噺の持っている雰囲気とでもいいましょうか、バックグラウンドみたいなものを、ちゃんと表現できなくてはいけません。
　　　　　　　　　　　　
　つまり、全体に田舎のノンビリした空気を醸し出しながら、蒟蒻屋の親分・六平衛さん、にわか坊主の元ヤクザ・八公、純朴な田舎者のようでいて実はしたたかな寺男の権助、マジメで実直な旅の修行僧・托善（たくぜん）。この際立って強烈な個性を持つ４人の登場人物を、適切に描き分けなければなりません。
　この４人のキャラクターがきちんと表現できないと、お客様はついてきません。
　逆に言えば、お客様をひっぱっていくことはできないのです。

　前半の八公と権助のやり取りが、この噺のキモと言っていいでしょう。ここをいかに乗り切るか、がポイントだと思います。非常に難しいですが、なんとかモノにしたいです。これから私の「蒟蒻問答」がどう変わってゆくか、楽しみに見守ってください。

44cbdc97.jpg　昨年始まったＪリーグ“ジェフ千葉”のホームスタジアム・フクダ電子アリーナ（略称・フクアリ）での春風亭正朝独演会も、第４回目を迎えました。
　午後２時開演でしたが、毎回開演前にお昼をご馳走になるのが恒例になっています。今日もスタジアム内にある「ハーフタイム」というレストランで、ランチをいただきました。そのお客様の中に、永井良和さんがいました。早速、記念にツーショットを撮らせていただきました。

　永井良和・・・サッカー界では超のつく有名人ですが、一般的には知名度は低いかもしれません。あえて、ご説明しましょう。
　
　私と同じ学年です（下の日記となんだか似てるなァ）（苦笑）
　浦和南高校時代に、インタハイ、国体、高校選手権の三冠王に輝いた人です。高校サッカー界の元祖アイドルです。

　特に正月の高校選手権での活躍は見事でした。
　蛇足ながらこの高校選手権ですが、今は日本テレビが大々的にバックアップして、国立競技場を中心に華々しく開催しています。冬の風物詩のようになっていますが、その当時は西宮競技場を中心にして、近畿圏で開催されていました。テレビの放送も、決勝戦だけＮＨＫ（それも確か教育テレビだったと記憶しています）が、細々と中継するという地味な大会でした。
　高校３年の正月でした。私は山口県の片田舎の自宅のテレビの前で寝っころがって、この試合を見ていました。忘れもしません、決勝戦・浦和南高校対初芝高校の試合、初芝のＣＫをクリアしたボールが、センターサークルで待っていた永井のところに飛んでいきました。まさにカウンター一発です。永井はハーフウェイライン付近からドリブルにかかり、50mを独走。たった一人でＧＫまでかわして鮮やかにゴールを決めたのです。ビッグプレーでした。
　「永井、すげえ」と思ったものです。とても自分と同じ高校３年生とは思えませんでした。

　後に永井は漫画になりました。赤き血のイレブンという漫画をご存知の方も多いと思います。今、サッカー漫画といえば「キャプテン翼」でしょうが、スポーツは野球しかななかった時代に、サッカーの漫画は異例でした。
　「赤き血のイレブン」のヒーロー・玉井真吾（字は違うかもしれません）のモデルになったのが、永井良和その人でした。
　その後の高校サッカーから数々出て来た「超高校級」とか「１０年に一人の逸材」とか「天才」とか「○○二世」の、元祖のような人です。もっともそういったキャッチフレーズは、マスコミが勝手に名づけたものですけどね。

　永井は高校卒業後、当時のトップリーグである日本サッカーリーグ（ＪＳＬ）の名門・古河電工に入社しました。すぐにレギュラーとして大活躍し、日本代表にもなります。主に快速ウィングとして、タッチライン沿いを駆け抜けていました。ストライカーというよりも、チャンスメーカーというタイプです。永井を見ながら、どうしても「同期の仲間」という意識で応援したものです。
　現役引退後は指導者の道を進み、Ｊリーグがスタートした時にはジェフ市原（当時）の初代監督になりました。その後、福島FC、アルビレックス新潟、横浜FCなどの監督を歴任し、今は浦和レッズの女子チーム「レッズ・レディース」の監督をしています。

　過去に何度かお話をしたことはあるのですが、久しぶりに隣のテーブルに座っているのを発見し、写真を撮らせてもらいました。これでもう、すっかり親友です（笑）
今度会った時は「おうっ、永井！」「やあ、正ちゃん」という間柄です（笑）
今年はＬリーグ（女子サッカー）の浦和レッズ・レディースの応援に行こうと思いました。
あっ、Jヴィレッジが母体の女子チーム・マリーゼも応援してますよ、アセアセ・・・

　最後の最後に蛇足ですが
　古今亭志ん弥兄さんは、浦和南高校のサッカー部出身で、永井選手の２年先輩です。志ん弥さんが３年生の時に、永井が１年生だったわけです。

83375dce.jpg　誕生日というのは、なんだか不思議なものです。この歳になって特別な思いなどないつもりだったのですが、いろんな人から「お誕生日おめでとう」なんて言われると、少し嬉しい気持ちになりました。不思議な感じです。

　池袋の寄席を終えて、夜は高校時代の同級生（男性）と、毎年開催している「同期会」の打ち合わせを兼ねて銀座で飲みました。日付けの変わるころ家に帰ると、孫からこんなケーキが届いていました。

　私は「おじいちゃん」とか「じーじ（世間的には多いようです）」とか呼ばれるのがイヤなので、孫には「ジーコ」と呼ばせています。ジーコ前日本代表監督とは同い年なのです（関係ないけど）。しかも１９５３年の早生まれまで一緒です。ジーコは３月３日・桃の節句の生まれです。ですからヤツとは学年も同じです。
　ただし、クラスは違いました。向こうはワールドクラス。私は山口県選抜（候補止まり）クラスでした（笑）。
　ええ、これは私の自己紹介のネタのうちの一つです。ジーコがアントラーズで現役で活躍していた頃や、日本代表監督だった昨年までは、大いにウケたのですが、今後はあまり効かなくなるだろうと思います。少し、寂しい

　それはさておき・・・、
　５４歳になりました。これから迎える５０代後半という年齢は、おそらく噺家にとって一番充実した年齢だろうと思います。体力、気力の充実と、芸の完成度という二つのベクトルが最大値になる年齢だと思うのです。
　とりあえず６０になるまでのこの６年間を、人生の勝負の時期と位置づけて頑張ろうと思います。

　って、それほど大げさなモンじゃないかも知れませんがね。フッと、照れています・・・（苦笑）

46ca7e7e.jpg　定席（じょうせき）の興行は、基本的に十日ずつの開催です。その十日間を、短いと思う時もあれば「やけに長いナ」と感じる時もあります。

　毎年のことですが、初席の十日間は長いです（笑）

　いろんな理由が考えられますが、まず第一には楽屋に出演者が多いです。普段は１時間に４本（４組）の番組なのに対して、初席は顔見世興行ですから７本も８本も入ります。楽屋はごった返しています。身分の低い者は、座る場所もありません。
　さらに、割り算をするとすぐに分かりますが、一高座の持ち時間が７〜８分ということになります。これはストレスが溜まります。落語を一席やるには短か過ぎます。いきおい、漫談や小噺の羅列、噺のマクラ等でお茶を濁すようになります。一席喋りたいです。

　もう一つは、やっぱり「お正月」という特別の時だからでしょうか「気疲れ」というような部分はあります。なんとなくせわしなくて、疲れます。

　そんな初席が、無事千秋楽を迎えました。
　写真は、恒例の終演後の「三本締め」です。左から、金翔さん（金時門下・二つ目）、金兵衛さん（小金馬門下・二つ目）、私（しっかりカメラ目線です）、昭和のいる先生、こいる先生、志ん駒師匠、金時さん（金馬門下・真打）、金馬師匠の豪華な面々です。撮影は、金也さん（金馬門下・真打）です。

　この後、これまた毎年恒例になっている浅草の焼肉屋さんに行って「打ち上げ」を行ないました。この焼肉屋さんは、安くて美味しいのはもちろんですが、実は自家製のどぶろく（マッカリ）が美味しいのです。白い濁り酒（焼酎）ですが、もしかしたら法律上は「密造酒」かもしれません。ま、細かいことはいいか（笑）

　長かった初席が終わりました。世間では「正月気分」はもうすっかり無くなっているようですが、寄席の世界はまだまだお正月が続きます。二之席（11日〜20日）もまた、お正月興行なのです。私の出番は池袋演芸場・夜の部の17時50分上がりです。初席に行きそびれてしまった方は、是非とも池袋へお越しください。まだまだ「初笑い」のチャンスはありますよ

ba35b36d.jpg　今年の初席（はつせき・元日〜十日）も例年通り、鈴本と浅草の二軒「かけもち」です。ただし、浅草は十日間すべて出演しますが、鈴本は〆治兄さんと「交互出演」になりました。奇数日が〆治兄さんの出番で、私は偶数日に出ることになっているのです。
　従って元日は鈴本には出ませんでした。二日が、私にとって「初日」です。
　初席の間、噺家は自宅から着物を着て出歩くのが暗黙の決まりです。しかも、袴をつける正装が基本です。今日は、角袖（かくそで・着物用のコート）も、ちょっとお洒落な白にしました。お気に入りの角袖です。ちなみに昨日の角袖は、茶色のヘリンボーン柄です。


　　鈴本の入り口を入ってすぐ右側、エスカレーターの下に、社長ご自慢の「お正月飾り」が出来ていました。題しまして「鈴本創業１５０周年記念」だそうです。
　鈴本にご来場の予定がある方は、「もぎり」で切ってもらった後、見過ごさないようにご注意ください。
　　　　　　　　　　

　写真で見ると、なんだか「スィーツの食べ放題」みたいですが（笑）

a989c2c2.jpg　さて、今年の元旦の報告第２弾です。９時に一朝兄さんのお宅に行ったとろまでは下の日記で書きました。ここからパート２です。
　
　一朝兄さんのお宅で顔を合わせたみんながそれぞれ手拭いを交換し、おかみさん手作りのお雑煮とおせち料理をご馳走になりました。一朝兄さんは寄席の振り出しが浅草の１０時半と早いので、早々に出かけました。
　残った圓太郎と玉の輔と一之輔とおかみさんと私の五人で、朝からガンガン飲みました（笑）
　お昼頃には圓太郎も玉の輔も、寄席の出番があるので出かけました。私も１２時半ころ、失礼しました。私の次に行く先は、国立競技場です。

　毎年、天皇杯の決勝戦を国立競技場で観るのが私の恒例です。今年も行きました。



　決勝は浦和レッズ対ガンバ大阪でした。昨年のJリーグタイトルを最後まで争った「二強対決」になりました。トップの写真は、メインスタンドから見たレッズサポーター席です。こんな大掛かりなパフォーマンスを仕掛けました。

　試合は、ガンバが圧倒的に攻めました。遠藤、明神の二人の中盤と、家永、加地の両アウトサイドが作り出す攻撃に、マグノアウベスと播戸の強力ツートップ、さらにトップ下の二川がからんで、獰猛にレッズゴールに襲いかかりました。
　トゥーリオ、坪井の二人の守備の要を欠くレッズは、防戦一方です。もっともその原因は、DF陣というよりも小野伸二、鈴木啓太、山田暢らのＭＦ陣がガンバの前述のＭＦに完全に中盤を支配されたからです。遠藤ヤットは素晴らしかったと思います。

　しかし、この押してる時間帯に点を取れないと、逆襲一発で点を取られて負ける・・・というのが、サッカーの試合ではよくあるパターンなのです。
　周りのレッズファンとそんな話をしていました「こんだけ押しまくられて、決定機を作られてるのに点を取られないということは、レッズが勝つ兆候かもしれないぞ」って。

　案の定、後半終了直前＜延長戦からＰＫ戦もありうるぞ＞という空気が流れ始めたその時、後半途中から交替して入った野人・岡野の信じられない折り返し（岡野っ！うまくなったじゃん）を永井が決めて、レッズがついに均衡を破りました。
　１−０でそのまま終了。サッカーの神様は、何度同じイタズラを繰り返したら気が済むのでしょうか。ガンバはサッカーに勝って勝負に負けました。
　いや、レッズがそれだけ勝負強くなったのでしょう。素直にレッズの天皇杯二連覇を祝福します。
　　　　　　　　　　　　　　　　　

　国立競技場で、今年のサッカー観戦初めをすませた後、抜け弁天の金馬師匠のお宅にお年始に行きました。これまた毎年恒例のコースです。金馬師匠のお宅では、美味しい芋焼酎をご馳走になりました。もう、かなりベロベロです。
　頃合いを見計らっておいとまし、今日最後の訪問地（？）寄席に向かいました。申し訳ありません。はっきり言って、酔ってます。

　元日の寄席だけは、出演者が酔っ払ってても、許されます。いえいえ、言い訳ではありません。昔からそうなんです。お客様も、大目に見てくださいます。最後にトリの金馬師匠が終わった後、緞帳の降りた高座で三本締めをしてお開きになります。
　このシーンを写真に撮ったのですが、なぜかアップできません。原因が究明できたら、再度チャレンジします。

6a68059f.jpg　正朝通信愛読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もこのブログをご贔屓にお願いいたします。

　さて、噺家のお正月は元日から大忙しです。ごく一般的な噺家の元日をお教えしましょう。
　まず、朝早く師匠の家に伺います。いくつになっても師匠からお年玉をもらえます。と言ってもだいたい1000円か2000円くらいのもんです。今の時代、子供にあげてもイヤな顔をされます（笑）。　お年玉と一緒に師匠の手拭いをもらいます。お雑煮を頂戴した後、師匠と一緒に大師匠の家にお年始に行きます。ここで一門の大勢の噺家と顔合わせをします。前座は、二つ目以上の先輩全員からお年玉をもらいます。幸せです。
　ここで一旦解散します。それぞれ三々五々、会長はじめ幹部のお宅にお年始に飛び出して行くのです。

　これが噺家の「元日風景」です。私も前座〜二つ目の頃、つまり師匠柳朝が健在だった頃は、そうでした。大師匠というのは、当然ながら「稲荷町の師匠」八代目林家正蔵（後の彦六）です。師匠と兄弟子たちと一緒に稲荷町に行ったものです。
　その大師匠が亡くなり、師匠が病に倒れ、寝たきりになってからも、元旦は師匠の家に一門が集まったものでした。
　平成３年に師匠が亡くなってからも、未亡人であるおかみさんが元気でしたから、あい変らず元日はおかみさんを中心にして、一門が集合しました。それはにぎやかなお正月でした。
　ところがそのおかみさんが亡くなって、とうとう我が一門は元旦に集まるという習慣が無くなってしまいました。寂しいお正月になりました。

　しかし、そのお正月の「一門大集合」が、今年復活したのです。そうです。総領弟子の一朝兄さんのお宅に集まることになったのです。
　
　今年の元旦は、これまた噺家として初めてのお正月を迎える正太郎がうちに来ました。型通りにお年玉と手拭いをあげて、お雑煮を祝います。その後二人して一朝兄さんのお宅に伺いました。
　すでに玉の輔が来てました。遅れて圓太郎がやって来ました。勢朝は豪華客船「あすか」の仕事、半七もまた旅の仕事で、来られません。小朝兄さんは、朝から忙しく働いていますので、やっぱり来られません。ちょっと悲しいです。
　やや寂しい感じではありましたが、初めての柳朝一門が一朝邸で迎えるお正月は、楽しいものとなりました。めでたしめでたし。
　一朝兄さん、おかみさん、ありがとうございます。来年からも恒例にしましょうね。

　その後の私の行動は、次の日記に書きます。お楽しみに。

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