January 18, 2008 13:16

Lenny Kravitz 1/17/2008 Live Report

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Band Score on 1/17/2008 in Santa Monica, LA

1. Bring It On
2. What the fuck are we saying
3. My Precious Love
4. It ain't over til it's over
5. Mama said
6. My Love (Drum Part)
7. Stillness of heart (Acorstic)
8. Beleive (Acorstic)
9. I'll be waiting (Piano solo)
10. Again
11. Dig in
12. Where are we runnin?
13. American Woman
14. Fly Away
15. Let Love Rule

Encore

16. Love Revolution
17. Are you gonna go my way


(ライブの模様は、日本のロック雑誌「BURRN!」編集長、伊藤政則風に書きます。そう、BONJOVIの大好きな、あの気持ち悪いオッサン、Masa Itoです)

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1月17日夜。LA,サンタモニカのCivic Auditoriumにて。

Door Open 7時、ショウのスタートが8時の会場では、ファンが6時半頃からラインに並んで待っている。我々取材班一同は、6時半頃その会場に着き、パーキングを払い中に停めた。

車の中で、持参してきたシーチキン&ナメタケ入りご飯をほおばりながら、30分ほど待つ。レニーの曲をCDで聞きながら、今日のショウへの期待が高まる。


7時。シティホールのドアーがOPENした。
中は寒いだろうとダウンジャケットを念のため着込み、中へ潜入を試みる。一度列に並ぶものの、水のペットボトルの持ち込みは禁止とあり、一旦車にそれを置きに行く。カメラも持ち込み禁止だったが、それだけは置いていけないと、彼女が裏技を使い、見事持込に成功。

会場の中へ入ると、外から見た印象の通り、舞台はかなり小さい。一応念のため座席をチェックするが、ステージ前に詰め掛けた方がより近くで見れると、立見席を選ぶ。

*****

8時。ショウはスタートしない。
前座の予告はしていなかったため、前座は無しで始まるのかと思いきや、8時10分ごろ、舞台にアコースティックギターを抱えた金髪の白人の女の子が登場する。年はまだ17,18か。若い。「私の名前はLissieよ」と紹介すると、彼女の曲を披露し始めた。最初は声がよくていいなと思って聞いていたが、どの曲も田舎くさくて、しかも全部同じに聞こえる。

確か7,8曲演奏したが、もう3曲目ぐらいで飽きていた。さっさと終わりにしてレニーを出せという感じだった。

彼女が歌い終わったのは8時50分ごろ。
それから待つことまた30分近く。

普段はアメリカにいる以上、人々が自分のパーソナルスペースに入ってくることはほとんどないため、今回のライブのように他人が自分の半径30センチ以内に入って来ることはすごく不快であった。そんな中、延々とレニーを待ち続けた。寒いと思って持ってきたダウンジャケットを手に握り締めながら。

途中、彼女の左横にいた黒人の女性が、急にしゃがみ込んだのでどうしたのだろうかと思うと、彼女は前の集団の足元に転がっていたフタ付きの紙コップを拾い上げ、それに自分の持っていたコップからドリンクの半分を移したかと思うと、その紙コップにまたフタをして、元あった場所の集団の足元に戻すではないか!

恐ろしき根性。一体どうやったら、そんな行動が取れるのか。

するとその女性は、更に驚くべき行動を取った。

彼女は自分が飲み終わり空になった紙コップを、なんと著者の足元の前に転がっていた紙コップに、合わさるように入れて、自分は何も知らんふりを始めたのだ!!

さすが、恐ろしきアメリカ黒人女性。
こんな輩を見ると、アメリカにいるのが本当に嫌になってしまう。

人々よ。「常識」というものは何処へ行ったのだ?

******

9時15分。ライブは一向に始まらない。
足も痛くなってきて、疲れが出てきた。そろそろキレるぞと言う頃、ついに会場が暗くなり、レニーが登場した。

物凄い観客の歓声の中、暗い中を堂々と歩いてい来る彼と、そのバンドのメンバー。ギターとベースのプレイヤーはいつもと同じだが、ドラムはいつもの女性ドラマーではない。その代わり、腕が丸太のように太いムキムキの若いアンちゃんだった。


後で聞いた話だが、彼女はレニーを見た瞬間に、背があまりにも小さいことでビックリしたそうだ。しかも、頭がでかい。

しかし、当のレニー本人にそんな事は関係なく、彼の発するオーラは凄まじかった。

いつものようにトレードマークのサングラスをかけたまま、舞台を少し歩き回る。
ギターを手にした後、後ろを振り向き、黒人のガタイのいいドラマーと目を合わせて、ギターを引き出した。ちょっとダルそうに。

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一曲目、「Bring It On」が始まった。

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この曲、CDで聴いたときは、その曲のあまりのシンプルさに、「あんまりかっこよくない曲だなあ」という印象だったが、ライブで聴くとぜんぜん違った。むしろ、他の曲よりも、ギターのフレーズが耳に突き刺ささり、頭に残る。黄色のステージランプに照らされたレニークラヴィッツはしびれるほどかっこよかった。

曲の終わりで、サックスのソロが入る。レニーはサックスが好きらしい。アルバムでもよくサックスの音を入れるし、ライブではサックスの演奏者のソロがかなり入る。黒人の恰幅のいいおじさんが、サックスを吹きまくる。


長く伸ばした曲が終わった後、2曲目の出だしが始まった。曲は「What the fuck are we saying」。2枚目のアルバム「Mama Said」の最後の方の曲。始まりのドラムの音がかなりかっこよかった。

歌いだす前に、レニーが喋りだした。「自分が11歳の時にここからすぐ近くの場所に引っ越してきたんだ。すぐそこにある高校に行ったんだ。この会場に来てサーフ映画を見てたもんだよ。今日ここにいるのが不思議な感じだよ。今日はリハーサルをしていないから声がちょっと変だけど、ベストを尽くすよ(I didn't get to rehearse today, my voice is kinda funny. I'll give my best.)」みたいな感じで。

正直、「リハーサルをしてなくて声の調子がおかしいなんて、それでもプロか」とちょっと頭に来たが、そんな心配は杞憂に終わった。彼はこの日の2時間のライブ中、いつもの調子で全ての曲を歌い上げた。さすがプロ。

彼のMCの後、曲を歌いだす。会場ではあまりこの曲を知っている人はいなかったのかも知れない。しかし、ファンにとっては嬉しかった。若かりし日々のレニーの情熱、ここに未だに健在、という感じだった。


続いて3曲目。「My Precious Love」。またまたマイナーな曲。一枚目のアルバム「Let Love Rule」から。これまた感情を込めて歌っていた。曲の途中のピアノソロは、キーボード担当のプレイヤーが演奏していた。アルバムに収録されているオリジナル盤と同じ演奏で、聴いていて嬉しかった。この曲は、特にジャズっぽい。ちなみにレニーのファーストアルバムは特にジャズ色が強い。

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そして4曲目。「It ain't over til it's over」。これが流れ出すと、会場が一気に再び盛り上がり出した。これはベストアルバムにも入っているし、ラジオでもよく流れるせいか、皆知っているらしい。ほとんど高音の歌なため、正直声が聞こえにくかったが、雰囲気はかなり出ていた。歌っている間は、レニーは自分のギターを後ろに回して、ちょうどギターの先が下に向かうような形でバンドで体にくっつけて下げている。そして、途中のギターソロの時、そのギターをくるっと回して、自分の方に持ってくる。その様がかっこよかった。

ギターソロはかなりかっこよかった。レニーのギターの弾き方は、一つひとつの音を丁寧にはっきりと弾く。彼はどのライブに行っても、CDよりも更に上手に歌い、声も必ず出る。小さい頃、聖歌隊をしていたせいもあるのか、声の質が非常によい。歌う時も、ギターの演奏も、毎回心がこもっていて、しかも安定した落ち着きがあるので、見ていて心地よい。

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5曲目。「Mama Said」。2枚目の同名アルバムからのシングル曲。ノリの良いテンポで歌うレニーと、彼のギターが本当にかっこいい。


6曲目。「My Love」。3枚目のアルバム「Are you gonna go my way」から。これまたマイナーな曲。インドっぽい独特のギターで曲が始まる。ゆったりと歌い終わった後、まだギターのメロディーが続く中、ドラムの彼がどこかへ消えた。「あれ?」と思うと、その後レニーが後ろに下がり、なんとドラムの前に座った。どうやら、ドラムを演奏するらしい。著者は初めてのレニー、ドラム生演奏。本人は最初は軽いテンポで叩いていたものの、ステージ左側にいるサックスの男性と目を合わせて、段々と演奏がエスカレートしていった。完璧にジャズの世界。ドラムをリズムに合わせて、色々なタイミングで叩く。

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著者は今までジャズに詳しくなかったが、今現在LAに住む高校からの親友が、ジャズ・ギタリストとして活動しているため、彼のおかげでずい分ジャスに詳しくなった(前に比べると)。そのため、以前だったらよく分からなかったジャズの醍醐味も、今ではずいぶん分かるようになった。

今回のこの曲でも、レニーの叩くドラムと、サックスと、ギター、ベースの4人の完全なジャズの世界だった。一見リズムが間違っているように感じるが、それも計算の内。彼らの独特の世界が醸し出された。途中、レニーは余りの強い打撃のため、スティックの先っぽがかける始末。それでも彼は満足そうにドラムを叩いていた。もうほとんどやりたい放題。


7曲目。舞台が暗くなり、レニーとギター演奏者の二人だけがステージに残された。二人ともアコースティックを手に持っている。前奏が始まり、歌いだすまで何の曲か分からなかった曲の題名は、「Stillness of heart」。6枚目のアルバム「Lenny」から。これまた著者の大好きな曲である。聴きながら、この曲をよく聴いていた高校3年時代を思い出した。


曲が終わると、ギタリストの彼はどこかへ消え、レニーだけが舞台に残った。そのままレニーがまたアコースティック一本で演奏し出す。8曲目の曲名は、「Beleive」。3枚目のアルバムからのシングル。これは著者の大好きな曲でもあるが、アコースティックで聴くのは初めてだった。途中ギターを少し間違え、レニーが驚いた顔を一瞬した気がしたが、そんなのも気にもせず歌い続けるレニー。あれ、ちょっと大丈夫かな?という感じだった。

この曲を聴きながら、その歌詞にかなり励まされていた。歌詞の中に、"If you want it you got it, You just got to believe, Believe in yourself"というくだりがある。その歌詞を聴いて、ああそうだよなと励まされていた。最近自分に足りなかったものはここにあったかなと、自分を見直した。


ところで余談になるが、レニーはバリバリのクリスチャンであるため、彼の書く歌詞にもクリスチャン色が色濃く出ている。この「Believe」も、そんな曲のひとつである。この曲を歌っている間のレニーは、なんだか神様みたいな感じだった。ある意味、「レニー教」の教祖である。ちょっと不思議で、アヤシイ雰囲気でもある。


「Believe」を歌い終わったレニーは、今度はいつの間にか彼のマイクのすぐ左横に設置されたピアノの椅子に腰掛け、今度は弾き語りを始めた。9曲目のこの曲は、2月5日発売のニューアルバムからの一曲、「I'll be waiting」。会場に、「You know this song, right?」と聴きながら、歌いだした。かなりいい曲だった。彼の弾くピアノからは、何か哀愁が漂っている。「Calling All Angels」でも、彼はプロモーションでピアノを弾きながら歌っているが、この日はまさにこの状態が見れた。ファンとしてはもう感激。心のこもった、彼の弾くピアノの音と歌声は、とても心に沁みた。

しかし、これまた曲の途中で、音を一瞬間違えた彼。著者はそれを聞き逃さなかった。その瞬間、「おいおいレニー、今日は大丈夫かよ?」という懸念が頭をよぎる。


10曲目。ピアノもかたされ、またバンドメンバーが全て出てくると、演奏し始めたのは、「Again」。ベストアルバムからのシングルで、グラミーを取った曲でもある。これまた著者大好きなバラード。やはりアコースティックに比べ、バンドが加わると華やかさが違う。しかもこの曲を生で聴くのは初めてであった。もう感激である。

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11曲目。ノリのいいリズムで始まった「Dig in」。これまた「Lenny」からのシングル。これを聴いていても、「When the mountain is high, Just look up to the sky,Ask God to teach you, Then persevere with a smile」のくだりでジーンと来てしまった。この曲が入っていたアルバムは高校3年時の、留学が決まる前の不安な時期に自分を励ますために聞いていたので、どうもその頃の熱い気持ちがこみ上げて来てしまう。著者ももうオジサンか。


12曲目。「Where are we runnin?」。これは7枚目のアルバム「Baptism」より。これもノリのよい曲である。「俺たちは金ばかり集めて、死ぬまで働いているけど、一体どこへ行こうとしているんだ?」みたいな感じの曲。会場は大いに盛り上がる。

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その会場のノリのまま、13曲目の「American Woman」に繋がった。これまた有名な曲である。もともとのオリジナルは別の人が作ったものだが、彼がこの曲をカバーして、グラミー賞をまた取ることとなった。会場は更に盛り上がった。

彼はこの曲の最後で、「I wanna fly away」という歌詞があるが、その「...fly away」にかけて、次の曲、「Fly Away」に繋がる。ライブではいつもこの手段を使う。14曲目のこの曲もまた盛り上がった。ちなみにこの曲でも、彼はグラミー賞を取っている。グラミー取りすぎよ、おっさん。


会場が最高まで盛り上がった後、彼が最後にプレイして来たのは、「Let Love Rule」。これは一枚目のデヴューアルバムからのシングル。彼のテーマは、常に「愛」なわけである。直訳は「愛にこの世界を支配させろ」ってこと。彼はこの曲を歌うとき、必ず最後に、ライブ会場全体を歩いて回る。今回は余りにも会場が小さくて、人がギュウギュウ詰めだったため、さすがに無理だろと思ったら、本当にお約束どおり降りてきた。なんてサービス精神旺盛な!!背の低い彼は、一旦右側の階段から下に降りると、観客に埋もれてまったく見えなくなってしまった。ちっちぇえー!!あれでニコールキッドマンと付き合っていたのかよと、ちょっと驚いてしまう。しかし彼にはそれだけの魅力があるんだろう。

右側の会場を少し中まで歩き、帰ってきた彼は、左側にもステージ上から移動したが、さすがに右側の方で疲れたのか、左側ではステージの上に座って、手拍子をするだけ。ありゃあ、左側のファンは怒ってますよ。「なんで右側には降りてったのに、こっちには降りてこんのじゃ」と。

彼がまたステージ真ん中に戻ってきて歌い終わった後も、会場はまだメロディの「Let Love Rule」の部分を歌い続けていた。全ての演奏が終わっても、それは続く。会場の後ろのほうと前の方の声が時差でずれている。レニーは「Sing how you like it(お前たちの好きなように歌ってくれ)」といささか強気である。会場はもうレニー教の集まりと化していた。最後にまたレニーがマイクで歌い、曲は終わった。


曲の後、彼は「Thank you for bearing me. I gave you what I had.(今日は俺に付き合ってくれてありがとう。持っているもの全ては出したよ)」と言うと、舞台の奥へ消えた。

(その「Thank you for bearing me」のコメントには、明らかに、今日声の調子が悪いままライブを始めた彼の罪悪感みたいなものが見えた。そう、彼は相当の完璧主義なため、普段はどんなライブも、少しでも具合が悪い場合は、行わないわけである。もちろんリハーサルは念入りにする。その彼が、今日はリハーサルも無しで本番をやったため、また、途中で声が少しかすれたり、ピアノを間違えたりとあったので、ちょっと罪悪感があったのだろうか。しかし、それでもほぼ完璧にこなす彼には、相当のプロ根性と長年の実績が見えた。)



会場は、アンコールの大合唱。するとお約束どおり、レニーはまた現われた。歌いだしたのは、ニューアルバムからの新曲、「Love Revolution」。これもノリの良い曲だ。会場が盛り上がる。歌詞の中で、「It's time for a....」と言いながら、それに合わせてギタリストが、最後の名曲、「Are you gonna go my way」のメロディを弾きだした。ライブの最後はこれが必ず来る。会場は湧きに湧いた。皆が飛び跳ねる。レニーは物すごいパワーとオーラを発していた。

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レニーが歌い終わった後、ステージ左から一人の若い金髪白人の男の子が現われた。レニーと同じサングラスを付けている。Tシャツを着て、腕は細い。その子がレニーの持っていたギターを本人から渡されると、急に弾き出した。かなりうまい。(以前2006年2月に行ったレニーのコンサートでも、ライブの最後は白人の小さな子が出てきて、レニーのギターを持って弾いていたが、今回の子も同じ子だろうか。かなり背が伸びていたけど、2年前から大きくなったのかもしれない。)

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レニーは、その子と他のバンドメンバーがそれぞれの楽器を弾いている中、一人先にステージを後にした。その若い男の子が弾くギターを最後に、ライブは本当の終わりを告げた。

こうして、今回のライブは幕を遂げた。レニークラヴィッツ、最後にトリを全く無名の少年にゆずるとは、恐るべし。

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あー、書くのめっちゃ疲れました。ここまで読んだ人は誰もいないんじゃないかね。

1・18・08



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コメント一覧

1. Posted by taca_shit   May 29, 2012 15:57
5 B&W JAPANのレポのリンクから飛んで、最後までみさせて貰いました。


正則氏のマナーを随所に感じる文体ですが、信者にはわかる言い回しが冴えてますね。

僕は彼女と名古屋公演を見に行きましたが流石は本土、そこでしか出ない引き出しが未だに有るのかと感銘を受けました。

今作では、WARが実は一番好きですw


また遊びにきますね。

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