いわゆるたいこ持ち＝幇間芸は厳しい修行と名のある師匠のもとで成立するのだが、師匠を持たないフーテンの「野だいこ」達により、それでも幇間芸の伝統は曲がりなりにも受け継がれている。そもそも幇間の定義は権力者や金持ちのご機嫌をとり、彼らの「おひねり」を期待して「芸」を提供するモノである。だから客が変われば前の客が次の客の仇であろうがなんだろうが、そのお座敷の旦那に自分の「芸」を売り、オベッカをつかうというというのが常道である。
とりわけ、ちゃんとした師匠について「芸」の修行をした’無形文化財’クラスは「馬鹿をメッキした利口」といわれ、お座敷を「修羅場」と呼ぶ。
しかし「野だいこ」という風来坊が世間を席巻している現代では、幇間とは「ただの馬鹿」しかいないのである。
前置きが長すぎた。もちろん今日の幇間芸とはマスコミのことである。
客と言う「旦那」（スポンサー）が激減しつつある今日では、安定した収入を得るには大衆迎合しかなく、その「大衆」も偽装した「市民」に寄り添うしかないのである。
チャンとした厳しい幇間芸ならまだしも、廉価な「一発芸」で芸人を消費しながら生き残っているマスコミ、とくにテレビ局内にあっては時の権力に茶々を入れながらも、どこかで大衆に迎合するしかないのである。
未熟な芸人（電波芸者又の名をコメンテーターという）は相変わらず「ダーティ小沢批判」をまだ自分の「芸」にしているが、したたかな幇間は流石に「客」の変化に気がつき、すこし芸風を変化させてきている。つまり小沢再評価に変身しつつあるようだ。
その未熟な幇間は新聞社系に多く、ベテラン幇間はたくみに論調を変えている。なぜなら新聞社ＯＢは老後が安定しており、フリーのタレントは大衆が離れると飯が食えなくなるからである。だから芸の切れ味がちがう。
まさか賢明な読者が、まだ医が算術でなく仁術だとか、マスコミが幇間でなくジャーナリズムだ、と誤解しているひとはいないと思うが、この間の小沢報道の微妙な「芸」によ〜く注目してほしい。
そうすると、マスコミとは幇間という職業の亜流であることが、しっかりと認識されるであろう。
だから幇間と割り切って遊ぶのはいいが、くれぐれも騙されないようにと老婆心ながら祈るものである。
頂点を極めたら、アトは下降するしかない。問題はどう下降するかである。その点舘ひろしはＣＭやドラマで二枚目半を演じそれなりに生き残って、うまく下降している。しかし彼の責任ではないが、ＣＭディレクターやプロディーサーの小心のため、彼が卑屈さを体現しているＣＭがある。まことに残念といわざるをえない。
