ベトナム・ハノイで行われる「予定」であった温家宝と菅直人の首脳会談がなぜ異例の直前キャンセルを喰らったか。これへの推論が沸騰しているが真意は何処にあるのだろうか。民主党内では相変わらずこの前代未聞の屈辱的外交事件もあくまで政局がらみで、もっぱら前原誠司の外交音痴を非難している。もちろん前原と外務省の幼稚な外交技術は責められてしかるべきであるが、要因はもっと複雑である。けれども昨夜はわけもわからず衝突ビデオの国会提出が云々という議員もいてとにかく大騒ぎであった。
ＰＴＴで直前にクリントンと合意して中国包囲網を狭めた前原が、中国外交部の怒りを買ったなどとまことしやかに言う輩がいる一方、ガス田合意の一報が原因だという中国の偽情報を鵜呑みにする馬鹿もいて、外務省とお子様内閣のてんやわんやは鳥獣戯画の様相を呈している。
さらに中国通と称する者はこれを全くの中国の国内事情として、菅直人と温家宝握手の図は尖閣（魚釣島）問題にたいする弱腰外交と非難され、又若者のデモが起きる懸念に考慮したのだとまことしやかにかたるものまでいる。
でもすべてありそうな理由ではあるが、首脳会談を直前でキャンセルというのは体調不良以外には普通外交日程上考えられないことである。でも温家宝はすこぶる元気でベトナムやカンボジアと個別会談を積極的に行い、国際社会の分断に成功している。
ならば考えられることはなにか、それは中国内での権力闘争である。尖閣（魚釣島）問題の決着をＮＯ.２がつけるわけにはいかないのだろう。いま一見みごとな連携を維持している胡錦濤との「びみょー」な力関係で、すぐ行われるであろうＡＰＥＣ横浜での国家主席の和解のまえに温家宝が日本に妥協した姿を現してはいかず、ギリギリのタイミングまで引っ張って屈辱を与え、相手が許しを請うという形に持っていくのである。後二年で平穏に習近平に政権を移譲するには、これしかなかったのであろう。
皇帝の前にひざまづかせる朝貢外交の４０００年の面子は不変であり、いまごろ前原がきょとんとして「理解できない」と言っても外交的敗北はすでに、船長釈放時から明白であるのだ。
でもナショナリズムを煽りたくはない。これは単なる外務省のミスであり、外務大臣の読み違いに過ぎない。いくら悔しくてもそこに中国の外交があり、日本の外交がなかったというだけである。
アメリカにたよってクリントンとＳＬ談義している場合じゃないよ鉄ちゃん大臣！すこしは大人になって欲しいのだ。
外務省とておかしい。外交ができない職員に高級を払うほどお金があまっているわけじゃないし。
あれもこれも結局、クリーン念仏をとなえて中国との太いパイプを切断した既得権維持だけを目的とした子供内閣の当然の結果であろう。
子供店長はＣＭでしかいないが、まさかほんとに子供内閣があるとは。
僕は日本人である。待ちに待った東京タワーが出来上がる前に、東京をはなれ、SLで豊肥線の熊本市、水前寺にいった。それからおよそ半世紀、もう日本であって日本でないような、気持ちのままで、人生を終えようとしている。日本人であることに自信がもてなくなってきた。グローバル化のせいではない。アナログからデジタルへの変化はあるが、余り関係ない。
およそ半世紀後、再び完成前の新しいタワーを見た。しかし、半世紀まえの、あの燃えるような
