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10月22日祝日の火曜、手話あいらんど手話教室プレコミュニケーションクラスでは、聞こえない方も参加する中、当日のテレビ特別番組の手話通訳を、学習の一環として、行いました。
もちろん手話通訳をしたのは、国の公認資格を持つ手話通訳士でしたので、内容は責任もって、出来る限りの正式な形で、伝えさせていただきました。


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まずは、最初に、必ず放送に出てきそうな単語確認。
「践祚(せんそ)」「即位」「三種の神器」「つるぎ」「勾玉」「天照大神」・・・
こうした場面で使われるであろう、言葉の洗い出しや表現確認を、クラスで行いました。


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最初に通訳を担当したのは、手話あいらんど代表手話通訳士 南 瑠霞。
その時間は、まさに天皇がお言葉を述べられる場面。
安倍首相の言葉と万歳、21発の祝砲の打ち放たれる時間でした。


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そして、もう1人は、手話あいらんど新人エースとして活躍中の手話通訳士、清田千智。
民放の放送を通訳したので、途中CMも飛び出し、厳かな儀式と、キャラクターの踊るCM通訳の落差も、楽しく表現してくれました。
また、お祝いの方々の集まった伊勢神宮の様子なども、レポートされました。


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授業内ということで、実質通訳できたのは、45分間でしたが、残りの時間は、感想や質問の時間に当てられました。


ろう者の中嶋元美講師からは、
「最近は、生放送でも、リアルタイムの字幕が、少しずつ遅れながらでも情報を伝えてくれるようになり、とても便利になりました。でも、文字からは読み取りずらい もの音や口調などのイメージや様子も含め、手話の同時通訳も ろう者にはとてもわかりやすいものです。例えば、私たちがテレビを見ていると、ただ何度も同じ映像が繰り返し紹介されていることがあるけど、そのとき、同時にキャスターが、見えないところで音声だけで別の話をしていることは、手話通訳がついて初めて気づきました。驚きました。それから、音のなにもない静かな場面とか、実は背景に音楽が流れているとか、そういうところも、手話によって紹介されると、雰囲気がわかります。今回、全国で手話通訳付きで同時にこの放送を見られたろう者は、この場にいた私以外とても少なかったかもしれません。これについても、この授業で、みんなに気づいてもらえれば嬉しいです。」

また、「今日の授業では、手話通訳を目指す方もいるけど、手話を始めて3〜4ヶ月の人もいました。手話だけで進行する授業は、みなさんには慣れない言葉で、ついて行くのが大変だったかもしれません。わからなくなれば、黙って見ているだけの人もいたと思います。でも、これも、ろうの人の側から見れば、多くの聴者に囲まれて、いまの皆さんと同じような状況になることがたくさんあります。たまには、逆にこういう時間も体験すると、勉強になるかもしれませんね。」
など、いろんな思いも、語られました。

参加してくださった皆さんからは、たくさんの質問や、感想も。

「通訳の勉強中だが、特に読み取りの壁をどう乗り越えていいのかわからない。」
「手話を学ぶ中で、単語をある程度学んでも、その先どうつないで話していけばいいのかわからない。」
「一つの単語を知っても、ほかにどのような場面で使えるのか、そういうことも学びたい。」
「数十年に一度の あまり触れることのない儀式を、手話で見たことで、自分にとって新しい表現をたくさん確認できた。」
「手話言語条例の制定された街で仕事をしている。その条例が地元で生かされて行くには、どうあるべきかということも学んでいきたい。」
「通訳を学んでいます。テレビなどでは、別映像が流れる中、その影でコメンテーターが音声で話している場面などがあり、それを解説しながらの手話通訳は、コツが必要だと感じた。」
「“ここには、音がなくシーンとしている。” “祝砲が、順に鳴っている”という様子など、言葉以外の音の情報を通訳として伝える重要性に気づいた。」
「通訳をするにあたり、単に耳で聞いた日本語の単語を手で表して並べただけでは、意味が伝わらない。表現の間や語彙不足の解決が必要。」

などの話題が出て、凝縮された時間となりました。

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雨で始まった1日でしたが、このあと、東京の空には虹が出て、静岡では雲の間から、雪をかぶった富士山が姿をのぞかせるなど、ちょっと嬉しいニュースも流れました。
新しい令和の時代が、優しくおだやかで、多くの人にとって命の大切さを感じられるものになりますように。


今回の緊急授業について、ご協力くださった、講師・スタッフ、そしてお集まりいただいたすべてのみなさんに、心から感謝いたします。
ありがとうございました。

南瑠霞の手話日記より