しゅわわの環境教育

JICAの中年海外協力隊員として、エジプト環境庁で環境教育活動する大阪で絵描きやってた元保育士36歳のお話。(平成27年度2次隊・11月3日よりエジプト環境庁勤務)

紙芝居①のデータ picture-story① data


青年海外協力隊 27年度2次隊 環境教育 諏訪正和

派遣期間 2015年9月末~2017年9月末


その活動においての成果品およびワークショップの報告をまとめる。

現在のブログはこっちだよ。


【教材紹介】

 

紙芝居その1(就学前児童対象) 動画アリ

紙芝居その2(小中学生対象) 動画アリ

紙芝居その3(高校生以上対象) 動画アリ

環境パズル 動画アリ

ペットボトルで作るお魚ちゃん 動画アリ

ゴミ分解カード 動画アリ

エコ行動カード

寸劇のワークショップで使う小道具
環境啓発のポスター

ぬりえいろいろ

環境問題の関係性を考えるフリップ 動画アリ

ゴミ帽子・地球帽子

遊べるゴミ箱『パクパク君』 動画アリ

ゴミ拾い玉入れ

コーランのフリップ 動画アリ

ハイムーンさんの絵の模写

 

 

 

【ワークショップ紹介】

 

寸劇のワークショップ

地図のワークショップ

比較のワークショップ

分類のワークショップ

過去と現在を比較するワークショップ

シチュエーションによって出るゴミについて考えるワークショップ

 

 

 

【ワークショップの報告書】

 

地図のワークショップの変遷 全10回

某国へ任国外旅行で行き、イベントに関わった際の裏報告書

エジプト人学生サークルと環境教育隊員2名で自主開催したワークショップ

フリーランス期・図書館でのワークショップの変遷 全4回

『アスワン大学環境セミナー』日本語教育隊員とのコラボワークショップ

幼児教育隊員とのコラボワークショップの変遷 全5回

帰国間際『ハルガダ祭』の裏報告書

 

教材使いたい、詳しく知りたい、友達になりたい、仕事あげる。
なんでもご連絡ください。



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最終報告書を公開する。



 

◆報告書要約(800字)

 

私の要請内容は主にワークショップの企画運営と教材開発である。これまで講義中心だった配属先の環境教育に、教材を使用するという新たな視点を取り入れた。その結果、実施者主体の『教える環境教育』だけだったものに、参加者の体験や気づきを大切にする『学ぶ環境教育』という考えが加わり、子どもたちの活発な発言が生まれるなど能動的な参加が見て取れるようになった。

さらには、今まで学校にしか巡回していなかった配属先が、保育園や図書館、地域の青少年センターなどにも積極的に赴くようになった。

これは、時に向かい合わせであった配属先と私が、少しずつ同じ方向を見つめられるようになった結果だと感じる。

 

2年間を通し、以前の配属先と合わせたワークショップの総実施回数は約70回。プライベートでの環境紙芝居の読み聞かせは約250回、ゴミ拾いの活動は約30回。関わった子どもの数は3000人に上る。

作成した教材の数は約30点。そのうちポスター4点、環境パズル、エコ行動迷路は、印刷して量産したいという配属先上司の意向により、現在カイロ本庁と予算についての話し合いをしている。

なお、配属先や他の協力隊員の今後の教材使用を見越し、自らのブログで教材データをダウンロード出来るようにする、使い方やワークショップの手順をYouTube動画(日本語とアラビア語)で残すなどしている。(『しゅわわの環境教育』で検索)

また、同国で活動する他隊員と、協働での環境教育ワークショップを10回ほど開催した。(アスワン大学、社会連帯省家族子ども部など)

中でも、ハルガダを任地とする他隊員との共同企画として開催された【ハルガダ祭】というイベントでは、互いの配属先(環境庁・社連省)が主体的に関わることはもちろん、カイロの社連省からも隊員が駆け付け、省庁や地域の枠を超えて共に活動することが出来た。

 

帰国後は自作の教材を普及させることで社会還元したいと考えている。

 

 

◆項目1.(40字)活動結果

 

本文(500字)

 

以前の配属先と合わせたワークショップの総実施回数は2年間で約70回。プライベートでの環境紙芝居の読み聞かせは約250回、ゴミ拾いの活動は約30回。関わった子どもの数は3000人に上る。

作成した教材の数は約30点。そのうちポスター4点、環境パズル、エコ行動迷路は、印刷して量産すべく、現在上司がカイロ本庁と予算の話し合いをしている。

自作の教材の使い方やワークショップの手順は動画として残し、YouTubeに日本語とアラビア語でアップロードした。この活動は配属先にも認められ、今後は彼ら主導でYouTubeの配信をしたいとのことで、紙芝居する上司の動画を撮ることもできた。

また、同国で活動する他隊員と、協働での環境教育ワークショップを10回ほど開催した。(アスワン大学、社会連帯省家族子ども部など)

中でも、ハルガダを任地とする他隊員との共同企画で開催した【ハルガダ祭】というイベントでは、互いの配属先(環境庁・社連省)が主体的に関わることはもちろん、カイロの社連省からも隊員が駆け付け、省庁や地域の枠を超えて共に活動することが出来た。このイベントへの配属先の評価は高く、今後は社連省だけでなく教育省などとも連携を深めたいとの話である。

 

 

◆項目2.(40字)要請の妥当性

本文(500字)

 

私の要請はワークショップの企画運営、及び教材作成支援である。

ワークショップは主に小中学校の授業内に行われるので、学校の長期休み期間は4カ月ほど閑散期が訪れる。この間に、私は新たな教材の開発やNGO・図書館・保育園など他機関への働きかけをおこなったが、隊員側からアピールしない限り配属先からの提案はあまりなかったように感じる(初代だったので、隊員との関わり方がイメージしづらかったのだろう)。配属先に依頼されたワークショップの案件だけでなく、教材作成、ゴミ拾いなどのイベントの企画等、いくつかのチャンネルを持っていて積極的かつ自発的に行動できるボランティアが求められる。

私の配属先については、こちらの提案をきちんと聞いてくれるなど、共に活動しようという意思が感じられ、彼らの姿勢にも実際に変化が見えた。具体的な点としては、講義中心の環境教育から参加者の体験や気づきを大切にする環境教育へと変化したこと、これまで学校でしか巡回ワークショップをしてこなかったが、保育園や図書館、地域の青少年センターなどにも多く赴くようになったことが挙げられる。

以上の点を踏まえ、要請は妥当であると考える。

 

 

◆項目3.(40字)活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性

本文(500字)

 

私は配属先に対して約30点の自作の教材を残した(これらは実施者が誰であっても教材を使用すればそのねらいが参加者に伝わる仕様である)。そのうちのいくつかに、使用方法、ねらい、対象年齢などを細かく解説した動画を作った(日本語・アラビア語)。

中でも【環境パズル】は、カウンターパートの意図をしっかり理解したうえで企画から協働で作られているので、実際にワークショップで用いても問題なく使いこなしてくれている。

私の帰国する際には残していってほしいと頼まれているので今後も活用してくれるだろう。

配属先への支援だが、もうしばらく継続する必要があると感じる。教材づくりに関しては、これ以上ないくらいにやり切った感はあるので、今後は教育省やNGOとの連携を強化できるような形の支援が重要だと考える。単発のワークショップで完結するのではなく、普段の授業や、放課後の活動(エコクラブ)、休日のイベント等と連携した活動が望ましい。しかしエジプト人は保守的で、特に公的な機関でもある配属先は、国から要請のあった案件以外では積極的に動けないイメージもある。そうなると環境庁以外の配属先を探すという方向性もあるのかもしれない。

 

 

◆項目4.(40字)ボランティア経験について

本文(500字)

 

主役ではなく脇役として、他者のために、他者に寄り添った活動をする(しかも2年間という長期的なスパンで)。こういった経験はこれまでの自身の人生を振り返ってもあまりなかったように感じる。俯瞰的な視座を持ち、チームの勝利のため自分には何が出来るかを考えるということ。特に任期後半の自分は、配属先の求める活動を全力で模索していた。次第に私の気持ちも伝わり、配属先の上司もそれに応えてくれるようになった。具体的には、私の作ったポスターを国の予算で刷れないか上層部に掛け合ってくれる、学校巡回以外でもワークショップができるよう他の機関へ働きかけてくれるなどした。また、ある同僚は私の作った教材を使い、自信を持って生徒の前に立ちワークショップをするようになった。講義中心だったそれまでのワークショップに子どもたちの活発な発言が生まれ、参加者の主体的な関わりが見て取れるようになった。時に向かい合わせだった配属先と私が、少しずつ同じ方向を見つめられるようになった結果だと考える。このような関わりが、私の中に『協働することへの肯定感』を育んでくれた。ボランティアとは与える以上に得るものの方が大きいと改めて実感した。

 

 

◆項目5.(40字)帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画

本文(500字)

 

活動の傍ら、私はブログを書いていた。2年間での総記事数は300に上り、毎日100人ほどが訪れる。主な発信内容は活動中の気づき、ワークショップの報告、自作の教材の紹介などである。また、自作の教材はブログからダウンロードできるようにし、誰でも簡単に複製できる仕様とした。併せて動画サイトYouTubeにて教材を使用する際のコツやワークショップの手順を解説し(日本語とアラビア語の2パターンを用意)、総視聴回数は現時点で1500回を超える。そこから人脈を広げ、他隊次の環境教育隊員と『アラビア語圏の環境教育隊員を繋ぐ』という目的でインターネットによるオンライン会議を開催した(ヨルダン、モロッコ、スーダン、エジプト)。このような拡がりを踏まえても、インターネットという手段はさまざまな可能性を秘めていると感じるので今後とも発信を継続したい。また、自作の教材は日本をはじめ他の国でも応用できるものなので、それらを普及させることが社会還元に繋がるだろうとも考えている(実際に他国の隊員から活動に取り入れているとの報告を受けている)。その他、クロスロード誌での教材紹介、技術補完研修でのゲストスピーカーも予定している。

 

 

◆JICAへの要望・提案(500字)

 

JICAから貸与されている携帯電話について、諸事情おありと思いますが、スマートフォンでは目立ち過ぎるのでこれまで通りの古い機種にしていただけたらと感じます。(もしくは選択できるようにしていただけたら)

犯罪被害の可能性も高まりますし、実際に現地の方から機種の値段を聞かれることが多くあります。

 

 


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この時期になって、すこしずつ活動が形になり始め、報告らしい報告ができるようになった。

 

 

ちなみに僕自身の傾向として、『報告書は強気で書く』ということがある。

 

達成出来たことは達成出来たこととして、堂々とアピールする。

言わなきゃわからない人たちに伝えるために書くのが報告書だと思っているので、恥ずかしがらずに自画自賛したうえで、客観的な問題点についてもサラリと触れることを心掛けている。

 

 

◆報告書要約(800字)

 

配属先のこれまでのワークショップは、『教育とは教養のある者がない者へ知識を与えること』という価値観のもとにおこなわれているように私には見えた。そこで、参加者が主体的に学べるワークショップにしたいという考えのもと、講義形式からブレインストーミング形式のワークショップへの変更を何度か試みた。しかし、明確な答えやゴールを設定しないということに対し、配属先の理解を得られる様子が見えなかった。このままでは私の帰国後に活動が継続されることはないだろうと判断した結果、全く新しい手法ではなく、既存のワークショップにプラスアルファで何が加えられるだろうかと考え方をすこし変えてみた。まず彼らの講義内容を私がしっかり理解したうえで、そこにどんな工夫をすれば参加者にとって理解しやすいものになるか、能動的な学びになるかを考える。具体的には実施者からの一方通行的な投げかけだけではなく、参加者との相互的な関わりを促すような効果的な声かけ、質問、自作の教材の提案。少しの手間とアイディアで、参加者が得るものは大きく変化するという点を同僚にアピールすることを心掛けた。

 

今まで彼らがおこなってきた『知識の伝達』に重きを置いた環境教育を大切にしながらも、『参加者の実践を促す』という役割も同時に果たせるようなワークショップとは何か。

以上のことを踏まえ、配属先を移ってからの半年間に実施したワークショップは30回ほど。延べ1000人の子ども達へ環境教育をおこなったことになる。

現在は、教材やワークショップを考案するのが私の仕事だという認識が配属先に自ずと出来上がってきたように感じる。

 

今後の課題は、私がいない状態でワークショップの準備と進行をどう行うかという点である。おそらく今のままでは、自分たちにとってラクな、何も準備せず、環境についての知識をただ一方的にしゃべり続けるという講義に戻ってしまうような気がするからだ。

 

 

◆項目1.(40字)活動の進捗状況

本文(500字)

 

新しい配属先に来ておよそ半年間で私が企画したワークショップは30回ほど。延べ1000人の子ども達へ実施したことになる。大まかなワークショップの流れを私が組み立て、同僚たちに実際に教材を使ってもらいながら、すこしずつ改良していくという活動を現在は主にしている。

今後の課題は、私がいない状態でワークショップの準備と進行をどうおこなうかという点である。おそらく今のままでは、自分たちにとってラクな、何も準備せず、環境についての知識を一方的にしゃべり続けるといった講義に戻ってしまう気がするからだ。

その点を踏まえ、現在は自作の教材およびワークショップをどのような形で残すのが最適かという視点を大切にしている。

 

(ワークショップ企画実施以外の主な活動)

『自作の環境紙芝居の読み聞かせ(現地語と日本語)を動画としてYouTubeに残す活動』

https://www.youtube.com/watch?v=7j6cbW8gfLw&t=10s

『各国の隊員が私の作った教材を使えるよう、プリントし複製できる素材集を作る活動』

『言語を介さずとも絵で通じるような環境啓発ポスターの制作』など

 

 

◆項目2.(40字)活動に向けた取り組み・進捗・結果

本文(500字)

 

日々の活動の中で、計画→実施→ふりかえりのサイクルを繰り返すよう心掛けている。具体的には、気づいた点はすぐにシェアし、次回のワークショップでは問題点についてどのように改善しようかという提案をしている。

カウンターパートでもある上司は環境教育についての理解が深い。普段のワークショップにおいても、参加者にきちんと問いかけてファシリテイトすることが出来るので、彼と組む時は生徒たちからの反応も大きい。その点、他の同僚は、生徒に対して一方的なアプローチをとることが多いように見受けられる。そこで同僚のワークショップを動画に残し、良い点と改善すべき点を上司に向けてプレゼンした。その結果、多少改善が見られたようにも感じる。

配属先のワークショップは基本的に実施者ひとりで完結しているので発展性が薄く、現時点ではきちんとしたフィードバックを受けられるような評価システムもない。今後は上司のワークショップについても動画を残して同僚と共有するなどし、価値観の統一を図りたい。また、私から上司に対して、「同僚が自らのワークショップを客観的に振り返られるような勉強会を開きたい」という提案をしている。

 

 

◆項目3.(40字)活動事例の紹介 成功例・失敗例

本文(500字)

 

『教育とは教養のある者がない者へ知識を与えること』という考え方がエジプトでは一般的であるように感じる。

これまでのワークショップは講義主体ということもあり参加者は受け身になりがちであった。そこで、より能動的な関わりを促すべく、ブレインストーミング形式のワークショップを何度か試みた。しかし、明確な答えやゴールを設定しないということについて配属先の理解を得られる様子が見えず、考え方を改めることにした。

具体的には、まず彼らの講義内容を私がしっかり理解したうえで、そこに何を加えれば少しでも参加者にとってプラスになるのかという視点を大切にした。より楽しく、よりわかりやすく、より参加者が発言しやすい場づくりのために、講義+αとして私に何が出来るか。『知識の伝達』という配属先のニーズを優先項目に位置づけたことで、彼らにとってより受け入れやすいワークショップになったと言えるだろう。その結果、私ではなく彼らがワークショップを主導するというメリットにも繋がった。

今後の自分の役割は、参加者との双方向的なワークショップを創る上で実施者側に求められるまなざし、声かけ、教材づくりの提案と捉えている。

 

 

◆項目4.(40字)受け入れ国の人々の変化(活動のインパクト)

本文(500字)

 

『ワークショップにおいて、参加者へ積極的に問いかけをするようになった』

『講義以外のアプローチについて考え、提案してくれるようになった』

『学校巡回以外に、図書館や青少年センターでもワークショップをするようになった』

『他機関(NGOや社会連帯省)と連携した活動が増えた』

 

赴任当初とは異なるこれらの印象を配属先に対して持つこともあるが、果たしてそれは彼らが変化したことによるものか、それとも私自身が変化したことでこれまで見えなかった点に気づいただけなのか、判断が難しい。そこであなたたちはどう変化したと感じるのかと配属先に対して率直に問うてみたところ、どうやら彼らは私の作った教材に価値を感じてくれているとのことだった。これまでのワークショップでは意図やねらいなど曖昧にされていた点が、現在ではしっかりと生徒の意識に訴えかけるものに変化したとの見解である。教材やワークショップを作る際に実施者がどんな視点を持つことが望ましいか参考にしてもらえたようだ。社会全体への働きかけという意味ではまだまだ先の長い話になるが、これらの気づきが今後のワークショップづくりの礎になればと願う。

 

 

◆項目5.(40字)その他特記事項

本文(500字)

 

日本と受け入れ国の違い』

 

子どもとの接し方

「大人は子どもより偉い」「子どもは未熟な存在であり、大人が正しく導かなければならない」そういった考えを持つ人が多い。ワークショップの進行中にもかかわらず「○○を持ってきなさい」と小間遣いのように子どもは扱われる事がある。

 

予算について

消耗品など、必要な時に適宜使えるような予算はない。しかし、アースデイなどの決まった催事に関しては事前の申請手続きを経て予算がおりる場合がある。すべては国が決めていることで、与えられた予算を月ごとに自由に割り振って使うことは出来ない。

 

国の力

何かを提案すると、国が決めていることだから私たちにはどうすることも出来ないと返答される時がある。出来ないことがあるのは仕方ないとして、その後に第二第三の手を考えることをしない。常識や観念といったものが強く、保守的な考えを持つ人が多い。

たとえば、突如ある日を境に国の方針で勤務時間が1時間延びた。これについても異論を唱える余地などない。

 

配属先の人間関係

役職や男女を問わず、対等な接し方をしている人が多いように見受けられる。ひとつのチームというよりも、個人の集合のように感じる。

 

 

◆JICAへの要望・提案(500字)

要望・提案はしません。

 

 

以上

 

 


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僕の2年間の基礎情報として、首都であるカイロの環境庁(本庁)から、紅海県ハルガダの環境庁(地方局)へ任地変更になったことをお伝えしておく。

 

ちなみに任地および配属先に変更があった場合、第3号報告書の内容は第1号報告書と同様の項目で書くこととされている。

 

本来第3号の提出期限は12ヶ月目だが、これもなんやかんや先延ばしにしてもらった。

 

 

◆報告書要約(800字)

任期終了までおよそ1年弱という時期に、新しい任地ハルガダへとふりかえになった。

以前の任地カイロと比べると、海辺のリゾート地であるハルガダの街並みは格段にキレイだ。これは紅海県のゴミ収集や清掃を一手に引き受けている
NGOのおかげである。主要道路などは常に掃除夫がゴミ集めをしている。しかしカイロ同様一般市民の環境への意識は低く、ポイ捨てしてもそのNGOが片づけてくれるという状況もあって、路地裏や空き地などは無法地帯である。

新たに私が配属されたハルガダ環境庁でも、以前の配属先と同じく、子どもを対象とした環境教育のワークショップをしている。ただ、ハルガダの方が環境を専門に学んでいた者が多いのか、廃品工作に力を入れている様子はあまり見られない。
こちらの主流は講義形式のワークショップで、どの同僚も1時間くらいは何も見ずに話し続けることが出来る。しかし、環境そのものについては詳しいが、環境教育への理解は乏しいようで、参加者の自発的な行動や実践を促すようなアプローチはなされていない。私はそのような現状に対して、講義以外のワークショップをと求められ配属されたと認識している。

子ども達を対象にしたワークショップの企画実施、一般市民を対象にしたセミナー・イベントの企画実施、教材作成の3つが私の主な要請内容である。
現在、より子ども達に伝わりやすい方法をと、自作の紙芝居を使ってのワークショップを実施している。併せて、参加者の理解度を測るため、同僚と作成したワークシートなどを用いて気づきや感想をアウトプットしてもらうこと等も大切にしている。

これまで10回ほど私が企画したワークショップを同僚と協働でおこなったが、今後は同僚主体でワークショップを継続できるよう引継ぎをすることが求められる。また、紅海県全域への環境啓発という意味でも、一般市民を対象とした効果的なセミナー・イベントを企画実施したいと考えている。

 

 

◆項目1.(40字)活動地域及び配属先の概要

本文(500字)

 

以前の任地であるカイロと比べると、街並みは格段にキレイである。
これは紅海県のゴミ収集や清掃を一手に引き受けている
NGOのおかげだ。主要道路などは常に掃除夫がゴミ集めをしている。しかし一般市民の環境への意識は低く、路地裏や空き地などは無法地帯である。以前、家庭ゴミを路上に投棄していた女性に話しかけたことがある。「ここから歩いて2分の場所に集積所があります」と伝えると「何故そんなに遠くまで行かなければならない」と返された。たしかに投棄しても誰かがいつの間にか片づけてくれるのである。合理的な考えだ。ただ、その視点で捉えると、配属先も含めたエジプトの取り組みは、日本の考え方と本質的にずれているように感じる。
意識や行動などのプロセスよりも『キレイな街』という外見・結果を重視するエジプト。意識への働きかけをしないままでは、環境問題は市民にとっていつまでも他人事である。環境においての自発的な行動は、主体性のもとに築かれる。環境教育を通じて、自分自身で考える大切さや楽しさを広く市民に伝えていきたい。

 

 

◆項目2.(40字)ボランティアが所属する部局の概要

本文(500字)

 

私の勤務するハルガダ環境庁環境情報啓発部には同僚が15人ほどいる。
部長は50代男性。彼は主に事務所内で仕事をしていて、ワークショップをするため学校に赴くのは直属の上司でありカウンターパートの30代男性と同僚3名の計4名である。
私を含めた5名のうちの3名ほどがローテーションで車に同乗し学校へ向かう。講義形式のワークショップが主流のようで、どの同僚も1時間くらいは何も見ずに話し続けることが出来る。
なお、実際にワークショップを行うメンバー以外で、事務所に常時いる同僚もいる。経理や車の手配など、細かく分業しているようだ。
以前の配属先であるカイロ環境庁では雑居ビルのような狭い事務所に机を何台も並べ仕事をしていたが、ここハルガダ環境庁は個人で広い部屋を1室使えるほどに余裕がある。個人で部屋を使えるがゆえに各人の仕事ぶりが目につかないせいかもしれないが、カイロに比べてみな働き者に見える。

他部署も含めると、同じビルの上層階には環境庁の職員が100人近くいる。海洋環境の研究機関としての役割も兼ねているようで、
JICAシールの貼ってある機材がたくさん存在する。過去にJOCV1名の受け入れ実績もある。

 

 

◆項目3.(40字)配属先のニーズ

本文(500字)

 

子ども達を対象にしたワークショップの企画実施、一般市民を対象にしたセミナー・イベントの企画実施、教材の作成の3つが主なニーズである。ワークショップの企画をするにあたって、新しい玩具を手に入れてもすぐに飽きてしまう子どもとエジプト人は似ているように感じる。もっとじっくりとひとつずつのワークショップを深めていく余地があるのに、すぐに次の展開を求める。結果、中途半端な仕上がりの教材やポスターがたくさん保管されている現状。エジプトにとっての効果的な環境教育とは何なのかという指針がおぼろげな段階で、手段だけをコロコロ変えても意味がない。
セミナーやイベントについても、どんな内容にすればいいのかということばかり求めてくる。まず我々実施者が参加者へのメッセージとして何を伝えたいのかを自問自答して、同じ内容でもより伝わりやすい手法へと模索しブラッシュアップしていく必要がある。私に出来る事は、ひとつずつの活動を丁寧に行い、その行動をもって彼らに姿勢を示す事である。

 

 

◆項目4.(40字)活動計画準備状況

本文(500字)

 

これまでのハルガダ環境庁のワークショップは講義形式が主流のようで、実施者が一方的に環境についての知識を演説するというものだった。そこで、より伝わりやすい方法をと、自作の紙芝居を使ってのワークショップを提案することにした。併せて、参加者の理解度を測るという理由で、気づきや感想をアウトプットするためのワークシートも導入した。10回ほど私が企画するワークショップを同僚と協働でおこなったが、これまでとの違いや効果についても配属先に徐々に伝わっていると感じる。この活動を何度も実施し、参加型のワークショップが定着するよう引継ぎをしたい。
また、カイロ環境庁同様、学校が長期休みの期間には4か月ほどの閑散期が訪れる。その間、ハルガダ環境庁では一般市民を対象とした環境セミナーを定期的に開いているとのことで、今後はセミナーの企画に力を入れる予定である。セミナーに参加した大人から各地域の子ども達に繋げられるような、単純で分かりやすい新たな環境教育のパッケージを考えたい。
その他、環境教育のイベントを開きたいという配属先の意向もあるので、カイロ環境庁配属の環境教育隊員と協働して開催できればと考えている。

 

 

◆項目5.(40字)受け入れ国の印象

本文(500字)

 

新しい任地ハルガダは他人同士の距離が首都カイロよりも近い気がする。あんなにカルチャーショックを受けたカイロのことを今では都会のように思うのは何故だろう。カイロの混沌と比べると、すこし穏やかな印象がある。紅海に面したリゾート地ということもあり人々はのんびりゆったりと暮らしている。ヨーロッパ・ロシアからの観光客が多く見られ、街には見慣れない外国の文字が並ぶ。観光で成り立っている土地だからか、景観に対しての意識はカイロよりも高い。しかしそれも主要道路に関してのみで、路地裏に入るとゴミだらけである。
カイロに比べて、ゴミ収集を個人で生業としている人が多い。
白人たちがオープンカフェで昼間からビールを飲んでいる傍ら、ペットボトルや段ボールを集めているガラベイヤ(民族衣装)を着たエジプト人を見かける。カイロよりもそういった格差が目につきやすい。
余談だが、エジプト人は「『自然』は人間が生きる為に存在する」と考えているタイプが多いようだ。『人間>環境』という価値観。良い悪いではなく、エジプトで環境教育をおこなう上でこの考え方をふまえることは重要なので記載しておく。

 

 

◆JICAへの要望・提案(500字)

要望・提案はしません。

 

 

以上


 


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配属先および任地変更など、諸事情あってブログに載せられなかった第2号報告書。

 

 

めちゃめちゃ調子よかった第1号報告書から一転、報告書を書くことすらままならなかった。

 

第2号は本来赴任してから6ヶ月目に提出するものだが、なんやかんや数ヶ月先延ばしにしてもらうこととなる。

 

「○○したい」「○○の予定である」ばっかりのフワフワした内容で恥ずかしいが、自分なりのけじめとして公開しよう。

 

 

こんな人もいるんだなというくらいの感じで読んでくださったら嬉しい。

 

 

 

◆報告書要約(800字)

 

2016年3月初旬に現地の人とトラブルがあり、それに伴い現在任地変更の手続き中である。
新しい配属先が未定のまま
4ヶ月ほど経過しているが、その間は自作の紙芝居やワークショップ教材を持参し、街なかで興味を持ってくれた人に対し路上で環境の話をしたりゴミ拾いの活動をしたりしている。
それと同時にカイロ市内のNGOや学校をいくつか巡り、いっしょに活動ができないかと個人的に働きかけている。その結果ふたつのNGOで継続的な環境ワークショップを行うことになり、その為のワークショップ教材やシナリオの作成を主にしている。その
NGOでは経過観察ができるという事なので、単発のワークショップとは別で、段階的な理解で成果に結びつくようにしたいと考えている。
最終的には、ワークショップからの流れで街のゴミ拾い活動に繋げ、美化活動においてモデル地区のような、見本となるような地域を作りたい。

また、カイロ大学に通うエジプト人学生が作った日本語サークルのメンバーと知り合い、共にカイロ市内で3回ほどゴミ拾いの活動を行った。この活動はこれからも継続したいと考えている。今秋にはそのサークルのメンバーを集めて環境教育のワークショップを開く事を予定している。


今後は27年度1次隊の環境教育隊員と連携して共同のワークショップをするなどし、彼の配属先で今後活用してもらえるようなワークショップレシピを提案したい。

 

 

◆項目1.(40字)活動計画の説明

本文(500字)

 

任地変更の手続き中で配属先が未定のため、私個人の見解による活動計画となる。

現在は自作の紙芝居やワークショップ教材を持参し、街なかで興味を持ってくれた人に対し路上で環境の話をしている。それと同時にカイロ市内のNGOや学校に対して、自分に出来ることをアピールするため営業回りをしていて、いっしょに活動ができないかと働きかけている。
その結果ふたつのNGOで継続的な環境ワークショップを行うことになり、
JICAドミトリ―でワークショップの教材やシナリオの作成を主にしている。そのNGOでは経過観察ができるので、単発のワークショップとは別で、段階的な理解で成果に結びつくようにと考えている。最終的には、ワークショップからの流れで街のゴミ拾い活動に繋げ、美化活動においてモデル地区のような、見本となるような地域を作りたい。

また、27年度1次隊の環境教育隊員と連携して共同のワークショップをするなどし、彼の配属先で今後活用してもらえるようなワークショップレシピを提案したい。

 

 

◆項目2.(40字)活動計画策定に向けた配属先との意見交換

本文(500字)

 

現在任地変更手続き中で配属先が未定のため、意見交換はなされていない。

 

 

◆項目3.(40字)配属先の動向

本文(500字)

 

任地変更手続きのため現在配属先は未定である。

 

 

◆項目4.(40字)受入国の人々との交流

本文(500字)

 

3月初旬に現地人とのトラブルがあった。これについては全く私の注意が足りていなかった結果であり、JICA事務所や現地の方を始めたくさんの方々にご迷惑をおかけした。大変申し訳なかったと感じている。私ひとりの軽率な行動が、こんなに広い問題に波及するのだなと改めて勉強になった。

この件が起きる以前、私はエジプトが好きではなくなっていた。しかし事件後、落ち込んでいる私を元気づけてくれたのはエジプト人の友人であった。彼女たちはメールをくれ、電話をくれ、時には閉じ籠りがちな私を外に連れ出してくれた。その後、環境教育に興味のある彼女たちと共にゴミ拾いの活動を行った。ヘルワン大学ザマレクキャンパス、カイロ大学、アインシャムス大学の周辺でそれぞれ2時間ほどゴミ拾いをした。この活動は今後も継続したいと考えている。
彼女たちは日本語が堪能なので、話をしているとエジプト人の環境意識について理解を深めるヒントをもらえる。
これまで言語の習得に関しては、良くも悪くも開き直りと言うか居直っている節が自分にはあったが、もっときちんと学んで彼女たちを初めとするエジプト人とコミュニケーションをとりたいと思った。

 

 

◆項目5.(40字)その他特記事項

本文(500字)

 

日本と受入国の違い

まさにトップダウンで、ひとりひとりが自分の頭で考えて行動に移すということをあまりしない。たとえば何か疑問に思うことがあっても、誰も反対意見を言わない。しかし後になって深く話すと、「実は私もそう(反対だと)思っていました」と言われる事がある。
特に環境問題などは、多くの人が頭では理解しているのに多勢に従ってしまい良い結果に繋がらないという側面がある。もちろん日本人にも似たところはあるが、エジプトの場合は社会や国のシステムがその状況を助長しているように感じる事が多い。

 

受入国の生活習慣

ラマダン(断食月)を経験した。私自身は断食をしなかったが、イスラム教徒が多数を占めるエジプトでは、日中レストランなどは閉まる。その代わり日が沈んだ後は飲食できるので、夕方の街はお祭のような賑わいを見せる。庭先でピクニックするように食事をしているエジプト人を見かける。初対面でも招かれることがあり、暗がりのなか軒先でイフタール(日没後の食事)をいただく。
お金を要求することなどはなく、イスラム教徒にとって自然なことなのだろう。
食べきれないほどの食事でおもてなしをする習慣があり、環境教育隊員にとっては悩ましい。

 

 

◆JICAへの要望・提案(500字)

特にありません。

 

 

以上

 

 


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