代表人 上 (1)
代表人 下 少年マガジンコミックス『幕張』の木多康昭がマガジンで連載していた漫画。ネタが危なすぎたためか、わずか2冊で打ち切り。下ネタ・テレビネタ・業界ネタ・内輪ネタなど、木多康昭の持ち味が残らず出ている快作…ではあるのだが、さすがに打ち切りになるだけあってストーリーは支離滅裂(いつものことだが)、描きたいことだけ描いてるって感じ。実際、諸般の事情により掲載できなくて「作者急病」扱いにされた回もあったとか(どうも冨樫をネタにしたらしい)。今、メジャー漫画界で最も挑戦的かつ挑発的な、表現の自由と闘っている漫画家と言えば、木多を置いて他にはいないだろう。マガジン本誌でこれをやったっていうのはもう伝説にしちゃっていいんじゃないかとすら思うんだが。
ボツを覚悟で危ないネタを書き続ける木多。「俺にはこの作風しか残されていないんだよ!金が欲しいんだよ俺は!」という心の叫びが聞こえてくるようだ。そして実際そう思っている。『カイジ』でもそうだが、漫画家にとって大切なことは「背伸びをしない」ことだろうと思う。いしかわじゅんも言っていたが、自分の漫画力でできることは何で、できないことは何か、ということを見極めた漫画家は強い。絵が下手くそな癖に、絵に頼った作風を貫こうとすれば破綻するのは目に見えている。木多はネタが自分で出せないのだから、パクリや下ネタなどに走るのは仕方ない、というより、必然なのだ。木多が自分の能力を最大限に引き出せる作風が、パクリや下ネタであり、漫画家や編集者や出版社を批判しバカにすることであり、自分やアシスタントを登場させることであるのだ。木多は、そういうマンガを描かせたら天才的である。それ以上、またはそれ以外を望むのは、むしろ木多の才能を潰すことに繋がるかもしれない。できんもんはできん、それを木多はわかってるから、あえてああいうマンガしか描かないんである。
さて、『代表人』。僕は好きです。大好きです。木多康昭を尊敬しています。