タイトル一覧

  1. ゲーム理論入門 (51)
  2. 正嗣の根本原理 (0)
  3. The Top 50 Nonbasic Lands 25〜1位 (0)

2008年10月29日

ゲーム理論入門

原文:Introduction to Game Theory
著者:Frank Karsten
翻訳:

 Online techへようこそ!今週は新しいテーマ、ひょっとしたら来週以降も使うかもしれないようなものを用意する予定だったんだけど、すごく魅力的なお題を見つけたよ。
「ゲーム理論」さ。ゲーム理論の"問題の系統立てとそれに対する解の概念"はマジックにも使えるんだ。

ゲーム理論とは

 ゲーム理論は応用数学の一つで、マルチプレイヤーゲームなんかの、各プレイヤーの戦略行動が相互に影響しあう状況みたいなものをモデル化・解析するものなんだ。
各プレイヤーが他者と協調するのか対立するのか、そういった状況で役に立つ。
今回は、"非協力ゲーム理論"、対立するプレイヤー同士が自分たちにとってベストな戦略を見つけようとしているような状況を扱うことにする。
ゲーム理論は、マルチプレイヤーゲームにおける最適な戦略、ベストな意思決定の方法を定義してくれる。
 ゲーム理論の考え方とマジックの要素を関係づけてみよう――つまり、マジックで勝つ可能性を最大限高めるために、ゲーム理論がどう役に立つか。
理論として数学として高度で、直接には役に立たないかもしれない。
でも新しい取り組み・視点からの記事が、読者のマジックというゲームの根本に対する理解を深めるかもしれないしね。
この記事があなたの視野を広げる役に立つといいな。

ゲーム理論の例 その1
囚人のジレンマ−ドラフト
 この例は古典的な囚人のジレンマをマジックにあてはめたもので、限定された場におけるゲーム理論の基本をあらわしている。
あなたと仲間が双頭巨人戦のチームAにいるとする。
あなたには2つ考えられる戦略がある:スリヴァーか、スリヴァーなしか。
議論を単純にするために、あなたはファーストピックの段階でこの二つのうちどちらかを選ばなければいけないと仮定しよう。
左にいるチームBも全く同じ岐路にいる。他にチームCとDがいるが、彼らはスリヴァーを嫌って絶対にピックしないことをチームAとBは知っていると仮定しよう。
さて、スリヴァーは変わったアーキタイプで、大量に集めなければ力を発揮しない。
もし2チーム以上がスリヴァーをドラフトすれば場のスリヴァーを分けあってドラフトすることになる。
相互に妨害し合い、誰もシナジー形成に十分なスリヴァーをピックできず、微妙なデッキになってしまう。
このドラフトの結果予想図を行列で表現しよう。


                   Team B
              Sliver     not Sliver
Team A   Sliver    (1,1)     (1.75, 0.67)
      not Sliver  (0.67, 1.75)  (1.25, 1.25)


 チームAの戦略を左から行で、チームBの戦略を上から列で追っていき、二つが交差するセルの数字が(Aのデッキの強さ, Bのデッキの強さ)となる。
強さ=勝ち数の期待値、と考えてもらえばいい。
各々の選択の結果どうなるかは他チームの選択によって変わるが、お互い相手チームの動きを知る前に戦略を選ばなければいけない。
両チームとも、予想されるデッキの強さがだいたい正確に分かっていると仮定する。
実際のドラフトはもっと色々なことが起きるからこの数字は正確じゃないだろうけど、少なくとも1戦目、チームA対チームBの試合でお互いのデッキの強さを比較するには、この基本構造はほぼ正確だろう。

 この表の意味はこういうことだ。
「両チームがスリヴァーをピックすれば、両者のデッキは1勝ってとこだろう。もし片方がスリヴァーを選びもう片方が避ければ、スリヴァーデッキは2勝近く、もう片方は1勝すら厳しいだろう。」
さて、あなたならどうする?

 とりあえず、チームAの立場に立ってみて、チームBがどちらの戦略を取ろうがこちらは得する、そういう自分本位の戦略を取ってみよう。
チームBがスリヴァーを取ったとき、こちらがスリヴァーを取ればデッキの強さは1、取らなければ0.67、つまり最適戦略はスリヴァーを取ることだ。
チームBがスリヴァーを取らないとき、同様にこちらの最適戦略はスリヴァーを取ることだ(1.75>1.25)。
つまり、スリヴァーを取るのが支配戦略(=相手がどう出ようが自分はこの戦略を取るのが得)というわけだ。
チームBも同じように考え、同じようにこちらの動きに関係なくスリヴァーを取るだろう。

 しかし、両者がスリヴァーを取る時と両者がスリヴァーを避ける時を比べると前者のほうが弱いデッキになる(1<1.25)。
もし両者が協調して、どちらもスリヴァーを取らないという戦略を取れば、両者のデッキパワーの合計は1.25+1.25=2.5と最高値になり、お互いがドラフト戦で良い結果を残せるだろう。
しかしこの協調は、各々が自分の利益だけを追求するとあっさり崩れる。
どちらのチームも協調を反故にしてスリヴァーをピックでき、そうすれば強力デッキで他チームを圧倒できるのだ。

わかったこと
 結局、両チームは探り合いの末双方ともスリヴァーをピックし、どちらのデッキも期待値で1勝程度ということになる。

ゲーム理論の例 その2
不確実情報の扱い−ブラフ

 マジックはポーカーほどはブラフを打てる状況は多くないけど、それでも時々ブラフを打つ機会がある。
例えばこんな凄く単純な状況を考えてみよう。
AとBの対戦で、Aの場に3/3クリーチャー、Bの場に5/5クリーチャーがある(両者アンタップ)、Bの手札は空、Aは今引いた一枚だけ。
いまAの第一メインフェイズ。プレイヤーは二人とも、対戦相手のデッキ内容を完璧に知っているとする(《根絶/Extirpate》が撃たれていればありうる、ありがとう根絶)。
Aが引いたカードは20%の確率で《巨大化/Giant Growth》、80%の確率で他のカード(ランドとかクリーチャーとか、コンバットに関係ないもの)だ。
このことを二人とも分かっていると仮定する。

 さて、プレイヤーAはアタックすべきか否か、プレイヤーBは(Aがアタックしてきたら)ブロックすべきか否かという選択を迫られる。
Aが《巨大化/Giant Growth》(以下ジャイグロ)―Aの3/3クリーチャーがBの5/5クリーチャーを倒せるようになるカード――を持っているか否か、またアタック・ブロックするか否かによって戦闘結果は変化する。
この戦闘の後、Aがゲームに勝つ確率(=Bが負ける確率)、それを両プレイヤーは計算できるという状況を想定しよう。
この確率を正確に計算するのは非常に難しいが、この概算はあなたが普段のマジックでやっていること、やるべきことだ。
今の例では両プレイヤーは互いのデッキを完璧に知っているから、二人とも正しい値を分かってるってわけ。

 この状況は樹形図であらわすことができる。

A:ジャイグロ有 → アタック → Bブロック → 0.9
                     Bブロック無 → 0.7
            アタック無 →         → 0.5
A:ジャイグロ無 → アタック → Bブロック → 0.2
                     Bブロック無 → 0.6
            アタック無 →         → 0.5

最後の数字は、この読み合いの後にAがどれだけ有利かを示す。
ここで、BはAの手札を知らないが、BはAがとる戦略(常にブラフか、常に正直かなど)を知っていて、AもBのブロック戦略(常にブロックか、常に通しかなど)を知っているという仮定を加える。
この状況でどうやって相手の戦略がわかるんだと怪しむかもしれないが、分析を簡単にするために、Bは同じコミュニティでAのプレイングを見て知っているとしよう――これならBがAのプレイスタイルをおおよそ当てられても不自然ではない。
Bは自分のゲームの合間にAのゲームを見て、Aのプレイスタイル(保守的か、リスキーか、堅実か)を観察したかもしれない。
それによって今の例のような状況でAが取る戦略を読み取ることができる(AがBに対しても同様)。
あるいは二人はFNMで毎週対戦してるのかもしれない。

 各プレイヤーが勝ちの可能性を最大にするための正しい戦略は何だろう?

 まず明らかに気付くことは、Aがジャイグロを持っているときは常にアタックすべきだということ、これは支配戦略だ(Bがブロックしようがしまいが)。
Aがジャイグロを持っていないとき、もう少し困難な選択を迫られる。
このときアタックしなければ、Aの勝つ確率は50%のままだけど、Aがアタックすれば、Bの選択によってこの後の展開は変わる。
BがブロックしなければAの得(Aの勝つ確率0.6)だが、BがブロックすればAは大きく不利になる(確率0.2に低下)。
ここでブラフがからんでくるわけだ。

 Aの基本的戦略は、「ジャイグロを持っていればアタックし、持ってなければしない」だ。
これに対してのBの最適戦略は全くブロックしないことだ。
二人がこの方針にそってプレイする場合、Aがジャイグロを持っている確率を20%とおくと、Aが勝つ可能性は、(0.7 * 0.2) + (0.5 * 0.8) = 0.54となる。

 しかしもう少し考えてみよう。
もしBが全くブロックしないならば、Aの最適戦略はジャイグロを持っていてもいなくても常にアタックすることだ。
その場合勝ちの可能性は(0.7 * 0.2) + (0.6 * 0.8) = 0.62に上がる。
だが―どんどんややこしくなってくるが―Aが常にアタックする(ジャイグロがないときはブラフを使って)なら、Bの最適戦略は?
上の樹形図を見ると、Bは常にブロックするべきだ。
この場合、Aの勝つ可能性は0.34だ(言うまでもないが、常にアタックするという戦略は、Bにバレているならば賢くない)。
そして、Bが常にブロックするならば、Aの最適戦略は、ジャイグロがあるならアタックし、ないならしないという一番最初のものだ。
このときAの勝つ可能性は0.58となる。

 この例では、さっきのドラフトの例のような支配戦略も均衡点も存在しないのだ。
それぞれの戦略について、それに対する理想的な対抗戦略が存在する。
この例では、Aが最初に意思決定をし、BはAのとる戦略を知っているから、Aはジャイグロがある時だけアタックし、Bは全くブロックしないという結果になる。
実際のゲームで最も頻繁に起こるのもこういう結果であり、この例の分析どおりと言える。

 さて、今紹介したいくつかの戦略は、別に悪くはない。しかしベストというわけでもないんだ。
これよりベターな戦略が分かるかな?

 答えは、複数の戦略を混ぜることだ。混合戦略を考えてみよう。
Aはブラフ戦略(ジャイグロがないのにアタック)と正直な戦略(ジャイグロがないときはアタックしない)をランダムに選ぶ。
ゲーム理論でいう解の概念とはここでは、Aがアタックするか否かという選択においての(Bがブロックするか否かに関係なく取る)混合戦略のことだ。
この場合の最適戦略とは最適なブラフ頻度のことで、対戦相手の対応を考える必要はない―相手の読みが当たろうが当たるまいが勝つ確率の期待値は同じだ。
つまりこちらが最適戦略を取れば相手にできることはただ、ランダムにこちらの手を読むことだけってわけ。

 ここでAが「常にアタックする」戦略をとる頻度を x , Bが「常にブロックする」戦略をとる頻度を y とする。
(補足:Aが「ジャイグロある時だけアタック」戦略をとる頻度が(1-x)、Bが「ブロックしない」戦略をとる頻度が(1-y))
この時、両者の手がどうであれ期待値は同じであるという条件から、先ほど計算したAの勝率を用いて次の式が得られる。

0.62x + (1 - 0.58)(1 - x) = 0.34x + (1 - 0.54)(1 - x)
x=0.125

(1 - 0.34)y + (1 - 0.62)(1 - y) = (1 - 0.58)y + (1 - 0.54)(1 - y)
y=0.25

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翻訳者による補足
二つの式の意味は、「最適な頻度でブラフを使えば、それがが当たろうが裏目に出ようが、勝つ可能性の期待値が等しくなる(=ナッシュ均衡)」というもの。
それをプレイヤーA,B二人の立場から見て計算している。
二つ目の式は明らかに間違っているので修整しました。
一つ目の式も、
0.62x + 0.54(1 - x) = 0.34x + 0.58(1 - x)
としたほうがシンプル。言ってることは同じだが、コラムで用いてる式は回りくどい。

参考資料
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E5%9D%87%E8%A1%A1
の「混合戦略におけるナッシュ均衡」
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 だから、もし両プレイヤーが確率に明るくて、相手の使う戦略が完璧に分かるのならば、相手が最善の戦略を使ってきても負けないような最適戦略はこうなる。
Aは「常にアタック」戦略を8回に1回、残りは「ジャイグロある時だけアタック」。
Bは「常にブロック」を4回に1回、残りは「ブロックしない」。
そうするとAの勝つ可能性は55%ってことになる(相手が最適な戦略を取った場合のAの期待値の最大値)。
これはAがジャイグロある時のみアタックし、Bは常にブロックしない時の54%よりも高くなっていることに注目してほしい。

わかったこと
 混合戦略を用いることで勝利の期待値を上げられるのだから、時々はブラフをやるべきだ。
もしあなたがさっきの例のプレイヤーAとそっくりな状況でジャイグロを持ってないって時は、8面ダイスを振って1が出たときだけアタック、なんてのもアリだ。
まあジャイグロ持ってない時だけダイス振るんじゃ相手にバレちゃうから、常にダイスを振るほうがいいだろうね。
ゲーム中にとくに理由もなくダイスを振って対戦相手の困惑した顔を眺める、なんてのもいいだろう。
ただ、ブラフを打つべき場面でのみブラフを打つ、ということを忘れないように。
場合によっては(さっきの例の樹形図における数字がぜんぜん異なる時)ブラフは完全に悪いプレイングになってしまう。
例えば、あなたが2体の1/1を、相手が1体の2/2をコントロールしている状況を考えてほしい(そして、あなたはジャイグロを持っているかもしれない)。
この場合は、チャンプアタックはアタックしない時よりはっきりと勝ちの目を減らしてしまうと考えられる(あなたがジャイグロを持っているとしても!)。
こちらのジャイグロ+1マナと相手の2/2一体という交換は相手の望むところだろう。
ジャイグロを残しておけばあとあと、相手にとってより大きな脅威となるのだから。
こちらにコンバット・トリックを使わせることが相手にとって有利になるときはブラフをしてはいけない。
こういう状況は意外と多いから注意だ。


メタゲーム その1
《サバンナ・ライオン》ゲーム

 さて、ゲーム理論をマジックの別の側面、構築戦でのデッキ選択とメタゲームにあてはめてみよう。
まず、私が大昔オランダのMTGフォーラムでした議論の話(ほんの少し違うが)をさせてほしい(幸いなことにそこにログが残っている)。
マジックを単純にした、《サバンナ・ライオン》ゲームだ。
ルールは単純、40枚のデッキで戦い、平地とライオンしかプレイできない(カードプールが狭いブロック構築みたいなのを想像した?甘い甘い!)。
3ライフでスタート、サイドボードなし、マリガンなし、プレイングスキルいらず(毎回ランドとライオンをプレイして、酔ってるときにブロックしてあとはアタックするだけ)。
 このゲームに勝つには、できる限りたくさんのライオンを最速で出さなければいけない。
このゲームが把握しやすくなるように例をとって説明しよう。

先手のジムはライブラリの上から11枚がランド5枚とライオン6枚で、彼のプレイはこうなる。
1T:ランド、ライオン
2T:ランド、ライオン、ライオン
3T:ランド、ライオン、ライオン、ライオン
4T:ランド
5T:ランド

後手のボブは上から11枚がランド2枚にライオン9枚で、プレイはこうなる。
1T:ランド、ライオン
2T:ランド、ライオン、ライオン
3T:ライオン、ライオン
4T:ライオン、ライオン
5T:ライオン、ライオン

 先手2Tと3Tの戦闘でライオンは1対1交換されるだろう。
そして先手4Tにジムは3体のライオンを展開し、後手は2体展開するから、次のターンの戦闘でボブのライフは1になり、ジムの1体のライオンが残る。
しかし続くターンでボブは次々とライオンをプレイするのに対しジムはランドしかなく、ボブはスタートの出遅れを取り戻せる。
 さて、このゲームで最強のデッキは何だろう?
 まず気付くことは、2Tに2マナ出る可能性を最大にすると同時に、それ以降無駄なランドを引く可能性を最小にするようなデッキが理想的だということだ。
ランド6〜12枚が理想ってとこだろう。
しかし、この中で最適値が一つだけ求まるのか、それとも複数存在するのか?
フォーラムの読者がシミュレーションでこの問題を解いてくれた。
ランド何枚のデッキ対何枚のデッキだと片方の勝率はいくら、という計算を全ての組み合わせについて行ったんだ。

(表は省略、数字にあまり意味はないので)

 この表から、ランド6枚では明らかに足りないということがまずわかる。
ランド7枚のほうが、全ての組み合わせについて勝率がいい。
ランド6枚を消した後、次にランド12枚が消える。
これはランド11枚に全てのマッチで劣っている(対ランド6枚デッキでは12枚のほうが勝率がいいが、誰も6枚デッキを使わないなら意味がないんだ)。
次に、ランド11枚とランド10枚もランド9枚に全てのマッチで劣るから消せる。同じようにランド7枚と9枚より8枚のほうがベターってことで除外できる。
 結局、ランド8枚がただ一つの最適解だ。ランド8枚vsランド8枚の五分の戦いはいわゆる「ナッシュ均衡」で、つまり他のデッキを使っても決して有利にはならない。
表を見ればわかるけど、もし相手がランド8枚デッキを使ってくると知っているなら、君はランド8枚デッキに最も高い勝率が期待できるデッキを選ぶのが最善だ。
つまり相手と同じランド8枚デッキがベストってこと。
勝率は当然50%で、つまらないメタゲームだ。

 わかったこと
 この例で説明したのは、唯一最強のデッキが存在するような極端なメタゲームでは、君もそれを使わなければただ不利になるだけだ、ということだ。
《サバンナ・ライオン》フォーマットのトーナメントでは全員がランド8枚・ライオン32枚の最強デッキってことになる。誰も違うデッキを選べない。
…まあそんなトーナメントがあっても誰も参加せずに、色んなデッキを使えるほんとのマジックをやるだろうけど。


メタゲーム その2
混合戦略均衡−じゃんけんゲーム

 今度はスタンのメタゲームを単純化したものを考えてみる。
あなたがスタンダードのトーナメントに出たとき、参加者は全員ネットの完コピデッキだという状況を考えてくれ。
デッキはドラルヌ・ド・ルーブル、ドラゴンストーム、グルール・ビートのどれかで、細部まで同じ。
誰もデッキを調整・改良する時間やスキルがなくて、完全にネットからパクってきたせいで、他のデッキや亜種も一切存在しないとする。
つまり、完全に3種類のデッキだけのスタンダード・フォーマットだ。
3つのデッキはそれぞれ得意な相手と苦手な相手がいる。
ドラルヌはドラストに勝ち、ドラストはグルールに勝ち、グルールは一周してドラルヌに勝つ。
議論を簡単にするため、各マッチの勝率が分かっていて、次の表のようになるとしよう。

 Match win%   Dralnu   Dragonstorm   Gruul
  Dralnu      50,50      80,20      45,55
Dragonstorm   20,80      50,50      60,40
  Gruul      55,45     40,60      50,50

具体的な数字は実戦でもこんなもんだろうけど、ツッコミはよしてくれ。純粋なじゃんけんゲームより話を面白くするため、対称行列にはならないように書いた。

 この表の読み方は例えば、「ドラストはドラルヌに対して20%しか勝ち目がない」という感じだ。
参加者のプレイングスキルは全員同じで、引き分けはなしとする。
あなたならどのデッキを選ぶ?

 正解はメタゲーム、つまりあなたの対戦相手のデッキ選びの傾向によって決まる。
さて、会場にはたくさんのプレイヤーがいるからあなたが何を使うかは全体の使用デッキ分布に影響しないと仮定する。
また参加者は全員、他の人が何のカードをスリーブに入れるか見ていて、メタがこの3デッキだと知っていると仮定する。
さらにカード業者のサービスで、全員がタダで他のデッキに乗り換えられると仮定しよう。

 トーナメント開始まであと1時間ある。
参加者が会場に着いた段階で、3つのデッキはメタのちょうど3分の1ずつを占めていると考えてみよう。
そうすると各デッキと当たる確率が分かって、どのデッキがベストか計算できる。
ドラルヌを使えば、勝率の期待値は (50 * 1/3) + (80 * 1/3) + (45 * 1/3) = 58.33% となる。
ドラストを使えば43.33%、グルールを使えば48.33%だ。
当然ドラルヌがベストで、これがメタゲームの最初の段階だ。

 しかしちょっと待った、他のプレイヤーも同じように考え、マッチ確率やドラルヌが有利だという情報があっという間に広まる。
今誰もが《湿った墓/Watery Grave》を手に入れようと駆け回っている。
10分後、80%のプレイヤーがドラルヌを用意し、ドラストとグルールは10%ずつになったことがわかった。
さて、このメタゲームではドラルヌの勝率期待値は52.5%、ドラストはたった27%、そしてグルールはなんと53%に上がった。
突然グルールが最強になったんだ。

 また10分経ち、全員が《湿った墓/Watery Grave》を《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》に差し替えている(業者にとっては頭痛ものだ)。
なんと80%のプレイヤーがグルールを使おうとし、ドラルヌは15%、ドラストは5%だけとなった。
さて、このメタゲームではドラルヌの勝率期待値は47.5%、ドラストは53.5%に跳ね上がり、グルールは50.25%しかない。
いきなりドラストが最強になった。

 この後どうなるかは分かるだろう、みんなドラストに乗り換え、ドラルヌが再び最強になる。
このやりとりは、プレイヤーがメタゲームの最先端に乗ろうとする限り際限なく続く。
とにかく勝つために、プレイヤーはその場その場でのメタゲームに有利なデッキに乗り換える。
その結果、唯一最強のデッキというのは存在しない。
ある週の優勝デッキがその次の週では惨敗するってこともあるかもしれない。
 これはつまり、メタゲームの話で出てくる「メタは回る」って奴なんだ。

 ここで、ゲーム理論の専門家が開始直前に会場に来て、一連のやり取りを見たとしよう。
彼はミニマックス法を使って(ブラフのところで、混合戦略の最適配分を求めるときに使ったやつだ)他の参加者に作戦を授けた。
彼のいう策は、ドラルヌを2/9、グルールを6/9、ドラストを1/9とデッキをランダムに使い分けることだ。
(補足:反則とかそういうのは気にしないんだと思います)
参加者全員が彼の戦略を用いて、予想されるメタゲームはドラルヌ22.22%、グルール66.66%、ドラスト11.11%となった。
このとき面白いことに、あなたがどのデッキを使っても勝率期待値はちょうど50%になる(さっきの表から計算すればわかる)。
もしメタゲームが実際こうなっていたら、あなたがどのデッキを選ぶかは何の意味もない。
誰もメタに勝てないし負けない、平和なトーナメントになる。

わかったこと
 この例では、プレイヤー全員がゲーム理論を用いて考えたときに安定均衡におけるメタゲームがどのようになるかを説明した。
面白いことに、ドラルヌは当初は最強と思われた(グルールに45%とちょっと不利だけど、ドラストに80%もの有利がつく)のが、均衡状態では22.22%の使用率で、グルールの使用率が一番高くなる。

メタゲーム その3
複雑性と限定合理性−実際のマジック

 今までの例でやってきた分析には明白な問題がある。
まず、プレイヤーは完璧に論理的なわけじゃないから、ベストなデッキを探すのにこのコラムみたいに考えたりしないだろう。
それよりは自分が好きなデッキ、慣れてるデッキを使うだろう。経験による強みってのは他の何にも勝るからね。
どんなデッキにせよ、自分に一番合うものを選んでたくさん試合をこなすってのは正しい。
まだ問題があって、みんながカードを買うお金は限られてるから、好きなようにデッキを乗り換えることはできない。
ただ一つのデッキパーツしか持ってなくて、それをメタ的に不利なのに何年も使い続けてる人だっている。
さらによくあるのが、正確な各メタデッキとの正確なマッチアップ確率なんて分からないから、さっきの例みたいにデッキを選ぶには情報が足りないってことだ。

 だから実際のトーナメントでは、ゲーム理論で正確にメタを読むことなんてできない。
あなた自身の直感や他プレイヤーに関する知識を元に判断するほうがいい。
僕がデッキ選択のときになんとなく使ってるのは次のような方法だ。
使うデッキの候補それぞれについて、勝てる可能性をこんな感じで決める。
自分がそのデッキを使って仮想敵に勝てる確率(平均的なプレイヤーが使って、じゃない。僕自身のプレイスタイルを考慮した戦略を立てたいからね)にそれに当たる確率をかける。
全ての仮想的に対してそれを計算して最後に足し合わせる。
僕はそうやってメタゲームを予想して、一番勝つ可能性の高いデッキを持っていくことにしている。

 当然、フォーマットによっては複雑なメタゲームで、3つ以上のデッキが存在することもあるから、それも考慮しなくちゃいけない。
マジックの面白さは、環境に無数のデッキが存在しうるところにあるんだから。
さっきの3すくみの例、2/9がドラルヌ、6/9がグルール、1/9がドラフトというメタゲームではどれを選んだから有利になる、ということはなかった。
でも実際にはあなたは全く新しいデッキを構築して五分以上の戦果を上げることだってできるんだ。

わかったこと  
現在のスタンダードではデッキの選択肢は沢山あるし、お気に入りのデッキを使い続けるプレイヤーだっているから、複雑すぎて解析できない。
願わくばあなたが私のコラムを読んで、メタの何を予想すべきかいいアイデアを思いつきますように。

最後に
 メタゲームはドラフトにも存在する。
Roel van Heeswijkが昔、なぜ彼がプロツアープラハの練習ドラフトでは全勝したのに二日目のドラフトではダメだったかについて語ってくれた。
対戦相手より"ほんの少しだけ"低速で、"ほんの少しだけ"コントロール寄りのドラフトデッキは相手より有利になるんだと。
しかしそれより大幅に遅いデッキだと、ビートダウン寄りのデッキに負けてしまう。
この話の例としては、《サバンナ・ライオン》フォーマットに少し似た、こういう仮想フォーマットがわかりやすいだろう。
プレイヤーはランド20枚とクリーチャー20枚で戦い、クリーチャーは20枚の1マナ1/1、20枚の2マナ2/2、20枚の3マナ3/3…20枚のXマナX/Xの中のどれか一種類だ。
X/XのデッキはX+1/X+1のデッキに負けるだろう。
しかし1/1のデッキは6/6のデッキを速度で圧倒する。どこかに均衡点があるんだ。
この問題は、時間のかかるパズルが好きな人用に宿題にしとくよ。

 僕が今日話したのはゲーム理論のほんのさわりの部分のうち、マジックにあてはめられる概念だ。
マルチプレイヤーゲームや、この記事に関連した他のゲーム理論にはぜんぜん触れていないけど、また話す機会があればいいな。  

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2008年10月23日

正嗣の根本原理

原文:Masashi's Ultimatum
著者:Brian David-Marshall
翻訳:

発表されたばかりの殿堂入りプレイヤーであるフランスのOlivier Ruel、アメリカン・ジャガーノートPaul Cheon、そしてオランダの2006年世界選手権チームチャンピオンRobert Van Medevoortがそれぞれのナショナルチームにいるという、とてもわくわくする国別選手権のシーズンだった。
これらのすごいプレイヤー達がプロポイント、そして国を背負って世界選手権で戦う機会を得ているのにもかかわらず、日本からの、そして未来の殿堂入りプレイヤー大礒正嗣がキャプテンのチームほどわくわくするチームはない。

年々変化する殿堂入りの未来を調べるとき、100ポイント・スレッショルドに達するというプレイヤーの資格は知っての通り、例え投票方法が変わろうとも、一員になるためのほんの僅かな「確実なこと」でしかない。
ジョン、ボブ、カイの様なプレイヤーは常に君の注意を確実に惹きつけるプレイヤーだ。
日本人初のプロツアー・トップ8、プロツアー初優勝でないのにもかかわらず、大礒はこの十年間の、そして日本をプロツアーにおける主要なマジック勢力になることを実現させたプレイヤーの一人である。

2012年から殿堂入りが9人に増えるが、殿堂入りが初めてアナウンスされたときから、大礒は彼の年の唯一の殿堂入り候補者でした。
正嗣はいつだって彼の優秀さをそれ自身のために話そうとしてたし、そして中村修平や津村健志のようなプレイヤー、齋藤友晴のようなショー・マンといった国際大使では決してなかった。
なぜ人々が、6度のプロツアートップ8になった者が今年の世界選手権で日本チームが優勝に返り咲くと保証することに驚いたのか不思議でならない。

大礒のいた日本チームが2005年に優勝して以来、過去2年間チーム・タイトルはオランダとスイスの方にに行っていた。現在、大礒はタイトルを日本に持ち帰ると約束している。
私はBill Stark、森慶太そして「無比」Ron Fosterの助けを借りて、おそらく最高のゲームプレイヤーの一人である彼に、彼の教養のために少しの間マジックから遠ざかった後、マジック競技の世界に戻ってきたことについてのインタビューの準備をすることができた。



BDM:日本選手権優勝おめでとう!その前に、今までトップ8もしくは国別対抗チームになった回数は?タイトルを勝ち取った気分を教えてもらえる?
大礒:これが二度目のトップ8です。前回は3位で2005年チーム選手権優勝することができた日本チームになることができました。

僕は2002-3年シーズンからマジックをプレイするために世界中を旅していますが、タイトルを逃していました。勝てたのはGPボストンだけです。
プロツアー優勝が僕の生涯のゴールですが、(おそらく世界で最高レベルのイベントの一つである)日本選手権での優勝は良かったです。

BDM:君は今年の世界選手権のチーム戦で日本が優勝すると予言−というか断言してたそうだけど、これはどれだけ本気なの?
どうして今年日本がトロフィーを奪還できると思ったのかな?そして君にとってどんな意味があるの?
大礒:今やマジックにおいて世界でトップクラスの国の一つである日本の代表として、僕は「100%勝ちにはいかない」であった自分の本分に無頓着になったつもりです。
さらに言えば、今年の僕のチームメイトは僕がいた2005年の優勝チームと同じくらい才能があるし信用もできるんです。
僕らは既に友達同士ですし、気楽に練習することができるんです。

世界選手権のチーム対抗戦に向けてそれをすることは、高い山に初めて登るようなものですし、2度優勝するということは大変注目すべき業績になるでしょう。
その上、来年のプロツアーも見据えてますし、必要以上のプロポイントはいらないなんて言わないです。

BDM:今年の日本チームのレベルはどんなもの?誰がいて、どれだけ良いメンバーなの?
大礒:渡辺雄也はスタンダードキングです。彼が現在のルーキー・オブ・ザ・イヤーという事実は彼の才能を証明するには十分すぎるでしょう。
高桑祥広は狂人です。彼が構築したデッキは何時だってメタゲームを捕らえてますし、天才のみ思いつくことが可能な何かがあります。

BDM:たぶん何度も聞かれたことだろうけど、君がマジックを始めたきっかけは?
大礒:テンペストが出た時、10年前が最初です。友達とプレイしてましたが、マスクスブロックの間はブースター・ドラフトしてて、僕はカモでした。

BDM:君がプロとしてマジックを本格的に始めたのはいつ?そして何が君にそうさせたの?
大礒:僕が高校にいた頃、プロツアーを経験したことのあるNadaという名前のプレイヤーが、僕のいたショップに来たんです。そして彼の話を聞いてプロツアーに興味を持ったんです。
正直なところ、賞金やプロになることよりも、世界中を旅しながら、別の国の人とマジックをプレイするということに興味を持ったんです。それが僕をプロツアーに惹きつけたことですね。
予選を勝ち抜くことから始めました、でも、初めてにしてプロツアー・ボストンへの切符を手に入れることができ、同じ年にはルーキー・オブ・ザ・イヤーになれたんです。(ラッキー!)

BDM:初めてプロツアーでトップ8に残ったのはいつ?そのイベントについて何か覚えてる?
大礒:2003年のプロツアー横浜でした。ルーキー・オブ・ザ・イヤー・レースも終盤、そして自分ができる最高のプレイをしていたこと、Craig Krempelsに負けたくなかったことを覚えています。
Cragはトップ8の分かれ目にいましたし、僕は自分の視野から彼をどかすことができませんでしたし、トップ8に入るために戦い抜きました。
トップ8が発表されたとき、自分がトップ8に残れたことよりも、Craigがタイブレイカーで残れなかったことがショックでした。

BDM:プロツアーで成功しようと頑張っている次の世代に向けて何かアドバイスはある?ゲームが上手くなる一番の近道って何だと思う?
大礒:僕が思うに、良いプレイヤーになるための最も効果的な方法は、ゲームが終わったとき、常に復習することです。
マナ・スクリューだろうが、マナ過多だろうが、対戦相手のトップデッキだろうが、どんなゲームだって完璧にプレイできれば勝てる可能性があります。
一度ゲームが終われば、自分がするべき攻撃のブラフや普通は考えられない取引といった最善のプレイに気付くことができます。
土地をプレイする順序からクリーチャー一体での攻撃宣言まで、何が最善のプレイなのかを常に考えていれば、ゲーム内容は良くなるでしょう。今でも僕は負けるたびに「Kai Buddeなら勝てた」といつも考えます。

BDM:ベルリンではプレイするつもり?僕らは次の年も君を見ることができるかい?
大礒:何とかして、ベルリンにいると思います(ニッコリ)。国別選手権で得たプロポイントで、PT京都行きも確定しています。
もしプロクラブのレベル5かそれ以上に届くことのできるポイントが手に入れられれば、もっと多くのプロツアーに参加できると思います。

BDM:今年のチーム戦は各チームそれぞれレガシーのデッキ、エクステンデッドのデッキ、そしてスタンダードのデッキを使うことになるんだけど、日本チームは誰がどのデッキをプレイする予定?
大礒:僕はエクステンデッドです。好きなフォーマットの一つだし、自分の経験を生かすことができると思います。
スタンダードは渡辺の十八番なので、彼がスタンダードのデッキを使います。
レガシーはちょっと厄介です。プレイする高桑のために、3人で協力して何か思いつくことができれば良いですが(笑)。

BDM:先週末のアラーラの断片プレリリース・トーナメントではプレイしたかい?
大礒:ええ。さらに長野であるやつにも参加すると思います。もし隣に僕がいたら、声かけてください。

BDM:今まで見たアラーラのカードで、一番興奮したカードは何?
大磯:プレリリースで使った《暴力的な根本原理/Violent Ultimatum》です。ちょっと度が過ぎてるけど(笑)。

BDM:今までプロツアーで対戦した中で最も強い対戦相手は誰だと思う?またそれについて何か良い話はある?
大礒:僕がプロツアーでプレイしはじめたときは、全盛期のKai Buddeが君臨していました。僕は彼と彼の成功に夢中でした。
プロツアー横浜の第1ドラフトで彼とのペアリングになりました。1ゲーム目に、僕はラッキーなことに2ターン目に《火花鍛冶/Sparksmith》をプレイすることができたのを覚えています。
しかしながら僕は毎回こいつの能力を使っても、Kaiは《巨大化/Giant Growth》系の効果でそれを避けることができました。そして《戦慄の葬送歌/Dirge of Dread》が原因で負けてしまいました。
2ターン目の《火花鍛冶/Sparksmith》はそれきりだったし、《火花鍛冶/Sparksmith》はゲーム中ずっと生きてたのも覚えています。でも負けたんです。
(訳注:Dirge of the Deadは《戦慄の葬送歌/Dirge of Dread》の間違いかと。)

BDM:他と比べて構築とリミテッドどちらが好き?その理由は?
大礒:リミテッドが好きです。ドラフト中に何をピックするかを決めようとしてるときが一番楽しいです。強いデッキを作ることができれば常に楽しいし、自信のないデッキで勝つことができればさらに楽しいです。シールドもとても好きです。

BDM:何色が好き?その理由は?
大礒:最近はほとんど使いませんが、黒が好きです。《大霊堂の戦利品/Spoils of the Vault》のようなトリッキーなパワー・カードの最善な使い方について考えるのが好きです。

BDM:歴代でお気に入りのデッキは何?
大礒:《精神の願望/Mind's Desire》デッキです。毎回全く同じ方法で勝つことが無いので、プレイするが常に楽しいです。ライブラリーアウトで行くのか、ライフを吸い取る方をとるのかなど沢山考えることがあって、決められることが沢山あるんです!

BDM:お気に入りのカードは何?
大礒:《吸血の教示者/Vampiric Tutor》です。一番代表的な黒のカードだし、コントロール、コンボ、アグロ系でも、どんなデッキにもフィットします。
自分がしたいようにさせてくれる、最高の教示者です。


ファイブ・クエスチョン:Raphael Levyと一緒にスーツを着よう

私は今までにほんの少しだけプロツアーでプレイしたことがある。初めては2回目に出たプロツアー・ロサンゼルスのためだったんだけど、自分が何を着たのか、どんな格好だったのかは覚えてない。
確かなのは、その時神経質で興奮してたことだが、4,5年後、あの競技レベルに俺が戻ってくるなんてなんて思ってもいなかった。
チームメイトのEric KesselmanとBrook Northと一緒にプロツアー・ニューヨークでプレイする機会があったんだけど、
Marco Blume、Gary WiseそしてAaron Forsythe(自分のますます混乱した精神に浮かんだ対戦相手のほんの数人だよ)のような有名で最高のドン達と対戦する機会を与えられるというなんて貴重な体験なんだって理解したね。
このイベントで、やりがいのあるチーム・シールドとチーム・ロチェスター・ドラフト・フォーマットで成功してるニューヨーク地域のプレイヤー達と活動することにもとても気を遣っていたけど、とてもおしゃれしたかったし、それなりにジャケットとネクタイを着てイベントに行った。

私はここ数日ネクタイをそんなにしてない−若い頃からのプリティでナイスなネクタイコレクションがまだあるにもかかわらずだ −しかし私は殿堂入りの式典では毎年スーツを着る機会があるし、プロツアーで働く時は殆ど常に着ている。
私はかなり真剣にマジックを受け止めている−マジックは10年と半年の間、私の人生のとても大きな一部となっている。
カメラで何かだらしないものを着ている自分を見る時、私が自分自身やマジックのゲームを代表しているなんてとても思えない。
私はこの前置きの全てをイベントに言及し、Raphael Levyは来るプロツアー・ベルリンのために着手することに挑戦している。
最近、Tiny Adventures of courseの友人にbuffとheal(訳注:ググったところ、たぶんMMORPG「EverQuest II」の用語?)をするためにFacebookにログインしたとき、
私はフランスの殿堂入りプレイヤーでもあるプレイヤーの代弁者から、「ベルリンでスーツを着よう(Suit Up in Berlin)」グループへの参加招待状が送られてきた。



グループの説明によると:
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ベルリンでスーツを着よう
プロツアー・ベルリン歴代最高のイベントにするために力を貸してくれ!

みんなの知ってる通り、マジックはすごいゲームだ。
しかしながら、プレイヤー達はゲームの素晴らしい印象というのを与えていない。
くそったれなTシャツ、野球帽そしてその他のクールな服装は、長い間プロツアーの至る所で見られてきた。

みんなで、プロツアーに新しい装いを与えようぜ!

全てのプレイヤー、もしくは少なくともプレイヤーの大多数がスーツを着ているのを想像してみてくれ。
ゲームはより厳粛なものとなるし、トーナメントは真のプロフェッショナルなイベントになる。

10月31日、ベルリンの、プロツアー初日、みんなでスーツを着ようぜ!
別にとてもファンシーなスーツである必要はない。きれいなシャツとジャケットでいいのさ。

もしこのアイデアを気に入って、これに参加したいなら、トーナメントにスーツを着よう。
プロツアーでプレイしてるプレイヤーみんなが同じものを着るなんて最高だろ。
観客や、サイドイベントでプレイしようと考えている人でもスーツを着るのは大歓迎さ。
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早速私はプロツアーで正装するという彼の試みに関する5つの疑問についてRaphとチャットした。


1:ベルリンでスーツを着るなんてアイデアどこからきたの?
Raph:殿堂入りのお披露目の時に初めてスーツを着てプレイしたんだ、そしてGPダラスでもう一回着た。トーナメントのためにおめかしするって考えが好きなんだ。
テーブルに座り、ジャケットを脱いだとき、ゲームは突然、厳粛で、そしてプロフェッショナルなものとなる。
プレイヤー達はまるで紳士の様で、もはやキッズには見えない
(トーナメントでスーツを着てる女の子を見たことがないんだけど、プロツアーに出る淑女達は何かナイスな服装に出会えると俺は確信してる。)
スーツを着たプレイヤーってのは常に周りの奴等に一種の畏怖を与えるよね。

2.この運動が完遂することに何を望む?
Raph:ここ最近プロプレイヤーがのけ者にされているような気分だよ。
少なくなるプロツアー、新しいプロプレイヤーカードもない、何もかも減ってる…。
イベントやゲーム自身を改善するべきなのは何故WotCだけなのか?俺たちがほんの少しでも価値をトーナメントに加えることができたなら?
あるイベントにおける良い服装がマジックを子供のするのカードゲームだと思ってる人々の偏見を変えることができるかもしれない。
俺はプロのチェス・プレイヤーが野球帽を被ってる姿なんて見たことがない。
ポーカーは「バッド・ボーイ」のためのものだ、そして彼らがどんな格好をしていようが問題ない。
俺は、マジックには新しい顔が必要だし、手助けできるかもしれないと俺は信じてる。
それにこれって本当にすごいだろ!

3.イベントの日がハロウィンってのは気にならないの?これってインパクトに欠けるんじゃ?もしくはそれによって参加しやすくなるのかね?
Raph:ハロウィンとは気付かなかったよ。ヨーロッパの人にとって、ハロウィンは怪物や幽霊って印象が強い。
ハロウィンとマジックのプレイヤーがスーツを着ることとに関係を作るつもりはなかったし、君が言ったようなこともしかり。
まぁ、問題にならないと思うけどね。

4.スーツ姿を見たとき、どんなプレイヤーが一番の驚きになるかな?驚くべき事なんて無い?
俺がこのプロジェクトについて話したこと、そして彼らの約束を守って彼らがそれを行ってくれるだろうということを人々に期待するね。
そして、ごく僅かなプレイヤー達はスーツを着ないという事実に達するだろうとも思う。
スーツを着ないプレイヤーには2つの理由がある。
1:彼らは着ているのが自分だけになることや「滑稽」に見えることを恐れている−こんなのは問題にならないぜ!
2:自分のスーツを本当に着ることができない。−この場合、安いものを買える場所はたくさんある。
どうせ結婚するだろうし、もうすぐBar Mitzvahがやってくる。だからまたスーツを着る機会はあるんだよ!

5:私はマジックのトーナメントについて質問する機会があるなんて考えもしてなかったんだけど、ベルリンでは誰にスーツ着て欲しい? もっと重要なのは、実際のトーナメントのための準備をするために誰と行動したい?
Raph:まだ何とも言えないね。この行事には沢山の良い名前が連なってるけど…俺はGeoffrey Sironと準備するかな、古き良き時代みたいにね。
よく俺たちは勝ちデッキで終えることができたし、そしてまたそういうことができると俺は信じてるんだ。
  
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2008年10月11日

The Top 50 Nonbasic Lands 25〜1位

原文:The Top 50 Nonbasic Lands
著者:Ben Bleiweiss
翻訳:


50〜26位はこちら。

第25位《隠れ石/Stalking Stones》
(カードを引き、「どうぞ」と言うーこのゲーム戦略にちなんで名付けられた)ドロー・ゴーの名で知られる青単コントロールデッキのパーツの一つ、《隠れ石/Stalking Stones》は青使いにマナ基盤を力強い3/3の地上クリーチャーにずっとすることを最後まで与えてくれる。
他の土地人間と違って、この石は一度起動したら永久にクリーチャーのままだ。
このことによって、たいした問題では無いが、青使いは対抗呪文で手札を満たし、やがてゲームに勝利するだろう。

第24位《Bazaar of Baghdad》
タイプ1プレイヤー達は、ずっとこのカードに首ったけ。
まず、彼らはこのカードと《冥界の影/Nether Shadow》や《灰燼のグール/Ashen Ghoul》とのコンビが大好き。
次に、《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》や《Krovikan Horror》とのコンビが大好き。
最後に、《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》や《堂々巡り/Circular Logic》や《再活性/Reanimate》とのコンビが大好きだ。
墓地から蘇るクリーチャー達の大親友であるバザールは、プレイヤーにいらないカードとともに彼らを簡単に手札から捨てさせてくれる。
ゆくゆくは1ターンに3枚のスクイーを捨て、カードを2枚引くことになるだろう。
「T:カードを2枚引く」と書かれた土地が悪いようには全く見えないよな。

第23位《ヴォルラスの要塞/Volrath's Stronghold》
でかいクリーチャーを戻すことが可能な要塞は、君のサイコーにでかい獣を捕まえて、殴り合いの第2ラウンドに戻してくれる。
黒使いも同様に要塞が長期戦で殴られないようにしてくれると分かっていた。だから墓地のクリーチャーでデッキのトップを絶えずリフレッシュする事ができる。
《スラルの外科医/Thrull Surgeon》や他の生け贄野郎共と一緒に使ったときが最高だな。

第22位《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》
ここ一年間のスタンダードでの必需品、《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》はゲームが長引けば長引くほどパワフルになる。
5ターン目まで貴重品室の投資の見返りは分からないけれども(それ以前だと貴重品室から《沼/Swamps》のみの時よりも多くのマナを得ることはできない)、
ゲーム後半、3枚の土地(2枚の《沼/Swamps》と貴重品室)をタップして9マナ以上生み出したときに貴重品室の本当の力というのは現れる。

第21位《黄塵地帯/Dust Bowl》
土地を破壊する土地は、深刻に扱わなければならない反逆者だ。
《黄塵地帯/Dust Bowl》は君の好きな土地一つと引き替えに相手の特殊地形を破壊させてくれる。
こいつは他の土地殺しな土地と比べてゆっくりであるのにもかかわらず、
ターンが経過する間に、より多才な複数の土地を破壊方法を低速なデッキを扱うプレイヤーに与えてくれる。

第20位《The Tabernacle at Pendrell Vale》
《冬の宝珠/Winter Orb》と一緒にプレイしたとき、《The Tabernacle at Pendrell Vale》は毎ターン打つ《神の怒り/Wrath of God》となる。
しかしながら、非常に邪悪、邪悪なマジック編集者がかつてそのコンボをプレイしたんだ。しかもドラフトでやりやがった!
誰がしたのかって?誰がドラフトで構築レベルのコンボをプレイしたのかって?
誰 が 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 と 《冬の宝珠/Winter Orb》 の コ ン ボ に よ っ て こ の 俺 を 殴 り 倒 し た ん だ ?
俺はあんたが憎いよ、Aaron Forsythe
あんたは俺に一生もんの傷を残したんだ。

第19位《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》
冒険的なマジックプレイヤー達はいつだって、欠点を利点に変える方法を探してきた。
使うたびに手札に戻る土地は使えないように見えるかもしれない、例え5色だせるとしてもーーでも忘れてるかもしれないが、
マナを延ばすことを止めるという点を除けば《宝石鉱山/Gemstone Mine》と《真鍮の都/City of Brass》は同じ事をやってるんだぜ?
しかしながら、《マロー/Maro》、《炎の嵐/Firestorm》そして上で話した《冬の宝珠/Winter Orb》のようなカードと共にプレイしたとき、この土地の強さってのが分かる。
同様に、もし《ハルマゲドン/Armageddon》を打たれることに気付いたなら、こいつは場から土地を戻すことを許してくれる。

第18位《樹上の村/Treetop Village》
青はウルザズ・レガシーが出たことで2/1の空飛ぶ土地人間を得ることができたが、《樹上の村/Treetop Village》は”ハルク・スマッシュ”にデカ物を与えてくれた。
緑使いは、3ターン目にはカウンターできない3/3のトランプル持ちのクリーチャーを得られる。多くのコントロールプレイヤーは、この土地ビヒモスによってあっという間にゲームが終わってしまうのさ。

第17位《リシャーダの港/Rishadan Port》
マナを否定すること、それはこのゲームの本質を表す言葉だ。そしてマジックにおいて土地が無いことは《リシャーダの港/Rishadan Port》と同じくらい人をイライラさせる。
何度もひたすら対戦相手を封じ込める能力を持つこの港は、プレイヤーに2色目のマナを使わせないこと、重要な呪文の一つの色マナを2つ使わせないこと(例えば《神の怒り/Wrath of God》のダブルシンボル)、土地人間を攻撃に参加させないこと、
そして再三再四《真鍮の都/City of Brass》をタップさせること(痛っ、止めてくれよ。うっ、止めてくれよ。)にとても慣れている。
最も良いところは、みんなとその母ちゃんがこれら4つの良いところを無色マナで使えるってこと。
これらは(十分なマナ補助カードのない)マスクス・ブロック構築環境に対してとても有害だから、速攻で禁止にされてしまった。

第16位《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》
緑は次から次へとマナを生み出すゲームをすることで知られ、そして《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》と同じほどマナを生み出せるは他にない。
《錯乱した隠遁者/Deranged Hermit》の大親友である揺籃の地は、緑に早くも2ターン目にはマナを馬鹿げた数まで増大する可能性を与えてくれる ー 1ターン目に《森/Forest》から《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、
そして2ターン目に(エルフと森から)2体のクリーチャーをプレイ後、《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》をプレイ、揺籃の地をタップして3マナ生み出し《沈泥を這うもの/Silt Crawler》。
次のターンには《錯乱した隠遁者/Deranged Hermit》が御登場。次のターンは、アップキープに隠遁者のエコーを払って、《樹上の村/Treetop Village》を起動、そしてまだ焼き付けるための予備のマナがある。
(君が村を複数回起動しないと考えてると仮定してるんだが、もちろん起動してもいいんだぜ)

第15位 アイス・エイジのペインランド
(《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》/《低木林地/Brushland》/《カープルーザンの森/Karplusan Forest》/《硫黄泉/Sulfurous Springs》/《地底の大河/Underground River》)
アイス・エイジが最初に紹介されてから、このオリジナルであるアルファのデュアルランドの後継者達は、第5版以来全てのコアセットに登場している。
基本土地タイプとしてカウントされないのにもかかわらず、友好色2色やダメージ無しで無色マナに簡単に利用させてくれる。
そして彼らと密接に関係しているのは…

第14位 アポカリプスのペインランド
(《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》/《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》/《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》/《シヴの浅瀬/Shivan Reef》/《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》)
アポカリプスのペインランドは敵対色の組み合わせでデザインされたことを除けば、アイス・エイジのペインランドと全く一緒だよ!
世界中のプレイヤー達はこいつらが良いデッキを構築するできる力としっかりとした敵対色のマナベースを与えてくれたとして喜んだ。
かなりの間構築戦で見られたクリエイティブなデッキ構築の大きな噴出を煽った。

第13位《Kjeldoran Outpost》
起動コストの付いた《リスの巣/Squirrel Nest》。
トークンを生成する良いカードが多くなかったとき(《蜂の巣/The Hive》と、あと他は?)、《Kjeldoran Outpost》はすぐさま「カウンターポスト」として知られる青白コントロールの主要カードの一つになった。
これらのデッキは対抗呪文の壁(ビックリするぜ!)と同時に次から次に絶えず出てくる兵士トークンの流れに隠れてジッとしている。
これらの兵士達が簡単に入れ替えできるようになってからは、しかるべき所で打たれる《神の怒り/Wrath of God》はそれほど問題にならなかった。

第12位《Lake of the Dead》
待つ必要のない《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》。《Lake of the Dead》は、あなたに沼を次々と失うたびに極端に多くの数のマナを補給してくれることで、黒の重要なアティチュード「未来の進化を犠牲にして今を得る」を体現している。
(今ではマナ生成の短期間ゲインという戦略は赤に移ったようにみえるけどな)
ヘイトレッドは《Lake of the Dead》以外で《暗黒の儀式/Dark Ritual》に代わる3ターンキルするための燃料となる良いものは決してもたないだろう。
それに《ネクロポーテンス/Necropotence》デッキは、湖経由の《生命吸収/Drain Life》からライフ4を得ることが好きだった。

第11位《Maze of Ith》
ゲームを長引かせる迷路はすぐに制限リストに加えられた(でもその後解除された)。
デッキに4枚の迷路があれば、アタッカーによる追撃が出来るまではクリーチャー戦で殺されることが実質的に不可能になる。
それに《Maze of Ith》は君のイカした奴らをビックリするようなコンバットトリック(《要撃/Waylay》、《巨大化/Giant Growth》)から救ってくれる。

第10位《真鍮の都/City of Brass》
最高の5色製造国、《真鍮の都/City of Brass》が1ターン目に出れば、青、赤、緑、白そして黒のどんな色の1マナ呪文のプレイを可能にさせてくれる。
欠点?それは都がタップ状態になるたびに1点のダメージを喰らってしまうことだ。
他のペインランドと違い、他の原因によってタップ状態になったときも都はダメージを与えてしまう。
《氷の干渉器/Icy Manipulator》や《リシャーダの港/Rishadan Port》のことだな。
第6版のルールになるまでは、この事はプレイヤー達に《Mirror Universe》で対戦相手を殺すことを許可してくれた。
1点のダメージを得るために君のアップキープに《真鍮の都/City of Brass》をタップしたなら、エンドフェイズの前に(0もしくはそれ以下になっている)君のライフを入れ替えるのさ。

第9位《不毛の大地/Wasteland》
元気出てきたwwwwww《不毛の大地/Wasteland》はこのリストの他の土地を破壊できる、以上。
単色デッキに対しては効果がやや薄いが(しかし、このリストの実用的な土地がよく使われてる)、カウンター出来ない土地破壊の力を見くびることは出来ない。

第8位 オンスロートのフェッチランド
(《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》/《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》/《汚染された三角州/Polluted Delta》/《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》/《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》)
ミラージュのフェッチランドを捕まえて速さを与えてやることで、オンスロート版の軽く、1ライフという低、低コストでデッキをシャッフルする素晴らしいマナ補助アイテムが得られた。
思い描いてみろよ、赤バーンのようなデッキは土地を沢山は引きたくない。毎ターン彼らはマナカーブに沿う必要がある。
《岩山のタール坑/Rocky Tar Pit》みたいなカードなんか使ってる暇なんてない ーテンポコストは負けに繋がるのさ。
しかしながら、《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》は彼らは不要なリソース(ゲーム序盤のライフ)と最高に価値のある物事(デッキから土地を間引きすること)とを交換することを許可してくれる。
近頃では、6〜8枚の基本地形と8枚のフェッチランドで回る単色ウィニーも珍しくはない。
オンスロートのフェッチランドは(ミラージュのフェッチと同様に)《森の知恵/Sylvan Library》や《渦まく知識/Brainstorm》とも良い仕事をするし、土地破壊呪文の対象にされて破壊されることもない(レスポンスでサクるだけ)、
そして大抵は、多色デッキの2色(もしくはそれ以上!)目を探してくれるプレイヤーへの天の賜物なのさ。

第7位《Mishra's Workshop》
昔々、このカードが制限カードだった頃。
その当時、DCIは人々が何度も使えるアーティファクトのための《Black Lotus》4枚を核としたデッキを構築できるようにするべきだと決断した。
それからというもの、人々は1、2ターン目に《巨大戦車/Juggernaut》、《Su-Chi》、そして《ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor》をプレイするようになったとさ。めでたしめでたし。

第6位《Thawing Glaciers》
時が経てば《Thawing Glaciers》はゆっくりと君のマナ基盤を構築している。このマナ基盤は、しかしながら、5色すべてを含むことが出来る。
《Thawing Glaciers》は土地を何度もフェッチするために、同じターンに何度も何度もアンタップ状態になる事も出来る。
ーマナ基盤を増やし続けるために《大あわての捜索/Frantic Search》、《転換/Turnabout》そして《時のらせん/Time Spiral》を使ってアンタップ状態を保つことが出来るようになってから、
《High Tide》デッキでは悪用することのできるカードとなった。
土地サーチ能力の起動を何度も行い、氷河が5〜10枚の土地を場に出してくれるお陰でこれらのデッキが3ターンキルで勝つのを見かけることが珍しくなくなった。
悪用しなかったとしても、アライアンスのこのカードと同じ様に着々とカードとマナアドバンテージを得られるカードは多くない。

第5位《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》
元祖そして最高の人間土地。無色で出せる、無色で使える、種族テーマ(他の奴をパンプアップする)、そしてどこでだってプレイヤー達のお気に入り。
《露天鉱床/Strip Mine》(これからやってくるから気にするなよ!)と《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》はよく一緒に出てきて、それはまるで邪悪、そして良い姉妹のようだ。
皆はミシュラを愛したが、露天鉱床は愛さなかった。《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》には(《神の怒り/Wrath of God》のような)クリーチャーに対処する”普通”の手段では影響を与えられないにも関わらず、マジックにおいていつだって最も攻撃の対象になりやすいカードの一つであったという矛盾の塊だった。
《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》はアーティファクト、クリーチャーそして土地破壊呪文でしか破壊することが出来ない。《闇への追放/Dark Banishing》、《粉砕/Shatter》そして《涙の雨/Rain of Tears》は同時にマジックの他のカードにも対処することができた。

第4位《Library of Alexandria》
「T:カードを1枚引く」この能力は、あなたの手札にちょうど7枚のカードがある場合にのみプレイできる、この効果は打ち消されることはない。
注意して欲しい、このリストに載っている多くの土地はパワフルである。だって簡単に場に出せて、対戦相手は彼らが出てくるのを止めることは出来ないからな!
Type1(訳注:現ヴィンテージ)では手札を満たす方法は沢山あるが(《Timetwister》、《時のらせん/Time Spiral》、《Ancestral Recall》などなど)、図書館が利用されないことは滅多になく、ターンが経過するたびにカードを蓄えてばっかり。…次のヤツにいたずらされてないと仮定してだけど…

第3位《露天鉱床/Strip Mine》
《露天鉱床/Strip Mine》は土地破壊版《剣を鍬に/Swords to Plowshares》だ。
今まで印刷された中で明らかに最高の土地破壊呪文。
違いが分からない?こいつはカウンター不可能。0マナ起動。ゲーム内の他の土地を破壊できる。
何で愛でないんだ?

第2位アルファのデュアルランド
(《Badlands》/《Bayou》/《Plateau》/《Savannah》/《Scrubland》/《Taiga》/《Tropical Island》/《Tundra》/《Underground Sea》/《Volcanic Island》)
君がマジック全体における10枚の最高のデッキ構築ツールについて検討するとき、このリストの2枚のカードに行き着くだろう。
これら10枚のアルファのデュアルランド以上に、人々がデッキに入れてプレイしたがらせるカードは他にないね。
(著者注:《Volcanic Island》は誤って印刷シートから削除されたために、ベータが出るまで印刷されなかった。俺はアルファの《Volcanic Island》は存在しないと確信してる。 存在すると言われていたなら、俺を信じてこのサイクルの部分を話しなよ。以上!)
彼らは痛くない。彼らは、ミラージュやオンスロートのフェッチランド、《土地譲渡/Land Grant》そして《税収/Tithe》でフェッチすることが出来る。
マナに関する数々の問題について過度に心配する必要なく多色でプレイすることを許可してくれる。
彼らは基本地形よりも絶対に良い ー 欠点無しで2色のマナを供給してくれるんだぜ!
最初期のエクステンデッドのローテーションでは特別な例外として使用できてたってこと、それがどれだけ人気で欠くことのできないものであるかの証拠だね。

第1位《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
しかしながら、最高のデッキ構築ツールであることは、1ターン目にゲームに勝つためにタップすることが出来る土地であることである。
人は訪ねる、「ウィザーズが今まで印刷してきたカードの中で最大の過ちは?」と。
そして俺は同じようにこの土地をそのリストのナンバー1にするだろう。
《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》はプレイヤーに、自分がコントロールするアーティファクト1つにつき、マナ・プールに青マナを加えることを許可してくれる。
これには《魔力の櫃/Mana Vault》、《通電式キー/Voltaic Key》、《厳かなモノリス/Grim Monolith》、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》、
《水蓮の花びら/Lotus Petal》、モックス5枚、《Black Lotus》、《Mana Crypt》そしてその他のマナ生成カードも含まれる。
ここにある問題に気付くか?すべてのフォーマットにおいて《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》デッキは、いつも《天才のひらめき/Stroke of Genius》、《精神力/Mind Over Matter》、《意外な授かり物/Windfall》そして《時のらせん/Time Spiral》を使って、1、2ターンキルを作り出すことで悪用されていた。
相手にしても楽しくないし(もっとも2ターン目に「楽しいな!」って冗談言わなければの話だが)、自分で回しても楽しくないデッキで埋もれたコンボの冬を煽った《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》ほど人々がマジックのゲームを終わらせるのに功績したカードなんてない。
ありがたいことに、ウルザブロック構築、スタンダード、エクステンデッドそしてタイプ1.5(訳注:現レガシー)で禁止になり、タイプ1では制限(制限ってのはほぼ禁止ってことだ)となり、それは終わってしまった。
そして《天秤/Balance》、《精神錯乱/Mind Twist》そして《Ancestral Recall》が使えるフォーマットでほぼ禁止状態にあるカードってのは確かにベスト特殊地形リストのナンバー1に値するよな。
  
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