2015年05月

2015年05月24日

幻想キャンプ

アコースティックな弦の音が

朝もやの霧に乗って

山あいの湖畔にひろがり



DSC_1057




僕は心底から深呼吸をし

椅子に座りながら

目の前に寄せるさざ波を

ずっとみつめていた



前夜は満月



木々の間からこぼれるように

覗き込むような光りを放ち

僕らの話に聞き入っていたようだが

その中身のなさに

呆れただろうか



そんな時間が珠玉で

晩夏の水を撫でる風は

テーブルあたりの熱気を程よく冷やしてくれた




DSC_0992




その夜は簡易ベッドにもかかわらず

とてもよく眠れたのだ





あんな悲劇から半年余り


何をできるものでなく

何をしたら良いのかもみえないまま

不安な日々が続き

耐えられない話をいくつも聞き


こたえもみつからず

先の見えないまま

それでも日々は続いていた



そこそこ日常を取り戻しても

時折ヒリヒリとする何かが

僕を周りを取り巻いていて

それは耐えられない毎日だったように思う




対岸の霧が

やがて一塊の雲のように

ふわっと流れてゆく



視界はすっと遠くまで見渡せるようになり



腹に光を受けた山体は

赤々と輝いて

大きな空のもと



堂々と浮かび上がるのだった



DSC_1027




根気

コツコツと…

それが生きてゆくということ




勇気

これからの時代に欠かせない

これまで以上に必要なこと




希望

生きてゆく糧であることに

改めて気づかされる




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湖畔にはもう

アコースティックな弦の音は

消えていた




僕は

ありきたりなことばのフレーズを

今更ながらかみしめた




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sigeru10161 at 00:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 

2015年05月17日

一枚の絵



遠くにポカンと浮かぶ雲を

思いつきでふたつほど描き

手前の海岸線に人影をひとり



白い砂浜が広がり

その向こうの青い海を描くため

水平線をペンで引く


空もやはり青がいい


青い海と空


水平線を境に

上と下の絵ノ具の色に迷い

どこまでも似た色のような気がしたので

同じ色を選んで筆を運ぶと

海は主張し空も主張するので

僕は次第に水平線をあきらめて

思うがままに描く



できあがった絵は

人影に雲がふたつポカンと

後は一面の青い世界に仕上がった


遠近法も何もない描き方だったので

不思議な青い絵ができあがっただけで

一見とても下手なつまらない絵だった


思えば

僕は海も空も大好きなモチーフなので

どちらも同等に考え

想い

同じ素敵なカラーを選んだに過ぎない


海も空も

僕のなかでは同じように青く

それは命のように尊い青だった


そこに嘘はなく

人影は僕で

雲は過ぎ去った僕の想い出


そう言いたかっただけなのだ





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sigeru10161 at 16:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 

2015年05月13日

断酒とチョコレート


アルコール類をやめて、なんだかんだ10年以上になる。

最近は、なめる程度だが、

再びアルコールに興味をもつようになった。

不思議なのは、舌が酒の味を覚えているということ。

顕著なのは日本酒で、ひとくちで「あぁ、この味ね」と、

飲んでいた頃のことまで思い出せる。


アルコールをやめた訳は面倒なので割愛するが、

アル中になったとか飲酒運転で捕まったとか、

そんな物騒な理由ではない。


以来、飲み屋へでかけることも激減し、

ヤバイ場所へも行かなくなった。


付き合い程度だけとなったが、

そうした席でも、ノンアルコールの飲み物しか飲めなくなってしまった。

相手に飲めない、というとまず返ってくる言葉が

「ウソだろ!」だ。

が、本当に飲めない、飲みたくないのだから、

仕方がない。


酒は飲んでいないとメッキリ弱くなるものらしい。

一時は蔵元まで酒を買いに行ったりしていたのだから、

いま思えば不思議だ。


で、アルコールをやめると、

なぜか甘いものに手を出すようになる。

若い頃から甘いものは一切口にしなかった質なのだが、

アイスクリーム、チョコレート、ケーキなど、

節操なく食すようになった。


甘いものは、よく健康を害すと言われている。

そしてよく太る。

これは間違いない。


いまだチョコレートが切らせない私は、

太るだけでなく、

いい年をして、虫歯の治療に通うようになった。


結果、現在の私は、

チョコにやたら詳しい人間である。


当初は森永とか明治、ロッテの安いものばかり摂取していたが、

あるときから、これらのチョコはカカオの含有量が少ないことが、

カラダで分かるようになった。

同時に香料とか混ぜ物が気になってきた。


こうなると、高級品に手を出すようになる。

先のメーカーの上級品、ロイズ、ハワイ産、

スイスのチョコレート、

果てはベルギーのものまで取り寄せ、

いろいろ食い散らかしてみた。


結局、現在では味も価格的にもほどほどのものだが、

そろそろやめようと思っている。


酒代は浮いたが、チョコの代償は高く付く。

歯医者の治療費、

そして、痩せなきゃという強迫観念。

が、おいしいので、やめられない止まらない!


脳が疲れると、どうしても甘いものを欲す。

冷蔵庫を開け、摂取してしまうのだ。

血糖値も急に上がるので、健康上も良くない。


ターミネーターは強くそして再び蘇るが、

私は現在、チョコレーターである。

チョコレーターは、不健康に太るだけである。

蘇りはしないし。


そこで全然甘くないチョコに挑戦したが、

これがまずいんだなぁ。

ほとほと参った。


いま、再びアルコールに戻ろうか、

真剣に検討している最中である。

チョコレーターを続ける代償が、

余りに重いんでね。



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sigeru10161 at 15:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)エッセイ 

2015年05月04日

飯リテラシーを上げろ!



いきなりリテラシーなんていうと、

IT系とか情報に関するアレコレを思い浮かべるが、

ちょっと趣が違う。


飯である。


リテラシーという語は、

最近になって頻繁に使われてる。

元々は識字とかそんな意味だったようだが、

ジャパニーズイングリッシュにより、

「何らかの表現されたものを適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現する」

という意味に使われている言葉である。(ウィキペディアより)


で、飯をつくるというテクニックも、

リテラシーという括りで捉えてみた。


この飯をなんとかするリテラシーが、

かなり低い私に、

先日、奥さんがこんなことを言った。


「私に何かあったら、

あなた食べるもの、何かつくれる?」

「ううん、駄目かな…」

「でしょ!、

少しつくる習慣をつけた方がいいわよ」


納得!


思えば、最近の自分は何もつくれない。

ウチの息子は、スパゲッティーくらい茹でている。

いや、中華鍋を振っている、という噂もある。


私はというと、即席ラーメンはつくれるが、

スパゲティの茹で方はおぼつかない。

茹で時間とか量がよく分からないのだ。



こんな私でも、

料理人をめざしていた時期があった。


小さな店の厨房に入り、

材料の買い出しから仕込み、

簡単な調理などもこなし、

店を仕切っていた時期もあったのだ。


思い出したが、

あの頃は魚も三枚に卸せたし、

イカもキレイにこわせたのだが…


そういえば、

私は調理師の免許を持っていたのた。



あれから、ん十年、
(きみまろ風に)

私の飯リテラシーは極度に衰えていた。



つい数年前まではやたらに早起きだったので、

せっせと凝った味噌汁ばかりつくっていた時期もあったが、

現在はなんというか、

起きてダランとしているだけ。



キャンプなどへ行っても、

私のアウトドア仲間は調理意欲が極度に低いので、

行きがけのコンビニで、

おにぎりやフライドチキンなどを買い込んで済ましてしまう。


しかし、焚き火とか火起こしリテラシーは高いのだがね。



思えば、料理はクリエィティブな作業である。

冷蔵庫をおもむろに開け、

すばやく目配りをして素材をチェックし、

瞬時にメニューを考える、という早業が要求されるのだ。


私はそもそも冷蔵庫とかに興味がないので、

あまり開けない。

用があって開けることはあるが、

何が入っていたのか、ほぼ覚えていない。


冷凍庫に至っては、

冷気の中に固まっているものに、

そもそも興味も出ない。

よってどこに何があるのか、

まずそのことがよく分からないのだ。


アタマに叩き込んであるのは、

床下収納庫に即席ラーメンとカップラーメンがあるということ。

あとは、ストッカーにレトルトカレーが時たまある。

必要時のみこれらを眺める訳。


しかし、いまどきの男たるもの、

これではイケナイ。

己に強い反省を促してる次第。


できれば、タケノコの酢味噌和えとか、

海の幸の三杯酢のひたしとか、

パルマ産ハムと本場フランスから取り寄せたトリュフをあしらったサラダとか、

手づくりの地中海ヨーグルトをまぶした国産第5等級の仔牛ステーキ、

こんな料理づくりをめざしたい。

切磋琢磨、精進しよう。


そのため、

まずは白米を炊くことからと思いついたが、

炊飯器の使い方さえ分からない己に、

改めて気づいた次第。


我ながら唖然とするね。



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sigeru10161 at 10:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)エッセイ 
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