2005年08月10日

「亡国のイージス」観賞。

『亡国のイージス』公式サイト(いきなり予告編始まるし)

今年上映ラッシュの福井晴敏原作フィーバーの大トリ作品。
今年の3作では一番まともそうなので観に行きました。
監督は『どついたるねん』『顔』の阪本順治。

先週、MOVIX本牧の''火曜メンズデー"(男子1000円)に観賞。
#やはり館内は男ばかり。

 モーニング誌上で連載中の漫画版のみしかまだ触れておらずその途中経過のみ解しているオイラではあるけれども、途上にある膨大な伏線、人間関係の描写を映画は簡潔に上手く纏めてあって感心。それにちょっとした矛盾に思える疑問は良く考えるとまあ、理解出来ると言う感じ。
 アクションシーンはボディコンタクトシーンに限り、コレまた意外と言うか、殺陣のキレはなかなか。カメラワークが多少くどくても良かったかも。銃殺陣はまあ、普通。相変わらず貧乏国工作員風情がMP5Kなんて高価なマシンガン持っているのはどうかと思うけどな。それにベレッタもそこそこ高いし。
 この映画唯一の艦隊戦となるミサイル攻撃シーンなど迫力はそこそこあるものの、あれだけだとかなり想像力や知識が必要かもしれない。もうちょっと盛り上がっても良かったかな?そういやファランクスは発砲せず。残念。

 役者さん達では護衛艦「いそかぜ」先任伍長仙石役の真田広之さんはなかなかというか、副長役の寺尾聰に次いでこの映画では台詞回しが一番上手。ちょいと太めに変化した容姿は艦内での世話女房役として貫録があり、繰り出す台詞に全く違和感なし。「宇宙からのメッセージ」の頃、じゃあなくて『たそがれ清兵衛』からのどーんとした盤石っぷりなのだ。

以下激しくネタバレ




 途中から『いそかぜ』艦内に演習観測部隊として乗り込んでくる溝口役(つーか、テレビCMでキタの工作員:ホ・ヨンファってのが思いっきりネタバレしてるがな)の中井貴一さんも無表情で不気味で宜しい。丁寧語は時折オネエ言葉に聞こえなくは無かったが(結婚するまでウワサがウワサだっただけにねぇ(爆)って、真田さんもだよ・・・あとは世界陸上の第二ボタン外し男ね)、もっと気持ち悪くても良かったかも。横浜スタジアムのシーンはまんまプライベートな中井貴一(もしくはミキプルーン)そのものにしかみえず、思わず吹き出してしまった。あんなに垢抜けてオサレな工作員ってのだと見ていてちょっと引くぞ。
 件の副長役の寺尾聰だが、どうみても『半落ち』のアノヒトにしか見えないのは問題ある気がしないでもない。まあ、キライじゃないから許す。石原軍団だしな。
 で、この映画で一番の謎の存在、如月行(きさらぎこう)役の若いにーちゃん、勝地涼、台詞やら演技は結構イケたけれども、一番の問題はその容姿。劇中回想で語られる悲惨な生い立ちとか漫画版では既に登場した過酷な訓練とかをくぐり抜けてきた様にはちょいと見えなかった、それに絵が上手いという繊細な感性もあまり滲み出てるとは思えなかったしな。それも策略と言われればまあ、そうなのかもしれないが。この人の辿る最期がちょっっっとあっけないのが非常に残念。もうちょっと活躍を見たかった。それ以上に仙石との心の交流を描いて欲しかった(「良く確認してから撃て」のシーンにはやたらと時間使い過ぎであったが)。
 一切言葉を発しない韓国の女優さん演ずるキタの女性工作員は果たして必要であったかな?順当に考えれば(というか原作では)ホの妹なんだが、この映画に登場させる分にはあまりリアリティーのあるキャラとは言えないかも知れん。まあ、唯一の女衆ということなんだろうけども。ロシアのスキッチェンオートが邦画で出たのは他には『イノセンス』ぐらいかも。アクションは良くこなしてて感心。
 同じくアクションだけはクネクネ気味悪くて素晴らしかったキタの工作員役の安藤政信だが、台詞がヘタすぎ。なんと『キッズリターン』の頃に戻ってる。キタの工作員で拙い日本語ということにしてはヒド過ぎで、ホ・ヨンファの補足で喋るシーンに映画館がドン引き状態で空気が凍ったよ。反乱側の吉田栄作とか長身キャリア組の面々はいかにもエリートらしさ漂う感じで中々頑張ってました。
 佐藤浩市はどんな役でも佐藤浩市・・・・・だけど上手いよね。首相役の原田さんも同じく。で、佐藤浩市の補佐でPCに向かって叫んでる脇役のお兄さんが結構印象に残ったが、この役は女性でも良かったんじゃないか?
 それと、なぜか真木蔵人が出てくるのだけど、どう考えてもその出演理由が"英語が喋れるから"以外に思いつかず。実際そのシーンで唯一オイラだけ「あー!そーか、そーか!」と吹き出してしまったよ。

 ストーリーは、今回の「グソー」と呼ばれる強烈な化学兵器の強奪事件そのものがどうやって成されたかとか、なぜ潜入するのが如月行ひとりだけなんだ?という基本的な疑問などはあるものの、叛乱者と首謀者の事件動機はちょいとありがちで、日本の専守防衛の矛盾(おお盾だ)と日本の現状に憤る、という自衛官の姿はちょっとありえないだろう、というか観ていて引くかもしれん。映画の描写だと一般論的なダメで怠惰な日本世相を守る価値があるのかと言うことにのみ憤ってる様にしか見えんので。誰もが持ってる憤慨感と自身の息子の変死という私怨のみで都民1000万人を人質にするという行動はちょっと行き過ぎ。それ以前に軍人がそーゆー事考えたらイカンだろ、普通は。だったら次期衆院選にでも立候補するのがスジだ。ちょっと先の大戦を思わせる幹部の暴走の表現に試写を観た海自の幹部が怒るのも無理は無いかも。
 んで、主犯ホ・ヨンファの動機は何かと言うと、なんと今回の「いそかぜ」強奪事件をもって自分の故郷を国連の報復空爆により崩壊させるという究極の目的は結構ユニークに映ったけど、なんか自作自演的な行動はちょっとというかかなりエヴァっぽい。これまた極端な愛国者ではあるがコッチの方が結構悲壮ではあるけど。その思いは結局叶わずちょっと可哀想だ。

 終盤、グソーを巡る仙石とヨンファの戦いの盛り上げ方が少し下手だったかも。シーンがこぢんまりとして、カメラワークも単調、編集もテンポの悪い箇所が多々あったのがイタイ。で、落としたグソーのナイスキャッチぶりには悲壮とか言う以前に爆笑してしまったが。そして最期、あの程度の行動(銃で撃つトコ)でプラスチック爆弾全てが起爆するとは到底思えないのだがそれはさておき、もうちょっとカネかけて欲しかったよ、あのラスト。実物大模型とは言わずとも、アレをCGのみで表現しようとしたのは間違いじゃないかね。せっかくのシーンがCGの拙さによって台無し。妥協だけはして欲しくなかったな。

 と、幾つか(も)文句を言いましたけど、大作感も充分あったこともあり、全体的な満足度は結構高め。映画館で観ても損は無いと言えます(オイラは1000円で観ましたが)。日本でも面白い脚本があって、努力すればこれだけのものが出来るんだと。

sigkob_x1138 at 03:02│Comments(0)TrackBack(1)clip!エンタメ 

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1. 映画「亡国のイージス」が公開!早速、観てきました。 2005-07-31  [ ブツヨク人 〜 ブツヨクノススメ 〜 ]   2005年08月11日 23:34
待ちに待った映画「亡国のイージス」が公開となりました。 早速、観てきました。 公開初日に映画を観たのは初めてのこと!! 監督:阪本順治 出演:真田広之 / 寺尾聰 / 佐藤浩市 / 中井貴一 他 原作:福井晴敏 <映画の感想の前に> 隣のおじさん!うちわを扇ぐ

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