最近買った本というか雑誌というかムックというか…の、ご紹介です。

『俺の旅スペシャル 全国人気フーゾクDX』(ミリオン出版、2009/8/5発行)

この手のムックを買ったのは、すっごい久々です。なので、なんか新鮮というか、懐かしいというか(どっちやねん)。

巻頭カラーで「大阪5大新地」の特集が。お店や女の子の盗撮写真が載ってるのには、ちょっと複雑な気分ですけどね。こういったお店では、当局との話し合いで、広告などを自粛する、客引きをしない、といった「紳士協定」を交わして、大目に見てもらっているのです。目立つ形で「宣伝」されることを、お店サイドは決して望んでいないのです。ましてや、盗撮なんてね。

それはそうと、このムックでは「西川口のその後」を大きく取り上げています。僕は関西人なので土地勘が無いんですが、関東の風俗ファンには、かなりショックだったのかもしれません。関西で言えば、T田やM島が潰されるような感じですかね。

このムックの記事を取り上げる前に、まず「往時の西川口」について、調べてみましょう。栗本ピーチ 『西川口流 現役風俗嬢が明かす 風俗"得"する遊び方』(ゴマブックス、2000)から。

 いま西川口にはどのくらい風俗のお店があるんでしょう。今日も新店がオープンしていましたが、ますます盛んになるようです。先日、とある週刊誌で西川口の特集をしたら、編集部に「いやあ、ききしにまさるところだった」と、感謝の電話がバンバンはいったとききました。
 でも、そういう反応があるのは当然なんです。はっきりいって、いま一万円で、フルコースの(秘)過激サービス受けられるところは他にはないんじゃないでしょうか。
 時間は三○分と短いけど、それは安いんだから仕方ありません。一万円のうち二千円が写真指名料。この二千円は女の子にはいってきます。
 お客さんからきいた話ですが、いまのソープで一番安いところで一万五千円くらいだけど、そういうお店は部屋も汚くて、遊んだ気分にならないって。西川口はできたての店も多いから部屋はきれいです。
 ピーチのいる個室サロンは、八畳くらいの広さがあって天井も高い。畳敷きでそこに行灯があったり、ちゃぶ台があったり、雰囲気も出しています。そこでピーチがお客さんをおむかえするスタイルです。着ているものといってもちょっと羽織るだけのものなんですけどね。
 ただ困るのは、となりの部屋との壁の上のほうが開いているんです。なかにはヘンなお客さんもいるので、何をしているか声が聞こえるように、ということですが、ピーチは感じてしまうと声が出てしまうので、これはちょっと恥ずかしいの。
 で、畳の部屋には座布団が三つ置いてある。必要になったらばこれを三つつなげるってわけ。もっともお店の中には、もう最初から真っ赤な布団を敷いてあるところもあるらしいの。
 いまこういう個室割烹タイプが主流らしいけど、伝統的なオープン・ソファタイプも健在だって。

こういう感じで、一般的なピンサロとも、ちょっと違うようですね。いわゆる「ちょんの間」に近い雰囲気もあったのでしょうか。ソープとは一味違う、この雑然とした雰囲気に、居心地の良さを感じる人も多いのでしょうな。

大阪の新地は、赤線のころから営業しているので、地元の警察署も大目に見てくれているところがあります。けれど西川口は、新興の風俗街ですよね。なぜ、大っぴらに営業できたのでしょうか。そのあたりの事情を、『ミリオンムック 遊びの達人シリーズ9 日本全国裏風俗体験ルポ』(大洋図書、2003)が取り上げています。

「あまり大きな声で言えない西川口の真実 違法なのに摘発されない理由とは!」

 なぜ、西川口ではこうも多くの本番風俗店が営業できるのだろうか? 駅前で昼間から客引きがたむろする様は裏風俗とは思えないくらいのオープンさだ。摘発や取り締まりも年に数回しかなく、厳しい制裁が下されたという話は聞いたことがない。
「この街は他に産業がないから。もともと風俗が少なかったこの街にソープをわざわざ誘致したのも昔の市長。それによって金を落としてもらおうってことで本サロとかも大目に見られてるんだよ。隣の蕨なんかと違って、もともと住宅街ってわけでもないから風紀が乱れるって問題にする住民もいないしね。駅前の飲食店も風俗の従業員や遊びにきたお客さんでもってる。宝石店の客なんて、それこそ風俗嬢だけだと思うよ」
 そう語るのは西川口の地回りをしていたH氏。現在も風俗業者との親交も深い人物だ。さらに聞きこむと、数年前の風俗店ビッグバンについてもあるヒントを。
「結局、取り締まる側のトップによって変わってくる。確か3年前にとある官公庁の人事異動があったんだよ。風俗が急に増えはじめたのもそれから。これ以上は勘弁してよ」
 街と風俗業者の甘い蜜月関係にあるといわれる西川口。利用する側としては、その状況が続くことを祈りたい。

…が、この記者の祈りにも関わらず、蜜月関係は続きませんでした(泣)。当局が態度を180度変えて、一斉摘発に踏み切ったのが、2005年ごろだったようです。

『CIRCUS [月刊サーカス] 2005年5月号』(KKベストセラーズ)で、石原慎太郎の歌舞伎町浄化作戦をはじめ、全国的に摘発が強化されている状況を取り上げています。その中で、西川口についても、こんな記述が。

西川口 首都圏最後の性地も絶滅の危機!

 埼玉県内の重要犯罪認知件数が全国ワースト3になったことから、県警のターゲットに。風俗店側も捜査員との想定問答集を作成するなど防衛策に必死だが、西川口流も風前のともしびだ。

うーん、重要犯罪認知件数ですか…。それって風俗のせいか?と突っ込みたくなるけどね。でも、当局の言い分も、わからなくはないんですよ。風俗街には、色んな人間が集まってきます。色んな怪しい人間が(笑)。よからぬ人間にとって、風俗街は居心地がいいんですね。だから結果的に、治安が悪くなるという面も、否定はできません。その辺が難しいところです。

摘発の「成果」について、埼玉県警では、

【広報資料】 繁華街・歓楽街総合対策の3年間の推進状況(埼玉県警)

「西川口地区〜違法性風俗店約200店(平成16年)⇒徹底した取締り等により壊滅(平成19年末・・・0店)」と豪語しています。(^^;

「平成17年から平成20年で刑法犯総認知件数 123件減少(約12.7%減少)」といった数字もあげていますね。

さて、冒頭で紹介した 『俺の旅スペシャル 全国人気フーゾクDX』(ミリオン出版、2009/8/5発行) に戻って、現在の「壊滅した」西川口の様子を見てみましょう。

ブラボー川上の 「秋の絶品本サロ探訪」

 西川口が摘発で壊滅状態になって早や3年。そこで現在どんな状況なのか調査してみた。
 まず、西川口に来てビックリしたのは多くの店が消滅していた点。特にメイン風俗地帯だった、西口ソープ街への通りや東口は完全に壊滅。風俗案内所や多くの店が取り壊していたのには唖然とした。
 それでも探せば多少はまだ営業している店も10軒ほど西口に発見。どの店も駅からかなり離れた目立たない場所でひっそり営業していた。
 また、よく観察してみると、つぶれたような看板のない店の前で何人かの男がウロついており、ときたま客と覚しきオヤジを店内に入れていた。その一人のオッサンに尋ねると、一時は案内所を使用してのデリヘル営業して乗り切ろうとしたが、それも摘発され、今はこんなもぐり営業をしてるとか。

なるほど、埼玉県警HPでは「壊滅」「0店」と豪語していましたが、こっそり営業しているお店が数軒あったんですね(笑)。

この記事中に「デリヘル営業して乗り切ろうとしたが、それも摘発され」という記述がありましたが、別の記事に、デリ系に姿を変えて生き延びているお店のルポが。

田沢健二 「ネオンの灯りが消えた西川口のNK流店に潜入!」

 数年前まではケバケバしいネオンの灯りを駅のホームからも見ることができたが、今はその面影すらない。元々案内所のあった場所も、飲食店や空きテナントになっている。客引きはチラホラといるがどんな遊びが残っているのだろうか。この街の全盛期を知る客引きのA氏に街を案内してもらった。
「昔は200軒くらいあったけど、今は20軒くらい。店舗型で残っているのは3軒だけ。でも、どこもまだNK流サービスやってるよ。昔は一番街がメインだったけど、今は駅前通りを挟んで反対側のエリアの方が評判はいいね」
 しかし、ぱっと見渡しても風俗店らしきものはないのだが……。
「今はどこもレンタルルームか、マンションに潜り込んでいる。風俗店を入居させたら免許剥奪の厳しい処分だけど、ここは風俗で栄えてきた街だからね。貸し手が見つからないから風俗店に黙って貸している不動産屋も多いよ」
 その言葉通り、A氏にオススメ店として連れられてきたのは、一般の人も住んでいる、ごくごく普通のマンションだ。ワンルームの部屋に通されると、そこが受付所になっている。パネル写真を見せてもらったのだが、なかなかレベルは高い。40分コース13000円を払うと、店員と共に徒歩数分の、これまた一般人も住んでいるだろう、ごくごく普通のマンションに案内された。指定された部屋番号のインターフォンを押すと、なかから指名したIちゃんが出てくる。パネル写真の3割減といったレベルだが、店員が強調したFカップという言葉にウソはない。そして特筆すべきは、ワンルームマンションの一室であり、部屋にはお人形などの私物が置かれていて、まるで彼女の部屋に行ったような気分になるのだ。西川口で5年も働いているIちゃんは「店舗型のプレイルームは素っ気ないけど、ここなら普通の部屋と同じだから、恋人気分で来る人が多いよ」と話していた。確かにこれまでのNK流にはなかった、甘酸っぱい感覚がそこにある。肝心のプレイだが、NK流、未だ壊滅せずといったところか。

うん、僕も個人的には、こういうマンション経営のお店のほうが、恋人気分になれるから好きです(笑)。けど、かつての「西川口流」のイメージとは全く違いますね。あくまでも本サロの雰囲気にこだわる人は、今、どうしてるんでしょうか。それを探った座談会も載っています。

緊急座談会:全国のフーゾク通が徹底討論「ポスト西川口はココだ!」

鈴木 ところで西川口で働いてたコって、今はどこにいるの?
ポン 地元の客引きに聞くと、お隣の赤羽の本サロや、草加・越谷の本○ヘルスに移ったみたいだね。中には池袋のホテルヘルスで逆本○強要して、うまく稼いでいるコもいるけど。宇都宮・西川口と並ぶ北関東3大本サロ街の一つである太田も壊滅して、そこからも東部伊勢崎線沿いに女のコが流れてきているから、草加・越谷の本ヘルは全体的にレベルが上がってるし、とにかく若い!
鈴木 だったら草加・越谷がポスト西川口ってこと?
ポン う〜ん、確かに予算も1万で遊べるからね。だけど北関東エリアのポスト西川口を一つ挙げろと言われれば……小山かな。
本丸 本サロエリアがあるの?
ポン うん。エリアってほどの数じゃないけど、とにかく女のコの質が高い。地元の人の話では、宇都宮の人も色アソビするときは小山に来るっていうよ。1万円出せば、お釣りがくるし、シャワー導入率が高いのも嬉しいところ!

…だそうです。僕は土地勘が無いので、チンプンカンプンですけど(笑)。でもみんな、たくましく生き延びてるんだなあ、と思いました。

それにしても、店舗型はどんどん摘発されて、消えていきますね。このままだと、いずれ近い将来、日本から店舗型の風俗店は無くなってしまうのだろうか? デリ系と出合い系ばっかりになっていくんだろうか? それとも、何らかの形で店舗型が復活する日が来るんだろうか?

202X年、7の月。横須賀の在日米軍基地に向けて北朝鮮が放った核ミサイルは、目標を大きく逸れ、横浜の市街地を壊滅させた。数年後、死の灰が降り積もる廃墟の街は、いつしか不良外国人たちに占拠され、警察官すら立ち入れない無法地帯と化していった。瓦礫の山の間には粗末なバラック小屋が立ち並び、様々な肌の色の娼婦たちが客を引いている。しなを作り腰を振って歩く女。艶っぽい歌を聞かせる女。男たちの手拍子に合わせて妖艶な舞を舞い、一枚ずつ衣を脱ぎ捨ててゆく女。そこは命の危険と引き換えに、あらゆる快楽が手に入る地上の楽園だった。

…などと妄想して楽しんでいる今日このごろです(笑)。



ところで、こういう裏風俗モノのムックって、ほんとは、風俗に行かない人にこそ読んでほしいんですよ。フェミニズムおばさんとか、保守おやじとか、規制を求める側の人たちにね。

というのは、「本番をしている店って、ソープだけじゃないの?」とかね、そういうレベルの知識で発言されても困るわけですよ。もっと全体像を見てもらわないとね。皆さんが表風俗を取り締まった結果、男も女も、裏風俗に流れていく。裏風俗を取り締まると、みんな出合い系とかに流れていく。そういった全体像を見たうえで、規制のあり方を考えてもらいたいです。

何も実態を知らないで、たまたま目に付いたものを「悪質だ!」と決め付けるのは、やめてもらいたい。…心からのお願いです(笑)。