sigoto_design_labのブログ

ワッツコンサルティング株式会社代表高橋寛美による、いい仕事をしたい人へのメッセージ。経営コンサルティング、マーケティングのフィールドで培ってきた方法論や仕事の進め方に関わる指針、脳力開発の指針などについてとりあげて行きたいと思います。 Copyright © 2011 Wat's Consulting Inc. All rights reserved.

2023年4月 どんな環境にあっても野球を求め続けた少年は・・・今。

今月の一言



『脳力開発入門 −基礎編−』(著作 城野経済研究所 発行 脳力開発センター)



代表・高橋の一言

去る3月22日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では「侍ジャパン」がアメリカ代表に3―2で勝利し、3大会ぶり3度目の優勝を果たしました。「侍ジャパン」は、どの選手も自分の役割をわきまえて仕事に徹する素晴らしいチームであったと思います。中でも、MVPに選ばれた大谷翔平選手の働きには感動しました。特に準決勝のメキシコ戦で2点リードされたまま迎えた9回裏、打席に入った大谷選手の行動が印象に残っています。大谷選手は、気迫の2塁打を放つと、「後に続け」とばかりに味方を鼓舞。重苦しい雰囲気を一掃して、後続の村上選手の起死回生となるサヨナラ打を引き寄せました。

今月の一言は、「脳力開発」から引用させていただきました。その習慣づくりの大事な指針に「主体性」の確立があります。大谷選手は最高のお手本のように見えます。反対に、自分ではなく、他人や周囲の条件に原因(原動力)を求める傾向性を「人頼りの姿勢」と言います。

優勝を決めた直後、大谷選手がアメリカメディア(FOX Sports)のインタビューに応じた映像が話題を呼びました。大谷選手も尊敬する元メジャーリーガーのデービッド・オルティス氏が放った質問、「翔平。真剣な質問だけど・・・どこの惑星から来たの?」に周囲は大爆笑しました。しかし、大谷選手は真面目に「僕は、日本の田舎というか、あまりチームもないところで野球をやっていた」と。「(それでも)頑張ればこういうところでできると日本の人たちにもわかってもらえたのは良かった」と答えました。そこに、自分の生まれた環境のせいにすることなく、野球を求め続けた少年大谷翔平の姿を想像しました。

 

女性活躍が成功した背景に、社長が担保した職場の心理的安全性

最近のこと、女性活躍の取り組みで素晴らしい成果を上げた、あるねじ製造会社社長をお招きし、講演会を持ちました。聴講した人達は、少子高齢化時代の人材採用や活躍に関心を持つ同業の経営者や人事担当の方々です。

この講師の社長の会社は、現在、女性従業員比率は5割を超えています。ねじ製造技能員としてキャリアを積む女性も着実に増えています。最近では、就職先として、女性が活躍する会社、女性が活躍できる会社という世間のブランド認知を獲得したように見えます。実際に営業部員として活躍する女性に入社の経緯をうかがうと、女性として働き続けることができるかどうか、ホームページやネットの情報を調べ、「この会社ならそれが出来そうだ」と判断し応募したそうです。

お話は、これまで女性が活躍できるように、どのような環境をつくってこられたか、女性が職場に入ってどのような変化が起こったか、どのような経営上の成果となったか、今後の課題や展望はどのようなものかうかがった次第です。

女性が活躍できる条件作りでは、まず女性目線に立って重筋作業や危険作業をなくしました。その結果、社員の肉体的・精神的負担が低下し、男性の高齢者が働き続けることも可能になりました。産休や育休をとりやすくするためのジョブローテーションも、社員が有休をとりやすくなることがわかると、積極的に推進してもらえるようになったということです。何事も新しいことを始めると抵抗があるのは世の常です。女性活躍の条件づくりは、男性社員の利益にも適うと認識されて味方を増やすことができました。このブログの「脳力開発」でいうところの「お互いによし」が組み込まれた戦略がありました。ジョブローテーションで複数の仕事を経験することによって、部門間連携がスムーズになるなどの波及効果も出てきたそうです。女性の仕事の進め方は、これまでの仕事のやり方にも影響を与えました。品質向上、原価低減などでも大きな成果をもたらしたとのことです。経営上の成果とは、一つ一つの施策がつながって相乗効果を生み、益々生産性の高い会社に向かっているように感じました。なんと素晴らしいダイバーシティマネジメントではないでしょうか。聴講された方の感想にも「目から鱗の思いです」とありました。

この女性活躍を進める上で、社長はきめ細かく、今ある条件を活用しながら、足りない条件をつくるという仕事をされてきました。その一つとして注目したいのは、社長が職場に示した「言いたいことがあれば言う」という指針です。当然のことながら社長は社員の訴えを聞くことが前提となります。女性の直向きな意見に耳を傾け行動を起こす社長の姿が想像できます。

最近、組織開発の分野で「心理的安全性」という言葉が注目を集めています。心理的安全性が担保された職場は、高い生産性が期待できるなどと言われています。もちろん1日にしてなるようなものではありませんので、継続した中長期的な成果としてそうなるということだと思います。心理的安全性とは、社員が安心して、自分の考えを自由に発言したり行動に移したりできる状態を言います。

「言いたいことがあれば言う」は「言うは易く行うは難し」です。社員に「こんなこと言ったら変だと思われないか?」「バカにされないか?」など躊躇する気持ちがあれば、自分の思いを伝えることはできません。言う人の反対側に、社長のようにしっかり聞いてくれる存在が必要になります。だからこそしっかり、これまでの常識にないことも、言い切れるのだと思います。ダイバーシティマネジメントの最も大事なところではないかと思いました。

以上

「心理的安全性」は、Googleが発見した「成果の出るチームの共通点」の一つと言われています。そのことは、このブログでも取り上げたことがあります
http://blog.livedoor.jp/sigoto_design_lab/search?q=ケイト


2023年3月 軍事侵攻から1年。我々はウクライナと共にあります

今月の一言



国連総会の緊急特別会合で2月22日、ウクライナのクレバ外相演説 NHKニュースWeb



代表・高橋の一言

私たちは昨年の2月24日に、起こった蛮行を忘れることはありません。ロシアの軍事侵攻から1年経った今も、罪もない子供や女性を含む一般の市民が無差別砲撃の恐怖に晒され、何百万人あるいはそれ以上の人々が避難を余儀なくされていることを思うと、この時に何も言わずに過ごすことができません。

国連総会は、ロシアのウクライナ軍事侵攻から1年になるのにあわせた緊急特別会合で、欧米各国や日本などが共同提案した決議案を賛成多数で採択しました。決議案は「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」とした上で、ロシア軍の即時無条件の撤退、学校や病院などの民間施設への攻撃の停止などを求めています。193の国連加盟国のうち141カ国が賛成。ロシア、北朝鮮など7カ国が反対。中国、インドなど32カ国が棄権とのことでした。

採択までの2日間で80カ国が演説を行いました。「今月の一言」に引用したのは、その会合で、これまでの過去の採決で棄権にまわった国々を念頭に訴えた言葉です。

20世紀の悲惨な戦争を二度と繰り返さないという人間の叡智が国連をつくりました。しかし、安全保障理事会の常任理事国には拒否権があり、その1国でも反対があれば議案は成立しないことから停戦や調停に対して国連は機能していない、無力だとも言われることがあります。それでも国連総会は、世界の加盟各国がそれぞれの立場を言い尽くしてあるべき姿を方向づける力を持っています。各国がその立場を世界に公にすることも国連総会だからできるし、その主張が道理に適ったものかどうかも、私たちは判断できます。諦めや無力感、それに事実を知ろうとしないことは、戦争を仕掛けた権力者に付け入る隙を与えるものだと思います。できないことではなく、できることに注目して、ウクライナ支援をして参りたい。

 

2023年2月 「会社が生き残るための価格」を守る仕事

今月の一言



NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』2023年1月19日放送 亡くなった夫のねじ製造会社IWAKURAの経営を引き継いだ、めぐみ(ヒロインの母親)の言葉



代表・高橋の一言

「賃上げ」が今年の日本経済の争点になっています。しかし、内部留保に余裕のある大手と違って、中小企業ではその7割が賃上げの予定がないとの調査結果もあるようです。材料費や経費のコストアップにも関わらず価格転嫁が思うように進んでいないことも一因です。今後、中小企業が活路を開くためには、価格転嫁交渉の成功と生産性(一人当たりの付加価値)向上は、待ったなしの課題と言っても良いでしょう。

「今月の一言」は、ねじ会社に生まれたヒロイン岩倉舞がさまざまな困難を乗り越えて成長して行くドラマ『舞あがれ!』から、舞の母めぐみさんの言葉を引用しました。得意先に値上げのお願いを切り出すと、相手の社長から「やはり主婦が家計を見直すみたいなことしかできないのですね」と、見下すような言い方をされためぐみさんが、それに答える場面です。続けて、「材料費が高騰してる今、この値段のまま取り引してたら、会社を危険にさらすことになります」と訴え、「あと3か月は今のままやらしてもらいますので、その間に安く作れる会社を探していただいてけっこうです」、「継続する場合、新規の受注にはプラスになる提案をさせていただきます」と相手の立場に立った誠意ある提案もしました。この場面は、めぐみさんの覚悟の言葉が感動を呼びました。

その放送を観てから間もなく、私はある中小企業の社長を訪問しました。その昔社長が大手の取引先企業に、採算の取れない製品の値上げをお願いに行った体験をうかがいました。その結果、取引先そのものを失うことになりましたが、おかげで社内は、新しい事業戦略の下に結束しました。その中小企業は独自の市場を開拓し、経営資源を大切にしながら大手に負けない強みを育てることに邁進したのです。そして今では、適正価格を維持し、業界の中でも極めて高い生産性を実現しています。

どちらのケースにも、会社が生き残るための価格を守る仕事がありました。それは社長が覚悟を決めて取り組む仕事なのだと思います。
 

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