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前エントリーの続きじゃないんだけど、「風ニモマケヌ丈夫ナロッド」というと、渓流用としてはソラちゃんの他にもう一人吉田くんがいることを思い出したのでした。吉田くんは世界征服を目論む鷹の爪団の若きエース・・・つってもEagle ClawじゃなくてTalonですけど〜。(イーグルクローのチープな竿にも惹かれますが、フライの竿ならやっぱりタロンでしょ!)
で、先週のある日、その吉田くんを引っ張り出してどこに行きたいかと尋ねたら、「まずは弱そうな島根から」というので、山口でも広島でもなく島根の渓流に出向くことにしました。

・・・つってもいつも行くのが島根なんですけどね(笑)。

DSC00315 (2)-320吉田くんのスペックは9フィート3番。狙ったポイントに毛鉤が入らないことをまるで自慢しているかのような不敵な「ハイランダー(入らんだぁ)」という名前が心憎い。(なお山口の言葉では「入らんだぇ」に近い発音になります。)「鷹の爪」らしい脱力系ネーミング?

フックキーパーが脱落している間抜けさがまた吉田くんらしくて微笑ましい。この竿、3番のくせに重くて手首が疲れるのでしばらく休養を申し渡してあったのですが、このオフに柔らかめの竿で尖ったループを作る方法を名人Oさんから教わったこともあって、それが手首に優しい投げ方だったこともあり、久しぶりに日の光を浴びさせてやろうと考えた次第。

その日は(この時期にありがちな)風が強い日で、谷を吹き抜ける強風が上流に向かって投げる毛鉤をことごとく下流へ押し戻してしまう悪条件。そんな中でも5番かと見間違うほどのバットの強さを誇る吉田くんのキャスタビリティーと9フィートという長さのおかげで何とか釣りが成立しました。日本製の833クラスの軟弱者にお伴をさせていたら、使いこなせなくて尻尾を巻いて退散していたことでしょう。もちろん釣行前から「今日は吉田くんで」と決めていたので結果オーライなわけですが。

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オフのキャス練の心理状態から抜け切れていなくて、つまり投げてるだけでハイになってしまう状態で、竿さばきの実践経験を積みたいとの思いで出かけて行っただけなので、釣れる魚はオマケです。先行者も見えていたし、あまり期待していないだけに、釣れただけでうれしいもの。最初の1尾目はありきたりの使い古しの18番グリズリーパラシュートをがっぷりくわえてくれました。水深50センチぐらいですかね、長い瀬の流芯脇の適水勢ゾーンを練習のつもりで何度も流していたら突然ガバッと出ました。「あっ、ここにもいたのね。」

小さいけど、この前のアベレージサイズよりは大きいもんね。竿は曲がらなかったけど(笑)。

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もとよりきちんとターンオーバーさせる気なんかないとはいえ、あまりの強風に毛鉤が着水する場所がフライラインの先端よりも下流になることもしばしば。となるとラインは緩流帯に置いて流芯脇に定位しているであろう魚にラインを見せないようにしないと話にならない。実際には難しいのでイメージ通りに流れるのは5回投げて1回とか?もうちょい尖ったループが投げられれば違った結果になるのでしょうけど、まあ下手だから仕方ない。

それでも心優しく相手をしてくれる魚がいるからフライフィッシングはやめられません。同じポイントから出した3尾目はなかなかのプロポーションでした(上画像)。蜻蛉さんから奪い取ったネットはちょっと大きめで、このぐらいのサイズになって初めて真価を発揮するのです。

強風対策のいい練習になるので、ずっとこのポイントで投げ続けていたかったのですが、夕方が近付いていたため、下手すると脱渓ポイントに到達する前に暗くなる可能性があり、先を急ぎました。

途中で、「もしかしたらくたびれた厚巻きパラシュートじゃなくて今朝巻いたクリップルならしっかりくわえてくれるかな?」と思いつき、毛鉤を交換。・・・でも下手クソは何を使ってもダメだというのがよ〜く分かった。ナチュラルドリフトがしっかりできなければ半沈みだろうと食い損ねてしまうようですね。あるいは見切られていたのかもしれません。なんせどんな虫を食っているのか見当もつきませんでしたから、マッチザハッチなんて不可能。

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で、この子は付け焼刃的に巻いた不格好なクリップルをくわえてくれた心優しいお魚のうちのひとり。このタイプの毛鉤もそこそこ見えるし、半沈みのパラシュートで厳しい時には頼りになりそうなので、もっと巻き足しておくこととします。ウイングをブリーチしたエルクじゃなくてナチュラルの山口産ニホンジカにしたらもっと魚の反応がよくなるんじゃないかって淡い期待もあります。

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昔はポイントを移動する際にフォルスキャストしながら歩いたものだから、ちょっと重めの9フィートの竿を振り続けて手首に負担がかかったもので、それが吉田くんと疎遠になった原因のひとつだったのですが、今回はそれをやめて水分は胸ポケットからぶら下げた100均の吸水タオルでぬぐうようにしたので、投げ方の進歩もあいまって手首は疲れませんでした。わずか2時間ほどの釣りでしたが、これなら1日でも振っていられそうです。

yoshidakun 001 (1)-480というわけで今後吉田くんの出番は増えるでしょうか?2本継というのが弱点で、その点では7本継のソラちゃんに分があります。ただしソラちゃんには亜脱臼(スッポ抜け)というマルチピース特有の癖がある(骨折経験もある)ので、どっちもどっちでしょうか。結局は気分次第での使い分けですね。ただし、吉田くんの方がメンディングは上手です。

本当はヘンリーズフォークあたりで使ってあげたいんですけどねぇ。タロンって、そういう竿だと思うんですよね。でも私の置かれている状況を考えると海外釣行は一生不可能じゃないかと思えるので、ってことは世界征服なんて無理ですねぇ。やっぱ弱そうな島根でお茶を濁すのがせいぜいかな。

抜け落ちたフックキーパーは何とかしてあげないといけないし、ワンフットのスネークガイドも折れかかっているのがあったりして、シーズン終了後にはドック入りさせないといけません。このままお払い箱になっちゃったりして。うそうそ(笑)。