続きです。
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「みんな揃ったね」

 鬱蒼とした森の中、古びた社の前に立ち揃った面々を見ながら確認する。
 決意を固めたように他と比べて少し凛々しいシロの顔と私の顔を順に見て、これから何をするのかと不安そうなエイスリン。
 その後ろに立ち何が来ても楽しいからいいよといった風にニコニコとしている豊音に、少し俯いている胡桃がいる。

「さあ、始めるよ」

 左手に菓子包みを提げて右手で社の扉を開けると、中から閃光が走る――。

 辺り一面が光に包まれ、五人はどこかに消えてしまった。
 しかしその姿を見るものは誰もいなかった。


 時は数時間前に戻る。


 この日、学校に来たのは五人のうち私を含めて二人だけだった。

「塞、何があったか隠さず教えて」

 普段自分の席から動こうとしないシロが私の席にまで来て話すのは教科書を忘れた時に借りに来る時以外では初めてだった。

「何って?」

 私が言いたくなさそうにしていると、シロの手は私の頬を撫でていた。

「塞は一人で悩みがちだから……」

 やめてよ、とシロの手を払うとその手はそのまま私の頭の上に置かれた。

「それに、いつまでも塞と二人きりは寂しいから……」

「はは、そうだね」

 その後全てを話した。

 一人で買い物に行った帰り道に、近道をしたところにあった小屋で雨宿りをしたこと。
 自称神様に言われたこと。
 そしてこの異変――三人に告白、いや四人に告白されたこと。

 最後のところでシロは顔を赤くしたが、隠さずに言えと言われたので、正直に言った。

「だったら選択をすればいい。この前の答えで」

 か細くしかし力強いその言葉は、なぜか私の心の隙間から内側へと沁みた。

「今日やろう。みんなをそこに集めて」

 そう言って自分の席に戻っていったのが今日の午前中。
 昼休みの時間を利用して、みんなに連絡をする。

『今日この前の答えを伝える。場所は……』

 そして全員オンボロの小屋、もとい古びた社の前に揃った。
 シロは一足早く学校を出て菓子包みを買ってきてくれたらしい。

 全くシロらしくないが、こういう時に頼りになるのがシロだったりする。


 そして現在。



 真っ白な世界の中で五人がいる。
 何もない。
 見えるのはお互いの姿だけ。

 そして虚空からは謎の声が聞こえる。

『聞こえるか、人の子よ』

 来た。

『我は塞の神、汝の祖先なり』

 喫驚している四人を横目に、謎の声に応答をする。

「答えを持ってきた」

『では聞こう』

 まず胡桃を指差す。
 差された胡桃は目を丸くしたままだ。

『その者か?』

 その声に対して首を横に振る。

 次にエイスリンを差す。
 エイスリンもまた口を開けたまま閉じることができないといった表情だ。

『その者か?』

 その声にもまた首を横に振る。

 次に豊音を差す。
 豊音は意外と冷静だ。こういうことには慣れているのだろうか。慣れるってのもよくわからないが。

『その者か?』

 その声にも三度として首を横に振る。

 次にシロを指差す。
 シロも最初は腰を抜かしていたが、瞳の奥では腰が据わっているようだ。

『その者か?』

 その声に否定の意で首を横に振る。

「これが私の答え」

『誰も選ばないということか?』

 その声にも首横にを振る。
 そして立ち上がり、両手を広げる。

「私が選ぶのは全員。この四人全員だ!」

 驚きの声を漏らす三人と自称神。

 シロだけはその驚き様に笑みを漏らしていた。

『それが汝の答えか?』

「これが私の答え。誰も選ばず、そして全員選ぶ」

 意外な答えだったのか、それとも呆れているのか、声だけでは表情が読み取れないが、この声の主は十分困惑しているようだ。

『それでいいのか?』

「これでいい」

『前途多難な道を辿るとしても?』

「これが私の選んだ道。文句ある?」

 真上の、真っ白な虚空に向かって中指を立てる。

『否定。文句はない』

 心なしかしょんぼりとしている感じがするが、そんなことは知らん。

 塞の神の試練?
 神々の遊び?
 知るかそんなもん。

 私の道は私が決める。それだけだ。

『汝が選んだ道もまた、一つの道なり』

 フェードアウトしていく声の中で雷のような閃光。眩い光に目を眩ませる。

 強い光を遮るように一瞬目を閉じ、そして開くとそこは元いた場所だった。
 鬱蒼とした森の中の、一本道。
 しかし背後にあるはずの古びた社は無く、拓けた草はらがあった。
 手には持っていたはずの菓子包みも無く、しかし四人の姿は目の前にあった。

「さっきのなんだったの?」

「イマノナニ?」

「久々に見たよー、あんなの」

「今のが言ってたやつ?」

 各々いろんな感想があるらしいが、まあ決めてしまった道というのはこれなので、とりあえず。

「みんな、これからもよろしくね」

 そう言って全員に抱きついた。
 柔らかい感触と硬いような感触があったことは、触れないでおこう。

「当たり前でしょ」

「ズットイッショ!」

「よろしくだよー」

「……。むさくるしい……」

「じゃあ、まあ、遅いしウチ泊まってく?」

 あんなことの後だから少し恥ずかしかった。
 恥ずかしくて顔が熱くなったが、頬が赤くなっていたか赤くなってなかったかは夕焼けの陽のせいで真相は闇のなかだった。




















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あとがき
 終わりました。完結です。
 まあ短いシリーズものだったですが。

 特に伏線もなく、一直線のお話でした。
 とりあえず、塞エイとか塞豊とかってあんまないよなって思って書こうと思ったけど、でもそしたらシロ塞も書きたいぞ?みたいな考えから書き始めましたが、結局こうなってしまうとシロはバランサーみたいになってしまいますね。
 もう夫婦じゃんと言えばそうなのですが。

 最近薬屋のひとりごとばっかり読んでるんですけど、楼蘭が可愛すぎてどうも。
 最近、りゅうおうのおしごとでいう万智、賭ケグルイでいう伊月みたいな作品内の立ち位置的に魅力的なキャラクターが多くてですね、そういうキャラクターに憧れてしまいます。

 千里山がインターハイ北大阪予選決勝で葉子と戦ってたなんて話が出てきた日には昇天するんじゃないかとヒヤヒヤしながら。

 あー、咲シリーズ読み返そ。そんな感じで。