2013年03月
北の黒田、南のアグス?
インドネシア株式市場は、3月末になっても史上最高値を更新し続けていますが、3月27日のジャカルタ・グローブ紙は、それを現財務大臣アグス・マルトワルドジョ氏の次期中央銀行総裁就任可能性増大と結びつけています。
アグス氏のインドネシア銀行総裁就任は、まだ決まったわけではありませんが、国会における承認手続きは前進しています。そのことを受けて、株式市場が高騰を続けているというのが同紙の見立てのようです。
その見立てにどれほどの真実性があるのか、私にはよくわかりませんが、日本でも日本銀行の黒田新総裁就任と株価上昇との関係を因果律で結びつける人はいるでしょう。
日本とインドネシアで状況が大きく異なるのは、日本では、黒田氏が中央銀行総裁に就任するまでの歴代の日銀総裁たちが、永年にわたってデフレ政策を継続するという大きな過ちを犯し続けてきたことでしょう。
インドネシアに限らず、世界中どこの中央銀行も、白川総裁までの日本銀行が犯したような明白で重大な過ちを犯したことはありません。そのことは、世界の主要国の中で、日本だけがこの20年間にわたってデフレから脱却できなかったという事実が証明しています。論より証拠、というべきです。
日本では、バブルが崩壊し、デフレ経済が発生した20世紀末以来、自殺者の数が年間3万人を超えています。バブル崩壊以前の自殺者の数と比較すると、年間1万人以上がデフレ経済のせいで殺されてきたとも考えられます。
自殺者の増大だけではありません。デフレ経済下での企業による非正規労働者増大策も、若者たちの就職難も、その全ての責任は、デフレを放置してきた歴代の日銀総裁にあると考えることは、行き過ぎとは言えないでしょう。
しかし、白川日銀は終わりました。元が最悪だったのですから、日銀が普通の中央銀行になっただけでも、これからの日本には輝かしい可能性があります。
日本の若者たちは希望を持つことができるはずです。