田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

データの記載には人並みの注意を払っているつもりですが、一人で書いておりますし、人間のすることですから、間違いが全くないというわけはないと思います。間違いにお気づきになられた方は、 tamuratetsutaro@gmail.com にご一報いただければ幸甚に存じます。 なお、投資は自己責任でお願いします。当方では、当ブログの記載に基づくいかなる責任も負うことができません。

2013年05月

5月24日のこのブログでは、世界最大のインスタント麺メーカーであるインドネシアのインドフード社(Indofood、ティッカーはINDF)がカザフスタンに進出を計画しているという記事をご紹介しましたが、529日のジャカルタ・グローブ紙は、「インドフードは世界戦略を進める」と題して、そのアントニ・サリム社長の勇ましい言葉を引用しています。


いわく、


「今こそ競争に備えよ。体制を強化し、新たな市場を切り開け。」


「インドネシアは確かに成長している。しかし、我々は、国内市場に力を注ぐだけでなく、海外にも眼を向けなければならない。さもなくば、我々はタイやマレーシアのライバルに打ち負かされてしまうであろう。」


まさに、進軍ラッパともいうべき号令です。


この号令のもと、インドフードは、中国のミンジョン・フード(China Minzhong Food Corporation)に出資したほか、子会社を通じて日本の月島食品工業と油脂製品製造に関するジョイントベンチャーに乗り出し、同じく日本のアサヒ・グループ・ホールディングとは飲料工場建設に関するジョイントベンチャーを開始しているそうです。


同社は、また、ブラジルの砂糖事業にも手を出していますが、これはブラジルで砂糖を生産してインドネシア等に供給するというだけでなく、砂糖の副産物としてのバイオ燃料の生産までも視野に入れているとのことです。


http://www.thejakartaglobe.com/business/indofood-looks-toward-global-strategies-2/


以上のような野心的な経営戦略に関する記事を読んだ後で、インドフードの財務データに眼を向けますと、2011年との比較で、2012年の数字は、売り上げが45兆ルピアから50兆ルピアへと11%増、純利益が3.07兆ルピアから3.26兆ルピアへと6%増と、パッとしない数字です。


かつて3月19日にこのブログでインドフードを取り上げた際、私は乳製品(粉ミルクや特にアイスクリーム)を製品に取り込んでいるこの会社の将来性に大きなものを感じると書きましたが、それだからこそ、余計にこの数字には物足りないものを感じます。

同社のサリム社長も物足りないと思っているのではないでしょうか。ジャカルタ・グローブの伝える勇ましい社長の号令は、真剣な危機感の現われと見ることができると思います。


企業が成長できない国の経営者も大変ですが、企業が成長して当たり前の国の経営者も別の意味で結構大変ですね。


リッポ・カラワチLippo Karawaci、ティッカーはLPKRの財務状況を見てみると、2009年からその3年後の2012年にかけて、売り上げは2.6兆ルピア(約260億円)から6.2兆ルピア(約620億円)へと2.4倍、純利益は3900億ルピア(約39億円)から1.1兆ルピア(約110億円)へと2.8倍に増加しています。


売上高純利益率は18%と、インドネシアの有望企業の中では特に高いわけではありませんが、かといって悪い数字でもありません。


1株あたりの配当は、2009年が0.00ルピア、2010年が2.87ルピア、2011年が4.33ルピア、2012年が7.79ルピアと、2010年以降は順調かつ急激にその額を増やしています。


2012年決算の配当性向は17%ほどですから、前に取り上げたプルサハーン・ガス・ネガラ(PGN)のような配当性向54%などという超株主孝行な会社に比較すればまだまだほめられたものではありませんが、考えようによっては、今後の配当額増額の余地が相当に大きいわけすから、経営陣が配当重視の姿勢を強めていってくれる限りは、楽しみな株といえましょう。


529日のジャカルタ・グローブ紙は、「インドネシア人は貯蓄から投資へ向かう」と題して、株式等に投資するインドネシア人が増加の方向にあることをレポートしています。


現状では、インドネシアの富裕層の大半は、その流動資産を銀行口座に貯えていますので、その富のポートフォリオの変動は、資産市場に大きな影響を与えることが必至であろう、というわけです。


10万ドル以上の流動資産を有する東南アジアの富裕層の25%は、インドネシアに存在します。


5億ルピア(約500万円)以上の流動資産を有するインドネシア人は、その富の70%を現金や定期預金で保有しています。


これまで定期預金の割合が高かったのは、数年前までその金利が高く、例えば、5年前には、9%あったことがその理由でした。現在は6%ほどの金利しかありません。


6%の金利は、デフレ超低金利国日本から見れば十分高金利ですが、今年のインフレ率が7%台と見込まれているインドネシアにおいては、気休め金利に過ぎません。


この記事は、具体的にどれだけの割合のインドネシア人が今年中にどれだけの金額を株式投資に振り向けるのか、といった具体的数字は出していません。


シュローダー投資顧問の調査による「アジアの投資家の6割は今年投資額を増やす計画であり、彼らの77%は株式市場に投資する計画のようである。」という大まかな情報を提供しているに過ぎません。


株式市場というのは、定期預金金利に依存してきた人たちから見れば「怖い場所」でしょうから、「株に興味がある」からといって、直ちに「退職金を株につぎ込む」ということにはならないでしょう。


しかし、預金金利とインフレ率の関係から見れば、インドネシア人富裕層が、豊富な現預金を株式市場に投資するという行動を起こし始めるのは自然な流れである、そして、その場合に投資の対象となる株式市場はアジアの市場になるであろうし、アジア株式市場へのインパクトや資産管理サービス業界へのインパクトは、極めて大きなものになろう、というのがこの記事の趣旨です。


このような動きによって、中期的に好ましい影響を受けるであろう投資先セクターとして、この記事は、建設、不動産、コンシューマー・グッズ、金融をあげています。


http://www.thejakartaglobe.com/business/investing-is-new-game-in-town/




リッポ・カラワチLippo Karawaci、ティッカーはLPKRは、時価総額と従業員数においてインドネシア最大の不動産関連企業で、その名前から分かるとおり、リッポ財閥に属しています。


日本では、523日の株価大暴落で株式市場が混乱していますが、インドネシア株式市場は523日にも1.66%下げただけで、何事もなかったかのように安定しています。ただし、今年に入ってからのインドネシア株式市場の値上がりは2割弱ですから、日本市場の値上がりには遠く及びません。


株式市場に投資していると、4月の日本市場のように高騰する市場はうれしくて仕方ありませんが、上がったものは下がるのが相場の常ですから、市場が混乱してくると安定が恋しくなります。


高騰と安定は両立しようがないのですが、個別の株には比較的高い値上がり率が安定して見込めるものもあると思います。


このリッポ・カラワチ株は、ことによるとそんな株かもしれません。この会社の株は、今年に入ってから約50%値上がりしています。


同じ不動産株のアラム・ステラ(Alam Sutera)が、今年に入ってから約80%、カワサン・インダストリ・ジャバベカ(Kawasan Industri Jbabeka)100%以上上昇しているのに比べると物足りない気がしますが、5ヶ月で50%というのは決して悪い数字ではありませんし、株価の上昇カーブに上下動が少ないのが何ともいえぬ安定感を与えてくれます。


今月はじめに取り上げたスター・パシフィック(Star Pacific)社の株価は、その後一旦下げた後、また急激に上昇していて、今年に入ってからの5ヶ月間で株価は3倍以上に暴騰していますが、この5ヶ月間だけを見ても、下げるときの下げ方も尋常ではありませんので、ジェット・コースターが大好きというような体質の方でないとついていくのが大変です。

http://www.bloomberg.com/quote/LPLI:IJ 


株式投資とは別に安定した収入源が長期的に保証されているのであれば、博打みたいな株で大もうけを狙うより、雨が降っても風が吹いても毎月毎月着実に値上がりする株を買い込んで、売らずにじっと保有している、というような投資が精神衛生上一番良いでしょうし、とにかく気楽に毎日を過ごすことができます。


とはいえ、現実にはそんな恵まれた投資環境の人は多くないと思います。定年まであと○年、それまでに○千万円作っておかないと老後が大変、というような限られた年限での投資回収を強いられている人たちにとっては、どんな株を選択するべきか、悩みは尽きないと思います。


527日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシア銀行総裁のアグス氏は、補助金対象燃料の価格を政府が引き上げた場合には、2013年のインドネシアのインフレ率は7.76%に達する可能性があると述べたとのことです。


今年4月のインフレ率は、年率換算で5.57%でした。


アグス総裁によると、インフレ率の上昇は一時的なものであり、政府が食料品価格や輸送費の抑制に成功した場合には、2013年のインフレ率は7.2%に押しとどめることが可能であろうし、2014年の第1四半期には沈静化するであろうとも述べています。


同総裁は、また、補助金対象燃料価格の引き上げがなされた場合には、外為ルピア相場は、1ドル9600ないし9700ルピアに、同燃料価格の引き上げが見送られた場合には、1ドル9600ルピアないし9800ルピアになるだろうとも述べています。


http://www.thejakartaglobe.com/news/bank-indonesia-says-inflation-could-be-7-76-if-fuel-price-rises/

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