田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

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2013年12月

1223日のジャカルタ・グローブ紙は、インドネシアのタイヤ・メーカーが、多額の設備投資を計画していると伝えています。

 

その記事の概要は次のようなものです。

 

インドネシアでは、安価で省エネの自動車に対する税制面での優遇措置を政府が実施しているため、業界関係者は、この種のエコ・カー用のタイヤだけで、2014年には10万組(約50万本)のタイヤ需要が生まれると見ているそうです。

 

他方で、2014年は経済が停滞すると予想されているので、タイヤの売り上げ増は、2,3%にとどまることになろうと専門家は見ています。2013年にはタイヤの売上がインドネシア国内で約10%増えて2千万組に達したことから見れば、様変わりの状況です。

 

自動車業界の専門家も、2014年の自動車の販売台数は前年並みの120万台程度と見ています。

 

このように、安価なエコ・カー以外の自動車販売は、2014年に関しては強気になれない状況ですが、インドネシアでタイヤを生産している上場企業であるGajah Tunggal Multistrada Arah Sarana2社は、今後2015年までの間に、合計で4.65億ドルの設備投資をして、生産拡充とタイヤ走行試験場建設に努める計画であるというのです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/tire-producers-up-investment-to-meet-expected-increase-in-demand/

 

記事の概要は、以上のとおりですが、この記事には、2014年の自動車やタイヤの売上増大が大きくは見込めない中で、なぜタイヤ・メーカーが多額の設備投資をするのかについては、突っ込んだ解説をしていません。

 

論理的に導き出される推論としては、インドネシアのタイヤ・メーカーが、(1)国外のタイヤ市場向けのタイヤ輸出に強気の見通しを持っているか、または(2)2014年の国内タイヤ市場の成長は小さくても、2015年以降の国内市場拡大に強気の見通しを持っているか、または(3)その両方であるか、ということなのでしょう。

 

1218日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアの財務副大臣であるバンバン・ブロドジョネゴロ氏は、同日、通貨ルピアの為替レートに関して、次のとおり述べたとのことです。

 

「インドネシアは、2011年の為替レートであった1ドル9000ルピアの水準を取り戻すことはできそうもない。しかし、1ドル11000ルピアから11500ルピアの水準は確保しなければならない。」

 

「もちろん、この水準(1ドル11000ルピアから11500ルピア)ですら、実現は容易でない。しかし、為替水準は、インドネシアの経済的ファンダメンタルズを反映すべきであることも事実である。」

 

現在のルピア相場は1ドル12100ルピア前後ですが、これは2008年後半以降最も安い水準です。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/2011-rupiah-rates-long-gone-adjust-to-11000-11500-on-the-dollar-official/

 

ジャカルタで増加するミニマートと呼ばれる形態のサービス業が、年々悪化する交通渋滞のおかげで利益を伸ばしている、という記事が、1218日のジャカルタ・グローブ紙に掲載されています。

 

会社の仕事が終わってすぐに車で帰宅しようとすれば、ひどい交通渋滞に巻き込まれて立ち往生するのが分かりきっているので、ジャカルタのオフィスで働く人たちの中には、交通渋滞が解消するまでの時間(人によっては2時間前後)をミニマートで過ごす人がいるようです。

 

ミニマートでは、アイスクリームでも乾電池でも手に入るし、無料のWifiが利用できるのでタブレット端末でネット・サーフィンもやり放題というわけで、渋滞のピーク時間帯をやり過ごすにはもってこいの場所であるとのことです。

 

交通渋滞で有名なバンコックにおける自動車の平均速度は、ラッシュアワーで時速17kmですが、ジャカルタの場合はこれが時速10kmだというのですから、そのひどさが分かります。

 

この種のミニマートを展開している企業のひとつであるModern Internasional2014年決算は、ブルームバーグによれば、28%の増益が見込まれていますし、Sumber Alfaria Trijayaでは同じく19%の増益が見込まれています。

 

調査会社ニールセンの調査によれば、インドネシアにおける食品雑貨の全売上に占めるミニマートのシェアは、2002年から2012年にかけての10年間で約5倍に増大して24.8%に達しています。

 

ただし、相対的に割高な株価には注意が必要かもしれません。

 

JCI(ジャカルタ総合指数)は、向こう12ヶ月間の予想企業利益の13倍であるのに対して、Modern Internasionalの株価は、向こう12ヶ月間の予想利益の42倍ですし、Sumber Alfaria Trijayaの場合は、27倍です。

 

また、2014年にも最低賃金の引き上げは計画されていますから、ミニマート関連企業のコストは増大が予想されます。

 

他方で、ジャカルタではじめての地下鉄とモノレールの建設工事は今年10月に始まりましたが、最初の路線が開通するのは早くても2016年と見られています。今年1月から10月までの10ヶ月間にジャカルタで登録された自動車と自動二輪車の数は120万台にも上ります。

 

既に高い株価水準にあるミニマート関連株ですが、コストの増大が利益の増加を抑制するのか、それとも交通渋滞の更なる悪化が利益を押し上げるのか、投資家の判断が試されそうです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/news/jakarta/jakarta-traffic-jams-drive-minimart-profit-jump/

1216日のジャカルタ・グローブ紙は、市場関係者による2014年インドネシア株価予想に関する記事を掲載しています。

 

まず、BNI証券のノリコ・ガマン(Norico Gaman)氏は、2014年のインドネシアの経済成長率を5.4%と予測した上で、2014年におけるインドネシア企業の収益の伸びを平均17%と予測し(2013年の数値は25%)、JCI(ジャカルタ総合指数)の目標値を中位ケースで4925、楽観ケースで5300としています。

 

BNI証券では、金利引き上げに敏感でない業種の株を2014年の有望銘柄と見ていますが、他方で、金利引き上げに影響を受けざるを得ない内需株も推奨しています。インドネシアの経済成長が内需中心であることは、来年も変わらないと見ているからです。もっとも、これでは、投資家は投資対象を絞り込みにくいですよね。

 

トリメガ証券は、2014年のJCIの目標値を5233としています。同証券は、インドネシア金融機関の融資が2014年に高金利の影響を受けると予想しつつも、マンディリ銀行を推奨銘柄のひとつに維持しています。

 

工業用地を取り扱う不動産企業について、同証券は、横ばいか低めの売上を予想しています。これは、来年前半に議会選挙(4月)と大統領選挙(7月)が行われるため、海外からの投資が選挙の後にずれ込むと見られるからだそうです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/slower-growth-may-affect-stock-market/

1211日にADB(アジア開発銀行)が公表したレポートによりますと、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムの5カ国をまとめていうところのASEAN5の経済成長率は、2013年が5.1%2014年が5.5%と予想されるとのことです。

 

今年落ち込んだASEAN5成長が来年に回復するのは、これら諸国と経済的な結びつきの強い米国の成長が加速し、欧州がマイナスからプラスに転じ、中国と日本が2013年並の成長を維持すると予想されるからだそうです。

 

特に、フィリピンは、今年の巨大台風による被害発生から2014年は復興需要が見込まれるわけで、これがプラス要因として見込まれるそうです。

 

残念ながら、ASEAN5の国別の成長予想はADBから示されていませんから、インドネシアの2014年についてADBがどう見ているのかは分かりません。

 

http://www.adb.org/sites/default/files/pub/2013/ado-supplement-december-2013.pdf

 

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