田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

データの記載には人並みの注意を払っているつもりですが、一人で書いておりますし、人間のすることですから、間違いが全くないというわけはないと思います。間違いにお気づきになられた方は、 tamuratetsutaro@gmail.com にご一報いただければ幸甚に存じます。 なお、投資は自己責任でお願いします。当方では、当ブログの記載に基づくいかなる責任も負うことができません。

タグ:オートバイ

211日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアの今年1月のセメントとオートバイの売上は、洪水のせいで減少したとのことです。

 

セメントは、前年同月比で0.3%減少して464万トン、オートバイは同11%減少して58万台になったとのことです。

 

1月は、洪水のせいで流通網が正常に機能しなくなり、これら商品の販売不振につながったのですが、それ以外にも、インドネシア中央銀行が基準金利を引き上げたり、住宅ローンやオートバイ・ローンに関して融資規制を強化したことが、対前年比の伸びが抑え込まれた原因になっているようです。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/cement-motorbike-sales-in-indonesia-decline-in-january-due-to-floods/


CementSales

1016日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアにおける今年1月から9月までの9ヶ月間のオートバイの売上は、昨年同期の533万台から8.6%増加して579万台となったとのことです。

 

この増加の背景にあるものとして、同紙は、オートバイ・ローン金利の引き上げが予想されるため、消費者が引き上げ前に駆け込み購入しているのではないかという解説を加えています。

 

インドネシアにおけるオートバイ・ローンの金利は、年利21%~22%と日本人の眼から見ると現状でも十分に高いのですが、オートバイ・メーカー関係者は、10月にはこの金利が更に2%程度引き上げられると見ているようです。

 

この金利引き上げが、10月以降のオートバイの売上にどのように影響するかは未知数ですが、同業界関係者は、「楽観視している」と述べています。理由は記載がありません。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/indonesia-motorcycle-sales-up-ahead-of-higher-rates/

 

インドネシアの新聞を読んでいて、インドネシア人の誰かが経済の先行きを「悲観視している」と述べるのを見た機会は記憶にはありませんから、この予想がどれだけ当たるのかは分かりません。

 

しかし、ともかくも、米国の債務上限問題が崖っぷちで解決されたのは、インドネシアのオートバイ・メーカーにとっても、他の全ての人類にとってと同様に、朗報でした。

 

来年2月に、またこの債務上限問題で世界が振り回されると思うとうんざりします。高校の倫理社会の科目で、米国が生んだ哲学としてプラグマティズムというものがあると習ったのですが、あの話とこの現状とはどのようにつながっているのでしょうか。武士道を生んだ日本で、世界にもまれな卑怯者であるカンナオトが首相の座に着いたようなものなのでしょうか。

 

インドネシア最大の企業 Astra International の株価は、1月10日に5%程も下げました。その原因は、どうも、オートバイ売上高の減少にあるようです。Astra Internationalは、自動車やオートバイを生産、販売していますが、2012年におけるインドネシア全体のオートバイ売り上げ台数は、前年比で12%も減少したことが前日の1月9日に公表されました。自動車・オートバイ購入のためのローン設定に際し、必要となる頭金の割合を2012年6月に政府が10%から25%に引き上げたことがオートバイ売上高の減少を招いたという観測がなされています。

2012年6月のオートバイ販売台数は55万台で、前月実績の62万台から11%減少しています。

他方で、これは私のアテにならない考察ですが、成長しつつある国々においては、オートバイの売上というものは、いずれは自動車の売上増大に伴って減少していくものです。頭金割合引き上げは、相応の影響はあったのでしょうが、雨の多いインドネシアで、オートバイに乗ってずぶ濡れになりながら、隣をゆく自動車の中でエアコンに涼んでいる人の姿を見たら、何とか節約してお金を貯めて自動車を買おうと思うのが人の情でしょう。

現に、2012年前半6ヶ月の自動車販売は、頭金割合が引き上げられた6月に最高台数の10万台を記録しています。この6ヶ月間の自動車販売台数の合計は53万台で、前年同期比で26%も増加しています。

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