田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

データの記載には人並みの注意を払っているつもりですが、一人で書いておりますし、人間のすることですから、間違いが全くないというわけはないと思います。間違いにお気づきになられた方は、 tamuratetsutaro@gmail.com にご一報いただければ幸甚に存じます。 なお、投資は自己責任でお願いします。当方では、当ブログの記載に基づくいかなる責任も負うことができません。

タグ:ベンチマーク金利

19日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアの2013年のインフレ率は8.38%となったとのことです。

 

他方で、201311月のインドネシア貿易収支は7.8億ドルの黒字となりました。

 

このような経済情勢の中、インドネシア中央銀行は、ベンチマーク金利を7.5%に据え置くことを9日に公表しました。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/bi-holds-interest-rates-at-7-5/

インドネシア中央銀行は、829日、ベンチマーク金利を0.5%引き上げて7%にしました。

 

同行によるベンチマーク金利引き上げは、今年に入ってから3回目です。

 

同行は、燃料補助金削減に伴う燃料価格高騰から生じるインフレに先手を打つべく、今年5月までは5.75%であったベンチマーク金利を7月までに6.5%まで2段階で引き上げてきましたが、7月のインフレ率が8.61%と過去4年間の最高値を記録したため、インフレ抑止とルピア防衛の観点から更なる金利引き上げに踏み切ったものです。

 

826日のこのブログでご紹介した「4つの政策パッケージ」は、ルピアの防衛やインフレ抑止に大した効き目はなさそうだと市場から見くびられたのか、株価は反応しませんでしたが、829日の金利引き上げには市場は好感を示し、株価は上昇しました。

 

米国では、金融引き締め、というか超緩和からの正常化のうわさが流れただけで株価が下がるのに、インドネシアでは金利を引き上げると株価が上がるとは、ややこしい現実ですね。

 

815日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシア中央銀行は、8月の会合においては、金利を据え置くことを決定したことを15日に公表しました。
 

同行は、インフレを抑制するために、このところ立て続けに金利を引き上げて、ベンチマーク・金利は6.5%に上昇しています。

しかし、2013年第2四半期のGDP成長率が2010年以来初めて6%を下回ったことを受け、これ以上の経済のスローダウンを防ぐために、インフレ抑止と景気配慮の両にらみ状態の中で、8月においては景気配慮を重視した結果です。


http://www.thejakartaglobe.com/business/indonesia-holds-rate-to-support-growth-at-slowest-in-three-years/

 

あんまり暑いのでネット情報もチェックせず、ブログ更新もせずに、自室のオーディオ装置から流れてくる音楽を聴きながらひたすら休んでいたら、711日に、インドネシア中央銀行が、金利をかなり大幅に引き上げていたことを今日知りました。

プロ投資家の皆様なら、こんな怠惰な投資姿勢ではすぐにクビになってしまうでしょうが、素人投資家ということでお許しください。

また、当ブログではこれまで
Bank Indonesiaを「インドネシア銀行」と訳してきましたが、世間ではこれを「インドネシア中央銀行」と訳しているケースが多いので、世間にあわせて訳語を変更します。時流に逆らわないのが私の処世術です。

 

さて、同行は、11日、インドネシアの燃料補助金削減による燃料価格高騰から生じつつあるインフレを押さえ込むために、ベンチマーク金利を6%から6.5%に引き上げたほか、翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)を4.25%から4.75%に、それぞれ引き上げました。

 

エコノミストの多くは、同行が利上げをすること自体は予想していたようですが、利上げの幅は0.25%だろうと踏んでいたのに、0.5%も一挙に引き上げたこと、6月に利上げを実施したのに、それから間もない7月11日にまた利上げをしたこと、の2点で、この利上げがサプライズだったようです。

 

同行の利上げの目的は、先に述べたとおり、インフレ対策が最も重要なのでしょうが、それ以外に、海外の投資家がインドネシアから資金を引き上げることを防止すること、およびルピアの値下がりを防止することも当然ながら視野に入れています。

 

同行がこれだけのことをせざるを得ないのは、燃料補助金の削減による燃料価格の引き上げがインドネシア社会に極めて大きな影響を与えていることの反映でしょう。

それにしても、これだけ次々と先手を打ってインフレ対策を講じてくるインドネシア中央銀行の積極姿勢には感心させられてしまいます。

目下、世界の先進国で一番しんどい仕事を担っている中央銀行は、ECB(ヨーロッパ中央銀行)だと思います。そのECBのドラギ総裁は、ドイツ人に言わせると、イタリア人とは思えないほど几帳面かつ優秀なので「名誉ドイツ人」と呼ばれているそうですが(ドイツ人て、いつも上から目線で不愉快な人たちですね)、ファイナンシャル・タイムズ紙に掲載されたドラギ総裁のインタビュー記事を読んでみても、頭の良さがずばぬけていることが私のような金融素人にも分かります。

そのドラギ総裁は、欧州の金融危機を何とか瀬戸際で食い止めていますが、その手腕と比較しても、インドネシア中央銀行のアグス総裁の手腕は、少なくとも今のところは、少しも見劣りがしないどころか、むしろ一歩前に抜き出ているようにさえ見えます。
 

多額かつ多年にわたる燃料補助金は、インドネシアの社会と経済にとって、いわば麻薬のようなものでした。これを断ち切った現政権の判断と勇気は高く評価されるべきでしょう。

 

燃料価格上昇により、しばらくは社会的混乱、つまり麻薬と手を切った後の禁断症状が続くでしょうが、インドネシア中央銀行が先手を打って行動に出ていることもあり、この混乱が収まるまでの期間はそう長くはならないだろうと期待しています。


昨日のこのブログでは、612日に実施されたFasbiレートの0.25%の引き上げだけでは、インドネシア銀行総裁が市場に示すガッツとして、やや分量が足りない可能性がある、と述べましたが、昨日(6月13日)のうちに、同総裁は、インドネシア銀行のベンチマーク金利(BIレート)を0.25%引き上げて6%とすることを公表しました。

 

昨日は、1.02%しか上昇しなかったJCI(ジャカルタ総合指数)ですが、今日は3%以上上昇しています。

 

最近の日経平均においては、3%の上昇などは何でもない感じですが、JCIにおける3%の上昇はかなり目立ちます。

 

Fasbiレートを引き上げだけでは反応の薄かった市場も、ベンチマーク金利の引き上げで追い討ちをかけた結果、かなり大きな反応を示していると理解できます。

 

市場が金利引き上げを評価しているのは、ルピア相場の防衛に役立つだけでなく、インドネシア経済最大の課題とも言うべき燃料補助金の削減(=補助金対象燃料価格の引き上げ)を実行に移すためのいわば「露払い」として、この金利引き上げを捕らえているから、という見方をする人もいるようです。

燃料価格引き上げから生じるインフレ圧力を封じこめるために、先手を打って金利引き上げに動いたのではないか、つまり、今回の金利引き上げが、最大の課題が近いうちに片付くのではないか、という期待をあおる効果を生じているわけです。

 

あと1、2週間で燃料補助金の削減実施を公表するだろうという専門家もいるようですが、さて、どうなりますことやら。

「インドネシア政府は燃料補助金削減に近いうちに踏み出す」という話は、これまで何度も報道されていますが、その度に逃げ水のように話が立ち消えになっていますので。

ところで、日銀の黒田総裁は、4月4日に十分な量のガッツを示してくれましたが、その後は新たな策を公表していません。そろそろロケットの2段目の発射も考えていただきたいものです。



 

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