田村哲太郎のインドネシア経済・株ブログ

データの記載には人並みの注意を払っているつもりですが、一人で書いておりますし、人間のすることですから、間違いが全くないというわけはないと思います。間違いにお気づきになられた方は、 tamuratetsutaro@gmail.com にご一報いただければ幸甚に存じます。 なお、投資は自己責任でお願いします。当方では、当ブログの記載に基づくいかなる責任も負うことができません。

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730日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシア最大のセメント・メーカーであるセメン・インドネシア(Semen Indonesia)の上半期決算は、売上が対前年同期比33%増の11.4兆ルピア(約1100億円)、利益が同23%増の2.6兆ルピア(約260億円)となったそうです。

 

同社幹部によると、同社の国内マーケットにおけるシェアは、前年同期の40.9%から43.6%に拡大しました。

インドネシアにおける国民一人当たり年間セメント消費量はいまだ223キログラムに過ぎず、これはマレーシア、タイ、ベトナム等の周辺諸国の半分にしか過ぎないとのことで、まだまだ増大の余地は大きいと同幹部は見ているようです。

 

海外については、売上が5120億ルピア(約51億円)と前年同期比で170%も増大しており、同社は、ベトナムやミャンマーにおけるM&Aを通じて、更なる売上拡大を志向しています。

 

http://www.thejakartaglobe.com/business/semen-indonesia-cements-top-position-with-23-profit-rise/

 

今年は、6月に燃料補助金の削減が実現されたので、これまでその補助金のために支出されていた巨大な財政資金がインフラの建設に振り向けられる可能性が高く、これが実現すれば、セメント産業の成長には拍車がかかることになると思われます。

 


インドネシアの国有銀行であるバンク・ネガラ・インドネシア(Bank Negara Indonesia=BNI)の2013 年上半期決算は、金利収入が対前年同期比23%増の8.9兆ルピア(890億円)、非金利収入が同22%増の4.6兆ルピア(約460億円)、純利益が同30%増の4.3兆ルピア(約430億円)という結果となりました。


上半期末の貸し出し金額は、同24%増の223兆ルピア(約2.2兆円)、総資産額は同8.5%増の344兆ルピア(約3.4兆円)です。


下半期には、インドネシア中央銀行が6月と7月に実施した金利引き上げの影響が効いてくるはずですが、BNIのスウォンド頭取は、貸出額にそれほど大きな影響は見られないと予想し、2013年全体を通した貸出額の伸びは、対前年比で19%から23%程度となると述べたそうです。(726日ジャカルタ・ポスト紙http://www.thejakartapost.com/news/2013/07/26/bni-reports-30-increase-first-half-profits.html

 

 

522日、日本の商工中金は、資産規模でインドネシア第4位の銀行であるバンク・ネガラ・インドネシア(Bank Negara Indonesia=BNI)と業務提携し、インドネシアに進出している取引先や、今後進出する取引先に対するサービスを拡充する計画を公表しました。いうまでもなく、商工中金の取引先は、中小企業がメインですから、インドネシアで活動する日本の自動車メーカーの下請け企業等がそれに該当します。


提携する業務については、


1.
インドネシアの経済・投資環境にかかる情報提供

2. バンク・ネガラ・インドネシアでの現地口座開設

3.その他借入等個別相談への対応


であるとのことです。


522日のジャカルタ・グローブ紙によると、インドネシアに拠点を置いている日本企業は約1000社あり、そのうち約200社が商工中金の顧客企業であるとのことです。


http://www.thejakartaglobe.com/business/japans-shoko-chukin-bank-and-bni-team-up-for-smes/


4月23日付のジャカルタ・ポスト紙によると、インターナショナル・インドネシア銀行(BII、ティッカーはBNII)は、2012年決算において、配当をゼロとすることを株主総会で決定したとのことです。

2012年決算の同行の1株利益は21ルピア(純益全体では約1.2兆ルピア=約120億円)と2011年の数字からほぼ倍増しており、最近の株価が420ルピア前後であることを考えれば、そこそこ稼いでいるといえると思えますが、同行経営陣は、あえてこの利益を配当せず、クレジット事業を拡大していくために使用する方針であるとのことです。

更に、前年の純利益をつぎ込むだけではなお足りず、同行は、5月に1.5兆ルピア(約150億円)を新株発行により調達する計画も有しています。

クレジット事業を拡大するのになぜそんなにお金がかかるのかは素人の私には良く分かりませんが、あの生活の楽そうな楽天的で豊かな国で、人々にクレジット生活の癖がつけば、何でもかんでもクレジットで買うようになるのではないか、という気はします。

同行の名前には「インターナショナル」という言葉が入っていますが、目の付け所はずいぶんとドメスチックなのではないか、とも思われます。

無配の決定がなされたのは、4月22日の株主総会でしたが、同行の株価は、その日に少し上げた後、また少し下がっています。無配による事業拡張は、投資家にとって、想定の範囲内ということだったのでしょうか。

http://www.thejakartapost.com/news/2013/04/23/bii-retains-profits-credit-growth.html

昨日のブログでは、セメン・インドネシア(Semen Indonesia、 ティッカーはSMGR)の売り上げと利益について述べましたが、本日は、同社の資本構成について述べます。

2012年末の同社のバランスシートを見ると、同社は、資産が26.6兆ルピア、負債が9.2兆ルピア、資本が17.3兆ルピアとなっており、自己資本比率は65%と実に健全経営です。

日本の大企業においては、銀行等からの借入金の利率よりも、株価に対する配当の率のほうが高い場合がありうるので、経営の安定性云々抜きで、他人資本を多めにするほうが、全体として効率的な経営が可能な場合がありますが、インドネシアでは、借入金の利率の方が株価に対する配当の率よりも高い場合が多いでしょうから、自己資本を厚くするほうが経営上有利なことが多いでしょう。

セメン・インドネシアの2012年分の配当は、1株あたり331ルピアですから、本日の株価である1株約18000ルピアで株式を時価発行すれば、配当はその1.8%で済みます。

同社がいかに国有大企業であるといっても、インフレ率が5%を超えるインドネシアにおいて、1.8%以下で他人資本を調達することはできないと思われます。

他方、同社の1株利益は、2012年の数字で817ルピアですから、配当率は、331÷817=41% です。

同じ国有企業であるプルサハーン・ガス・ネガラ(PGN)の配当率は50%を超えていますから、もう少し気前よく配当しても良いのでは、という気はします。

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